ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

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第4話です。


第4話ー再び平塚先生に連れられる。

 

総武高校・昼前・グラウンド

 

3時間目、体育の時間。この時期の体育は基礎体力測定。小学校から変わらない、毎年恒例の地味な試練。1年生の時は、2人1組でやる測定で、奇数だと1人余る。その余りが私。それを見た体育教師が

 

【じゃあ俺と組むか!】

 

言ってくれたけど、断ることもできないし、しぶしぶ承諾した。

 

体育教師とペアでやって、周りからクスクス笑われた。悪目立ちじゃないから気にしてなかったけど、2年生も同じ運命か…と思ってたら。

 

【比企谷、ペア組む相手いないなら、一緒にやろう】

 

【え?麦野さんが1人!?】

 

麦野さん、突然の提案。

 

【組む相手いないからさ】

 

麦野さんも1人って、 見た目が強めだから、近づきにくいのかな。

 

【私も…まあ、いないし】

 

【なら、余りもの同士で組もう】

 

【余りものって…】

 

言葉どおりすぎるけど、間違いじゃないよね。

 

【うん、いいよ】

 

断る理由もないし、承諾。

 

50m走、反復横跳び、走り幅跳び、走り高跳び、垂直跳び…こんなの、日常生活に関係ないよね。最低限の体力でいいじゃん。一方、三浦さん達、陽キャ女子の一部は、男子の測定見てキャーキャー騒いでる。見ると、男子が100m走のタイム計測中。葉山君が走ったみたいで、だから騒ぎ。

 

海浜総合高校でも、雅史が走ったらこうなるんだろうな…。麦野さんも葉山君の方見て。

 

【葉山、女子にキャーキャーされてるね】

 

【そうね】

 

【そうね、って、比企谷、興味ない?】

 

【別に】

 

【ふーん】

 

葉山君が近づいてきたら、取り巻きの女子の怒りだけで平穏が終わる。中学のトラウマ、こりごり。麦野と一緒に50m走をさっさと終え、反復横跳びへ。

 

後で聞いたけど、葉山君、私の方をちらちらと見てたらしい。やめてよ、その視線で取り巻きに威圧されるんだから…。

 

ハンドボール投げも適度に。地味に測定を終えた。

 

 

総武高校・昼・教室

 

やっと昼休み、お弁当タイム。昨日、平塚先生に職員室呼ばれ、奉仕部に連行され、雪ノ下さんと出会い、強制入部。今日も奉仕部行くの、憂鬱…。鞄からお弁当出し、食べ始める。

 

体力測定、麦野さん、足速いし、走り幅跳びもすごかった。アニソン好きで運動も得意、なんか羨ましい。おかずを口に運びながら考える。そこへ、麦野さんが購買からパン2つ持って戻ってきた。…なんか怒ってる?

 

【ったく、焼きそばパン買えなかった】

 

席にドスンと座る。

 

【比企谷、ちょっと聞いてくれ】

 

【え? 何?】

 

【前の男子…先輩だったけど、最後の焼きそばパンを買ったんだ】

 

【焼きそばパン…】

 

麦野さんが狙ってた焼きそばパンを、先輩男子が購入。交換を頼んだら断られ、2つのパンとの交換も拒否されたらしい。私なら2つのパンと交換するけど、その先輩、よっぽど焼きそばパン好きだったんだね。

 

【先輩、焼きそばパンに命かけてたみたい】

 

【焼きそばパンで命かけてるって……それは褒めていいのかな?】

 

焼きそばパンの話題から麦野さんの視線は、机の上に広げている私の弁当を見ていた。

 

【比企谷、いつも弁当だけど、自分で作ってる?】

 

【たまに作るけど、ほとんどお母さん】

 

【お母さんが作るのか…いいな】

 

【…麦野さんのお母さんは作ってくれないの?】

 

【ハハ、恥ずかしい話、うち、母子家庭でさ。お母さん、1日中働いてる。料理してみたけど、うまくいかなくて…】

 

母子家庭…お母さんに全てがかかってるんだ。私、恵まれてるな…。

 

【比企谷、なんで暗い顔? 気にするなよ。お母さんと2人でも、幸せだから】

 

【麦野さん…】

 

【暗い顔だと弁当まずくなるよ。笑顔で食えよ】

 

麦野さん、クリームパンをパクリ。私も箸を動かし、弁当を再開。

 

 

総武高校・放課後・2年F組

 

ホームルーム終了。トイレで時間潰し、教室に戻って帰ろうとしたら、平塚先生に捕まった。仁王立ちで『帰すか!』オーラ全開。なんなの、この人…。

 

【比企谷、部活の時間だ】

 

【はぁ…】

 

ゴロゴロタイムがまた消滅。雪ノ下さんと顔合わせるの、憂鬱。平塚先生、私の腕を掴もうとする。スルッと交わす。ズイッと再び手を伸ばされ、ヌルリと避ける。

 

【あの、1つよろしいですか? この学校、生徒の自主性を尊重し、自立を促す教育方針じゃなかったですか?】

 

【残念だが、学校は社会に適応するための訓練の場だ。社会じゃ君の意見は通らん。今のうちに強制に慣れたまえ】

 

鋭い目で睨まれ、拳握ってる。私、男だったら絶対パンチくらってた…。

 

【次、逃げたらわかってるな? 私を煩わらせないでくれ】

 

次、拒否したら叩かれる確定!? 痛いの嫌いなのに…。

 

歩きながら、平塚先生が思い出したように。

 

【ああ、そうだ。次逃げたら、雪ノ下との勝負は問答無用で君の不戦敗だ。ペナルティも科す。3年で卒業できると思わない方がいい】

 

逃げ道、完全封鎖!? ゴロゴロタイム永久没収!? 作文の恨み、いつまで…。地獄の階段登ってる気分。

 

【平塚先生、いい加減、腕離してください。逃げませんから】

 

【寂しいこと言うな。私が一緒に行きたいんだよ】

 

優しげな微笑み。普段の吊り目とギャップありすぎて、ビックリ。

 

【君を逃がして後で苦労するなら、嫌々でも連行した方が私のストレスが少ない】

 

【何、その理由!?】

 

【嫌で嫌で仕方ないが、君を更生させるために付き合ってやってる。美しい師弟愛いうやつだ】

 

【師弟関係じゃないです! 気持ち悪いもの押し付けないで!】

 

【さっきの言い訳といい、捻くれてるな。秘孔が逆の位置にあるんじゃないか? 聖帝十字陵作るなよ?】

 

【なんで私が聖帝十字陵!? 中二病じゃないです!】

 

【もう少し素直なら可愛げがあるぞ。比企谷、素材はいいんだから、普通にしてれば男子にモテるぞ。なんで世の中を斜めに見る? 楽しくないだろ?】

 

【面倒事が舞い込むから、目立たず静かに暮らしてるんです】

 

【目立たず静かにって、お前な】

 

【価値観の押し付けもどうかと思います】

 

いつまで続く、このやり取り…。平塚先生、疲れた声で。

 

 

【はぁ~…そういえば、君、アニメ好きか?】

 

【まあ、好きですけど】

 

【一般文芸は? 東野圭吾、伊坂幸太郎は?】

 

【人並みに】

 

【好きなライトノベルレーベルは?】

 

アニメ、文芸、ライトノベル…決まってるよね。

 

【ガガガ、講談社BOX、電撃文庫。あと、ライトノベルじゃないけど、歴史小説】

 

【…期待を裏切らないな。立派な高二病だ】

 

高二病!? 中二病の上位互換? 違うよね…。平塚先生、説明開始。

 

【高二病は高二病だ。高校生特有の思想。ひねくれてるのがカッコいいとか、『働いたら負け』とかネットで流行る意見を言いたがる。売れてる作家や漫画家に『売れる前の作品が好き』とか言う。メジャーを馬鹿にし、マイナーを褒める。同類のオタクも馬鹿にする。悟った雰囲気でひねくれた理論を出す。一言で、嫌なやつ】

 

【…私がそう見えてます?】

 

【いや、世間一般論だ。近頃の生徒は器用で、現実と折り合いをつける。教師としては張り合いがない。工場で働いてる気分だ】

 

【近頃の生徒、ですか】

 

『近頃の若者』って、明治から言われてるよね。歴史の繰り返し。価値観は時代で変わる。

 

【君、言いたそうな顔してるな。それが高二病だよ】

 

【私が?】

 

【勘違いするな、割と本気で褒めてる。考えるのを放棄しない人間、好きだよ。捻くれてるけどな】

 

不思議な褒められ方…初めてかも。

 

【そんな捻くれた比企谷から、雪ノ下雪乃はどう映る?】

 

【…苦手なタイプかな】

 

【そうか】

 

平塚先生、苦笑。

 

【優秀な生徒だが、持つものは持つもので、苦悩もある。けど、優しい子だ】

 

雪ノ下さん、ムカつく雰囲気だけど、色々くぐり抜けてきた感じはある。私と同じ経験を、違う方法で乗り越えたのかも。それで、誰かを救いたいって思うようになった?

 

【彼女もどこか病気なんだろうな。優しくて正しいものを正したい。だが、世の中は優しくも正しくもないから、生きづらいだろう】

 

【そうですね】

 

世の中、良い方には動かない。悪い方にはすぐ動くのに。

 

【君も雪ノ下もひねくれてて、社会に適応できなさそうなのが心配だ。だから一箇所に集めたくなる】

 

【平塚先生、私達、隔離病棟の患者ですか!?】

 

【そうかもな。けど、君達みたいな生徒は面白くて好きだ。手元に置きたいだけだ】

 

楽しげに笑う平塚先生。私の腕、未だに掴んでる。諦めて歩く私だった。

 

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
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