ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

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第17話です。


第17話ー美紗希の決意。

 

千葉県内・夜・街中。

 

梅雨の雨が降りしきる夜、美紗希は傘も差さず、総武高校の制服のまま街を彷徨っていた。濡れた髪が頬に張り付き、彼女の表情はどこか虚ろだ。バスケ部の練習、芸能活動の撮影、学業の課題――全てが頭の中で渦巻き、答えが見つからない。

 

そんな彼女を、偶然見かけたのが、同じ2年F組の龍造寺隆信だった。純朴で少しおっとりした彼は、コンビニからの帰り道、ずぶ濡れの美紗希に驚き、思わず声をかけた。

 

【上条さん!? こんな雨の中、なにしてるの?】

 

美紗希は一瞬、驚いたように顔を上げる。

 

【龍造寺君……? う、うん、ちょっと、考え事してて……】

 

【考え事って、こんな雨に濡れてちゃダメだよ! うち、近いから、来なよ!】

 

隆信の純粋な心配に、美紗希は少し戸惑ったが、冷え切った体に抗えず、頷いた。

 

 

龍造寺隆信が借りているアパート・夜・リビング。

 

隆信のアパートは、彼の両親が息子のために借りたワンルームだ。両親は別の場所に住んでおり、隆信は一人暮らし。部屋はシンプルだが、どこか温かみのある雰囲気だった。

 

美紗希をリビングに通し、隆信はタオルを渡し、お風呂にお湯をため始めた。

 

【上条さん、濡れたままだと風邪引くよ。シャワー浴びて、体温めて。制服、乾燥機で乾かすから】

 

美紗希はタオルを受け取り、小さく「ありがとう……」と呟く。

 

隆信の優しさに、彼女の心は少しだけ軽くなった。お風呂から上がった美紗希は、隆信の大きめのTシャツとスウェットを借りてリビングに戻ってきた。濡れた髪をタオルで拭きながら、彼女の頬は少し赤い。隆信は一瞬、ドキッとしたが、すぐに冷静さを取り戻し、温かいココアを渡した。

 

【上条さん、なんかあった? 話せるなら、話してよ。俺、たいしたことできないけど、聞くくらいならできるから】

 

美紗希はココアのマグカップを両手で握り、しばらく黙っていた。隆信の純粋な瞳に、彼女の心は揺れた。普段、誰にも話せなかった悩みを、ついに口にする決心がついた。

 

【私……バスケ部と、芸能活動と、学業、全部やってるんだけど……前にも話したよね……最近、きつくて】

 

隆信は静かに頷き、話を促す。美紗希は、グラビアアイドル「MISAKI」としての活動、バスケ部の試合、学業のプレッシャーを語り始めた。事務所の意向でビキニ系の撮影が増え、写真集の発売が迫る中、バスケ部の大会も近づいている。どちらも諦めたくないが、両立が限界に来ていること。

 

マネージャーの北条輝子から「三足のわらじは無理」と忠告されたこと。そして、バスケのユニフォーム姿を売り物にすることへの抵抗感。

 

【バスケは、私の居場所なの。コートで仲間と汗かいて、勝つために走るの、ほんとに好き。でも、グラビアで売れるためには、もっと過激なこと求められて……。私、どっちを選べばいいのか、わかんない】

 

美紗希の声は震え、涙がこぼれそうになる。隆信は真剣に聞き、そっと言った。

 

【上条さん、すげえ頑張ってるよ。俺、バスケの試合見たとき、上条さんのプレー、めっちゃかっこよかった。芸能活動のことも、クラスのみんな、応援してるよ。でも、こんな雨の中、ひとりで彷徨うくらいなら、誰かに相談してみたら?】

 

美紗希は目を上げる。

 

【相談……?】

 

【うん。ほら、比企谷さんたちの奉仕部。あそこ、いろんな人の悩み解決してるじゃん。俺も、勉強の相談したら、雪ノ下さんにバッチリアドバイスもらったし】

 

奉仕部の名前を聞き、美紗希の表情が少し変わる。彼女は、バスケ部の練習試合で八幡の活躍を見ていた。八幡の靴跡の観察が、サッカー部事件を解決に導いたことも耳にしていた。奉仕部なら、彼女の葛藤に何か答えをくれるかもしれない。

 

【奉仕部、か……。でも、私、こんな個人的な悩み、話していいのかな】

 

【いいと思うよ。上条さんが本気で悩んでるなら、比企谷さんたち、ちゃんと聞いてくれるよ】

 

隆信の純朴な笑顔に、美紗希は小さく頷いた。

 

【……ありがとう、龍造寺君。ちょっと、考えてみる】

 

 

総武高校・翌日・放課後・奉仕部。

 

美紗希の悩みは、奉仕部の教室に持ち込まれることになった。放課後、彼女は緊張した面持ちで奉仕部のドアをノックした。比企谷八幡、雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣が、いつものように教室に揃っている。

 

【上条さん? どうしたの?】

 

由比ヶ浜が明るく声をかける。雪ノ下が本を閉じ、冷静な視線を向ける。八幡は、いつものように廊下側の席で縮こまりながら、チラッと美紗希を見る。

 

【えっと……相談、したいことがあって】

 

美紗希の声は小さく、どこかためらいがちだ。雪ノ下が椅子を勧め、言う。

 

【上条さん、どんな悩みでもいいわ。話してみて】

 

美紗希は深呼吸し、バスケ部、芸能活動、学業の三足のわらじの葛藤を語り始めた。グラビアアイドル「MISAKI」としてのプレッシャー、バスケ部の試合への情熱、学業の維持。そして、事務所の提案する「ユニフォーム姿のグラビア」への抵抗感。全てを話すと、彼女の肩は少し軽くなった。由比ヶ浜が目を潤ませる。

 

【ミサミサ、めっちゃ頑張ってるんだね……。でも、つらそう】

 

八幡は、内心で美紗希の悩みに共感していた。目立つことへの恐怖、中学のいじめのトラウマを抱える彼女にとって、美紗希の「注目される葛藤」は他人事ではない。だが、奉仕部の理念を思い出し、口を開く。

 

【上条さん、全部続けるの、めっちゃ大変だよね。でも、どっちかを選ぶ、じゃなくて、優先順位つけるとか、できないかな?】

 

雪ノ下が頷く。

 

【比企谷さんの言う通りね。全てを完璧にこなすのは難しい。あなたにとって、何が一番大事? バスケ? 芸能? それとも学業?】

 

美紗希はしばらく考え込み、答えた。

 

【バスケ……コートに立つのが、私の居場所だから。でも、グラビアも、応援してくれる人がいるから、辞めたくない】

 

雪ノ下が冷静に言う。

 

【なら、事務所と交渉する必要があるわ。バスケを優先しつつ、芸能活動の負担を減らす方法を模索する。北条さん、信頼できるマネージャーなんでしょ? 彼女に正直に話すべきよ】

 

由比ヶ浜が手を叩く。

 

【そだ! ミサミサ、ちゃんと話せば、事務所もわかってくれるよ! やーちゃんも、バスケのとき、すっごい頑張ってたじゃん!】

 

八幡は苦笑い。

 

【やめてよ、結衣。目立つ話、持ち出さないで】

 

美紗希は、奉仕部の3人のやりとりに、初めて笑みを浮かべた。

 

【ありがとう、比企谷さん、雪ノ下さん、由比ヶ浜さん。ちょっと、勇気出して、北条さんに話してみる】

 

 

数日後・東京都内・夜・とある事務所にて。

 

美紗希は、北条輝子と向き合い、自分の気持ちを正直に話した。バスケを続けたいこと、グラビアの過激な方向性への抵抗感、学業を維持したいこと。輝子は静かに聞き、意外にも柔らかい笑顔を見せた。

 

【美紗希、よく話してくれたわ。あなたがそこまで本気なら、事務所と交渉してみる。ユニフォームのグラビアは、控えめに提案するわ。バスケの試合、応援に行くわよ】

 

美紗希の目から涙がこぼれる。

 

【ありがとう、北条さん……】

 

奉仕部の助言を受け、美紗希は一歩を踏み出した。バスケ部と芸能活動のバランスは完全ではないが、彼女は自分なりの道を見つけ始めていた。

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
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