比企谷家・夜・リビング。
家に帰って、なるべく元気装う。小町やお母さん、お父さんに心配かけたくないから。小町、さすが私の妹、悩んでるのバレバレ。『お姉ちゃん、なんかあった?』って。やめてよ、小町、鋭すぎ。お父さん、庭でゴルフの素振りしながら、
【八幡、男できた? 好きなやつでも?】
とか、ふざけたこと言う。お母さんに
【やめなさい!】
って止められて、ホッ。お父さん、ほんと、タイミング悪いよ。
お父さんが庭に出た後、お母さんがポツリ。
【八幡、あなた、洗濯物、自分で取り込んだ?】
【え、取り込んでないよ。夕方帰ってきたし、お母さんが全部取り込んでたよね?】
お母さん、首かしげる。
【あなたのパンツ、何枚か、なくなってる気がして……】
小町、『まさか、下着ドロ!?』って、目キラキラ。私、ゾッとした。久保の顔、頭に浮かぶ。まさか、久保、私の家特定して、下着泥棒!?急いで部屋戻って、確認。
服はちゃんとあるけど、下着、ない! 洗濯に出すとき、ちゃんと確認したから、なくなってるの、おかしい。心臓バクバク。スマホ手に、雪乃と結衣にメールを送る。
【やばい、下着、なくなってる。久保、家の近くまで来てるかも……】
雪乃、すぐ返信。
『明日、奉仕部で詳しく話して。平塚先生にも報告するわ』
結衣、『やーちゃん、大丈夫!? 明日、絶対話そう!』って、返信返ってくる。私、ちょっと落ち着くけど、怖いよ、ほんと。
市内・夜・とある裏路地。
市内の雑居ビル裏、薄暗い路地。人通りはなく、湿った空気が漂う。そこに、学生らしい男女が立っていた。絵里と森崎弥太郎。恋人や友達とは程遠い、主従関係――いや、まるで人間とペットのような雰囲気だ。
森崎の手には、白いパンツ。八幡の下着だ。彼はこの日、学校を休み、絵里から八幡の住所を聞き、『恥ずかしいものを奪ってこい』と命じられた。
森崎は『恥ずかしいもの=パンツ』と解釈し、比企谷家の物干しから下着を盗んだ。絵里はパンツを見て、ケラケラ笑う。
【あ、八幡、こんな色気ないの履いてるんだ! ダサっ!】
彼女は悪戯っぽく、八幡のパンツを森崎の顔に被せる。まるで屈辱的な遊びだ。森崎は顔を真っ赤にし、うつむく。
【ねえ、森崎君、八幡のパンツ被った感想は?】
絵里の嘲笑に、森崎は言葉を失う。だが、彼の体の一部が反応しているのを、絵里は見逃さない。
【ふふ、八幡で興奮しちゃった? キモいねえ】
と、耳元で囁く。森崎はただ震え、絵里の操り人形として従うしかなかった。
総武高校・放課後・奉仕部
翌日、奉仕部の教室。雪乃、結衣、平塚先生、私、4人で緊急会議。下着泥棒の話、ほんと恥ずかしいけど、話さないわけにはいかない。雪乃、冷静に聞いてくれる。
【比企谷さん、状況を整理するわ。久保君が本屋であなたを触り、校内で視線を感じ、下着が盗まれた。久保君が家を特定した可能性は高いけど、証拠がない】
結衣が
【やーちゃん、怖すぎ! 久保、ほんと最低!】
って、怒ってる。平塚先生も眉寄せる。
【比企谷、これは看過できない。警察に相談するべきかもしれない。だが、証拠が映像だけだと、難しい】
私、ポツリ。
【あの、なんか、塵山絵里の手口に似てる気がする。中学のとき、材木座君をいじめてた連中、似たような言い訳してた。絵里が裏で操ってたって、後にバレたんだよね】
雪乃、目細める。
【塵山絵里? 中学時代、材木座君をイジメていたという主犯の……。その彼女と久保君の接点、そうね……調べる必要があるわね】
結衣は驚いた表情で
【え、絵里って、中二(材木座)の時の話しで出てきたそのいじめっ子!? やーちゃん、ほんと怖いよ!】
平塚先生はフッと笑い
【比企谷の勘、侮れないな。雪ノ下、由比ヶ浜、引き続き、比企谷の周囲を警戒してくれ。久保にも、もう一度話をする】
私、なんか、モヤモヤするけど、雪乃と結衣、平塚先生が動いてくれるの、めっちゃ心強い。絵里の影、ほんとだったら、めっちゃ怖いけど、私、逃げないよ。奉仕部、絶対、真相突き止めてくれるよね。
総武高校・放課後・奉仕部。
翌日の放課後、奉仕部の教室。雪乃、結衣、平塚先生、私、4人で、久保美津雄を再び呼び出した。話の内容? そりゃ、昨日の下着泥棒事件だよ。私、めっちゃ恥ずかしいけど、こんな大事、放っておけない。久保、ボサボサの髪で、目がキョロキョロ。なんか、ビビってるみたいだけど、どこか開き直ってる感じもする。平塚先生、厳しい声で切り出す。
【久保君、比企谷の自宅から下着が盗まれた。君、関係あるか?】
久保、即座に反論。
【は!? 痴漢の冤罪だけじゃなくて、今度は下着泥棒まで!? ふざけないでください! 証拠あんの!?】
結衣、ムキになって。
【何!? 図星だから怒ってるんじゃない!?】
平塚先生、結衣を宥める。
【由比ヶ浜、落ち着きなさい。久保、比企谷の家を知ってる? 放課後、そこに行ったことは?】
久保、顔真っ赤にして。
【知らないですよ! 学校終わったら、すぐ家帰って、ゲームしてました! 証拠もないのに、なんで僕が!?】
結衣はすぐさま反論。
【それ、嘘でしょ! やーちゃん、怖かったんだから!】
って、キレ気味。私、内心、結衣の熱さにちょっとホッとするけど、久保の言い訳、なんかムカつく。雪乃、冷静に。
【久保君、比企谷さんの家を知らない、というのは本当? あなたの行動、映像で確認されてるわ。偶然とは思えない】
【だから、触ってないって! 冤罪ですよ! これ以上やったら、親に言います! 親、弁護士だから、学校や教育委員会に訴えますよ!】
久保の言葉に、結衣、ますますカチン。
【やーちゃん、こんな奴、ほっとけないよ!】
でも、平塚先生、ため息。
【由比ヶ浜、証拠がないものを決めつけるのは危険だ。久保君、これ以上疑われる行動は慎みなさい】
結局、証拠がないから、久保は釈放。結衣、めっちゃ不満そう。
【やーちゃん、ごめん、なんかスッキリしない!】
雪乃、唇噛んで。
【確実に彼がやった証拠がない限り、これ以上は問い詰められないわ】
私、不安だけがモヤモヤ残る。久保の目、なんか、嘘ついてる気がする。でも、証拠がないって、ほんとキツいよ。絵里の手口、頭にチラつく。
中学のとき、材木座君いじめてた連中、似たような言い訳してた。絵里に操られて、頑なに否定してたんだよね。
でも、私、諦めないよ。絶対、証拠見つけて、久保に罪認めさせる。絵里が裏にいるなら、なおさら、逃げたくない。
総武高校・放課後・2年F組近辺。
夕日が廊下に差し込む中、久保美津雄は2年F組の前をスタスタと歩いていた。さっきの奉仕部での事情聴取、怒り狂ったふりで切り抜けたが、内心、ヒヤヒヤだった。もし親に報告すれば、学校を調べるかもしれない。だが、今回の件、久保に非はない――いや、正確には、万引きの罪が全ての引き金だ。あの6月末の書店で、絵里に捕まらなければ、こんな事態にはならなかった。
【なんで、あのとき、万引きなんかしたんだよ……】
久保は呟き、唇を噛む。あの愚行さえなければ、絵里という悪魔のような女と出会わず、普通の学生生活を送れていたはずだ。今となっては後の祭り。絵里の命令で八幡を付け狙い、本屋で彼女のお尻を触り、写真を撮り続けた。全て、絵里の脅しに従った結果だ。
ふと、久保は2年F組の教室を見る。誰もいない、シーンとした空間。夕日が窓から差し込み、机をオレンジに染める。
【比企谷さんのクラスだよな……】
何を思ったのか、久保は教室の扉を開け、中に入った。八幡の席を一目で特定する。雪ノ下や由比ヶ浜の監視が強まる前、絵里の命令で八幡を覗き続けていた彼は、彼女の席を熟知していた。
【ここの席、比企谷さんが座ってるんだ……】
久保は八幡の席にそっと触れ、椅子に腰掛けた。絵里の命令で始めたストーキングだったが、八幡を観察するうち、奇妙な欲求が芽生えていた。彼女の控えめな仕草、バスケでの意外な活躍、奉仕部での落ち着いた声――久保の中で、八幡はただの❝標的❞から、もっと特別な存在になりつつあった。
彼はスマホを取り出し、八幡の席を撮影。絵里に送信する。絵里からの返信は、ニヤニヤした絵文字と一言。
【ふふ、いいわね、久保君。でも、誰かに見られたら終わりよ? それ以上はやめなさい】
久保はハッと我に返り、慌てて教室を出た。廊下に誰もいないことを確認し、足早に去った。
八幡の相手は誰が良いですか?
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1ー高橋雅史
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2ー葉山隼人
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3ー材木座義輝
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4ー戸部翔
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5ーその他