ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

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第2話です。


第2話ーこれが、私と雪ノ下の出会いである。

 

総武高校・放課後

 

放課後。昼休みに平塚先生から「職員室に来なさい」と言われたので、再び向かっているところ。早く帰って家でゴロゴロしたかったのに、なんでまた職員室に行かなきゃいけないの? 私の❝作文❞が原因なのはわかってるけど…それにしても「奉仕活動」って、一体何をさせられるんだろう?

 

【なんかめんどくさいことさせられる気がするんだけど…】

 

アニメの執事やメイドみたいな奉仕じゃないことだけは確か。どうせ学校の掃除とか、使わない備品の処分とか、そういう地味な作業でしょ。ため息が勝手に出てくる。誰かと変わりたい気分だけど、総武にそんなお友達はいないし。

 

とぼとぼ歩きながら職員室に到着。

 

総武高校・職員室

 

職員室に入ると、平塚先生が笑顔で手招きしてくる。なぜかニヤニヤしてるけど…絶対何か企んでるよね。

 

【来たな、比企谷】

 

【来ましたよ】

 

【それじゃ行くとしようか。ちゃんとついてきたまえ】

 

平塚先生は立ち上がり、さっさと職員室を出ていく。私も渋々後を追う。昼休みには言わなかったけど、この学校の作り、ちょっと変なのよね。上空から見ると、カタカナの「ロ」に似てる。

 

AV棟(視聴覚)をちょろっと付け足せば、総武高校の俯瞰図の完成。、それにしてもAV棟って名前、誰がつけたんだろ。紛らわしいよね。

 

話しがそれだけど、道路側に教室棟、向かい側に特別棟があって、2階の渡り廊下でつながってる。四角形の校舎に囲まれた中庭は、カップルたちの聖地。放課後もイチャイチャしてるのが見える。いつもの光景だから、もう慣れたけど。平塚先生、苦虫噛んだみたいな顔してるね。

 

特別棟に向かうらしい。音楽室、生物室、図書館がある棟。やっぱり私が想像した通り、掃除とかそういう系?

 

【あの~、平塚先生、私、力仕事はちょっと無理なんですけど…】

 

【力仕事じゃない。さすがに私はそんなことさせん。とにかくついてくればわかる】

 

力仕事じゃないなら、資料整理とか? それ、力仕事より面倒って聞いたことあるんだけど…。ビクビクしながら歩いてると、平塚先生がある教室の前で止まった。

 

【着いたぞ】

 

【着いたって…ここですか?】

 

プレートに何も書かれてない、平凡な教室。平塚先生がガラッと戸を開ける。中を覗くと、端に机と椅子が無造作に積まれてる。倉庫代わり? それ以外は普通の教室。

 

でも、1人の女子生徒がいた。窓際で本を読む。流れる黒髪ロング、スタイル良すぎ。女の私でも、綺麗すぎてちょっと腹立つレベル。彼女は私と平塚先生に気づき、栞を挟んで本を閉じる。

 

【平塚先生、入る時はノックを、とお願いしたはずですが?】

 

【ノックしても、君が返事した試しがないじゃないか】

 

【返事をする間もなく、先生が入ってくるからですよ】

 

雪ノ下さんの不満げな視線。…雪ノ下雪乃、2-J組、成績1位。国際教養科のエース。帰国子女って噂。J組って、なんか別世界っぽいよね。彼女の冷たい目が私を見る。…歓迎されてないな、これ。

 

【それで、その女子生徒は誰ですか?】

 

【彼女は比企谷八幡。入部希望者だ】

 

【2-F組、比企谷八幡です。…って、平塚先生、私、入部なんてしてませんよ!?】

 

【君にはペナルティとして、ここでの部活動を命じる。異論反論抗議質問口答えは認めん。しばらく頭を冷やせ、反省しろ】

 

作文一つでこんな目に…平塚先生、絶対根に持ってるよね!

 

【見ればわかると思うが、彼女は根性が腐ってる。そのせいでいつも孤独な、憐れむべきヤツだ】

 

【腐ってるって…目立ちたくないだけです! やろうと思えばやれますから!】

 

【人との付き合い方を学ばせてやれば、少しはまともになるだろ。彼女の捻くれた孤独体質を更生してくれ。それが私の依頼だ】

 

雪ノ下さんがめんどくさそうに口を開く。

 

【それなら、先生が叩くなりして躾ければいいと思いますが】

 

【雪ノ下さん、言ってること怖いんですけど!?】

 

【私だってできればそうしたいが、最近はうるさくてな。叩くくらいでも許されん】

 

暴力で更生!? この二人、普通じゃない…。

 

【平塚先生の依頼ですから、断れませんが…比企谷さんが女子だから引き受けます。もし男子だったら断ってました。正式に依頼を承りました】

 

【そうか。なら後は頼む】

 

平塚先生はそれだけ言うと、さっさと出て行った。私はポツンと残される。雪ノ下さんがいるから1人じゃないけど…何すればいいの? 時計の秒針がカチカチ響く。やけに大きく、ゆっくり聞こえる。

 

雪ノ下さんが私を見る。

 

【比企谷さん、いつまで突っ立ってるの? 座ったら?】

 

【は、はい…座ります】

 

言われるまま、近くの椅子に腰掛ける。雪ノ下さんはまた本を開き、ページをめくる音だけが響く。

 

【何か?】

 

【いや…私、平塚先生に何の説明もなく連れてこられたんですけど…】

 

雪ノ下さんはため息をつき、栞を挟んで本を置く。

 

【部の活動を始める前に、比企谷さんの観察力を試したいわ】

 

【私の観察力を試す?】

 

【ええ、それじゃあ、ゲームをしましょう】

 

【ゲーム?】

 

【そう。ここが何部か当てるゲーム。さて、何部でしょう?】

 

何部って…。文芸部とか? でも、部員が雪ノ下さんだけっぽいし…。

 

【雪ノ下さん、他に部員は?】

 

【いないわ】

 

1人で部活って、総武の規則どうなってるの?

 

【文芸部?】

 

だって、他に思いつかないし…。

 

【ハズレ】

 

鼻で笑われた!? なんかムキになっちゃうな。めんどくさいのは嫌いだけど、正解したい。

 

【ノーヒントじゃわからないです】

 

【仕方ないわね。最大のヒント。私がここでこうしてるのが活動内容よ】

 

本読んでるだけじゃん! 文芸部じゃないなら…。平塚先生が「奉仕活動」って言ってたのを思い出した。奉仕部…安直すぎ?

 

【奉仕活動部? もしくは奉仕部?】

 

雪ノ下さんが驚いた顔! まさか当たるとは思わなかったんだ。

 

【せ、正解よ。比企谷さん、よくわかったわね】

 

【まあ、平塚先生が『奉仕活動』って言ってたのを思い出しただけです】

 

【そう、平塚先生が…。コホン、比企谷さん、ようこそ奉仕部へ。歓迎するわ】

 

【歓迎って…私、入部したことになってるんですか!?】

 

【そうね。平塚先生によって入部させられたのよ】

 

平塚先生、独裁者!?

 

【平塚先生曰く、優れた人間は哀れなものを救う義務がある、だそうよ。頼まれた以上、責任は果たすわ。あなたの問題は矯正してあげる。感謝しなさい】

 

貴族の責務(ノブレス・オブリージュ)ってこと? 腕を組む雪ノ下さん、貴族っぽい雰囲気。確かにこの容姿なら納得。

 

私が憐れみの存在って…疲れるな。そこへ、ドアがガラッと無遠慮に開く。

 

【雪ノ下、邪魔するぞ】

 

【平塚先生、ノックを…】

 

【悪い悪い、気にせず続けてくれ。様子を見に来ただけだ】

 

雪ノ下さんのため息に、平塚先生は鷹揚に笑う。壁に寄りかかり、私と雪ノ下さんを交互に見る。

 

【仲良さそうで結構なことだ】

 

【【どこがですか!?】】

 

私と雪ノ下さん、思わずハモっちゃった。

 

【仲いいじゃないか。比企谷、この調子で捻くれた根性の更生と腐った目の矯正に努めたまえ。じゃ、私は帰る。君たちも下校時刻までには帰れよ】

 

帰るかと思いきや、平塚先生が振り返る。

 

【おっと、説明しとかなきゃな。これから君たち二人には勝負をしてもらう。この部屋に迷える子羊が来るだろう。子羊たちの自己変革を促し、悩みを解決することだ。私が改革が必要だと判断した生徒をここへ導く。精神と時の部屋だと思えばいい。それとも…】

 

【平塚先生、それ以上は言わない方がいいと思います】

 

【そうね、年甲斐もなくはしゃぐのはやめてください。ひどくみっともないです】

 

【とにかく、勝負はしてもらう。拒否権はなしだ】

 

話が勝手に進んでる! 私の更生が勝負!? それとも、迷える子羊を救う? そんな大それたこと、私にできるわけない!

 

【勝負の査定は私が下す。基準は私の独断と偏見だ。あまり意識せず、適当に適切に妥当に頑張りたまえ】

 

平塚先生はそれだけ言うと、今度こそ教室を出て行った。残されたのは私と雪ノ下さん。会話ゼロ。静寂を破るのは、ジーっという音。チャイムの前兆だ。合成っぽいメロディーが流れ、完全下校時刻を知らせる。

 

雪ノ下さんはパタリと本を閉じ、本をカバンにしまうと立ち上がる。

 

【比企谷さん、お疲れ様。お先に失礼するわ】

 

さっさと帰って行った。夕陽が差し込む教室に、私だけ取り残される。

 

【はぁ~】

 

盛大なため息。今日、めっちゃ長かった。作文からこんな大事になるなんて…真面目に書いとけばよかった。

 

【今さら言っても後の祭りだけどね】

 

鞄を手に、教室を出て帰路についた。

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
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