大惨事聖杯戦争 with リリス   作:箱イベ・10周年備えなし

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今日中には来ないと思っただろう3話目
ヘラクレス・イーコールって何と思ったらイコルの血かぁ納得
皆様の冠位周回ライフにどうにかノイズを入れてやりたい更新
ここにきてエイリークとアステリオスが注目されてたのすごいよね


8話

 

 

 

 アンリマユに元の人格はない。あるのは誰かを被る時の殻のみである。記憶は度重なる過酷な日々で薄れていき、名前は呪術的に消し去られた虚無。神霊とは名ばかりの人生を願いに応えることにのみ費やした人であるがその末路は散々なもの。

 

 

 中身のないアンリマユが外界で話すには、中身がないといけない。それは普通なら己のマスターであるのだが、今回に限ってそのマスターすらも白痴の虚無であった。

 

 

 道具に意思なんてものは要らない。それを体現するように魔力だけ供給するホムンクルス。アンリマユには致命的に相性の悪いことで、彼は被る殻すらなくモヤとして出現した。

 

 

 

 冬木について、情報を集めても。それを上手く使えるのかわからない中身のない二人。その有様はまさに瓜二つだった。聖杯戦争の勝者となることを求められる人形とこの世全ての悪になることを強いられた英霊紛い。

 

 一組は小聖杯を霊地である柳洞寺の大空洞に閉まった後、四日目となる夜へと歩き出した。

 

 

 

 

 

「んん?」

 

 

「テーブル、ジロジロ眺めて何してんのマスター。ゲームで負けておかしくなった?」

 

 

「違うわい、どうにも霊基盤の反応が悪いんだ……騎兵(ライダー)の反応が出ない。なんなんだコレ……?」

 

 

 

 いや、さっきから負けまくったけど。素人に負けまくったけど。勝率三割は凹むけど。

 

 それとは別に気になることがあるのだ。それはさっきから眺めているこの霊基盤……大型のギャンブルテーブルである。

 

 

 知り合いに外注したこの霊基盤は結構な高性能で、大きなものから小さな霊圧まで選んで確認できる便利品だ。この盤を地脈と繋がることで一定範囲の霊体存在を場所まで把握できるという優れもの。探索範囲は地脈と繋がれば繋がるほど広がるのだ。しかも視覚化を地図上にするか駒として立体化させるか選べる機能付き。

 

 

 

「わかんねぇ……剣士、弓兵、槍兵、なんかブレる術者、見えないけどいるのはわかる暗殺者に、狂戦士」

 

 試しに駒として立体化させれば、ずぃっと動き出す模造兵達。サーヴァントの場所がわかるなんてインチキに思うかもしれないが、英霊なんて強力な相手と戦う時は情報を持たない初見でやり合うのは論外になるためそこまで役に立たない。

 

 

 それでも、霊体を感知できるこの遊戯盤は人によっては垂涎ものだろうなと思う。

 

 

「おー動いてる。これ、アグドのじゃないんだよね?」

「そうだよ。今はいない友達がね作ってくれたんだよ、他にも紅玉の書なんて代物を作ったんだぜ? いいよな、意思持つ魔術具。浪漫がある」

 

 

 長く生きると話し相手が欲しくなるからな。話し相手が一人もおらず、会話をする機会がなくなったら一気に老いる気がするし。俺が魔術師として根源目指してるのは、俺にトラウマ植え付けたやつにいつかざまあみろと言ってやるためとはいえ長く続く趣味も大事だ。

 

 

 そういう意味ではとてもいい。意思持つ道具(インテリジェンスアイテム)。昔見た数々の道具に思いを馳せると部屋の中からお酒の匂いがするのに気付いた。

 

 ちらっと見るとバー風スペースの棚を漁るリリスがいる。今手にしている赤いお酒はザクロのヤツかな? 女性でも呑みやすいすっきりとした甘さがクセになる味をしている。気持ちよさそうに呑むなぁ。

 

 というか、大胆に物色してくれるじゃん。さてはこいつけっこう酒飲んでるな? 

 

「いーじゃん! 子供がいる時なんてお酒飲めないんだしぃ」

 

 そう言って、笑うリリスを見ているとなんだかこちらも嬉しくなった。酒を呑んで呑まれる霊体(からだ)でもあるまいに。自然と笑うことが増えた彼女に安心する。

 

 

 俺も一杯だけどもらおう。お酒は誰かと飲んでこそだからな。どうせならお酌をしてもらおう。とっておきのグラスを取り出す。下から光を当てると明かりが拡散して天井に星空を作り出す代物だ。今回はそんなことしないが。呑んでいたお酒をグラス半分入れてもらう。

 

 乾杯。カランと響くガラスの音。舌を楽しませる脳を()く液体は程よく思考回路に刺激を与えた。

 

 

 

 で、えぇっと……何考えてたんだっけ? そっかライダー、騎兵(ライダー)についてだ。ライダーのクラス。当てはまる存在と言ったら戦車乗りの特攻屋から策士・国主が当て嵌まる油断ならないクラスである。宝具も他より多いらしいし、早めに潰しておきたいなぁ。……この段階で全く姿を見せないということはぶつかり合いに自信の無い裏方タイプだし。真名のわからないキャスター共々、一当てくらいはしておきたい。

 

 

 あと……人形狩りもしておかなきゃ。大胆過ぎる他所のマスター。これ以上好き勝手やられると聖堂教会だってパンクしかねない。空飛ぶドラゴンとか出てきたし、『暗示が万能』とか思ってる頭の足りないヤツ潰しておかなきゃ。

 

 

 はぁヤダヤダ。こういう時、御三家……特に臓硯がなんとかしてくれりゃあいいのに。遠坂はいいよ、アーチャーが偶に蹴散らしてたから。以前、戦ったアーチャーが遠坂邸の方に逃げるのを見たし、こうして霊基盤も遠坂の位置に弓兵が鎮座しているし遠坂はアーチャー確定だ。アインツベルンは姿を見せない。何やってるんだろうか。

 

 

 

 間桐臓硯は、俺よりも古くから冬木に根差す生粋の怪物だ。その真髄は令呪を設計したり英霊召喚を可能にした降霊術だけではなく、自在に操る虫魔術とそれを可能にする支配の特性だと思っている。あれで、生中の魔術師より頭が切れる。この前地域の集まりで見た時に確信した。俺は臓硯に嗜好品の煙草をあげたし、臓硯はそのお返しに珍しい鳥をくれた。魔術的な要素はお互いに一切ない近所の交流である。

 

 

 間桐臓硯のヤバいところ。それは今尚現在進行形で日本軍と介入してきた外国軍に牽制をしているところである。なんなら時計塔からの介入者も合わせて一切勝手な真似をさせる隙を与えていない。情報遮断能力が段違いであり、外敵排除能力がずば抜けている。そんなにすごいなら内側もと思ったが、聖堂教会を見て押し付けるつもりかな。面倒ごとを誰かが代わりに引き受けてくれるなら万々歳である。

 

 

 でも、聖堂教会に潰れてもらったら困るんだ。俺、結構な額寄付してるお得意様だし、気に入らない時計塔にダメージ与えて貰わねばならない。友達付き合い的に所属は彷徨海なんだよね、今度会いに行けるのはいつになるだろ。

 

 

 

 

 なんか、酒でいつもより頭が回るな。取り敢えずやることは今日もリリスを外に出すことである。リリスが呑んだくれて外に行きたくなーいアピールしてくるが知ったことではない。あと、俺もついていく。その方が隠蔽完璧だし。

 

 

 軍隊狩りにー、ライダーの発見。穴蔵に籠ってる奴らを突っついて脅かしてやるのもそうだし……どうせならバーサーカーの精気吸収もやってやるか。一般人の男達から死なない程度の魔力吸収するつもりでやるか。生命力抜いてちょっと疲れが溜まってるなくらいの荒らしをやろう。大丈夫、勘のいい人たちなら意図を察してこの街から逃げてくれるさ。勘の悪い人はこの街(せんじょう)で寝起きする日々を続けてくれ

 

 

 

 やる気出てきたぞー。リリス、今日の夜が楽しみだなぁ! おら呑め呑め。俺の酒が呑めんのかぁ!? 

 

 

 

 

 

 

 

「蟲で見た情報は確認したか?」

 

「ふむ、見事な隠蔽ですが、一瞬確かに見えました」

 

「カカカ、見えたか。裁定者(ルーラー)……いや、魔術師(キャスター)よ」

 

「はい。バーサーカー、リリスですか…………これは神が俺に与えた試練なのかもな」

 

 





キャスター(マスター:臓硯)

《スキル》
啓司 A
カリスマ C−
洗礼詠唱 B+

《クラススキル》
対魔力 A
真名看破 B
神明裁決 C−
陣地作成 B+
道具作成 C

《ステータス》
筋力 C
耐久 C+
敏捷 A
魔力 A
幸運 B −
宝具 D
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