どうしてこんな事になったんだっけ、と。
目の前で不機嫌そうにチゴゴゴゴゴなんて音を出しながら空になって氷水を吸っているだけの束ちゃんと、まるで人事のようにポテトを食べる千冬ちゃんと、たくさんのパンケーキを重ねる作業にいそしむヒカルノちゃんを見ながら思った。
そもそもが家に二人を呼んだことに起因するのに何が悲しくて女子三人にファストフードを奢らねばならないのか。
僕は通産8個めのギガバーガーに手を伸ばしながら思い出してみた。
まずは朝か。
結局昨日はグダグダのままに何故かヒカルノちゃんを泊める(ご本人曰く友人宅に遊びに行くとウソをついていたらしい)ことになり、家主なのに毛布を被ってリビングのソファで縮こまり夜が明けるのを待った。
何か不穏な気配を感じて!と6時ジャストにインターホン連打で来訪した束ちゃんを応対するのにいろいろな物を削り取られ、続いて彼女を追ってきた千冬ちゃんが登場。
この時点で背後には変態しかおらず、突破されれば僕がピンチだった。
突破されたけど。
しどろもどろに三人を挨拶させ、リビングに放置してキッチンでお茶を淹れるフリして時間稼ぎしていたら束ちゃんの悲鳴が。
束ちゃんの悲鳴、である。
何事かと様子を見に行ってみるとかなり離れたところにいる千冬ちゃん。
そして束ちゃんの腕を掴み自らの服の中、有体に言えば胸に押し込んでいるヒカルノちゃんの姿だった。
ヒカルノちゃん曰く「よろしくおねパイします!」とのこと。
わけがわからない。
少しは落ち着いて話が出来るようお茶を出して四人で昨日あった事を話す。
つまるところ変態が敷地内に不法侵入してあまつさえ泊めてしまったことだけど。
ここで僕の空腹が限界に近付いてしまい。
軽い朝食を済ませようとして、恐ろしいほどのいい笑顔で「ハンバーガーショップ行こうZE!」と言う束ちゃんに連れられて今に至る。
わけがわからない。
事情説明も何も、本当に、「夜中に窓を開けたら友人(女)と同年代くらいの露出狂に目をつけられて家に泊めて今に至る」だけなのだから困ったものだ。
ラッキースケベ?そんなものはない。
不穏な空気云々は方便と言うやつで、単純に遊びに来た束ちゃんと止めに来た千冬ちゃん。
一度あって二度あることは三度ある状態で厄介ごとに巻き込まれている僕。
変態ヒカルノちゃん。
微妙な空気のままファストフード店で駄弁っているだけなのだ。
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「テンちゃん、いろいろ濃い人生送りすぎ」
「厄介事代表が何か言ってますねえ……!」
一度目二度目が全部君関係だろうに、この子は。
変態に絡まれるのは割りとあるけどここまで変な事態になったのは初めてだから仕方ないだろう?
「いやぁ泊めて貰った上に朝ごはんまで出るとは至れり尽くせりだね!改めましておはよう!篝火ヒカルノでっす。おっすおっす!」
「おはよう篝火さん」
「ちーちゃん相手にしないほうがいいよ、変態だよ」
「残念だけどこの子も4月から星城生です。まあ?僕は?大学部だから関係ないですけどね?」
チゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
無表情に近いけれど明らかに嫌悪感丸出しの顔で氷水をすする束ちゃん。
「きっとどこぞの運命を操るカミサマが君たちを同じクラスにすることを祈っておきましょう」
「マジでやめてください」
「いくら安寿さんでも怒りますよ」
「会って数時間もたってないのに私の評価駄々下がりでワロタwww」
ボックス席に座って早々スカートをたくし上げる挑戦をし始めた子が何か言ってるぞ。
しかも着替えの中にブラとパンツないから今もノーパンだろうが!
恐ろしい子である。
「まあここであったのも何かの縁と言うやつだとは思いますけれどねぇ。仲良くするかは別として、よろしくしておく位は良いのでは?」
「ノーブラでハリのあるおっぱいの感触が未だに忘れられません」
「そのあと『穢された!穢されちゃったよ!』などとのたまい僕の腹を揉みしだいただろお前ぇ!」
「正直すまんかったと思ってる!ちーちゃんがさっとテンちゃんの後ろに隠れたときにちーちゃんのお腹も触ってるよ!」
「そういうこと言ってんじゃねえ!というかそれなら千冬ちゃんにも謝れこのおバカ!」
問題事が全部僕だけで対処されると思うなよ!?
押し付けてくれる!この、この!
という擦ったもんだがあったのだが、4月までには仲良くなっていたのである。
オンナノコって、わけがわからない。
なお、二人の活躍により露出狂の気がいくらか抑えられ。
プレイスーツを下着代わりに征服の下に着るくらいになるのは完全なる余談である。
どっとはらい。