比企谷家・夜・八幡の部屋
明日の授業の予習してると、結衣からメールが来た。
『やーちゃん、ばんちゃ! サッカー部の練習時間、調べたよ。隼人君や悠君たちにもメールして確認した。明日の練習終わりは17:00だって。小田原先輩、部室にいるはず。あと、隼人君から、明日放課後、監視カメラの映像見れるって! とにかく、明日、奉仕部でね。やーちゃん、おやすみっ!』
17時か。監視カメラに犯人が映ってればいいけど、まずは見ないとね。小田原先輩、なんか隠してる気がする。人影のこと、知ってるんじゃないかな。23センチのスニーカー、ヒールの跡が薄かった。あれ、なんか意味ありそうだけど……
【ここで考えてもわかんないよ】
明日、雪乃や結衣と話して、監視カメラ見て判断するしかないよね。総武高校・午後・屋上昼休み、女子トイレの個室でぼーっとしてたら、話し声。手洗い場で女子2人が話してる。
【そういえば、3年の小田原先輩っているでしょ?」
【サッカー部のマネージャー? どうかしたの?】
【あまり大きな声じゃ言えないけど、誰かに脅されてるって。見た子がいるらしいよ】
【脅される!? それ、ヤバくない?】
【だよね。ほんとだったら、平然と学校来れないよね……見間違いじゃない?】
【だよね~。話変わるけどさ】
話してた2人は、女子トイレを出て行った。小田原先輩が脅されてる? 脅してるのがサッカー部の備品盗んだ犯人? やっぱり、小田原先輩に聞かないと。
総武高校・放課後・奉仕部
放課後、すぐ奉仕部へ。雪乃と結衣に、トイレで聞いた話をする。
【小田原先輩が誰かに脅されてる?】
結衣は目を丸くして雪乃が眉を寄せている。
【それ、どういうこと? 小田原先輩、謎の人物に脅されて、弱み握られてるってことよね?】
【不審人物が犯人って結びつけるには、証拠が足りないわ。本人に聞くしかないわね】
【うん、そうね】
サッカー部の練習が終わるの、待つしかない。夕日に染まる空を見ながら、グラウンドから響く練習の声を聞いてた。
総武高校・グラウンド・サッカー部部室
サッカー部の練習終わりに、小田原先輩に再度、備品盗難について聞く。けど、昨日と同じ。
【知らない人が部室に入った形跡があった】
ってだけ。表情、めっちゃ青ざめてる。絶対、ただごとじゃない。奉仕部に戻って、雪乃と結衣に話す。
【小田原先輩、なんか弱み握られてるよね。表情、めっちゃビビってた】
雪乃も頷く。
【私も同じこと思ってたわ。彼女の交友関係、調べた方がいいかも】
【賛成。3年生か、サッカー部の葉山君、鳴上君、花村君あたりに聞く?】
【明日、小田原さんのこと聞いてみましょう】
【うん、そうしよう!】
雪乃、結衣が頷き、私も頷くけど、なんか面倒な予感。
総武高校・午前・2年F組
翌日の休み時間、葉山君、鳴上君、花村君、戸部君に小田原先輩のこと聞く。葉山君は二度目だけど、まぁいいよね。
【小田原先輩、優しくて真面目。サッカー部のマネージャー、めっちゃ頑張ってくれるよ】
葉山君、爽やかに答える。鳴上君と花村君も同意。
【なんか、先輩、誰かと付き合ってるって話してた気がするな】
【え、付き合ってる? 誰?】
私が聞くと、花村君が真顔で答えてきた
【前にそんな話してたけど、名前は聞いてない」
【確か、言ってたかも~】
戸部君、のんきに続ける。鳴上君も腕を組みながら
【確かに、付き合ってるって話は聞いたけど、誰かは知らないな】
葉山君は、あまりいい気分はしないみたいで
【他人のプライベートに口出しするのはどうかと思うけど……うーん、名前は聞いてない】
小田原先輩の彼氏、総武高校の生徒じゃない可能性も。いや、高校生じゃない、大人の可能性も?葉山君たちにお礼言って、席で情報整理。
3年C組、小田原政子。成績優秀、運動得意。優しくて真面目なマネージャー。彼氏がいるけど、誰かは不明。怪しい人影に怯えてる。23センチのスニーカー靴跡。部室に知らない人が入ったことに気づいてた。
鍵は監督、部長、小田原先輩の3人だけ。普通に考えたら、この3人が怪しいけど、雪乃が平塚先生通じて監督と部長に話したらしい。
で、奉仕部に依頼された。バスケの記事のせいで、奉仕部、めっちゃ知られてるんだなってつくづく思った。
監督と部長は除外で、小田原先輩が怪しいけど……。そこに、麦野さんが話しかけてくる。
【どしたの、めっちゃ真剣な顔】
【え、麦野さん、私、そんな顔?】
【してたよ。何かあった?】
【うん、まぁね】
【それ、サッカー部の小田原先輩のこと?】
【え、なんで……】
【葉山たちに聞いてただろ。話、聞こえちゃってさ】
あ、葉山君たちと話してるとき、麦野さんに聞かれてたのか。
「麦野さん、小田原先輩のこと、なんか知ってる?」
「サッカー部の優秀なマネージャーだろ」「まぁ、それは知ってる」
麦野さん、耳元でコソコソ。
「表向きはね」
え、なに!?
「不良たちが、駅前の溜まり場で話してたの聞いた。総武の連中だよ。小田原先輩、ビッチだの、他人の彼氏奪う女だのって」
「ビッチ!? 他人の彼氏!? あの清楚な小田原先輩が?」
人は見かけによらず、か……。
「麦野さん、直接聞いたわけじゃないんだよね?」
「まぁね。不良達の噂だから、話半分でいいけど、比企谷が調べてるみたいだから、教えただけ」
「ありがと、麦野さん。バスケの恩義、って感じ?」
「恩義って、バスケの試合に比べたらまだまだだよ」
麦野さん、義に熱いな。不良の噂、か。2-H組のグループ、江下真美がリーダー。派手な化粧、校則破りのギャル集団。雪乃と出会う前、トイレや保健室でサボってたとき、江下もサボってた。
名前は、取り巻きが「江下」「真美」って呼んでたから知った。茶髪、厚化粧、ピアス、短いスカート、派手な下着。って、今そんなことどうでもいい!
江下達に聞く? いや、ギャル集団、まともに話聞いてくれるわけない。中学のいじめ思い出して、ゾッとする。雪乃や結衣と一緒? それもダメ。2人まで標的にされたら最悪。じゃあ、どうすれば……
総武高校・昼休み・2年F組。
購買でパン買って教室戻ると、青みがかった黒髪の女子に話しかけられる。
【比企谷、あんたに話がある】
【え、私に?】
【あんたしかいないだろ】
川崎沙希、同じクラスの一匹狼。麦野さんみたいに孤高だったけど、麦野さんはバスケ部で入ってから結衣や三浦さんと話すようになった。
川崎さんは、ずっと一人で本読んだり、景色眺めたり。話しかけてくるなんて、珍しい。
【ちょっと屋上、来て。そこで話す】
【屋上? まぁ、いいけど】
川崎さんに連れられて、屋上へ。
総武高校・昼休み・屋上。
風が強くて、スカートめくれそう。気をつけないと。川崎さん、単刀直入。
【あんた、今日ずっと3年の小田原って先輩のこと調べてたろ?】
【うん、でも、川崎さんに関係ないよね?】
【確かに。けど、小田原の情報、知ってるって言ったら?】
なんで川崎さんが? めっちゃ不思議。
【なんでそんな情報、知ってるの?】
【そこは気にすんな。小田原の情報、欲しいか?】
【有益な情報、ただでくれる? 見返りとかないの?】
【……見返り? あたしはそんなの求めてない。夜の街であいつらがのさばってるのが、気に食わねえだけ】
【夜の街?】
【それは気にしなくていい。情報が欲しいか、聞いてるんだ】
【欲しい、です】
【素直に言えばいいじゃん】
川崎さん、情報源は隠して、小田原先輩の話。夜の街を歩き回ってるらしい。真面目な彼女が? 彼氏絡みで、総武のOB、大学1年の熱海孝之。サッカー部の卒業生。大学には入学式には出席したがそれ以降は行かず、遊び歩いてる。
夜遅くまで女友達と遊んだり、家に泊めたり。浮気疑われてもおかしくないことをしてる。川崎さんの知り合いの質屋店主、熱海がサッカー部の備品売りに来たって。中には在校生のものも。売った金、部費じゃなく、熱海が使ってる。小田原先輩、彼氏に貢いでる!?
【ご明察。そいつに貢いでるらしい】
最悪のパターン。どうすれば? 別れさせる? 今の小田原先輩、恋は盲目で聞く耳持たないよね。
【川崎さん、なんで私に教えてくれたの?】
【あたしの気まぐれ。バスケの試合のあんた、カッコよかったから。それだけ。あたしの情報はこれで終わり。じゃあね】
川崎さん、屋上から出て行く。私、呆然。本当なら放課後に調べるはずだったけど、サッカー部の監督が放課後はいないということで、急遽昼休みに監視カメラを確認することに。
雪乃と葉山君、監視カメラチェックしてる頃かな。川崎さんの情報本当なら、映ってるのは小田原先輩自身。
外部の犯人だと思ってたけど、内部、身内か。部長の雪乃、平塚先生、サッカー部の監督、部員の判断が必要だ。川崎さんの情報、ありがたいけど、足取り重い。心、モヤモヤ。比企谷八幡、こんなとき、どうすればいいんだろ。
八幡の相手は誰が良いですか?
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1ー高橋雅史
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2ー葉山隼人
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3ー材木座義輝
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4ー戸部翔
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5ーその他