転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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冬休み前の話

 3年2学期の期末テストほど、面倒なものは無い。らしい。

 父さんの言葉だ。

 受験勉強も佳境になるような時期にブチ込まれる役に立つか分からないテストのくせ、しっかり進学先や就職先の候補には送られるデータとなるのだ。

 まだ部活をやっているような一部の生徒にとってこれほどの地獄は無いだろう。

 帰宅部で良かったと花菱は言う。

 まったく同意見だ。

 鬼気迫る顔で塾に向かうのだという面々を尻目に、これから私は自動車教習所ッス!と笑顔でのたまう芹奈嬢も流石だが。

 大体、だ。

 進路希望など高校3年1学期末までしか反映されないのにデータは送るとはどういう事なのか。

 休みたいです。

 皆勤賞を狙っているので休みはしないが。

 

 そうそう、ついこの間の事だが。

 母さんの実家からラクレットチーズと専用の溶かす機械、ガイメタルが郵送されてきた。

 ラクレットチーズについては、天野牧場に行くと毎年食べるのだが。

 ガイメタル郵送とはどういう事なのか。

 これについては父さんの仕業だった。

 僕より早くにラピラビを乗り回し始め、ガイメタルで空も飛べます等と書いてあれば取り寄せないわけが無いだろうとのことだった。

 自重してください父さん。

 まあ僕も近所のお使いに乗り始めているのだが。

 花菱も乗ってみたいらしい。

 見た目だけならロマンの塊だから仕方ないな。

 結構クセ強くてビビったのだけれど。

 慣れるとそうでもない。

 ただ、空を飛ぶのはまた別で。

 場所が開けていないとそも準備も出来ないと思うんだが、どうだろうか。

 

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 最寄のコーヒースタンドで勉強会。

 ただし、模試のような鬼気迫るものではない。

 ぶっちゃけた話、授業をしっかり聞いていれば対策をする必要など無いのだ。

 往々にしてただの駄弁りとなる。

 

「あのバイク、やっぱり束ちゃんが作ったやつなんだな」

 

「流石は天才といった所でしょうか。今の科学技術を軽く凌駕している時点で恐ろしいですが」

 

「あれに使われているというか、元のというか?技術を世界中が解析している最中だってのにな」

 

「そういえばISの技術を学ばせる学校を作るらしいですよね」

 

「早くて来年の末だろ?大体俺たちには関係無いと思うけどな」

 

「ですからバイクがIS関係ですので話題に、と思ったまでです」

 

「分かるっての。高校くらいにはなるらしいな」

 

「小学校や中学校は義務教育機関ですからね。それ位じゃないと難しいのでしょう」

 

 ただ、そうなると織斑姉は大学受験の次の年にモンド・グロッソである。

 ハハッ、僕達より地獄だな。

 大学に入ったあと、その手のサークルに入るのだろうか。

 

「インフィニット・ストラトス操縦者育成特殊国立高等学校、でしたっけ」

 

「憶えてるんじゃねぇかよ」

 

「カッコカリ、ですけれどね」

 

 手元の呼び出し(ポケ)ベルが鳴る。

 無言でじゃんけん。

 僕の負けである。

 取りに行くか。

 

「見れば見るほど毒々しい色してますね」

 

「なんだよ!いいじゃねーか!ミックスベリーカプチーノに文句あるのかよ」

 

「ミックスベリーにもカプチーノにも文句はないですがなぜ混ぜたのか」

 

「お前こそエスプレッソに備え付けの塩入れるのはどうなんだよ」

 

「一振り位なら酸味を旨味に変え、砂糖を加えずとも仄かな甘みを与え、滑らかな舌触りになります」

 

「その一振りの匙加減が難しくて俺には出来ないわ」

 

「でしょうね」

 

 バッティングセンターの泥水とは大違いである。

 さすが専門店。

 

「この手の話題に食いつくであろうネイダーとハッスに画像送ったんですけどね、バイク」

 

「おう、どうなった?」

 

「ネイダーは画像の加工を疑い、ハッスは呆れた旨を長々とメールしてきました」

 

「ハッスはしかたないか!でもアイツも身体能力的には大概だよな」

 

「そうなんですけどね」

 

 呆れた理由はそこではないけれどね。

 お前結局関わる事にしたのか、とか。

 巻き込まれたんですがね!誕生日プレゼントだから仕方ない。

 

「冬休みにネイダーは乗せましょう。アイツ免許持ってましたし」

 

「学校に申請してない免許だけどな!」

 

 顔に似合った免許ですねとからかうネタにして美味しいものである。

 実際は飲食店の配達に使うために取ったらしい。

 だが、ピザ屋やその手の店にある屋根のついたバイクに乗ったあの不良顔が営業スマイル浮かべて制服姿で接近してきたのなら僕は大爆笑する事だろう。確実に。

 

「冬休みか」

 

「受験生には最も潤いの無い長期休暇ですよね」

 

「課題免除は嬉しい限りだけどな」

 

「逆に課題がある場合ってどれだけキツイのでしょうかね」

 

 なお前世にて体験済みである。

 今や遠い過去の出来事だが。

 

「しっかしまぁ」

 

「溜息なんてらしくないですね」

 

「はやいな、と。もう12月だぜ?」

 

「さらにあと数週間で新年ですよ」

 

 ピロン、と。

 メールの着信音がした。

 

「誰からだ?」

 

「束ちゃんですね」

 

「……いつの間に?」

 

「メアドとケータイ番号は誕生日のときにメッセージカードに書いてありました」

 

 直接メールが来るのは初めてだけれど。

 

「で、なんて?」

 

「えっと……」

 

 年末友達連れてまた遊びに行くよ!ですって?

 

「このメールを見てくれ、どう思う?」

 

「すごく、簡潔です」

 

「あの子も受験生だと思ったんだけどなぁ?違うのかなぁ?」

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