ペルソナ5 if ストーリー:マコトを改心させてみた   作:シロダ

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6月13日

モルガナの話①

 

ワガハイたちは、実にマズイ状況にあった。

放課後、生徒会室に呼び出され、あのニージマに詰問されていた。どうやらニージマは、ワガハイたちの正体にすでに気づいていたようなのだ。ご丁寧にも、ワガハイたちを盗聴して、リュージとアン殿が怪盗のことを話している録音音声を証拠として見せびらかしてきやがった。しかもそれを、証拠として警察に提出するときやがった。

「で、どうするの?君が白状してくれたら、ここだけの話にしてもいいけど」

この生徒会長め、相当頭がキレる上に、ワガハイたちを目の敵にしているようだ。

そんな時、蓮のスマホが鳴った。竜司からのようだ。

「おー、今どこ?便所か?いつもんとこで、怪盗団の会議な!」

あのバカ。

「ちょうどよかった。お仲間のところへ案内してくれる?」

こうなった以上、しかたないか…

 

ニージマと一緒に、ワガハイと蓮は渋谷の連絡通路に到着した。

「ちょっと、どういうつもり?」

アン殿が早速咎めてくる。違うんだ、アン殿。これには深いわけがあってだな…

「坂本竜司くんに、高巻杏さん、それに班目の門下生だった喜多川君」

一人ずつ眺めるように視線をそれぞれに注ぎながら名指ししていき、ポケットの中からスマホを取り出した。

「コレのことで訊きたいことがあってね」

ニージマは、さっきワガハイと蓮に聞かせて見せた録音音声を大音量で流し、スマホをひらひらとさせた。リュージは口をあんぐり開けてアホ面を見せ、アン殿は両手で口を塞ぎ、ユースケは腕を組んでニージマを睨みつけていた。

場を支配してご満悦な生徒会長様は、

「偶然にしては出来過ぎなほどタイミングよく集まった被害者たち。疑わない方法を教えて欲しいわね」

まるで凄腕の検事のように滑らかに語り、挑戦的に皮肉たっぷりの笑みをワガハイ達に向けてきた。

口を開いたのはユースケだった。

「わざわざ報告しに来たのか?」

俯いた表情から鋭い視線をニージマに向けて、挑発し返した。

そして、体を震わせて怒りに耐えられないといった様子のアン殿は、

「どうせ、言われて来たんでしょ?学園から犯罪者出すわけにいかないもんね?」

いつもとは全く違う尖った声色と凄い剣幕で、ユースケ以上にニージマに強く問い返した。そして、自殺とかセクハラは見逃すくせに、大人のいいなりに使われているだけのかわいそうな人、と嫌味たっぷりに付け加えた。

ユースケとアン殿にこれだけ言い返されたんだ。ニージマも黙っているわけはないはずだ。ただ、ワガハイには、ニージマの様子が少し変に感ぜられたのだ。

「そんなことは、わかってる…」

ニージマは少し俯いたが、すぐさま鋭い目つきをよこし、

「だからこそ、あなたたちの正義を確かめさせて」

アン殿は虚を衝かれたようだったが、すぐに尖った視線をやり返した。

ニージマは続けた。

「正義を証明してくれれば、これは捨てるわ。明日の放課後、屋上で会いましょう。詳しいことはそこで話すわ。もちろん、引き受けてくれるって前提でね」

 

ワガハイ達はファミレスに場所を移し、作戦会議を開いた。

「うかつなんだよ。自覚がなさすぎるんじゃないのか?」

ユースケが早速切り出した。が、リュージも負けじと、

「なんで俺だけなんだよ!杏だって、録音されてただろうが!」

リュージが唾を飛ばしながら反論したが、それに続いて、

「ごめんなさい…」

アン殿が非常に申し訳なさそうな顔で、謝罪した。

まあ、過ぎてしまったことはしょうがない。それはここのみんなが一致していることかと思う。ユースケもやり場のない怒りをぶつけてしまっているだけだし、リュージだってそうだろう。

リュージは一度俯いてから、顔を上げて、みんなに問いかけた。

「オイ、どうするよ?」

証拠があんだよな…と呟き、策が思い浮かばない様子で、また俯いた。

しかし、たかが録音音声である。もはや怪盗団はそれなりに知名度のある存在で、流行りに敏感な学生が便乗して真似るくらい、わけもないことなのだ。証拠としては不十分すぎるし、怪盗団の手口がバレるなど、万が一にもありえないだろう。警察に提出したとて、怪盗ごっこの学生だと失笑されて終わりだろう。

ただしそれは、ここのメンツはいわくつきであることを考えなければの話だ。保護観察中の蓮はもってのほかだ。リュージだって表面上は過去に暴力事件を起こし、常に目をつけられている。アン殿も、学校では浮いた存在だから無傷ではすまないだろうし、ユースケはついこの間までマダラメの門下生だったのだ。運が悪ければ、全員退学処分、蓮にいたってはもっと最悪のケースも想定できてしまう。

ニージマはおそらくここまで読んでやっているのだろう。証拠不十分であるのは承知の上で、受け入れる他ないワガハイ達を強請っているのだ。

しかしそれにしても、ニージマの様子がおかしかったのが気になる。それになぜ、ワガハイ達を怪盗団であると看破した上で、強引な取引にもちこんだのだろう。まるで、怪盗団のことを…

「お前はどう思うよ?」

リュージが突然こちらに向かって問いかけてきたので、少しビクッとしてしまい、思考が中断された。しかしよく見ると、リュージは蓮に向かって訊いている様子だった。

「とにかく、ここは素直に従うしかないと思う」

その瞬間、眼前がフラッシュを焚かれたように真っ白に広がった。え、どうして蓮が今の発言を?ワガハイがまとめ役として、発言しようと思っていたのに。

そして更なる次の瞬間、ハタと閃いた。パレス、シャドウ、ペルソナ、とワガハイがこいつらに教えてやった異世界での概念。怪盗団の手口は、ワガハイが教えてやった方方法で、シャドウの主のお宝を頂戴すること。そして、怪盗団、ニージマ、下劣な大人たち、彼らによる複雑な人間関係と争い。ん?「彼らによる」?なぜ今ワガハイはニンゲンたちを客観視している?

いや、そんなことより、今閃いたアイデアだ。これまで以上にタイトなスケジュールになることは間違いないだろう。ワガハイは、閉口してダンマリを決め込む怪盗団に、こう言ってやった。

「蓮の言うとおりだ。今は、素直にニージマに従うしかないだろう。なに、心配はしないでいいさ。ワガハイに策がある。ただ、今ここで説明するのはかえって時間がかかりそうだ。一旦解散して、明日どうするか、今日の夜にまたメッセージでやりとりしよう」

 

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