転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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千冬ちゃんやっと出せたー。
今回はセリフが多いです。
……いつも多いかな?


続・冬休みの話

「いやぁ前にこの辺来たときはコンビニとスーパーと駅とバス停くらいしか見てないからさぁ!」

「どうせ一度見た道は忘れないから散策ついでに寄り道してたらこんな時間だよ!」

「テンちゃんトコ忘れてたら大惨事だったね!ありえないけど!」

 

「恐らく朝から共に居たと思しき連れの少女が、空ろな目をしてコタツに入ったまま身動きしない点に関して何か無いのですか」

 

「いやぁウッカリ!」

 

「ウッカリじゃないでしょう?このおバカ」

 

 震える声で母さんと父さんに挨拶し、晩御飯まだ?と聞くとそうだったようで。

 ちょっとしたもの作るから待っていてね、と言った母さんと。

 仕事を片付けるべく部屋にこもった父さん以外に彼女達の相手をするのは僕しか居ない。

 とりあえず手洗いうがいしてきてコタツに勧めると。

 予想はしていたけれど織斑千冬と名乗った少女が微動だにしなくなった。

 いや、ダッフルコート預かった際に少し手に触れたのだが恐ろしく冷たかったのだが。

 キッチンを覗きに行ったら湯豆腐の用意していたからすぐだよ。

 それまで我慢していてください。

 

「あ、ラピッドラビットの調子はどう?」

 

「今日もラピラビで牛乳買いに行きました」

 

「ふつーにお使いで乗り回してるんだね!飛んでみた?」

 

「ええ。ところでガイメタル、ああ鉱石の事ですがね?ガイメタルセットした際に光るのってどうなってるんです?」

 

「割れぬなら解析してしまえガイメタル」

 

「出来てます?」

 

「なぁんか中に生物構造が入ってる事だけはわかったんだけど、他は全然!」

 

「でしょうね」

 

「何か知ってるの?」

 

「禁則事項です」

 

 目に見えて不機嫌になる束ちゃん。

 おーしーえーてーよーと、ぺちぺち顔を叩かれる。

 別に秘密にしておくことでもないから教えるか。

 

「あれで変身できます」

 

「ヒーロー的な?」

 

「道具があればそうなるのかもしれないですけど、現状は天野牧場名物くらいしか出来ませんね」

 

「天野牧場名物ってDragon?」

 

「妙に発音いいですね。見たことあります?」

 

「無いけど色々調べた!束さんの情報収集力を舐めない方が良い」

 

「写真もあったかと思いますけど」

 

「解像度低いから弄くったけどよくわからないから衛星映像チョバって見たね!」

 

「そうか、衛星で撮られている可能性があったのか」

 

「警戒しないからだよ?」

 

 ごもっとも。

 まあ超常現象の類が見られると祭りにしてしまう天野牧場にて、イベントと化した変身である。

 宣伝ありがとうとか思って居そう。

 

「もともと制御するために何度か変身しましょうって言っていたんですが」

 

「騙されてるよテンちゃん」

 

「さすがに中学上がる前に気付きましたよ。どうせ変身しなくても何かイベント考え付くと思いますよ?」

 

 あそこ妙に手馴れてますからね。

 チーズと龍が名物の天野牧場とか言っていますが。

 もともと大きな社があって、そこが名物だったらしいですし。

 

「は~い、ご飯ができましたよ?安寿さん、持っていってあげなさい?」

 

「ア、ハイ。コタツで食べていいから、束ちゃんは自分で持って……」

 

「お気遣いありがとうございます。遅くに来て晩御飯までご馳走になってしまうなんて」

 

 おや流石にこの辺は常識人。

 自分で取りに来たよ。

 

「いいのよ千冬ちゃん?雪子さんから連絡も貰っていますからゆっくりしていきなさい」

 

「……束?」

 

「あれ?言ってなかった?」

 

「待ってください、それ僕も知りません」

 

 さすがに2、3日で帰ると思っていたんだが?

 

「おおう、怖いよちーちゃん!そんな顔しな……」

「ごめんなさい!いやぁ言ったと思ってた!」

「三箇日まで居る事にしたから荷物が明日届くよ!」

「ダイジョーブ大丈夫!いっくんはうちで預かってるから!」

 

「本当にうちのバカがすみません……」

 

「なんとなくそんな気はしていたから構いません」

 

「もう束ちゃんったらうっかりさんね」

 

「えへへー」

 

 母さんと束ちゃんだけ次元が違いませんかねぇ?

 まあいいや、ホラ白米もって。

 

「あーっと千冬ちゃんでいい?」

 

「はい、ありがとうございます安寿さん」

 

「テンちゃーん、束さんのゴハンは?」

 

「そこに置いてあるでしょ」

 

「まさかのセルフサービス……山盛りよそっちゃうぞー!」

 

「どうせまた炊くからいいわよ?」

 

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 二人が食事する間に風呂に入っておく事にした。

 不幸且つある意味でラッキーな事故とか起こす気にもなれない。

 食事中は母さんの監視が効いているから動かないだろうしね。

 

「づぁー」

 

 自然と声が漏れる。

 しかし、僕の背が伸び悩んでいるのは置いておくとしても。

 千冬ちゃん低いな。

 束ちゃんが僕より若干…うん、若干高いから余計かもしれないが、小さく見える。

 そして、親が居ない。

 明言されていたかどうかは不明として、おそらくあしなが育英会などにお世話になっているのだろう。

 中学からでも出来るバイトって抱えてくれる会社考えてもモデルと新聞配達くらいしか思いつかない。

 朝5時前の仕事は法律で禁止。特例で行える場合もあるらしいけれど。

 今はケータイも持っていないようで。

 最近めっきり少なくなっている公衆電話用に十円を持ち歩いている可能性がある。

 いかん、涙が出てきた。

 

「誰かに相談って、出来ないか」

 

 そもそも僕は知らないはずなのだから。

 いきなり誰かに言って変に思われないのは、花菱とハッスだな。

 母さんと父さんもか。

 ……束ちゃんのときもそうだった気がするけれど。

 僕って厄介事に自ら首を突っ込んでいるな。

 

 体はしっかりと拭く。頭も。

 風邪などひいては居られない。

 パジャマは自作のチルタリス着ぐるみ。

 うん。この世界にポケモンはある。

 というか、気がつかないだけで無いと思っていた作品もあることがわかった。

 主にハッスのおかげで。

 モンハンあるのかよ!ありがとう一狩り行こうぜ!

 

「テンちゃんかわー」

 

「ふやけていますね束ちゃん」

 

「あの、片付け手伝います」

 

「いいのよ、お客様でしょう?」

 

「ですが……」

 

 母さんに目配せされたのでネコ掴みでコタツへ連れて行く。

 

「あ、安寿さん!?」

 

「姫抱きの方がお好みですか?」

 

「ひめ!?」

 

「テンちゃん束さんにプリンセスホールドぷりぃず!」

 

「え?プリンセス・スピニングトゥホールド?」

 

「酷い技になった!?」

 

 3歳しか違わないのか。

 3歳も違うのか。

 ノリが激しくバカ共と似ている。

 僕が子供なのか?

 

「テンちゃんが着席したらミカンに手を伸ばすのは予想できたけど一気に4個?」

 

「これでも人が来ているから自重していますよ」

 

「ウッソだー」

 

「どのみち段ボールに入ってますから、そこの」

 

「あの、本当に急にお邪魔してすみません」

 

 急ではないらしいけどね。

 連絡網ができていた事に驚き。

 

「そっちこそ大丈夫?僕も人の事いえないけれど受験生でしょう?」

 

「そうなんですけどね……」

 

「なんで二人とも束さん見てるの?」

 

 君も受験生だろうに。

 

「どこ受けるか聞いても大丈夫?」

 

「はい。星城(せいじょう)学園です」

 

「ああ僕の受ける大学の付属校だわ」

 

「奨学金制度の恩恵が大きいのと、成績によっては大学部に進学したときの費用が免除になるので」

 

「特待狙いですか」

 

 ビックリだよ。

 あそこのシステム。

 いわゆる特待生に対応したシステムなんだけど、一定成績をキープすると学費その他諸々のお金掛かる部分が免除される上に支援までされる。

 

「推薦なら高等部でも2年から免除ですから」

 

「……お金に困ってるのですか?」

 

「親が居ませんので」

 

「ごめんなさい、不躾でした」

 

「慣れていますから大丈夫ですよ」

 

 じゃあ何で寂しそうに笑うんだこの子は。

 あんなの親じゃないとか思っている節がある描写は見るけれど。

 やっぱり優しさは必要だと思うんだ。

 親の存在は偉大だと思う。

 

「むつかしい話やめー!」

 

「束!……すみません、本当に」

 

「いいですよ。こっちに居る間に勉強することにしても、のんびりするにしても」

「自分の家だと思ってユックリシテイッテネ!」

 

「テンちゃん、そのネタちーちゃんに伝わらないよ?」

 

「言って後悔しました……」

 

「えっと?」

 

 気にするな。

 気にしないでください。

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