転生司書だけどのんびり生きて行こうと思う。   作:欲望貯金箱

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オムレツの具

「クロエちゃん」

 

「はい。なんですか、安寿さま」

 

「さま付けはやめましょう」

 

 食卓には、綺麗に並んだ料理。

 一見オムライスのように見えるそれは、なんだろうか。

 いや待て。落ち着け。冷静になるんだ。クールになれ。

 まだ失敗したと決まったわけじゃない。

 

「冷めてしまいます。さ、どうぞ」

 

 時間稼ぎ失敗の模様だ。

 お帰りなさいから始まり近況を聞こうとした矢先に晩御飯の準備が出来ていると。

 うん、軽く絶望しかけたね。

 失敗続きだけど、多少うまくはなっているけど、オムライス以外は即席系だけど。

 卵料理は教えていないはずなんですよ。誰だ教えたの!束ちゃんですね!知ってる!

 ええい、ままよ!

 

「いただきます」

 

「はい」

 

 スプーンで綺麗に包まれたおそらくチキンライスにあたるであろう中心に近い部分を……部分を……部分、を……なんか厚くないですか?

 オムライスとはライス類を半熟卵で包んだもの、とされるのですが……これはいったい。

 下というか底というか、包みきれない部分が出たりするんですけれど。

 境目が見つからない。機械でやったんじゃないかというほどでオムライスというよりオムレツの具がライス。

 ん、機械?……ははーん束ちゃんですね?

 そんなことは無いでしょうけれど。束ちゃんいくらクロエちゃんに甘いとはいえそこまではしないでしょうし。

 

「うん、美味しいですよ」

 

「え!?本当ですか!?」

 

「その反応は何なんでしょうか」

 

「いえ、その。卵で包んでいる際にチキンライスの味見を忘れたことを思い出してしまって……」

 

 割と重要だった。

 おっちょこちょいで済ましませんよ。いくら鋼の胃袋とはいえ。

 これといって不味いとは言いませんけれど。

 うーん、普通に美味しい。

 

「ところで卵料理を教えた覚えが無いんですが」

 

「束さまが教えてくださいました。あとはお料理の本ですね」

 

「基本を見るためにゆで卵を作ってくださいと言ったときを思い出しました。なぜ丼にお湯と生卵を入れてレンジにぶち込もうとしたのか」

 

「わ、忘れてください!なんで覚えてるんですか!」

 

 だって結局レンジ爆破したじゃないですか。

 大丈夫な方法を知ってるんですって押し切られたけどたぶん大丈夫なの束ちゃんの研究室においてあるからだと思います。変な機能ついていても不思議ではないですから。

 きっと電話レンジもおいてあるはず、なんてね?

 実際おいてあったら恐怖以外の何ものでもありませんが。

 

「しかしあれですね。毎回どこか間違ったものが出てくる気がしていましたが」

 

「私を何だと思っているんですか」

 

「束ちゃんの一番弟子というすごく不安な称号を持った女の子です。製造年齢的には確か15歳超えてますけれど、肉体年齢も精神年齢もバラバラでしょうしね。女の子で固定ですね」

 

「束さまの一番弟子ではありません。束さまの娘です」

 

「そこは維持を張りますね」

 

 それを言うなら母のように呼びなさい。

 恥ずかしがって呼ばないんだからこの子はもう。

 

********************************************

 

 クロエちゃんはお風呂。

 その間にユウにメール。

 お料理教室に知り合いの子を通わせたいんですが、と。

 さすが早い。もう返ってきましたね。

 ああ大丈夫ですか。さすがに週2はムリ?マンツーマンで週1ですと?

 これは上達しますね。

 というか結構上達してましたしね、現在でも。

 サラダもちゃんと作ったみたいですし。こども包丁で。

 可愛いですよークロエちゃんがふりふりエプロンでヒヨコさん包丁握ってるの。

 エプロンは束ちゃん製で包丁は市販のもの。

 流石に今回は見られませんでしたけれども、見る機会があれば写メを束ちゃんに送る契約がなされていたりします。

 おっと腕前を聞かれていましたか。お菓子作りは人並みで普通の料理はちょっと不安っと。

 あれ、ハッスからもメールが来ている?

 ……あー、コレは不味い。まさかの言葉遊び、蘭子語というか黒猫語というか、厨二言語で書かれている内容。転生に関するあれこれだった。

 悪意ある何かが近づいてるぞって、なんだよ。

 主役級はいないんじゃないの?と思ってたんだけれど。

 それだけの実力をつけるものはいるってか。

 こっちこなければ良いでしょうけれどね。それはないか。

 

 去年の一件以来、戦闘員としても数えられている僕は。

 IS学園に来るであろう面倒ごとに頭を抱えたのだった。

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