ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

10 / 27
第9話です。


第9話ー材木座の小説やらバスケの練習やら小町との絡みやら〜

 

総武高校・体育館・バスケコート。

 

コートに立つと、麦野さんがボール持って構える。私、ディフェンスの姿勢。綾音の動き、思い出してみる。低重心で、相手の動きをガン見。綾音、いつも「目で殺す」みたいにプレッシャーかけてたっけ。

 

【行くぞ、比企谷!】

 

麦野さん、ドリブル開始。速い! でも、綾音のスピードならもっと鋭いはず。左にフェイントかけて、右に抜く。麦野さんの動き、読める! ステップでブロック。ボール、かろうじてカット。

 

【うわ、比企谷、うまいじゃん!】

 

【綾音の真似、しただけだよ】

 

【マジか! じゃ、もう一回!】

 

麦野さん、めっちゃ楽しそう。今度は本気でドライブ。右から突っ込んでくるけど、綾音のディフェンスならこう! 体を寄せて、腕を上げてパスコースを塞ぐ。

 

麦野さん、シュートに行くけど、ブロック! ボールがコート外へ。

 

【うっそ、比企谷、めっちゃ動ける!】

 

【だから、綾音の真似だって!】

 

汗かいて、息切れしてきたけど、なんか楽しい。麦野さんも笑ってる。こんな気分、いつぶりだろ。中学の時、綾音や七海とバスケしてた頃以来? あの時は、目立つのが嫌で、わざと手を抜いてたけど……今は、なんか違う。

 

【比企谷、雪柳のシュートも真似してみてよ】

 

【シュート? 綾音、3ポイント得意だったよね】

 

【そう! あいつのロングシュート、クソやばいんだ】

 

綾音の3ポイント、フォーム綺麗だったな。肘を上げて、軽くジャンプ。ボールが弧を描いてリングに吸い込まれる。あの感覚、ちょっとだけ覚えてる。ボール持って、ラインの外に立つ。深呼吸して、イメージ。シュート。ボール、リングに当たって……入った!

 

【うそ、比企谷、3ポイント決めた!?】

 

【偶然だよ! 綾音ならもっと安定して入れるけど】

 

【いや、十分すごいって!】

 

麦野さん、めっちゃ興奮してる。なんか、照れるな。私、目立つこと嫌いなのに、こうやって褒められるの、嫌いじゃないかも。

 

総武高校・体育館・バスケコート。

 

練習後1時間くらい練習して、2人とも汗だく。体育館の床に座り込んで、水筒で水飲む。麦野さん、髪をタオルで拭きながら、ニヤッと笑う。

 

【比企谷、マジで運動神経いいな。なんでバスケ部入らないの?】

 

【やだよ、目立つじゃん。中学で散々言われたからさ、目立つ女はダメって】

 

【またそれ? そんなこと言うやつ、ほっとけよ。比企谷、今日めっちゃ楽しそうだったじゃん】

 

【……そうかな】

 

確かに、楽しかった。綾音の真似して、麦野さんと1対1して、笑い合って。奉仕部で雪ノ下さんや由比ヶ浜さんとバチバチやるのも嫌いじゃないけど、こうやって体動かすのも、なんかいいな。

 

【麦野さん、なんでそんなに綾音に勝ちたいの?】

 

【ん? 雪柳、県内じゃ有名だろ。バスケ部のエース、スピードもシュートもやばい。あいつに勝てたら、レギュラー確定だよ】

 

【ふーん、ライバルって感じ?】

 

【まぁな。比企谷も、雪ノ下と何か勝負してるって言ってたじゃん。似たようなもんだろ?】

 

【似てる……かな】

 

雪ノ下さんとの勝負、奉仕部で「本物」を探すってやつ。麦野さんのレギュラーへの執念、なんかそれに近い気がする。私、負けたくないって思ってるんだよね、雪ノ下さんに。

 

【比企谷、日曜の練習試合、応援に来てよ。雪柳、絶対倒すから】

 

【応援? 私、目立つとこ行くの苦手なんだけど……】

 

【いいから! 比企谷がいたら、なんか勝てそうな気がするんだよ】

 

麦野さん、笑いながら私の肩叩く。痛いって! でも、なんか悪い気しない。綾音に会うの、ちょっと楽しみかも。

 

【わかったよ。行くだけ行く】

 

【よっしゃ! 絶対勝つからな!】

 

麦野さん、ガッツポーズ。なんか、陽キャの熱量に巻き込まれてる気がする。

 

私、こんなの苦手だったはずなのに……奉仕部で変わってるのかな。

 

 

総武高校・帰り道。

 

体育館出て、麦野さんと一緒に校門まで歩く。夕焼けがオレンジで、ちょっと眩しい。麦野さん、練習着のまま自転車押して、なんか楽しそう。

 

【比企谷、今日マジで助かった。雪柳の真似、めっちゃ参考になったよ】

 

【いや、適当にやっただけだから……】

 

【謙遜すんなよ。比企谷、バスケ部入ったら絶対レギュラーだろ】

 

【やめてよ、目立つじゃん】

 

【またそれ? いいじゃん、目立っても。比企谷、なんかカッコいいよ】

 

カッコいい、って。麦野さん、さらっと言うなよ、照れるじゃん。中学の時、目立つと嫌われるって思ってた。いじめられたのも、好きな男子と話してたのがきっかけだったっけ。でも、麦野さんや綾音、奉仕部の雪ノ下さんや由比ヶ浜さん見てると、目立つことって、悪いことばかりじゃないのかも。

 

【麦野さん、練習試合、頑張ってね。綾音、強いけどさ】

 

【ふっ、負ける気しないよ。比企谷、応援よろしくな!】

 

麦野さん、自転車に乗って手を振る。なんか、友達ってこういう感じ? 奉仕部も、雪ノ下さんや由比ヶ浜さんとの距離、縮まってる気がするけど、麦野さんとの時間も、なんか特別だ。

 

家に帰ったら、材木座の原稿読まなきゃ。あと、MISAKIの噂、上条美紗希のこと、気になるな。奉仕部で何か動きそうだけど……まぁ、私なりのスピードで、やってくよ。

 

 

比企谷家・夜・リビング。

 

家に帰ると、玄関で靴を脱ぐ音がやけに響く。疲れたな……。体育館で麦野さんとバスケしたの、久しぶりに体動かしたからか、なんか全身が重い。リビングに入ると、小町がソファでスマホいじってる。カマクラが膝の上で丸まってて、平和な比企谷家って感じ。

 

【お姉ちゃん、今日、なんか遅かったね!】

 

小町、目をキラキラさせてこっちを見る。うわ、その目、なんか企んでるでしょ。

 

【うん、クラスメイトとバスケの練習してたから」

 

【バスケ!? お姉ちゃんが!? え、男子!?】

 

小町、ソファから飛び上がる勢いで身を乗り出す。カマクラ、迷惑そうに「ニャー」って鳴いて逃げる。

 

男子って……小町、なんでそこ行くの?

 

【女子だよ。麦野さん、2年F組の】

 

【ふーん、女子かぁ……】

 

小町、ちょっとガッカリした顔。なに? 私の青春にロマンス期待してた? 悪いけど、比企谷八幡、恋愛とか興味ないんだから。まあ、前世の自分はグラビア雑誌とか見てたけど……今関係ないよね!

 

【お姉ちゃんがバスケするなんて、珍しい! めっちゃ青春じゃん!】

 

【頼まれたからやっただけだよ。青春とか、そういうのじゃないって】

 

【ふふっ、お姉ちゃんらしいね。でも、楽しかったんでしょ?】

 

小町、ニヤニヤしながらクッション抱きしめる。うっ、楽しかったのバレた? 麦野さんと1対1して、綾音の真似してシュート決めたの、確かに悪くなかった。目立つこと嫌いなのに、なんかちょっとだけ……気持ちよかったかも。

 

【まぁ、悪くなかった、かな】

 

【ほら! 小町ポイント、高い!】

 

小町、ドヤ顔で親指立てる。はいはい、小町ポイントね。比企谷家の時間、こんな感じで進んでいく。いつも通り、でも、なんかちょっと違う。奉仕部に入ってから、毎日が少しずつ変わってる気がするよ。

 

 

比企谷家・夜・お風呂場

 

お風呂場で、湯船に浸かる。あったかいお湯が、今日の疲れをじんわり溶かしてくれる。体育館の汗と、麦野さんの熱量、材木座君の中二病、MISAKIの噂……今日1日、濃かったな。

 

湯船で目を閉じると、いろんなことが頭に浮かぶ。材木座君の原稿、どんなんだろ。ライトノベルって、絶対中二病全開のファンタジーだよね。

 

雪ノ下さんが読んだら「稚拙」とか一刀両断しそう。由比ヶ浜さんは「キャラが可愛い!」とか言いそうだけど。

 

で、MISAKIの噂。上条美紗希がグラビアアイドルって、マジ? あの真面目そうなクラス委員長が? でも、変装っぽい雰囲気、確かに怪しいんだよね。奉仕部で何か動きそう……。

 

で、麦野さんとのバスケ。あの熱い目、綾音に勝ちたいって気持ち。私も雪ノ下さんとの勝負、負けたくないって思ってる。なんか、似てるのかな。綾音のプレー、真似してたら体が勝手に動いてたっけ。3ポイント決めた時の麦野さんの笑顔、なんか眩しかったな。

 

【お姉ちゃん、歯磨きするねー!】

 

小町の声でハッとする。洗面所のドアが開いて、小町が歯ブラシ持って入ってくる。パジャマ姿で、髪をポニーテールにまとめてる。カマクラの毛がついてるけど、気にしないタイプだよね。

 

【うん、ゆっくり磨いてよ】

 

小町、鏡の前で歯磨き始めながら、チラッとこっちを見る。なんか、変な視線。湯船から出ようと立ち上がると、パジャマの下にチラッと見えた下着に小町の目が。

 

【お姉ちゃん、ちょっと! その下着、もうちょっと色気のあるの履いた方がいいんじゃない?】

 

【は!?】

 

小町、歯ブラシくわえたままニヤニヤ。色気!? 何!? 私の下着、普通の白いのだよ! 地味だけど、動きやすくて、別にいいじゃん!

 

【色気って何!? 小町、変なこと言わないでよ!】

 

【だってさ、ほら、お姉ちゃん、バスケとかして青春してるんだから! ピンクとか、フリルついた可愛いやつとか、似合うと思うよ!】

 

【ピンク!? フリル!? 私がそんなの履くわけないでしょ!】

 

小町、歯磨きしながら「ふふっ」と笑ってる。ムカつく! でも、ちょっとだけ想像しちゃった。ピンクの下着、着たらどんな感じかな……って、ないない! 比企谷八幡、色気とか必要ないんだから! 目立つもの着たら、中学の時みたいにまた何か言われるかもしれないし……。

 

【小町だって、子供っぽいパンダ柄とか履いてるくせに!】

 

【う! それは小町のキャラに合ってるからいいの! お姉ちゃんはもっと大人っぽくてもいいじゃん!】

 

【大人っぽくって……別に、誰も見てないし】

 

【ふーん、誰も見てない、かぁ。じゃあ、麦野さんとか、バスケの試合でカッコいいお姉ちゃん見て、惚れちゃうかもよ?】

 

【惚れる!? 麦野さんは女だよ! 変な妄想しないで!】

 

小町、歯磨き終えて、ペッて洗面台に吐き出して笑ってる。もう、こいつのペースに巻き込まれてるよ……。でも、小町とのこういうバカバカしいやり取り、嫌いじゃない。湯船から上がって、タオルで体拭きながら、ちょっと笑っちゃう。

 

 

比企谷家・夜・八幡の部屋。

 

お風呂上がって、部屋に戻る。パジャマの袖、ちょっと濡れてるけど、まぁいいや。机の上の携帯がピカッと光って、メール着信。誰だ、こんな時間に? 送り主、雪柳綾音。え、綾音!?

 

『やはた、元気? 日曜、海浜総合で総武とバスケの練習試合あるから、見に来てよ! めっちゃ盛り上がるよ!』

 

綾音らしい、明るい文面。絵文字がハートとバスケットボール。陽キャ全開だな。でも、麦野さんからも応援頼まれてるし、綾音からも来てって言われたら……もう断れないじゃん。腹括るしかないよね。

 

【日曜、忙しくなるな……】

 

麦野さんと綾音、どっちも本気で勝ちたいって顔してた。なんか、雪ノ下さんとの勝負みたい。私も、奉仕部で負けたくないって思ってる。応援行くだけなのに、なんか巻き込まれそうな予感。

 

髪の毛、ドライヤーで乾かす。ゴーって音、なんか落ち着く。髪乾かしながら、材木座君の原稿が机の上でこっち見てる。分厚い原稿用紙、めっちゃ気合い入ってるな。タイトル、『剣豪将軍の転生無双』。うわ、予想通りの中二病。

 

読むの、ちょっと怖いよ。

 

【まぁ、ちょっとだけ……】

 

パラパラめくると、主人公が「八幡大菩薩の加護を受けて魔王を倒す」って設定。え、私!? いや、八幡って名前だけだよね!? でも、なんか中学の時のこと思い出して、胸がチクッとする。あの時、材木座君、偽告白の件でボロボロだったけど、私が助けたから、こんな設定にしたのかな。

 

なんか、照れるな。でも、読み進めるうちに、目がショボショボ。疲れてるんだよ、今日。バスケで体動かしたし、奉仕部で材木座君のテンションに振り回されたし。ページ閉じて、ベッドに倒れ込む。

 

【明日、朝早く起きて読むか……】

 

電気消して、目を閉じる。MISAKIの噂、材木座の原稿、麦野と綾音の練習試合。なんか、総武高校に来てから、毎日が騒がしい。奉仕部で変わってる私、どこに向かってるんだろ。まぁ、私なりのスピードで、進むしかないよね。

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。