転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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誕生日の話

 日が日だけに誕生日には棒状のクッキー菓子が机の上に山と盛られ、三年だからと教師も黙認する。

 花菱は5月生まれで柏餅が積まれ。

 先日、球技大会の実況席にいた芹奈嬢は好物だという豆大福が積まれた。

 教師の机に10円チョコを積む嫌がらせも発生している。

 また、焦っている女子に折らないと接吻してしまうあのゲームを強要されそうになる場合は全力で逃げている。僕にだって選ぶ権利はある。来るなババア教師!生徒との垣根を越えてくるんじゃない!

 家の誕生日パーティは無い。

 11月に父さんが帰ってこられると何らかの御土産がバージョンアップしてくるが。

 そう、油断していたのだ。

 何処で情報手に入れたの?とか。

 何故親同士の連絡網が出来てるの?とか。

 突っ込む気力は無い。

 諦めてはいないです。

 

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 家に帰ると宅配業者のトラックが玄関前に停まっていた。

 母さんが宅配のお兄さんに口説かれているがスルー、しようとして。

 

「安寿さん宛てですよ?」

 

「僕宛て?誰からです?」

 

「束ちゃんです」

 

「束ちゃん?え?何の冗談ですか」

 

「メッセージカードもついていますよ?」

 

「御誕生日おめでとうエンジェルちゃん!by束さん。うん、ネタに飛ぶなぁ」

 

「エンジェルちゃんですって。ふふ、可愛らしいですね」

 

「取扱説明書まで付いている。機械?」

 

「大きさが結構ありますし、庭に運んでもらいます?」

 

「お願いします母さん。説明書読んでみますね」

 

 僕が母さんと呼んだことに対してか、それとも抜群のスルー力にかあっけに取られるお兄さんを放置して帰宅。時期だからノロとかインフルとか怖いし手洗いうがいは忘れないようにしよう!安寿との約束だよ!

 どこに対して言っているのだろうか。

 えっと、束さん特製ホバーバイク『ラピッド・ラビット』?

 束ちゃんのことだから根回ししてくれているだろうし、箱の大きさから考えてH●NDA製のクッソ頑丈な某バイク並みのサイズだろうと考えたとしても。

 普通なら絶対公道走っちゃいけないヤツだこれ……。

 しかもラピッドて……貫けと?

【ISホバリング設計を無駄の無い無駄な技術力を持って惜し気も無く無駄に注ぎ込んだ一品です】

 無駄なのかそうじゃないのかハッキリしなさい。

【天野牧場に安置されている希少鉱石をハンドル中央の台座にはめ込む事により飛行も可能となります】

 うむ。何処でその情報を手にしたのかね?

【っていうかおかしいよ!?ISコア加工用のカッターで傷一つ付かないんだもの!】

 おかしいのは君の頭ではないだろうか。

 コア加工用のカッターが作られているという事は量産体制に入っているということなのだろうけれど。

 人様の敷地に安置されている希少鉱石にソレをブチ当てるという所業が。

【解析した結果、浮力と特殊な力場を発生させるため装置に組み込ませていただく事となりました】

 力場というかG波と呼ばれる電磁波ではないだろうか。

 ……ガイストクラッシャー作中にて人体に影響を及ぼすとあったが。

 今更ながら、大丈夫なのだろうか。

【通常はイグニッションキーにて起動。この状態で3mm浮かび上がります】

 どこの猫型ロボットだ。

【搭乗時、自動的に5cm上昇。気合イメージ螺旋力まあそんなんで大体30cmまで浮く事ができます】

 適当だ。適当すぎる。

 というか螺旋力だと?この世界にグレンラガンがあるらしい。

 どこが束ちゃんの琴線に触れたのだろうか。

【ISには絶対防御があります。バイクから落下すると危ないですよね?】

【あとはわかるな?】

 あの子バイクに絶対防御のせやがった!

 ありがたいけれども!

【まあ束さんが普通に落下するような代物は作りません】

【落ちないようにサポートしてくれるシステムも積んであります】

【ぶっちゃけ説明しても理解してくれなさそうですが】

 ぶっちゃけ僕はもう理解の範疇を超えていますしね。

【ようはSFの宙に浮くバイク作ってあげたからYOU乗り回しちゃいなよ!ってやつです】

 バイクの免許持っていないんだが。

【普通自動二輪の免許で乗れるようにしてありますので大丈夫です】

【この度は御生誕誠におめでとうございます】

 これ取扱説明書の意味あったのだろうか。

 一応普通の取説もくっついており、花菱の家で見たバイク教本のような各種説明が載っていた。

 が、明らかに手書き。

 暇なのだろうか。

 いや、あの子も受験生だと思うのだが。

 

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「母さん、それバイクの亜種だって」

 

「あら、そうなの?」

 

 とりあえず手書きの取説を母さんに渡す。

 庭を見ると青白いソレが静かに佇んでいた。

 第一印象は箱。細長い箱だ。

 ハーモニカのような箱状のそれは短い辺を下にする台形。

 中央より少し後ろにハンドルやシート、ステップがある。

 普通のバイクと同じように、左右にミラー。

 シートが長めなのと、タンデム用のステップも見られる。

 やりようによっては壁も走れるという。

 燃料は水と電気らしい。

 エアバイクや飛行バイクとも呼ばれるらしいソレを眺めても、今はあまり実感が湧かない。

 

「普通自動二輪、取りに行くんですか?」

 

「この時期なので、まずはMT車を取りたいんですけどね」

 

「車はいつでも取れますけど、バイクは機会がないと取れませんよ?」

 

「そうなんですよね」

 

 最悪、車は就職までに取れば良い。

 バイクを取ってしまおう。

 大学にこれで通う気はないが。




ナンバーも108で取ってある模様。
取扱説明書によれば煩悩の数。
安寿は前向きに『永久(トワ)』と考える事にした。
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