第1話ー夏休み。
比企谷家・朝・八幡の部屋
色々あって、高校2年生の夏休み前の終業式がやってきてしまった。塵山絵里の件で私は無実の罪で停学処分を言い渡され、自宅謹慎になった。
まあ私は横浜の叔母・桜花さんの家で、苦難を乗り越えていただけだけど。
みんなのおかげで私の無実は晴らされ、塵山絵里たちが逆に警察に逮捕されることになった。
もちろん久保の父親の弁護士も、黒い噂が表に出て、それが決定打となって逮捕されたわけだけど。久保の父親は前々から、弁護士としてはあるまじき行為をしていたみたい。真っ黒な人を無罪にしたり、無実な人に有罪にしたりと、あくどい弁護士だったってことね。
もう弁護士資格は剥奪されて名乗ることもできないわけだけど。それ以前に裁判を受けて、刑務所に入れられるわけで……。
二度と出てきて欲しくはないけど。私にとって一生忘れることのできないことを経験してしまった。それは良いことも悪いことも、両方ともだけどね。さっさと準備して、朝ごはんを食べないと。
比企谷家・朝・リビング。
私が朝ごはんを食べていると、妹の小町がやってきて、
「お姉ちゃんが隣にいる、いつもの日常が戻ってきたって実感する〜」
「小町にも心配かけたね」
「うん、心配してたよ」
「本当にごめんね」
私は小町の頭を撫でた。これも久しぶりの愛情表現ってやつなのかな。
「えへへ、お姉ちゃんに撫でられた。小町も」
そう言って小町は、私の胸を揉んできた。
「こ、小町!? あなたはどこを揉んでいるの!?」
「お姉ちゃんの胸、うーん? また大きくなった?」
「大きくなってないわよ!」
「小町センサーが大きくなったと反応してる」
「大きくなってないから!」
こんなやり取りをしていると、台所の奥からお母さんが怒ってきて、
「あんたたち! いつまでじゃれ合ってるの! さっさと朝ごはん食べてしまいなさい!」
「はい」
「は〜い」
私は普通にご飯を食べていただけなのに、小町に胸を揉まれただけなのに……。
ふふ、いつもの日常が戻ってきたって感じかな。私と小町は、朝ごはんを食べ終えると途中まで一緒に登校するのも、いつもの日常だった。こんな些細なことが懐かしいと感じるぐらい、塵山絵里の件で追い詰められていたわけね。
梅雨も明け、本格的な夏が到来して暑い中を歩いていく私。
本来なら自転車で行くのが通学スタイルだったのだけど、あの連中が私の自転車に何かしていたのもあったから、警察に押収されたんだっけ。
だから今は徒歩通学。それにしても日差しが暑い。
朝からこんなに暑いとなると、昼間は何度になるのかしら?
すれ違う人たちも、暑さにうんざりした表情で通り過ぎていく。私も暑さにため息をつきながら、テクテクと歩いて行く。
千葉県・総武高校・2年F組。
クラスに入ってくると、いつもの雰囲気であることがわかる。
事件が起こるまではそんなこと思ったこともなかったけど、非日常を経験すると、こういうことまでそう感じられるようになったんだと思う。麦野さんや上条さんがすぐに私の席までやってきて
「おかえり、比企谷」
「おかえりなさい、比企谷さん」
「ただいま、麦野さん、上条さん。それと、色々動いてくれてありがとう」
「当たり前だろ、友達なんだからさ」
「そうだよ、私たちは友達なんだから。助けるのは当たり前だよ」
結衣も三浦さんたちと話していたけど、私が来たことに気がついて
「やーちゃん、やっはろー」
「結衣、やっはろー」
私は結衣のメールでの励ましで、随分と元気づけられた。何事もない日常の会話だったけど、普通に日常を過ごせなかった私にとって、これが私の支えになっていたのだから。結衣がニコニコしながら
「やーちゃん、夏休み何して遊ぶ?」
「何して遊ぶって、家の中?」
「家の中って……やれることが限られるだろ?」
「静乃、比企谷さんはそれでいいって言ってるわけだから」
「外に出て遊んだ方が、家にこもってるよりいいと思うけど」
「それはそうかもしれないけれど……」
家の中にずっと籠もっていると、マイナスなことや嫌なことを考えてしまうのはよくあるかな。体を動かしていた方が、そんなこと考えずに済むけど……。
「やーちゃん、別に無理しなくてもいいんだよ。そういうのって自分のペースもあるわけだし」
「結衣、ありがとう。私、横浜で色々と考えたから。本当に自分がやりたいこととか……」
考える時間はいっぱいあったから、色々と考えてしまったかな。これからの将来のこととか、私自身が一体何をやりたいのか?そういうのも含めて色々と考えた。
その考えをこれから実行していきたいとは思っている。いきなり色々とは変われないから、自分なりに先に進もうと思っているわけだけどね。
それに私は1人じゃないことは、今回のことでよくわかったから。困った時は助けてくれる仲間がこんなにいるんだって、改めて思った。
この後は体育館に行って終業式が行われ、高校2年の1学期が終わるんだなと思う。本当に色々あったけど、ある意味思い出に残る出来事だったわけね。終業式が終わると、クラスのみんなはそれぞれに帰り出す。
私は担任の先生から、7月中は学校に出て、特別に授業をしてくれるというわけ。無期限停学のせいで、授業の単位も、期末テストも受けていないわけで、7月のラストにまとめてテストをすると担任の先生から言われてしまった。
仕方がない。みんなに追いつくためだから。
何もない7月の夏休みの予定が、学校で補習を受けるという予定が勝手に埋まったわけで。8月に入って何をしようか迷ってしまうわね。
それはさておき、今は奉仕部に顔を出しておこうかな。結衣とは色々話したけど、雪乃とはあれからほとんど直接話していなかったから。鞄を持った私は、奉仕部へ向かうのだった。
千葉県・総武高校・奉仕部。
奉仕部の方に来るの、ほんと久しぶりだな……。久保やその父親と対峙した直後に停学処分とかもらったわけだから。
時間的には約1ヶ月ぐらいしか経っていないけど、随分と時が経った感じがする。奉仕部の扉を開けると、そこにはいつものように椅子に座って本を読んでいる雪乃と、椅子に座ってスマホをいじっている結衣が、一斉に私の方に視線を向けてきた。
「いらっしゃい、比企谷さん……その、体調は良いのかしら?」
「体調は別に異常はないわ。ただ約1ヶ月間来ていないという違和感はあるけど」
「やーちゃん、教室でも言ったけど、無理をしなくてもいいんだよ?」
「ありがとう。私も奉仕部の一員だからね。随分と長く来てなかったから」
「あなたって人は……明日から夏休みね」
「世間的には夏休みだけど、私は7月中は学校だから……」
「やーちゃん、そういえば補習授業を受けるんだよね?」
「うん」
「比企谷さん、補習授業は午前中だけよね?」
「そうだね。私が希望すれば午後からもあるみたいだけどね」
「午後まで補習受けてたら、ほとんど1日潰れるじゃん」
「遅れているものを取り戻すなら、それぐらいしないと追いつけないのも事実。でも比企谷さんならすぐに追いついてくるわよ。あなたが私のライバルであるのよ。そうでないと困るわ」
「雪乃……まだ私をライバルと思っててくれてたんだ。うん、そうだね……ライバルと言われておかしくないと証明するために頑張る!」
私は雪乃の前でガッツポーズを決めて、それを見た彼女は少しニコッと笑って、
「楽しみにしているわね」
こんな話をしながら、奉仕部で放課後を過ごした私であった。
八幡の相手は誰が良いですか?
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1ー高橋雅史
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2ー葉山隼人
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3ー材木座義輝
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4ー戸部翔
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5ーその他