ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

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第5話です。


第5話ー八幡と雪乃は少しずつ歩み始め、2人への依頼が舞い込んでくる。

 

総武高校・放課後・特別棟

 

特別棟の入り口で、平塚先生が何か一言呟いて職員室へ戻った。ポツンと残された私は、ため息をつきながら特別棟へ。

 

静まり返った一角、ひんやりとした空気。他の部活の喧騒も届かない。雪ノ下さんの雰囲気? わかんないけど。

 

部室の扉に手をかける。帰りたいけど、平塚先生の監視の目が背中に感じる。逃げたら不戦敗って…負けた気がするのも嫌。自分らしくいればいい。雪ノ下さんに構いすぎると、おかしくなるだけ。

 

部室の扉を開くと、雪ノ下さん、昨日と同じ姿勢で本を読んでる。

 

【雪ノ下さん、こんにちは】

 

最低限の挨拶。

 

【比企谷さん、こんにちは。もう来ないかと思ったわ】

 

笑顔で言われても、反応に困る…。

 

【来たくて来たんじゃない。不戦敗が嫌なだけ】

 

【ふふ、貴女、意外と負けず嫌い?】

 

【かもしれないね】

 

負けるより勝ちたいよね。

 

【なるほど】

 

雪ノ下さん、本をペラペラ。私のことは二の次? なら、こっちも。鞄から歴史小説出し、読み始める。雪ノ下さん、チラッと私の本見て、また自分の本へ。

 

【比企谷さん、歴史小説好きなの?】

 

【うん。なんか悪い?】

 

【悪くないわ。近年、歴史の見直しが多いものね】

 

定説が覆ったり、盛られたり、多いよね。

 

【歴史小説は小説として楽しむだけ。現実にあーだこーだ言うつもりないよ】

 

【そう。てっきり、そういうタイプかと】

 

【ちょっと、私を何だと思ってるの?】

 

フィクションとノンフィクション、わかるよ!

 

【違ったなら、ごめんなさい。貴女、てっきり私を排除するタイプかと】

 

【排除?】

 

【そう。私、昔から可愛いから、男子はみんな好意持ちだったわ】

 

可愛い発言は置いといて…わかるよ。雅史も甘いこと言ってきて、女子の標的にされた。

 

【小学校高学年から、ずっと】

 

【私は中2から中3の途中だけ】

 

雪ノ下さん、5年か。私には綾音、緑子、七海がいたけど、雪ノ下さんには…いないよね。あんなの5年、耐えられない。不登校だったかも。

 

【貴女も、そういう経験あるのね】

 

【うん。短いけど】

 

【排除してくる人たちは、理性のない獣。禽獣にも劣る。私の学校も、そういう人が多かった。存在意義をそんな行為でしか確かめられない、哀れな人たち】

 

雪ノ下さん、鼻で笑う。私と雪ノ下さん、女子に嫌われる女子。綾音たちは味方だったけど、他は敵。

 

【小学生の時、上履き60回隠された。50回は女子】

 

【60回!? どんだけ!?】

 

私も隠されたり、画鋲やトイレ…思い出すと腹立つ! 残り10回は?

 

【…残りは?】

 

【男子が3回、教師が2回、犬が5回】

 

【教師!? 変態教師いたの!? 犬って…校庭の野良犬!?】

 

【まあ、そのおかげで、上履きもリコーダーも持ち帰ったわ】

 

うんざり顔の雪ノ下さん。私も中2から持ち帰った。

 

【雪ノ下さん、大変だったんだね】

 

【ええ、まあ、仕方ないわ。私、可愛いから】

 

【自分で言えるの、尊敬するよ】

 

その自信、嫉妬を煽るよね。

 

【人は完璧じゃない。弱くて、醜くて、嫉妬して、貶す。優れた人間ほど生きづらい。この世界、おかしい。だから変えるわ】

 

目、ドライアイスみたい。

 

【一理あるけど、1人で変えるなんて無理だよ】

 

【やる前から諦めるなんて、つまらないわ。やって諦めるならまだしも】

 

ふいっと窓の外。やる前から諦めたくないけど、面倒事は嫌い。静かに暮らしたい。

 

ふと、綾音の声。

 

【『八幡、才能を活かさないなんてもったいない!』】

 

綾音、緑子、七海、お母さん、小町…気づかないふりしてた。平塚先生の「持つ者の苦悩」。私は逃げてただけ。静かに凌いだだけ。

 

雪ノ下さん、自分に正直。なら、私、歩み寄ってみよう。

 

【雪ノ下さん、私と友達にならない?】

 

【比企谷さんと? ……】

 

少し考えて、私を見る。

 

【…そこら辺の女子とは違うみたい。友達は…まあ、話し相手ならいいわ】

 

【そこは「嬉しい」って言おうよ】

 

雪ノ下さん、ちょっと照れ隠し。ほんの少し。これで、私と雪ノ下さん、ちょっと進んだ。

 

総武高校・放課後・奉仕部

 

完全下校のチャイム。雪ノ下さん、本を鞄に。

 

【比企谷さん、お疲れ様。今日は少し有意義だったわ】

 

【私もね】

 

【じゃあ、明日】

 

雪ノ下さん、さっさと出て行った。5年間、あんな目に耐えたメンタル、ほんとすごい。私なら、綾音たちいなかったら折れてた。尊敬するよ。

 

【さて、帰るか】

 

歴史小説を鞄に入れ、教室を出る。夕陽のグラウンドでは、サッカー部が練習。人数、少ない? 海浜総合はレギュラー、補欠、補欠にもなれない部員で溢れてた。総武も練習はしてるけど、葉山君が目立つ。取り巻き女子、試合でもないのに応援?

 

【試合じゃないのに、応援する意味ある?】

 

静かな特別棟の廊下を歩く。麦野さん、昨日この時間にいたってことは、どこかで寝てた?

 

麦野さん、昼は屋上で寝てるって噂だけど放課後も? まさかね。ちょっと行ってみよう。

 

総武高校・放課後・屋上

 

屋上、麦野さんいない。当たり前か、チャイム後だし。西に沈む太陽、綺麗。黄昏ってやつ? 昔の映画、『黄昏の〇〇〇』って武士の話、良かったな。内容は…まあ、いいや。

 

太陽も沈んできた。帰ろう。

 

総武高校・放課後・靴箱

 

靴箱へ向かうと、男子がウロウロ。気にせず靴を取ろうとすると、慌てて外へ走り出した。…隣のクラスの久保美津雄? 1年で同じクラスだった。イベントでコンビ組んだことある。この時間に部活? 校舎、薄暗いし、早く帰ろう。上履きを靴に履き替え、そそくさ校舎を出る。

 

総武高校・午後・職員室(数日後)

 

また平塚先生に呼び出された。理由はわかってる。家庭科の調理実習、体調悪くて保健室で寝てた。鶴見先生に連絡済みで、レポート提出の指示。なんで平塚先生に? 鶴見先生が渡した? 現国の教師なのに…。

 

【家庭科の調理実習、体調悪かったのか?】

 

【はい、前日にちょっと…】

 

【サボりじゃなさそうだな】

 

【はい】

 

平塚先生、私のレポートをジーッと読む。おかしいこと書いた? 『高校生活を振り返って』みたいに白紙じゃないよ。カレーの作り方、ちゃんとまとめたのに。驚いた顔で。

 

【このレポート、全部君が書いたのか?】

 

【そうですけど?】

 

【いや、『高校生活を振り返って』から見ると、別人みたいで、ちょっと疑った】

 

【料理はちゃんと書きますよ。好きですから】

 

【料理できるのか?】

 

【ええ、小学校高学年から、母さんと一緒に】

 

【一人暮らしでもしたいのか?】

 

【別に】

 

【ふぅん?】

 

なんで?って顔の平塚先生。

 

【料理は主婦の必須スキルですから】

 

平塚先生、マスカラ縁取られた瞳をパチパチ。

 

【専業主婦になりたい?】

 

【選択肢の1つかな】

 

【胸張って言うな。参考までに、将来設計は?】

 

【高校卒業後、大学進学】

 

頷く平塚先生。

 

【就職は?】

 

【優秀な男性と付き合って、結婚して専業主婦】

 

【比企谷、職業って聞いてるんだが?】

 

【専業主婦】

 

【はぁ~、真面目に答えろ】

 

最初は専業主婦なんて思わなかったけど、学校が社会の縮図なら、会社にも❝あの女❞みたいなのがいるよね。ずっと同じ場所で、目をつけられたら終わり。いじめに耐えるなんて無理。

 

【やはり、奉仕部で勤労の尊さを学んできたまえ】

 

プレッシャー全開で黙らせ、職員室から押し出す。ドア、バン!

 

異論反論抗議質問口答え、認めないやつ! 奉仕部へ行かせる気満々。無言の圧力、ビシビシ。雪ノ下さんが待つ奉仕部へ向かうしかない。

 

 

総武高校・午後・奉仕部

 

部室に着くと、誰かが出てきた。依頼者? 男子の声、聞き覚えが…。

 

【雪ノ下さん、部活、頑張って】

 

【ええ、あなたもね】

 

男子が扉を閉め、私を見て。

 

【あれ? 比企谷さん、奉仕部に用?】

 

なんで私のこと…? 男子が名乗る。

 

【同じクラスなんだけど、俺、龍造寺隆信】

 

龍造寺隆信! 戦国大名みたいな名前、熊さんみたいな雰囲気。自己紹介しか知らない。野球部で、放課後、グラウンド整備してる姿、よく見る。

 

【龍造寺君、奉仕部に依頼?】

 

【まあ、前に依頼して、今はアドバイスもらってる】

 

【アドバイス? 】

 

【英語だよ】

 

メジャー目指してる? いや、まずプロ野球だよね。外から野球部の掛け声。

 

【比企谷さん、練習始まった! 部長に怒られる、じゃあ明日!】

 

鞄と野球道具持って、走り去った。雪ノ下さん、私の知らない間に依頼こなしてたんだ。龍造寺君の依頼、気になるけど、詮索はダメよね。

 

部室の扉を開ける。雪ノ下さん、指定席で本読み。私も指定席に座り、本を出そうとしたら。

 

【比企谷さん、廊下で龍造寺君と話してた?】

 

【うん、彼から話しかけられて、無視もね】

 

【同じクラスの男子だし、話すよね】

 

【雪ノ下さん、彼に英語のアドバイス?】

 

雪ノ下さん、本を置く。

 

【アドバイスしただけ。あとは彼の頑張り次第】

 

龍造寺君、英語のリスニング、ペラペラだった。教師が褒めてたの、覚えてる。雪ノ下さんのおかげ?

 

【彼の英語、めっちゃ綺麗だよね】

 

【当たり前よ。彼も帰国子女。英語圏じゃなく、フランス語圏とスペイン語圏が混ざるエリア】

 

【南フランスあたり?】

 

【大雑把だけど、そう】

 

雪ノ下さんによると、高1の途中で編入。国際教養科を目指したけど、空きがなく、普通科に。日本語ペラペラだから問題なし。何カ国語も話せるの、羨ましい…。

 

龍造寺君の話終わり、互いに本読み。

 

2、3分後、弱々しいノック。

 

【どうぞ】

 

雪ノ下さん、栞を挟み、本を置く。

 

【し、失礼しまーす】

 

上ずった声。戸が開き、隙間から女の子が滑り込む。見られるのを避ける動き。ピンクのウェーブヘア、肩まで。視線キョロキョロ。私と目が合い。

 

【え、ヒキタニさん!?】

 

陽キャグループの由比ヶ浜結衣。最初の依頼者?

 

【なんでって、部員だからいるんだけど】

 

短いスカート、ブラウスボタン3つ開け、ハートネックレス。校則無視の今時女子。同じクラス、話したことほぼなし。

 

【とにかく、座って】

 

椅子を勧める。

 

【ありがと、ヒキタニさん】

 

【ヒキガヤね】

 

【ごめん!ヒキガヤさん】

 

申し訳なさそうに座る。

 

 

【由比ヶ浜結衣さん、ね】

 

【あたしの事、知ってる?】

 

【雪ノ下さん、J組なのに】

 

【知らなかったわ】

 

【そ、そうだったね】

 

冷たい視線、思い出した。

 

【今は覚えた。忘れない】

 

【誇らしげに?】

 

変な子…。

 

【なんか、仲良さそう!】

 

【愉快な部活じゃないけど?】

 

【自然って思っただけ! ヒキガヤさん、クラスと全然違う。ちゃんと喋るんだーって】

 

【麦野さんとしか話さないしね】

 

【そっか】

 

由比ヶ浜さん、依頼を話し始めた。




すいません、7時投稿になりました。

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
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