さんざ登場人物たちに言われてきた臆病節サクレツ。
グワヴァヴァバババババババ…………。
忘れていた。
違うな。どこかでまだ、この世界がライトノベルだと勘違いしていた、だ。
昨日の時点で夕食には妹さんがいたし。
神社の境内には篠ノ之流剣術道場がある。
この道場に、主人公だと認識している少年は通っているのだ。
母の実家からガイメタル送ってもらいたい。お守りとして。
自分が嫌になる。
下心もあった。
実際のところ遠めに見てもどんぶらこされていたのが
浮かれていたのかもしれない。
とどのつまり。
昨日までの自分をぶん殴ってやりたくて井戸水を頭からかぶっているのだった。
「私服のようだけれど風邪を引くよ?」
「おはようございます柳韻さん。ですが、大丈夫です」
そのうち乾くだろう。
昨日の曇り空が嘘のように晴れ渡っている。
ポンプ式の井戸とか始めて見た。あぁ、だめだ。また浮かれてる。
「何か悩み事でもあるのかな?」
「え、いえ……特には」
「ハハハ。そうは見えないな」
「自分の問題ですので」
こればっかりはどうしようもない。
自分は前世の記憶があって貴方達は物語の住人だったんですよとでも言えるだろうか。
厨二街道まっしぐらである。よくて不審者、悪くてキッチ。
「君くらいの年頃は私も多く悩んでいた」
「自分のこと、他人のこと。進路、人生について考えることもあった」
「……」
「でも誰かに話したり、ノートに書いたりするだけで穏やかな気持ちになった」
「ケンカ腰で八つ当たり気味に話そうが、友は良く聴いてくれたものだよ」
「それだけで誰かのことを素直に受け入れられるようになるものだ」
「君の言うことを聞く束のようにね?」
「え?言うこと聞いてますか?」
正直何処がと言いたい。
「束はね?挨拶がうまくできない」
「おはようも、こんにちはも、おやすみも、いただきますも、ごちそうさまも、ありがとうも」
「あの子には難しいんだ。自分が認めた人間にしか、それらを返す事ができない」
「私たちでさえ、育ててくれた、血のつながりのある
「それが昨日はどうだい?送ってくれた君たちにありがとうといった」
「私たちにごめんなさいといった」
「いただきますといって、ご飯を食べて、ごちそうさまといって」
「それは……」
僕じゃないと叫びたかった。
母の力であって、僕じゃないと。
「あんなに嬉しそうな顔の束をみたのはずいぶん久しぶりだ」
「ありがとう、九重安寿くん」
「……っ!いえ、自分は、その」
「ハハ、私の愚痴のようになってしまったね」
すまないね、と言って。
朝ごはん前の修練があるからと。
去ってしまった。
僕は何をしてるんだろうか。
分からないけれど。
鼓動がすごく早かった。
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「へいへいへーい!アンニュイなノエが嫌いな如月デッス!」
「へいへい!へーい!修学旅行テンションの輝人でぇす!」
「へい!へい!我こそは天才IS開発美少女博士、束さんです!」
部屋に戻ったら四つんばいの男二人の上で少女がガイナ立ち。
暗い気分も裸足で逃げ出す異様な光景だった。
ユウは昨日仲悪かったじゃないか。何がどうしてこうなった。
「ああ、すまん。その、な?」
「関係なさそうなネイダーが一番気まずそうなのは何故ですか」
「誰よりも早く起きて着替え済ませて、庭眺めながら溜息ついて外に出ただろ?そのあとゾロゾロ起き出してな。俺がそのこと話したら作戦会議はじまりやがって」
「ハブられた感想をどうぞ」
「俺がこの中じゃ身長高くてどうしようもないから入らなかっただけでハブられてはいねえ」
「で、この状態ですか」
「無視されてっけどどうしよっか?」
「カサコソ動いて視界内に侵入だビッシー」
「ぱんつぁーふぉー!」
「うるさいですねぇ!こっちが悩んでるときにお前らはァ!どういうことだゴルァ!」
束ちゃんネコ掴みして男にはヤクザキックじゃ!
おら!おらぁ!
「あべし!」
「ひでぶ!」
「これは束さん『たわば!』って叫ぶべき?」
ホントにどうしてこうなった!
昨日のユウじゃないけれど、帰らせてくれぇ!
最終的には朝ごはんまでご馳走になって惜しまれつつも帰ることになる。
もうしばらく遠出は良い。正直おなか一杯です。
なんか箒ちゃん居なくね?と思ったことでしょう。
居たんだけど、束ちゃんの変わりように唖然としていたんだ。
ち、違う!俺出番増やそうとしたけど束ちゃん持って行っちゃったんだ!
動かしやすくていいわー……