ヤハタちゃんの青春ラブコメはできるのだろうか?   作:龍造寺

9 / 27
第8話です。


第8話ー剣豪将軍!?その名は材木座義輝。

 

総武高校・放課後・特別棟廊下

 

次の日、昼休みに雪ノ下さんに平塚先生の手紙の話をする。【わかったわ】と表情変えずに去る。

 

由比ヶ浜さんじゃないし、細かく説明しなくてもいいか。奉仕部の前につくと、雪ノ下さんと由比ヶ浜さんが廊下で教室を覗いてる。

 

【2人、何してるの?】

 

【ひゃうっ!】

 

由比ヶ浜さん、ビクッと跳ねる。カマクラが夜中のリビングで驚くみたい。

 

【比企谷さん…びっくりした…】

 

【驚くのはこっちだよ】

 

【いきなり声かけないでくれる?】

 

雪ノ下さん、氷の目で睨む。カマクラそっくり。

 

【驚かせたならごめん。でも、教室に入らず何?】

 

由比ヶ浜さん、扉を少し開けて中を覗き。

 

【部室に不審人物が…】

 

【不審人物?】

 

2人の方が不審者に見えるよ。

 

【いいから、中見てきて】

 

雪ノ下さん、私を不審人物に差し出す? 私が安全って理由、知りたいよ。ため息ついて、扉を開ける。一陣の風が横を抜ける。海辺の学校特有の潮風。プリントが散らばる。

 

【あ〜…】

 

小声で呟き、拾う。すると、目の前に人影。

 

【クククッ、こんなところで出会うとは、待ちわびたぞ、比企谷八幡!】

 

【は? 待ちわびたって何?】

 

ストーカー!? 怖いんだけど。見ると、知ってる顔。材木座義輝。中学からコートと指ぬきグローブ。名前、足利義輝と同じで覚えてる。今も変わらず。

 

【比企谷さん、知り合い?】

 

雪ノ下さん、私の背中に隠れ、軽蔑の目で私と材木座君を見比べる。

 

【まさか、お主が総武にいるとは、驚きだ!】

 

【私がどこ行こうと、関係ないでしょ】

 

【ヤーちゃん、知り合い?】

 

由比ヶ浜さんの「ヤーちゃん」、あだ名らしい。雪ノ下さんが「ゆきのん」、私が「ヤハタ」で「ヤーちゃん」。彼女らしい。

 

【中学一緒なだけ】

 

【嘘はよせ!我とお主、語り合った仲だ!】

 

雪ノ下さんと由比ヶ浜さんの目、冷たっ! 誤解招く発言やめて!

 

【語り合うって、やめてよ!】

 

材木座君に近づき、口を塞ぐ。【無駄話に来たんじゃないよね?】

 

目で訴えるから、手をどかす。

 

【平塚教諭の導きで、八幡、お主は我の願いを叶える義務があるな! 八幡大菩薩の導きか!】

 

【奉仕部は願いを叶えない。手助けするだけ】

 

【ふむ…では、我に手を貸せ。かつてのように天下を握らん!】

 

【天下? なんで呼び捨て!】

 

雪ノ下さんと由比ヶ浜さんのジト目、精神削られる! 材木座君、室町幕府の話ばっか。転生者かよ。

 

【いつまで室町の話!?】

 

雪ノ下さん、室町は知ってるけど、由比ヶ浜さん、蒼ざめて引いてる。

 

【比企谷さん、ちょっと】

 

雪ノ下さん、袖を引いて耳打ち。

 

【剣豪将軍って何?】

 

【十三代将軍足利義輝。材木座君、転生したとか言ってるだけ…中二病】

 

【ちゅーに病?】由比ヶ浜さん、聞き耳。【ヤーちゃん、病気?】

 

【病気じゃない。男の子が…カッコつけたい時期。特別な存在って騒ぐ】

 

なんで私が中二病説明してるの?

 

【え?】

 

由比ヶ浜さん、意味わからず、嫌そうな顔。雪ノ下さん、納得。

 

【自分で設定作って芝居してるのね】

 

【そう。材木座君、足利義輝がベース。名前同じだし】

 

【仲間って何?】

 

【私の名前、八幡。八幡大菩薩、清和源氏の武神。鶴岡八幡宮、知ってるね?】

 

【知ってるわ】

 

雪ノ下さんなら当然。由比ヶ浜さん、ポカン。

 

材木座君との出会いは、私へのいじめがなくなった後。別の女子たちが材木座君をいじめてた。彼、今みたいなことやってて、気持ち悪いって標的に。

 

書いた小説破られたくなければ、私に偽告白しろって脅されてた。私はYESもNOも言わず。偽告白、知ってた。女子たちがトイレで大声で話してて、個室で聞いてたから。彼、アニメやゲーム好きで、小説書いてた。

 

それをバカにされ、いじめられた。友達いないって言われたから、私も助けられた身、放っておけなかった。面倒嫌いな私が、首突っ込んで、いじめっ子女子たちを懲らしめた。お礼言われた時、小説完成したら見せるって言ってたっけ。

 

その後、あんま話してなかったけど、総武にいるなんて。ただ、今の材木座君、中二病こじらせすぎ。

 

【比企谷さん、依頼は心の病を治す?】

 

雪ノ下さん、鋭い。

 

【八幡、汝との契約で、朕の願いを叶えん! 崇高な欲望だ!】

 

材木座君、私見て、一人称ブレブレ!

 

【話してるの、私よ。人の顔見なさい】

 

雪ノ下さん、冷たく、材木座君の襟掴んで正面に。礼儀にうるさいのに、自分は…。襟離すと、材木座君、ゲホゲホ咳き込む。キャラ作る余裕なし。

 

【モ、モハハハ…】

 

【その喋り方もやめて】

 

雪ノ下さんに冷たくあしらわれ、材木座君、黙って下向く。容赦ない攻撃で、サンドバッグ状態。もうライフ0よ。

 

【とにかく、病気を治す?】

 

【…病気じゃない、ですけど】

 

私を見てくるな! 雪ノ下さんに怒られるよ! 材木座君、余裕なく、原稿用紙を雪ノ下さんに見せる。

 

【これは?】

 

【原稿用紙!? まさか!】

 

由比ヶ浜さん、驚く。

 

【ふむ、通じるか。伊達に地獄の時間を共にしてないな】

 

【誤解招くこと言わないで!】

 

ジト目。雪ノ下さんから原稿渡され。

 

【小説の原稿ね】

 

【いかにも。ライトノベル、新人賞に応募する。友達いないから感想聞けん。読んでくれ】

 

【悲しいことさらっと…】

 

【感想なら、投稿サイトやスレに上げれば?】

 

【無理だ。奴ら、容赦ない。ボコられたら死ぬ】

 

ネットは辛辣。友達なら気使うかも。

 

【私は勧めないよ…】

 

雪ノ下さん見る。容赦なさそう。

 

【雪ノ下さん、怖いと思う】

 

原稿を私、雪ノ下さん、由比ヶ浜さんで持ち帰り、一晩読むことに。

 

総武高校・放課後・靴箱

 

材木座君が先に帰り、雪ノ下さん、由比ヶ浜さんと奉仕部の教室で別れた。

 

材木座のライトノベル原稿、持ち帰ったけど……読むの面倒だな。雪ノ下さんの容赦ない感想が目に浮かぶし、由比ヶ浜さんは「頑張ってるね!」で終わりそう。まぁ、明日考えよう。

 

図書室に寄って、借りてた推理小説を返却。高校の図書館にこんな最新の本置いてるなんて、意外とやるじゃん、総武。

 

さて、帰ろうと靴箱に向かうと、バスケ部の練習着姿の麦野さんが走ってくるのが見えた。汗で髪が少し張り付いてて、なんかカッコいい。向こうも私に気づいたみたい。

 

【比企谷、今帰りなの?】

 

【うん、部活終わって帰るところだよ】

 

麦野さん、ちょっと息切れしてるけど、目がキラキラしてる。バスケ部、練習キツいって聞いてたけど、こんな遅くまでやってるんだ。

 

【なあ、比企谷。ちょっと時間ある?】

 

【時間? まあ、帰るだけだけど……】

 

嫌な予感。奉仕部でさんざん面倒事に巻き込まれてるのに、また何か? でも、麦野さんの真剣な顔見ると、断りにくいんだよね。

 

【バスケの練習、付き合ってくれない?】

 

【は? バスケ?】

 

【他の部員、みんな帰っちゃってさ。1人でシュート練習してるんだけど、相手いないと限界あるんだよね】

 

麦野さん、体育館の方をチラッと見て、ちょっと恥ずかしそう。珍しいな、いつも強気なのに。次の言葉で、ピンときた。

 

【次の週の日曜、海浜総合と練習試合なんだ。レギュラーになりたくてさ。勝ちたいんだよ】

 

【海浜総合?】

 

その名前で、頭に浮かんだのは綾音。雪柳綾音、海浜総合のバスケ部エース。

 

中学の時、綾音と七海の練習に付き合ってたら、私もバスケそこそこ上手くなっちゃってたっけ。でも、海浜総合か……。綾音に会うの、ちょっとドキドキするな。

 

【私、運動はあんまり……】

 

断ろうとしたけど、麦野さんの目がマジすぎる。レギュラーになりたい、勝ちたいって気持ち、なんか響くんだよね。奉仕部で雪ノ下さんと勝負してる私と、どこか似てる気がする。

 

【……まぁ、いいよ。手伝うだけなら】

 

【マジ!? 助かる! 体育館行こう!】

 

麦野さん、ニヤッと笑って私の腕引っ張る。ちょ、ちょっと強引! でも、嫌いじゃないよ、こういうの。

 

 

総武高校・体育館・バスケコート。

 

体育館の更衣室で、体操服に着替える。制服だと動きにくいし、汗で汚れたら面倒だしね。麦野さん、すでにコートでボール持って待ってる。

 

体育館の床、ピカピカで、なんか懐かしい。小学生の時、綾音たちに連れられて3×3やってたっけ。嫌々だったけど、楽しかったな。

 

【比企谷、遅い! 準備できた?】

 

【はいはい、来たよ】

 

コートに出ると、麦野さんがボールパスしてくる。軽くキャッチ。うわ、久しぶりなのに体が覚えてる。綾音のスパルタ練習、役に立ってるじゃん。

 

【なあ、比企谷。練習試合、マジで勝ちたいんだ。海浜総合の雪柳綾奈、めっちゃ強いからさ】

 

【綾音、ね……】

 

麦野さん、綾奈は妹の名前、でも綾音のこと知ってるんだ。まぁ、バスケ部なら県内の強豪校のエースくらい知ってるか。私と綾音が中学一緒だった話、したっけ? まぁ、いいや。

 

【雪柳に勝ちたい。レギュラー取るには、あいつに勝たなきゃ】

 

麦野さんの声、熱い。なんか、雪ノ下さんと勝負してる私みたい。負けたくない、って気持ち、私もわかるよ。

 

【じゃあ、私、綾音の真似してみるよ。どんなプレーする?】

 

【マジ? 雪柳、スピードあってドライブがエグい。ディフェンスもガチガチ。1対1で抜くの、めっちゃ難しいんだ】

 

【ふーん、綾音らしいね。じゃ、やってみる】

 

麦野さん、ニヤッと笑う。私もちょっと笑っちゃう。綾音のプレー、中学で嫌ってほど見てきたから、なんとなく真似できそう。よし、やってみるか。

八幡の相手は誰が良いですか?

  • 1ー高橋雅史
  • 2ー葉山隼人
  • 3ー材木座義輝
  • 4ー戸部翔
  • 5ーその他
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。