カリカリ。
カリカリカリカリ。
ノートに走るシャーペンの音が響く。
開始5分で飽きてコタツで寝始めた束ちゃんを端に押しやって。
僕と千冬ちゃんは勉強していた。
最初は僕を挟んでコタツの辺を一人ずつ使ってやっていたのだけれど。
今は広い方の辺に隣り合って座っている。
ちょっと聞かれた事に応える関係で、コチラの方が効率が良かったのだ。
他意はない。
かれこれ2時間はやったろうか。
時間を費やしたからといって出来ているとは限らないものだが。
昨日のうちに僕は千冬ちゃんに出す過去問プリントを作っていた。
協力者はモッチ。
あいつがいる高校は星城学園高等部。
千冬ちゃんの目指す高校であり、僕が進学する大学部のある学校だ。
モッチは他県の音楽学校に通うのだが。
それはともかく。
僕のほうはといえば、モッチが先輩から貰った過去問に精を出していた。
入試データがあるだけで、こうも違うものかと思う。
前世ではそれこそ滑り止めに現を抜かしていたが、大人になればそれがどんなに愚かな行為だったか理解する。
親、教師の苦労の上に胡坐をかいた行為だ。お金や時間を無駄にしていた事だ。
「んぎっ」
「「うるさい束/束ちゃん」」
「ぎぃう……つまんないよ!つまんない!」
「受験生に何を言っているのですか」
奇妙な声を上げてモソモソと起き出した束ちゃんに冷たく言い放つ僕ら。
君も受験生だよね?
勉強しなさい。
「……え?」
「どうしたんですか?」
「距離、近すぎない?」
「「そうか?/そうですか?」」
唖然としているが、何のことはないと思う。
2時間も顔つつき合わせていればこうなるものだと思うのだけれど。
僕が中学のときはユウとくっついて図書室に居たものである。
童顔低身長(僕の事)と見た目だけなら男の娘(ユウ)がくっ付いていると騒がしい女子が居た事も明記しておく。たくましい女子だなぁ(震え声)!
「あ、機械直りました?」
「どこから
「ああ、そう」
まあそんな気はしてました。
本当に別の世界の技術だしね。
ムリなものはムリ、と。
「割ろうとしてみたんだけど割れもしなくてねー」
「聞いたかい千冬ちゃん、解体できないから壊そうとしたんだって」
「は、はあ」
盗品だけどね。
「ガイメタル弄ってるのと同じ感覚だったよ」
そのガイメタルを制御するためのものにソックリなんですがそれは…
「なんか言った?」
「聞こえてても聞こえて無くても問題は無いからいいです」
む、キッチンのほうから音が。
母さんが買い物にでも行くのだろうか。
父さんがビールをパチっていた場合は母さんに報告せねばならないが。
一度集中が途切れるとグダグダになってしまうのはしょうがないとは思うけれど、同時にダメな所でもある。自覚はあるのだが。
「どこに行かれるんですか?」
「キッチンです」
「おーついてい…」
「来るなください」
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まさかのお使いである。
まあ年の瀬だし、足りなくなるものもあろうよ。
砂糖とみりん、あと晩ご飯用にカレーの材料である。
退屈を訴える束ちゃんは母さんと一緒に繕い物。
千冬ちゃんも束ちゃん監視のため母さんと一緒だ。
バイクでお使いというのも慣れたものだけれど、物理的に浮いている浮いていないに関わらず珍しいルックスの所為で九重さんちの坊主が買い物に来たとすぐにわかるあたりがアレか。
夕方。
スーパーにて、かごを持った双子がお弁当コーナーに駆けていく。この時間帯、あのあたりは魔境なのだが大丈夫だろうか。
ガタイのいい子供もいったが、ガンつけてきたのでアンジュの『にらみつける』!年上は敬いなさい?
あの少年と僕が同じくらいの身長だったから同い年だと思われたのかもしれないけれど。
つまるところ少年、君は背が低い。
ガムバレ!
途中、コート姿の何者か(年齢不詳)に「お前はイヌか、ブタか。あるいは狼か?」なんて言われたけどスルー。厨二病なのやもしれぬ。
妙な緊張感の中、買い物を済ませて店外へ。
案外、別世界のキャラなのかもね。
ありえないか。
ないな。