ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

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第25話です。


第25話ー久保の陥落。絵里への反撃の狼煙。

 

千葉・昼間・総武高校。

 

総武高校の校舎は、夏の陽射しに照らされ、穏やかな日常を装っていた。しかし、その裏で、八神隆之の潜入調査が静かに始まっていた。八神は用務員の制服を借り、名札には「八神」とだけ記されていた。校長室で簡単な面接を済ませ、平塚静の紹介という形で、臨時用務員として採用された。

 

目的は、塵山絵里の「犬」――久保美津雄やその協力者――を内部から炙り出すことだ。八神はモップを手に、廊下を掃除するふりをしながら、2年F組とG組の教室を観察した。久保美津雄のクラス、G組は、授業中も静かで、久保の存在感は相変わらず薄い。ボサボサの髪、寝癖の立った頭、標準的な制服――彼は教室の隅でノートを取るふりをしつつ、時折F組の方をチラチラ見ているのがわかった。

 

「ふん、思春期丸出しのストーキングか。根性だけはあるな」

 

八神は心の中で呟き、モップを動かす手を速めた。昼休み、八神は校舎の裏手に回り、煙草を一服しながら生徒の動きを監視。雪乃と結衣が、八幡の停学処分について話し合う姿が見えた。2人は奉仕部の教室に向かい、八神に気づくと軽く会釈した。

 

「八神さん、今日からですね。何か手がかり、ありましたか?」

 

雪乃が冷静に尋ねる。結衣は心配そうに、

 

「久保、今日もなんか怪しいよ……」

 

怒りに満ちた口調で呟く。八神は煙を吐き、ニヤリと笑う。

 

「まだ初日だ。だが、久保の奴、F組覗いてるの、確認した。視線が比企谷さんの席に集中してるな」

 

それを聞いた雪ノ下の目が鋭くなる。

 

「やはり、久保君が……」

 

「証拠はこれからだ。絵里の影、感じるか?」

 

結衣が拳を握る。

 

「絵里って、あのいじめっ子!? やーちゃんのこと………絶対許さない!」

 

結衣の言葉に八神は軽く笑う。

 

「ま、任せな。俺、こういうの得意だからよ」

 

午後の授業中、八神は用務員室で休憩を取りつつ、学校の監視カメラ映像を平塚経由で入手したものをチェック。例の本屋の映像に加え、校内のものも。久保の姿が、八幡の後を尾行するように映っている。だが、証拠としてはまだ弱い。

 

放課後、八神はグラウンドの清掃を装い、サッカー部の練習を観察。葉山隼人がキャプテンとして指示を出し、部員たちが汗を流す。別に久保の姿はないが、八神は葉山に近づき、声を掛けた。

 

「よ、葉山君。用務員の八神だ。サッカー部の備品盗難、聞いたよ。何か怪しいこと、なかったか?」

 

葉山は少し驚いたが、すぐに真剣な顔になり話をきり出す。

 

「八神さん、平塚先生の紹介ですよね。実は、久保君が……」

 

葉山は久保の不自然な行動を話した。八神は頷き、心の中でメモをする。

 

「久保、絵里の犬だな。だが、もっと深い繋がりがありそう」

 

八神は、適度に話をつけて葉山たちの練習の邪魔になってはいけないと思い、その場を引き上げた。

 

翌日、八神は2年G組の近くで清掃。久保が教室から出て、F組の方を覗く瞬間を捉えた。スマホで写真を撮る久保の姿――証拠だ。八神はそっと近づき、久保の肩を叩く。

 

「おい、君は何撮ってる?」

 

八神にとっさに話しかけられ久保はビクッと飛び上がり、スマホを隠す。

 

「な、何も! 用務員さん、関係ないでしょ!」

 

挙動不審にを怒り出す久保に八神はニヤリと笑う。

 

「関係ない? 比企谷さんの写真、撮ってるよな。ストーキングか?」

 

久保の顔が一気に青ざめる。威勢を張ろうとしたが、歴戦の八神の鋭い目の前にはその威勢もただの去勢としかならなかった。だから防戦的な言葉しか口にすることはできなかった。

 

「ち、違います! ただ……」

 

「ただ、なんだ? 塵山絵里に言われたのか?」

 

久保の目が見開く。なぜ塵山絵里の名前を知っているという表情をする。

 

「ど、どうして……それを!」

 

八神は例の本屋の映像をスマホで見せ、

 

「これ、お前だろ? 触ったの、認めるか?」

 

久保はスマホの映像を見て震えながら否定する。

 

「触ってない! 冤罪だ!俺は触ってないって言ってるだろ!」

 

久保は威勢でなんとかしようとしていたが、八神の視線と追及に耐えきれず、久保はポツポツ話し始めた。

 

あの本屋で万引きを絵里に見られ、脅されて八幡を付け狙ったこと。父の弁護士の力で学校や教育委員会、本屋に圧力をかけたこと。その過程で平塚先生を停職処分もさせたこと、八幡に停学処分下させたこと。本屋の店長と関わった従業員を辞めさせたことを洗いざらい話した。

 

威勢や虚勢を張り続けたとしても久保の内面、心の方がついてきていないってことなのだろう。

 

そしてもう1人の絵里の『犬』の名前を口にしたのだ。

 

森崎弥太郎、2ーF組の生徒である。その森崎にも絵里が命令を出していることを喋ったのだ。

 

「森崎……? そいつ、誰だ?」

 

久保は森崎が八幡の下着を盗んだのも彼だと白状した。

 

八神は内心で舌打ちをする。

 

「こいつら、絵里に操られてるのか。根深いな」

 

八神は久保を解放し、雪乃と結衣に報告する。

 

「久保、絵里の犬だ。森崎弥太郎って奴も、共犯。絵里の居場所、掴まないと」

 

雪乃はすぐさまに八神に答える。

 

「森崎君……F組の。すぐに確認するわ」

 

「やーちゃんの仇、絶対取るよ!」

 

結衣はそう言って拳を握り締める。

 

八神は煙草をくわえ、2人を見据えながら

 

「ま、俺が絵里の尻尾掴んでやる。比企谷さんの無実、証明してやるよ」

 

千葉・昼間・総武高校。

 

八神の潜入は続き、森崎弥太郎の行動を監視。森崎は陰キャで真面目な生徒だが、絵里の脅しで八幡の情報を集めていた。八神は森崎を尾行し、絵里との連絡をスマホで確認。証拠写真を入手。絵里は怒級高校の裏で、森崎に新たな命令を出していた。絵里は久保が体調不良になったと話しもう1人の犬である森崎に無理難題を押し付けていた。

 

「八幡の停学、もっと苦しめなさい。写真、もっと撮って」

 

「……は、はい」

 

森崎は怯えながら従うが、八神は影から見守り、タイミングを待つ。平塚は神室町で八神と連絡を取り、

 

「八神君、頼んだよ。比企谷君の笑顔、取り戻して」

 

八神は、総武高校の中庭で平塚と話していた。

 

「ああ、任せな。闇は、俺の専門だ」

 

潜入調査は着実に進み、絵里の計画が崩れ始める予感が漂っていた。

 

 

神奈川県内・昼・横浜市・異人町・ミライ横浜ビル・5ー14・麦谷家・リビング。

 

藍沢姫香との奇跡の再会から、数日経った。横浜の異人町、叔母さんの家で、毎日ぼーっと過ごすわけにはいかない。

 

勉強は自分なりに予習復習してるけど、学校の授業に遅れていくの、自覚してる。雪乃や結衣、麦野さん、上条さん、みんながノート送ってくれたり、授業内容教えてくれたりするから、なんとか追いつけてるけど。

 

雪乃から状況報告、毎日メールで来る。八神さんって弁護士兼探偵、総武高校に用務員として潜入捜査中。久保を問い詰めたら、痴漢の件認めたらしい。で、もう一人の『犬』、森崎弥太郎って私と同じF組の男子。

 

森崎君、なんで絵里と繋がってるの? 雪乃と結衣、八神さん、めっちゃ頑張ってるけど、絵里の居場所掴めなくて、難航中だって。久保が陥落したから、絵里と森崎、警戒してるのかな。

 

久保の親父の圧力、まだ効いてるみたい。学校側、八神さんの調査に協力してくれないらしい。ほんと、大人って保身第一だよ。

 

私、一人でぼーっとしてるの、なんか嫌で、藍沢さんに相談した。「バイト戦士ドットコム」って会社、登録してみない?って。

 

藍沢さん、「内職なら狙われないし、いいんじゃない」って許可してくれた。封筒の切手貼りとか、千羽鶴作ったり、そういう依頼。稼ぎは大したことないけど、桜花叔母さんも「将来のため」って言ってくれたし。

 

藍沢さんも、「気分転換になるわよ」って。リビングで黙々と作業。鼻歌歌いながら、切手ペタペタ貼る。単純作業、なんか落ち着く。

 

千葉の実家にいたら、嫌な視線感じてたけど、ここなら安心。夏休み前までに千葉戻りたいけど、簡単じゃないよね。

 

絵里の復讐、久保の嘘、全部、証拠掴まないと。でも、私、諦めないよ。雪乃、結衣、八神さん、藍沢さん、みんな動いてくれてる。私も、ここで落ち込んでちゃダメ。作業終わったら、勉強再開。みんなのノート、ちゃんと読まなきゃ。

 

「夏休み、みんな何するんだろ……」

 

結衣の「有意義に遊ぼう!」ってメール、思い出す。私、家でゴロゴロ予定だったけど、変わったかも。バスケの練習、奉仕部の依頼、騒がしい日常、恋しいよ。

 

 

千葉県内・夕方・千葉市内・雑居ビル内。

 

千葉市内の寂れた雑居ビル、夕陽が窓を赤く染める。藍沢は、階段を上り、目的の部屋に近づいていた。

 

八神の仲間から「バイト戦士ドットコム」に依頼が入った。内容は、絵里の目撃情報――この雑居ビルにいる可能性が高い。藍沢はラフな服装、ゆるふわの髪をポニーテールにまとめ、静かにドアをノック。返事がない。彼女はため息をつき、ドアを軽く押し開ける。

 

中は薄暗く、埃っぽい。不良たちのたまり場らしい。ビールの空き缶、煙草の吸い殻が散乱し、数人の男がソファでだらけていた。

 

「おい、誰だよ、お前」

 

リーダー格の男が立ち上がり、藍沢を睨む。藍沢は冷静に、しかし鋭い目で応じる。

 

「塵山絵里、いる?」

 

男たちが顔を見合わせ、笑い出す。

 

「絵里? あいつ、さっき出たぜ。何か用か?」

 

藍沢の目が細まる。タレコミは正しかったが、絵里はすでに去った後だ。男の一人がニヤニヤしながら近づく。

 

「姉ちゃん、絵里探し? だったら、俺たちと遊んでから――」

 

言葉を遮り、藍沢の蹴りが男の腹に入る。男はうめき、倒れる。残りの3人も立ち上がるが、藍沢の動きは速い。パンチ、肘打ち、膝蹴り――数秒で全員を床に沈めた。

 

「邪魔しないで。絵里の居場所、知ってる?」

 

倒れた男の一人が、息も絶え絶えに。

 

「さ、さっき、怒級の学校の方行ったって……」

 

藍沢はため息をつき、部屋を出る。絵里の影を追うのは難しい。彼女は慎重で、直接手を下さず、久保や森崎のような『駒』を使っている。八神の潜入調査と並行し、藍沢は横浜から千葉へ移動し、絵里の足取りを追っていた。

 

雑居ビルを出て、藍沢はスマホで八神に連絡。

 

「絵里、このビルにいたけど、逃げた。怒級高校の方らしい」

 

八神は、電話越しにクールに答える。

 

「了解。俺、総武で森崎の動き掴んだ。絵里の次の標的、八幡の仲間かもな」

 

藍沢は頷き、夕陽の街を歩き出す。

 

「比企谷、守るわ。昔の借り返すために」

 

彼女の過去――中学のいじめ、横浜での更生――が、今、八幡を支える力になっていた。

 

千葉県・昼間・総武高校

 

再び数日が総武高校では、八神の潜入調査が続いていた。用務員の制服で校内を巡回し、森崎弥太郎の行動を監視。森崎はF組の陰キャ生徒、絵里の脅しで八幡の情報を集めていた。八神は森崎のスマホを遠くから観察し、絵里とのメッセージを盗み見る機会を狙う。雪乃と結衣は、奉仕部で八神と連携。

 

「八神さん、森崎君の動き、ありますか?」

 

八神はモップを手に床を拭きながら答える。

 

「奴、毎日何か絵里に報告してるな。証拠、掴むぞ」

 

結衣は八幡のことが心配そうに

 

「やーちゃん、横浜で大丈夫かな……」

 

「比企谷さん、藍沢さんと一緒なら安心よ。八神さん、頼みます」

 

八神はニヤリと笑いながら

 

「ま、任せな。絵里の尻尾、絶対掴むから」

 

八神は、最後の仕上げをするために動き出すのだった。

 

 

神奈川県内・昼・横浜市・異人町・浪漫通り。

 

横浜の異人町。私は叔母さんの家から出て、浪漫通りを歩いてた。藍沢さんとの再会から数日、彼女の言葉が頭に残ってる。「明けない夜はない」って。ほんと、藍沢、変わったよ。

 

中学の時、悪魔みたいな女だと思ってた人が、今は人助けのバイトしてるなんてね。

 

バイト戦士ドットコムの内職、封筒の切手貼りとか、千羽鶴作ったり。稼ぎ少ないけど、なんか達成感ある。

 

桜花叔母さんが「八幡さん、立派ですわ」って丁寧に褒めてくれる。怒るときも丁寧に怒るらしいけど、まだ見たことない。

 

みんなのメールで毎日励まされる。

 

雪乃の「調査進んでるわ」って。雪乃ってこういう時に頼りになる、本当心強いよ。

 

結衣の「やーちゃん、待ってるよ!」って明るい文面、心折れそうな時や不安でいっぱいな時も結衣の励ましが私に勇気を与えてくれる。

 

麦野さん、上条さんたちからも励ましのメールや近況報告などしてくれた。

 

そうだ、上条さんに写真集買ったよと報告したら、彼女から「写真集、ありがとう」って返信をもらった。

 

綾音や緑子、七海も彼女たちなりに私の為に動いてくれている。

 

そういえば、材木座の「新作、八幡モデルで書くぜ!」って。ちょっと怖いけど、嬉しいよ。これは彼なりに私を励ましてくれているとわかる。

 

平塚先生、謹慎中、大丈夫かな。八神さん、潜入捜査をがんばってくれてるらしい。絵里の影、久保親子の件、森崎君の関与、全部、暴いてくれるよね。異人町の空、なんか広い。千葉のモヤモヤ、ちょっと薄れる。

 

夏休み、みんなと過ごせたらいいな。奉仕部、戻れたら、雪乃や結衣に、めっちゃお礼言わなきゃ。私、比企谷八幡、こんなことで終わらないよ。

 

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
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