人様のうちに泊まるというのは、テンションの上がるもので。
最初の方の(とはいえ一週間ほどだが)ハイテンションは何処へやら、やることがなくなったのか静かになったと思っていた束ちゃんが行動を起こした。
確実に、悪い方向に。
確かに自分の部屋で寝て、真夜中に水を飲みに起きているからその時間までは家にいたはずなのに。
「どこですか、ここ」
まっさらというか、まっしろというか。
SF映画にあるような『けんきゅうしつのひとへや』らしき場所にいた。
おいィ今の僕ネタ購入した歩ける寝袋なんですけど!?
手が出ないよ。出したら出したでずり落ちるし。
目の前にある簡素な机に、手紙とガイメタルが置いてあった。
テンションの高い丸文字だらけの手紙を要約すると、脱出ゲームをしろとのこと。
九重安寿の身体的特徴も遺伝子的特徴も自分に解き明かせない謎の鉱石も気に入らないから。
うん。
知ってた。
基本的に気に入られているのは母さんだけで。
母さんが言うから僕を認識しただけで。
父さんは欠片も認識できていなかった。
じゃあ、諦めたり臆病風吹かせたりして開放らしい事をしなかった能力。
使ってみましょう。
束ちゃん、君は僕を怒らせた。
泣いて謝るまで、許してあげない。
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怒りに身を任せて、純粋な力だけで扉らしき場所を殴ること数分。いびつな形の板は思い切りよく外側に倒れた。
使おうとすれば、おのずとわかる。
理解する。
転生ものの二次創作である、使い方を理解するというのはこういうことなのだろう。
ガイメタルを懐にもつだけで、風が僕を補助する。
小さな身体に似合わぬ力を、体重を、全てをぶつけてしまえばいい。
廊下らしき場所に出た瞬間下から飛び出してきた「おめでとう!第一関門突破!」と書かれたポールを掴んで捻れば引きちぎれた。
武器ゲット。
とりあえず突き当りまで蹴り飛ばしてみよう。
廊下において、見よう見まねのサッカーキック!
壁にぶち当たりポールが木っ端!
どうやら壁も傷が付くようだ。
じゃあコレで行こう。
手のひらを上に、拳を握る。目を瞑り、深く息を吸う。
「はぁっ!」
ヴォゴッ!
アステカ・ククルカンが行う風による強化。
自らの足に風を纏う能力だが、生身でもいけるらしい。
如何せん床が罅割れ陥没し、足を抜くのに苦労した。
陥没部分をスターティングブロックの代わりとして、クラウチングスタートしよう。
3、2、1。
ごがんっ!
キュボっ!
何かの壁を抜いた気がする。
気のせいだろう。
一瞬で壁が迫る。風の補助は凄いなぁ。
『やぁやぁ元気?たのしんで…』
「せっ」
ごっ!
バグギョ!
壁に映し出された束ちゃんが喋りだしたのを認識した瞬間、ジャンプしていた。
そのまま回し蹴りを顔めがけてぶち込むとめり込んでしまう。
力ずくで引き抜けば壁は剥がれ落ちることなく変形した。
『女の子の顔に蹴りいれるとは何事か!』
「は?」
『まあドウデモイイけど?そのまま全部束さんに見・せ・て!』
「じゃあ家屋倒壊いってみよう」
壁に手を置いて、押す。
壁を、グイグイと押していく。
最初は床を足が滑るだけ。
裸足だから痛いが気にしてられない。
そのうちに、床を掴むようになる。
そういえば穴を開けたりしているのに足が傷ついていないな?
身体強化、極まれりってやつ?
手だけで押すのもアレだし、身体を壁につけて押す。
ミシミシという音が壁から聞こえ始めた。
『え?いやいや、嘘でしょ?現在進行形で束さん最高傑作のIS用装甲利用して作ってあるんだよ!?』
知るか。
だいたいその装甲?ってやつはさ。
ガイメタルより固いの?
束ちゃんが用意した道具で傷を作ることすらできなかったガイメタルよりさ。
大体にして、ISが世界を席巻するのはしばらく後の話で。
束ちゃんが研究()と努力()を繰り返して作り出すのが原作のIS。
じゃあ、今は?
自分の創ったオモチャ自慢するクソガキの、天狗のような鼻っつらさ。
折っていいよね?
「だあああああぁああぁらっしゅああああ!」
ミシミシミシミシミシミシパキ。
バキバキバキバキバキバキ……。
『嘘だ!ウソ嘘うそ嘘だ、嘘だ!なんで!?なんでだよ!?私の作った合金だぞ!?なんでだよ!』
わー人の形に壁って穴が開くんだねー(棒)。
「鉄拳制裁タイムだぜ!」
ガイメタルを手に取る。
カッコつけて行こう。
右腕を斜めに腰辺りに伸ばす!
左手に握ったガイメタルを天に掲げる!
右手を上に!
左手を前に!
「
初の分割話