校閲したら極端に縮んだんだ。
マガネさんの話です。
家庭内ヒエラルキー最高位は母だ。
大黒柱は父だが。
ヘタレでロリコンに間違われてマジ泣きして膝枕で爆睡したあげく母に床に落とされて涙目になる父。
ガタイが良くて力仕事が得意そうに見えるのに細やかな作業が大好きな父。
九重鉄。我が愛すべき父親だ。
そんな父の仕事は書籍修復士だ。
書籍修復士なんて、聞いたことないかもしれない。
かなり昔の故人がだした詩集を完全修理した、音楽家の譜本を修繕したなどのニュースを聞くことは日常生活の中であまりない。
しかし、まったく聞かないことはないだろう。
修復士の資格を得るには文化財保存学専攻の研究分野を持ち、4年制大学の卒業実績が必要である。
本を取り巻く環境・状態、その他豊富な知識を要し、修復を必要としないよう予防的保存を広めたり、場合によっては希少文献を保護・保全・修復および製本するプロフェッショナルである。
この世界がどのような世界であろうと需要があれば人は働ける。
ISの登場によって大きく変わろうが、技術が進歩しようが、人の手を必要とする場所は多いのだ。
それに現在なら、電子書籍化する際の注意点を教える立場にもなるらしい。
新聞の端っこに海外活躍する父の名を見つけるたびに、誇らしく思う。
曾祖母が送ってくれる地方紙の端っこに「謎のドラゴン今年も天野牧場に現る!」とか書かれる僕とは大違いである。
もはやイベントと化してるんだよね。
しかも親戚が近所の人に話すもんだから時々僕がわかる爺婆たちに拝まれたりするんだ。
制御の練習≒牧場の名物。
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いきなり何の話かと思うだろう。
僕の進路の話だ。
前世ではダラダラと生きて普通のサラリーマンとなり「残業?ありがとうございます!お金がたまるのが楽しいです!サービス残業ノーセンキュー!」などと話す男だった。給料で買うゲームとビールがお友達だった。あとサブカル。虚しい人生である。
自分の死因など特に覚えていないが、小さい頃の夢だけは鮮明に覚えていたりする。覚えていなくても良い黒歴史も。
本に関わる仕事がしたかった。
小説家。漫画家。本屋の店員でも良い。翻訳家でも良い。出版者でも、それこそ図書館の司書でも。
今生は父が書籍修復士に就いていたものだから、理解があると踏んで話したのは小3のとき。
俺が教えられることは全部教えてやるから、せめて一つに絞りなさいと苦笑されたものだ。
僕は司書になりたいと言った。ちょっとだけ、下心があった。
《神》が言った、世界の分化。それは想像上あるいは空想上もしくは妄想上の、マンガやアニメやライトノベル、ゲームにドラマのどの世界にもいける可能性があった。
司書であるなら、原作に関わることが可能なのだ。
たとえばリリカル世界は海鳴市の図書館司書を目指せばいいのだ。たぬ子や吸血子に会える。
勉強で図書館を利用する青春マンガの主人公に挨拶したり、不思議探しをする高校生に笑いかけるだけでいいのだ。
そんな僕の心中を知らず、懇切丁寧に教えてくれたのは次の通り。
・文部科学省令が定めた内容を大学や司書講習で学んで修了すれば、無試験で「司書の資格」を取得できる
・高校卒業後に「司書補の講習」を受けて資格を取得した司書補は3年以上の図書館実務経験を経て司書講習を受講、大学や短大を卒業しなくても司書になれる『司書補』という仕事がある
・公立図書館・公立学校の図書館で司書として勤務したいのであれば、公務員試験を受けて合格しなければならない
・特に学校では教員免許が必要な場合もある。
・大学によっては希望者に独自の「司書資格証明書」を発行してくれるところがあり、司書・司書補講習を受講して資格を取った人も講習を受けた大学に申請すれば「講習修了証明書」と「単位修得証明書」を発行してもらえる
他にも色々聞いたのだが、公務員試験に合格という言葉が僕を急き立てる要因になる。
前世の知識に胡坐を掻くことはできなくなったといって良い。
幸い、記憶力の強化が効いているのか今生での学習にフル活用できるうえ、並列思考を練習すれば将来の確実性を上げることが出来る。完全記憶ではないことが残念でならないが。
なお安奈さんの意見
勤めるなら女子校だけは辞めておきなさい。獣がすんでいるから。
下ネタ大好きだし、力関係は教師<生徒だし、更衣室は在ってない様な物だし、
イジメ恨みは少ないのに窃盗は多いし、電子辞書の履歴は卑猥だし、
必ず何かしらの偏差値が著しく低いし、教室がゴミのようだし、
男の先生は基本実験台だし。
女子校は野生動物の住むサバンナだから辞めておきなさい。
辞めておきなさい。