転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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九重安寿の事情
バレンタインと今までの事


 生まれてからこれまでの人生を男に語る、といえば聞こえはいいが。

 結局のところ下心が見え見えの少年に聞かせるほどの話は無いのである。

 

「っと、ここまでが僕の話です」

 

「恋愛要素が欠片も見えないんですが、それは……」

 

「それは一夏くんが期待していただけですね」

 

 あとは君の知るとおりですし。

 僕が生まれてからの女性関係なんて結局良く話すクラスメイトと君の姉、姉の友人二人くらいに絞られますし。

 それこそちょっとだけあった、しかも酔っ払いで受けて童貞喪失して三日で解れた女子大生の話なんてしても栓の無いこって。

 なにより僕があまり憶えていないし。

 

「いや、それを聞かせてくださいよ!」

 

「残念ながらその事実があるくらいしか聞かせられないです。ぶっちゃけR18展開を赤裸々に説明するのが超面倒」

 

「唯一の要素が束さんと千冬姉とヒカ姉っていうのはどうなんですか」

 

「君の言葉は矛盾がいっぱいだなあ。唯一じゃないですね」

 

 そういう話は今日と言う夜にするものじゃないですし。

 でも言いましょうかね。

 

「で、です。君が僕に恋愛話を振ると言う面白いことをしでかした理由は他にあるんじゃないですか?」

 

 だろうなあ、と思っただけですが。

 

「バレンタインなんて関係する聖人が撲殺された日に日本がチョコレート業界の陰謀ぶち上げただけのイベントですよ?誕生日のほうがよっぽど貰いますしね」

 

 何せ11月11日だからね。

 関係する菓子をたくさんもらえた高校時代も悪くは無かったと豪語できる。

 いまでも貰うわけですが。

 

「でも俺、弾や数馬の他に男の知り合いなんて安寿さんくらいしか居ませんよ」

 

「君のチョコレートの数を聞いたほうが早いですかね」

 

「なんでそうなるんですか!?」

 

「あれ?そういう話でしょう?」

 

 そうなんだけど、あーもう!なんて叫ぶ一夏くんを横目にコークハイを呷る。

 どうせ今年も段ボール箱いっぱいに貰ってきているのでしょう?

 お兄さん知ってるんですからね。

 

 月日がたつのは早いもので、今や26歳の大人である僕。

 目の前に居るのは15歳の織斑一夏くんである。

 本当にいろいろあった。語りつくせないよ、と前置きしておいて良かった。

 女性関係に重点をおいてもこの始末である。

 酷い話しかしていない。

 一昨年に誘拐事件があって、大学卒業と同時に独逸へ旅立った織斑千冬ちゃんの留守を預かる一夏くんの元へ月イチで通う謎の男。

 それが今の僕だった。

 さらに言えば、僕自身が大学卒業後に町の図書館へ就職……するにあたって一年の浪人と公務員試験。24歳で図書館司書になり、25歳でIS学園の司書として配属されているのである。

 うん。疑問が多いけれど。

 たまに。たまーに連絡をくれる束ちゃんがいろいろした。らしい。

 いらんお世話だわ、母さんとの約束も破っちゃっただろ。どうしてくれるんだ。

 去年一年間は本当に忙しくてまさに忙殺。

 目録もろくすっぽ作られていないってどういうことだよ!?借りパク落書き当たり前、書類も不備と穴だらけ、辞書の卑猥な単語に蛍光ペンでラインが引かれ、機能を果たさぬ分類棚!さらに、さらに………………etc

 失礼、取り乱した。

 思い出話しに端折った部分で他にいえるとしたら、要人保護関係のアレがアレして束ちゃんを思い切りビンタした事位しか思い浮かばないな。

 

「慌てているところ悪いんですがね?僕、一応明日も出勤しなくちゃいけないんで早めに寝る事をオススメします」

 

「……はい」

 

「ああ、それと」

 

「はい?」

 

「僕の好きな女性のタイプは相も変わらず軍人タイプです。ただし年上趣味なんて贅沢は言わない事にしました」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

「でも正直君の義兄にはなりたくない」

 

 そんなAAのショボンみたいな顔されても。

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