転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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ほいっと。
書き溜めてないと時間掛かるものだねぇ。


秋から冬へ
球技大会の話


 僕らの学校には体育祭がない。

 文化祭と球技大会があるのだが、システムのせいで損をする場合がある。

 偶数年度に文化祭があり、奇数年度に球技大会。

 どちらも10月最終週、金・土曜の2日間開催され、月曜日に振り替え休日。

 で、僕が1年のときに球技大会。2年のとき文化祭。

 よって今年は球技大会だ。

 文化祭は出品MVPクラス、球技大会は総合優勝クラスに5000円分の図書カードが配布される。

 一人ずつに、だ。

 何処でそんなお金徴収しているんですか?という部分は。

 追試代である。

 期末に限らず、月に一度試験がある僕らの学校で。

 30点以下は追試となるので。

 還元している事になる。

 微妙に帰ってきてないけれど、そこはそれ。

 備品とかに当てているらしい。

 そんなことより。

 一年のとき、鳴物入りで入部してきた推薦野球部員に言われたものだ。

 

「お前みたいなチビがホームランとかwww」

 

 原則、一つのチームに同じ部活の人間は3人しか入れないが。

 部活に入っていなくても地域の野球クラブにいる高校生はいるのだ。

 クラス内でいくつもチームを作れる関係で極端に弱い、極端に強いチームを作り出来レースさせる事も可能だった。

 だった。

 ここで僕の登場である。

 バッティングセンターで鍛えた僕に打てぬ球などない。

 当時は何km/hだったろうか?

 とりあえず甲子園出場有名選手の投球速度は凌駕していたはずだ。

 甲子園本戦出場も毎回2回戦で終了する我が高校に入ってくる時点でお察し。

 止まって見えることは無いと思うけれど。

 越冬しようとする蚊ぐらいの飛行速度だと思う。

 流石に言いすぎか。

 もうね、僕の居たチームが途中からバントしかしなくなるんだ。

 正確には僕に出番が回りそうなときにバント。

 結果は?

 蹂躙です。臨終かもしれない。

 野球部に勧誘もあったけれど、のんびり生活したいのに泥と汗臭くなる青春とかナイワーでした。

 今思えば何ゆえあの時のらなかったのか!

 モテてたと思う。

 潤いが欲しい!

 

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 そんなわけで今年。

 

「若松!バントで!ヒットでもいいぞ!」

 

「確実に九重にまわせ!」

 

「村田!盗塁すんじゃねーぞ!」

 

「塁を埋めろオォ!」

 

「チーム全員バントうまくね?」

 

「おう九重、当たり前だろ?」

 

「渋井、なんですかコレは」

 

「九重安寿式蹂躙野球?」

 

「僕の名前が付いているのに僕が知らないとか」

 

 凄い。

 強くは無い。

 野球部3人がいて4番バッターが僕。

 打たせても良い。確実に打ち返す。

 蹂躙だ。いや、僕がやるんだけれども。

 

『1-1対3-4の試合!1回裏!』

『後攻の3-4は堅実に塁を埋め……』

『おぉっと!ここで九重選手!堂々たる入場だ!』

 

 堂々たるって……。

 いかにもバットを重そうに引きずって歩く。

 何だあのチビみたいな顔しているんじゃない一年坊主。

 

『重そうにバットを持っていますが放送部部長のワタクシ芹奈知っております!』

『この町にあるバッティングセンターの投球スピードが恐ろしい事になっている理由!』

『九重安寿選手が店主と勝負しているからなのです!』

『あぁ!コラ一年生!嘘だと思ってるでしょ!?』

『いやぁ……ワタクシもね?嘘だと思っていました!』

『しかし!しっかぁし!』

『もはや伝説と化した前回球技大会!』

『野球部の球をまるで児戯のようにポンポン飛ばす打撃力!』

『あ!児戯って子供の遊びだから!』

『あと凄いパワーファイターだからホントは片手で整地ローラー引きずります』

『振って!片手でバット振って!アレ見たい!』

 

 テンション高いですね芹奈さん。

 アレですか。

 良いですけれども。

 ビュッ!ビュッ!

 

『いやぁ!最高です!』

『聞いた!?今の凄いよね!』

『風切音ってわかる?』

『昔みんなも枝とかでやったよね!』

『バットで高い音って出るんだぁ!そう思いました!まる!』

『普通は出ねーっす!』

『実際バット引きずっているのはヤル気がないからだと判断しますね!』

『小さい体に秘められた能力が今!開放される!』

 

 確かにヤル気はないけれども。

 あとそんなに小さくも無い。

 女子の高い方と同じくらいだろ!

 ……虚しい。

 容赦はしないぜって顔している一年。悪いな。

 手加減できない。

 

「成層圏の彼方までぶち抜いてやれ!」

 

「ナニイテンダ!無理ですよバカ共!」

 

「俺たちは先輩を、超える!」

 

 君、もしかして野球部かい?

 ごめん。僕は帰宅部なんだ。

 

『さぁて!現在一年エースの橋本選手!投球フォームに入ります!』

『ってチョトー!なんでバントの構えなんスか!振ってくださいよ思い切り良く!』

 

 いや、球速くらい見極めさせてくれよ。

 というのは冗談だけれども。

 

『ふおぉ!?ホームラン予告です!』

『正直やめたげてよぉ!とか言いたい気分ですが!』

『投げ……打ったー!個気味良い音とともに蒼い秋空に吸い込まれていく白球!』

『あーあー追いかけなくていいよ一年生!どうせ柵越えさ!』

『誰か止めてやれとも言いたくなりますが!見てくださいあのフルスイング!』

『九重くん早く塁回ってくださいよ!』

 

「素が出ていますよ芹奈さん」

 

『おっとぉ!こいつぁごめんなすって!』

『バット引きずったまま歩いて回るのもダメ!』

『バットを取り上げられましたね。ぶー垂れながらジョグで回っております!』

『ホームイン!ハイタッチしていく中に関係ない生徒も混じっております!』

『シバかれたー!今入った情報によりますとシバかれた生徒はサッカーの部で負けた花菱輝人選手!』

『九重選手の幼馴染で見た目どおりのイケメンです!』

『爆発するといいよ!』

『でも見ての通りの残念さん!』

『爆発しなくていいよ!』

 

 どっちですか。

 

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「いやーコッチは早々に負けてさ!」

 

「なんでそんなに清々しいんですかね」

 

 負けたというのに花菱は笑う。

 そういえば何故サッカー組はイケメンぞろいだったのか。

 謎である。

 

「俺、次はテニスだ!」

 

「明日の?」

 

「いや今日の」

 

「……仮にサッカーで勝ち越していれば棄権する事になったのでは?」

 

「おいおい、顔が良いだけのチームが勝つなんてありえないだろ?」

 

「図書券は?」

 

「顔怖いって……」

 

 所詮学生だから、スズメの涙ほどの小遣いでは参考書等買ってしまうと趣味にお金が残らない。

 僕は金銭感覚おかしい母さんと、それに負けないほど稼いでくる父さんのおかげで大丈夫だが。

 図書券って重要だぜ?という話だ。

 

「最低でも二枚は欲しいです」

 

「また親に渡すのか」

 

「親孝行に最適な行事ですよね」

 

「お前、今すっごく邪悪な顔してるぞ」

 

「花菱の悪鬼スマイルほどではありませんよ?」

 

 花菱は。

 テニスはやらない人である。

 テニヌならやる。




花菱「俺のファイヤーワークは綺麗だろ?」
   「おいおい、火花にもなりやしないぜ……」
    「打ち上げてやるよ。デッケェ花火をよ」

ヤツのボールが着弾すれば
       大きな花火が舞い踊る
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