比企谷家・朝・八幡の部屋。
朝、目覚ましより早く目が覚める。5時半。うわ、早すぎ。材木座君の原稿、気になってたんだな。カーテンの隙間から朝日が差し込んで、部屋がオレンジ色。なんか、気分いいかも。原稿手に取って、読み始める。主人公、足利義輝(仮名)が、八幡大菩薩(仮名)の加護で戦う話。設定はバカバカしいけど、なんか熱い。材木座君、友達いないって言ってたけど、この物語、めっちゃ気合い入ってる。中学の時、小説破られたのに、こうやって書き続けてるの、ちょっとカッコいいかも。でも、誤字多いな。「剣豪」が「剣豪豪」になってたり。
雪ノ下さんに見せたら、赤ペンで真っ赤になりそう。由比ヶ浜さんは「熱いね!」で終わりそうだけど。
朝ごはんの時間まで読み進めて、ノートに感想メモ。奉仕部でどう話すか、考えなきゃ。MISAKIの噂も気になるし、日曜の練習試合も。綾音と麦野、どっち応援するかなんて、決められないよ。まぁ、行ったら何か見つかるよね。比企谷八幡、いつも通り、巻き込まれながら進むだけ。
総武高校・午前中・2年F組
朝、早く起きて材木座君の原稿読んだせいで、授業中めっちゃ眠い。欠伸を手で隠しながら、由比ヶ浜さんの方を見ると、彼女、机に突っ伏して爆睡中。材木座君の小説、夜遅くまで読んでたのかな。私も昼休みは寝ようかな。眠い目をこすりながら、なんとか授業を聞いてる。先生の声、子守唄みたいだよ……。
総武高校・放課後・廊下。
授業終わって、鞄持ってさっさと教室を出る。今日1日、ずっと眠かった。昼休み寝たんだけど、まだ寝足りない感じ? こんな日はさっさと帰りたいけど、奉仕部には行かないとね。行かないと平塚先生の雷が落ちるかもしれないし、材木座君も原稿の感想を聞きに来るだろうし。奉仕部の教室を目指してると、後ろから由比ヶ浜さんの声。
【やーちゃん、待ってよ!】
【由比ヶ浜さん】
振り返ると、彼女、ニコニコしながら走ってくる。やーちゃんって呼び方、慣れてきたけど、ちょっと照れるな。
【やーちゃん、昨日のアレ、読んだ?】
【うん、まあ、読んだよ。夜と朝早く起きてね、だから寝不足】
【アハハ、そうなんだ! あたしも夜読んでたんだけど、途中で寝ちゃった!】
【授業中ずっと寝てたもんね】
【アハハ、マジで眠かったからつい……】
由比ヶ浜さん、窓の外眺めながら鼻歌歌い出す。あまり読めてないんだな、って推測しちゃう。まぁ、由比ヶ浜さんらしいよね。
総武高校・放課後・奉仕部。
奉仕部の教室の戸を開けると、雪ノ下さんが珍しくうつらうつらしてる。
【雪ノ下さん、お疲れ様】
声をかけても、雪ノ下さん、穏やかな笑顔のままスースーって寝息。無防備な姿、初めて見た。子猫みたいで、ちょっと可愛い……って、雪ノ下さんにこんなこと思ってるの、バレたら氷の目で刺されるよ。もう一度声かけようとしたら、彼女、目をパチッと開ける。
【……あら、いけない、眠ってしまったみたいね。比企谷さん、こんにちは」子猫みたいな欠伸して、大きく伸び。雪ノ下さん、こんな人間らしいとこあるんだ。
【雪ノ下さんも寝不足なんだ】
【ええ、あの小説を読むために徹夜なんて、久しぶりよ。この手のもの、読んだことないし、あまり好きになれそうにないわ】
【あー、あたしも全然無理】
【まあ、人を選ぶのは間違いないかもね】
足利義輝とか八幡大菩薩とか、剣豪将軍とか、歴史好きの女子じゃないとハマらないジャンルだよね。私は、なんか熱くて面白かったけど、2人にはつまらなかったみたい。そこへ、奉仕部のドアが荒々しく叩かれる。
【頼もう!】
材木座君、古風な呼び方でドカッと入ってくる。椅子にドンと座って、偉そうに腕組み。顔、なんか優越感に満ちてる。自信満々って感じ?対する雪ノ下さん、珍しく申し訳なさそうな顔。
【ごめんなさい。私にはこういうの、よくわからないのだけど……】
前置きして、材木座君、鷹揚に答える。
【構わぬ。凡俗の意見も聞きたいところであったのでな。好きに言ってくれたまえ】
雪ノ下さん、小さく息吸って、意を決した。
【つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶するつまらなさ】
【げふぅっ!】
見事に一刀両断。材木座君、ガタガタ椅子鳴らしながらのけぞるけど、なんとか体勢立て直す。
【ふ、ふむ……参考までに、どの辺がつまらなかったのか、ご教示願えるかな?】
私は手で顔を覆う。材木座君、どの辺が悪いか聞いてるけど、雪ノ下さんの表情見ればわかるよ。容赦なく叩き潰す気満々。案の定、雪ノ下さん、材木座君の小説をこれでもかってくらいボコボコに。普通の人なら、途中で逃げ出すレベル。でも、材木座君、必死に耐えてる。ズタボロだけど、逃げないの、ちょっとカッコいいかも。
雪ノ下さんの感想終わって、次、由比ヶ浜さん。
【え、えーと……難しい言葉、たくさん知ってるね!】
【ひでぶっ!】
【由比ヶ浜さん……】
作家志望にとって、その言葉は禁句だよ。褒めることそれしかない、ってつまり「面白くない」ってこと。ライトノベル読み慣れてない人が、感想求められた時に言うやつ。いや、「面白くない」ってストレートに言われた方が、まだマシかも。
「じゃ、じゃあ、やーちゃんどうぞ!」
由比ヶ浜さん、逃げるように席を立ち、私に椅子を譲る。材木座君の正面に座らされて、彼女、私の席にサッと移動。燃え尽きて白くなったみたい。材木座君を直視できないって顔だよ。
【ぐ、ぐぬぅ。八幡、お前なら理解できるな?我の書いた世界、ライトノベルの地平がお前ならわかるな? 愚物どもでは誰一人理解できぬ、深遠なる物語が!】
【わかってる。あの時、夢を打ち砕かれそうになったけど、ここまでやってこれたんだよね。私は面白いと思ったよ。ただ、誤字が目立つくらいで、中二病の男子なら受けると思うよ」
【八幡、お主……】
材木座君、急に私の手握ってくる。普通なら払いのけるけど、今の材木座君、ボロボロすぎてなんか可哀想。雪ノ下さんと由比ヶ浜さん、「えっ!?」って顔してるけど、私はただ、いい作品だと思ったから素直に言っただけだよ!
【……これはあの時、書いていた小説を思い出しながら書いたものに過ぎない。これから書こうと思ってるものは、色々頭に考えてある】
あの時の小説、いじめっ子女子たちに破られたやつ、か。思い出して書けるの、すごいよね。
【また、読んでくれるか?】
【私はいいけど、雪ノ下さんたちは?】
【雪ノ下嬢や由比ヶ浜嬢にも読んでほしい。確かに酷評された。グサグサ刺されたが、酷評も一つの意見。我の小説を見てくれてるのだから】
【漫画家や小説家にとって、無視されるのが一番辛いよね】
漫画家や小説家に限らず、無視が一番キツい。酷評でも、見てくれてるならまだマシ。材木座君、ちゃんと意見取り入れて成長しようとしてるのかな。
「我は小説家になることを決めている。八幡が『我のファン1号』になってくれたあの日から」
そう言って、材木座君、奉仕部の教室から出て行った。その後、雪ノ下さんと由比ヶ浜さんに材木座君のこと、めっちゃ追求された。中学の時のこと、軽く説明した。彼との出会い、いじめる女子たちとの戦い。彼が私に助けられて、破られた小説を完成させる決意。そして、私が
【材木座君、私がアナタのファン1号になってあげる】
って言ったこと。由比ヶ浜さん、
【やーちゃん、材木座君に気があるんじゃない?】
とか言うけど、違うからね! 彼の小説が面白かったから、続きが見たくて元気づけただけ。誤解しないでよ!こうして、材木座君は過去の因縁から解き放たれ、新たな材木座義輝としてスタートした、ってわけ。
八幡の相手は誰が良いですか?
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1ー高橋雅史
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2ー葉山隼人
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3ー材木座義輝
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4ー戸部翔
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5ーその他