ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

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第10話です。


第10話ー材木座義輝は、新たな想いを決意し、前を向いて歩みだす。

 

比企谷家・朝・八幡の部屋。

 

朝、目覚ましより早く目が覚める。5時半。うわ、早すぎ。材木座君の原稿、気になってたんだな。カーテンの隙間から朝日が差し込んで、部屋がオレンジ色。なんか、気分いいかも。原稿手に取って、読み始める。主人公、足利義輝(仮名)が、八幡大菩薩(仮名)の加護で戦う話。設定はバカバカしいけど、なんか熱い。材木座君、友達いないって言ってたけど、この物語、めっちゃ気合い入ってる。中学の時、小説破られたのに、こうやって書き続けてるの、ちょっとカッコいいかも。でも、誤字多いな。「剣豪」が「剣豪豪」になってたり。

 

雪ノ下さんに見せたら、赤ペンで真っ赤になりそう。由比ヶ浜さんは「熱いね!」で終わりそうだけど。

 

朝ごはんの時間まで読み進めて、ノートに感想メモ。奉仕部でどう話すか、考えなきゃ。MISAKIの噂も気になるし、日曜の練習試合も。綾音と麦野、どっち応援するかなんて、決められないよ。まぁ、行ったら何か見つかるよね。比企谷八幡、いつも通り、巻き込まれながら進むだけ。

 

総武高校・午前中・2年F組

 

朝、早く起きて材木座君の原稿読んだせいで、授業中めっちゃ眠い。欠伸を手で隠しながら、由比ヶ浜さんの方を見ると、彼女、机に突っ伏して爆睡中。材木座君の小説、夜遅くまで読んでたのかな。私も昼休みは寝ようかな。眠い目をこすりながら、なんとか授業を聞いてる。先生の声、子守唄みたいだよ……。

 

総武高校・放課後・廊下。

 

授業終わって、鞄持ってさっさと教室を出る。今日1日、ずっと眠かった。昼休み寝たんだけど、まだ寝足りない感じ? こんな日はさっさと帰りたいけど、奉仕部には行かないとね。行かないと平塚先生の雷が落ちるかもしれないし、材木座君も原稿の感想を聞きに来るだろうし。奉仕部の教室を目指してると、後ろから由比ヶ浜さんの声。

 

【やーちゃん、待ってよ!】

 

【由比ヶ浜さん】

 

振り返ると、彼女、ニコニコしながら走ってくる。やーちゃんって呼び方、慣れてきたけど、ちょっと照れるな。

 

【やーちゃん、昨日のアレ、読んだ?】

 

【うん、まあ、読んだよ。夜と朝早く起きてね、だから寝不足】

 

【アハハ、そうなんだ! あたしも夜読んでたんだけど、途中で寝ちゃった!】

 

【授業中ずっと寝てたもんね】

 

【アハハ、マジで眠かったからつい……】

 

由比ヶ浜さん、窓の外眺めながら鼻歌歌い出す。あまり読めてないんだな、って推測しちゃう。まぁ、由比ヶ浜さんらしいよね。

 

総武高校・放課後・奉仕部。

 

奉仕部の教室の戸を開けると、雪ノ下さんが珍しくうつらうつらしてる。

 

【雪ノ下さん、お疲れ様】

 

声をかけても、雪ノ下さん、穏やかな笑顔のままスースーって寝息。無防備な姿、初めて見た。子猫みたいで、ちょっと可愛い……って、雪ノ下さんにこんなこと思ってるの、バレたら氷の目で刺されるよ。もう一度声かけようとしたら、彼女、目をパチッと開ける。

 

【……あら、いけない、眠ってしまったみたいね。比企谷さん、こんにちは」子猫みたいな欠伸して、大きく伸び。雪ノ下さん、こんな人間らしいとこあるんだ。

 

【雪ノ下さんも寝不足なんだ】

 

【ええ、あの小説を読むために徹夜なんて、久しぶりよ。この手のもの、読んだことないし、あまり好きになれそうにないわ】

 

【あー、あたしも全然無理】

 

【まあ、人を選ぶのは間違いないかもね】

 

足利義輝とか八幡大菩薩とか、剣豪将軍とか、歴史好きの女子じゃないとハマらないジャンルだよね。私は、なんか熱くて面白かったけど、2人にはつまらなかったみたい。そこへ、奉仕部のドアが荒々しく叩かれる。

 

【頼もう!】

 

材木座君、古風な呼び方でドカッと入ってくる。椅子にドンと座って、偉そうに腕組み。顔、なんか優越感に満ちてる。自信満々って感じ?対する雪ノ下さん、珍しく申し訳なさそうな顔。

 

【ごめんなさい。私にはこういうの、よくわからないのだけど……】

 

前置きして、材木座君、鷹揚に答える。

 

【構わぬ。凡俗の意見も聞きたいところであったのでな。好きに言ってくれたまえ】

 

雪ノ下さん、小さく息吸って、意を決した。

 

【つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶するつまらなさ】

 

【げふぅっ!】

 

見事に一刀両断。材木座君、ガタガタ椅子鳴らしながらのけぞるけど、なんとか体勢立て直す。

 

【ふ、ふむ……参考までに、どの辺がつまらなかったのか、ご教示願えるかな?】

 

私は手で顔を覆う。材木座君、どの辺が悪いか聞いてるけど、雪ノ下さんの表情見ればわかるよ。容赦なく叩き潰す気満々。案の定、雪ノ下さん、材木座君の小説をこれでもかってくらいボコボコに。普通の人なら、途中で逃げ出すレベル。でも、材木座君、必死に耐えてる。ズタボロだけど、逃げないの、ちょっとカッコいいかも。

 

雪ノ下さんの感想終わって、次、由比ヶ浜さん。

 

【え、えーと……難しい言葉、たくさん知ってるね!】

 

【ひでぶっ!】

 

【由比ヶ浜さん……】

 

作家志望にとって、その言葉は禁句だよ。褒めることそれしかない、ってつまり「面白くない」ってこと。ライトノベル読み慣れてない人が、感想求められた時に言うやつ。いや、「面白くない」ってストレートに言われた方が、まだマシかも。

 

「じゃ、じゃあ、やーちゃんどうぞ!」

 

由比ヶ浜さん、逃げるように席を立ち、私に椅子を譲る。材木座君の正面に座らされて、彼女、私の席にサッと移動。燃え尽きて白くなったみたい。材木座君を直視できないって顔だよ。

 

【ぐ、ぐぬぅ。八幡、お前なら理解できるな?我の書いた世界、ライトノベルの地平がお前ならわかるな? 愚物どもでは誰一人理解できぬ、深遠なる物語が!】

 

【わかってる。あの時、夢を打ち砕かれそうになったけど、ここまでやってこれたんだよね。私は面白いと思ったよ。ただ、誤字が目立つくらいで、中二病の男子なら受けると思うよ」

 

【八幡、お主……】

 

材木座君、急に私の手握ってくる。普通なら払いのけるけど、今の材木座君、ボロボロすぎてなんか可哀想。雪ノ下さんと由比ヶ浜さん、「えっ!?」って顔してるけど、私はただ、いい作品だと思ったから素直に言っただけだよ!

 

【……これはあの時、書いていた小説を思い出しながら書いたものに過ぎない。これから書こうと思ってるものは、色々頭に考えてある】

 

あの時の小説、いじめっ子女子たちに破られたやつ、か。思い出して書けるの、すごいよね。

 

【また、読んでくれるか?】

 

【私はいいけど、雪ノ下さんたちは?】

 

【雪ノ下嬢や由比ヶ浜嬢にも読んでほしい。確かに酷評された。グサグサ刺されたが、酷評も一つの意見。我の小説を見てくれてるのだから】

 

【漫画家や小説家にとって、無視されるのが一番辛いよね】

 

漫画家や小説家に限らず、無視が一番キツい。酷評でも、見てくれてるならまだマシ。材木座君、ちゃんと意見取り入れて成長しようとしてるのかな。

 

「我は小説家になることを決めている。八幡が『我のファン1号』になってくれたあの日から」

 

そう言って、材木座君、奉仕部の教室から出て行った。その後、雪ノ下さんと由比ヶ浜さんに材木座君のこと、めっちゃ追求された。中学の時のこと、軽く説明した。彼との出会い、いじめる女子たちとの戦い。彼が私に助けられて、破られた小説を完成させる決意。そして、私が

 

【材木座君、私がアナタのファン1号になってあげる】

 

って言ったこと。由比ヶ浜さん、

 

【やーちゃん、材木座君に気があるんじゃない?】

 

とか言うけど、違うからね! 彼の小説が面白かったから、続きが見たくて元気づけただけ。誤解しないでよ!こうして、材木座君は過去の因縁から解き放たれ、新たな材木座義輝としてスタートした、ってわけ。

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
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