転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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あけましておめでとうございます。
ことしもよろしくおねがいします。

それでは今年も行って見ましょう!


新年の話

 書初め。

 毎年書いているものだが、今年のものは少し雰囲気が違っていた。

 1月1日の10時に起きて新年の挨拶をし、うちの恒例行事だと二人に言って。

 真剣に書く気が無い束ちゃんや緊張しすぎて震えた字になっている千冬ちゃんを尻目に、長い半紙を前に深く深く深呼吸する。

 気合を入れて書く言葉ではないのかもしれないけれど、今年のと言うより僕の人生の目標になりうる言葉だ。

 墨汁ではなくキチンと磨った墨を使う。

 筆は…赤ちゃん筆でわかるだろうか。赤ちゃんの初めての散髪で切った髪を筆にしたもので、父さんと母さんが大事に取っておいてくれたものだ。今回はこれを使わせてもらう。

 いざ。

 自分に向かい合って。

 筆を半紙に落とす。

 ひらがな。まるい文字。最初の一文字。

 そこから一気に書き上げていく。

 一文字ずつ、丁寧に、真剣に。

 最後に自分の名前を書き、少し迷ってから前世の名前も書いた。

 前の僕と、今の僕。

 二人の一つの人生の、新しい目標。

 

「テンちゃん?なんか名前」

 

「気にしないでください。理解しなくて良い事象です」

 

「へんなの」

 

「乾いたら父さんが掛け軸状にしてくださるそうですからまじめに書いてくださいね」

 

「おお!掛け軸!ちょっと夢が広がリングだよ!」

 

 嬉々とした顔でやたらと長い半紙に向かう束ちゃん。

 すらすらと細い筆で何を書き出しているのかと思えば無駄の無い無駄な技術力でISを参考にした鳥獣戯画だ。

 目的を見失っている。

 

「うぅ……」

 

「うーん、少し緊張しているね」

 

「大丈夫よ?深呼吸して、ね?」

 

 父さんと母さんに慰められながら、しかし解けない緊張の中で右往左往しているのがよくわかる千冬ちゃん。彼女の心を溶かすにはこれしかない。

 

「千冬ちゃん、束ちゃんのほうを向いてください」

 

「ふぇ?……ほう?」

 

 あ、目が据わった。

 これ落ち着いてるわけではないけど良いよね!

 

「千冬ちゃん!ごー!」

 

「こぉら!束!」

 

「うぉう!?って束さんの鳥獣戯画がぁ!?」

 

 落ち着いたようですし、これで良いよね?と我が両親に目配せすると二人そろってまったく同じタイミングでウインクした。仲のよい夫婦である。

 

 ともかくも、僕の人生目標。

 半紙に書かれた心構え。

 

 

 のんびり生きて行く。

 

 

 意外と難しいかもしれない、普通を目指しました。

 なんて、ね?

 

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 束ちゃんがIS鳥獣戯画の書かれた端を利用するように「天上天下唯我独尊」と、千冬ちゃんがきっちりしあげた「家内安全」と、僕の句点まで書いちゃったことに気がつくまでしばらく掛かった人生目標は。

 父さんの書いた「安奈さん至上主義」という、とても恥ずかしい書初めとともに掛け軸に加工され、後日それぞれに郵送される運びとなった。

 そう、郵送である。

 大学に合格できなくとも、一度は家を出ておくべきだとの言で。

 4月には隣県というか隣区というか、隣都の。

 夏休みに束ちゃんを連れて行った方角へ行く事になる。

 実際のところ。母さんと父さんが千冬ちゃんの、というか織斑家の問題を聞いてしまったが為の現実。

 合格したら千冬ちゃんのところにお世話になるわねと言う母さんの言葉をはやし立てる父さんに冷たい視線を送り黙らせながら、父方の親戚が持つ一軒家を間借りして一人暮らしすることが決定してしまったのだ。

 お昼を食べながら会話がなされる事自体、うちでは大変珍しい事なので何事かと思えばあれよあれよと言う間に話が進んでしまいこの有様である。

 都内に住むことになると同時に、これモッチの居るマンションに近くなれば良いなとも思っていることに内心苦笑せざるを得なかった。何処まで寂しがりなんだ。あと学生気分が中学生レベルだ、とも。

 星城学園に近い立地なら、千冬ちゃんやまだ見ぬ織斑弟に目をかけておくこともできるから。

 このあたりのゴリ押し、(カマド)婆ちゃん(母方の曾祖母)ソックリだ。

 

「テンちゃん!試験日はいつですかい!?」

 

「2月1日です。一般入試ですので」

 

「奨学金制度と支援枠も一般入試優先ですから同じ日付ですね」

 

 あれ?高等部と大学部の入試日一緒?

 

「私は推薦だからもう終わってるんだけどね!」

 

「じゃあ何で聞いた束ちゃん」

 

「さて問題です!私の受けた学校は何処でしょうか!」

 

「そういえば私も知りません。ご両親にも相談してなかったみたいなんですよね……」

 

 解るか!と叫びだしたいのをこらえて。

 親にも相談せずに入試とかどうやった!とも突っ込まずに。

 

 いや、簡単すぎないかこれ。

 そして同時に。

 また厄介ごとが舞い込んでくる予感がしてならない。

 某クラスメイトさんのイラストが脳裏をちらついたのは言うまでも無い。

 

「……星城」

 

「え?」

 

「うわ、あっさり正解したよ!そうでーす!星城学園高等部に所属するのだ!フハハハハ!」

 

「く、もうお守りはイヤなんだぞ!一夏だけで手一杯だ!」

 

「母さんコッチも予期して一人暮らしさせるとか言い出したのではなかろうか、いや無いな。無い、はず」

 

 無いと思う。無いだろう。無いと、いいなぁ……。

 

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 そういえば帰るのはいつくらいなの、と聞いたところ。

 え?明日ですよ。聞いてませんでしたか?

 なん、だと?とオサレに言わなかった僕を褒めてやりたい気分だった。

 そも束ちゃんは傍若無人でいつも今日とこれからのことしか話さないからなぁ。

 僕が詳しく聞かなかったのが悪いとも言う。

 ともあれ。

 僕の人生において面白いくらいに転げまわった一年にさよならをつげ。

 これからはじまる新しい人生に挨拶する日は終わりを告げたのだった。










話間の飛ぶストーリー今後の予定
・もう1騒動を星城合格後入学前に起こす。
・今までの繋がらなかった話の補足。
・オリキャラと原作登場人物の設定。
  ↓
★やっと原作開始。

もうちょっと待っててください。
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