未来の騎士王   作:アーっr

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追いつけ。追い越せ。


星の欠片

 

 

 ───始まりは、とある山の精霊だった。

 

 その精霊は『唯一絶対の存在であれ』と願われ、或いは押し付けられた(・・・・・・・)

 だが、精霊はそんな存在ではなかった。

 

 

 いつしか、人の信仰(いのり)は精霊を押し上げた(・・・・・)

 『本物』の、そうあれかしとされたモノに。

 

 ある者は天啓を得た。ある者は祝福を受けた。

 ある者は罰を受けた。

 

 そして、その度に。

 ただの精霊だったモノは、◾️に近づいていった。

 祈られた通りに。

 

 

 三位一体。◾️、聖霊、◾️の子。

 これは◾️の『完成』の一歩である。

 

 そもそも、◾️の子は後の世に生まれた存在。

 唯一の◾️が三つの位格で現れるなど、結局は人の後付け(二次創作)に過ぎないのだ。

 

 

 だが、これは人にも精霊にも善い兆しだった。

 未だ未完成の◾️であっても、このように成長(後付け)を繰り返せばいつか『本物』になれる。

 

 

 

 

 神秘の時代が終わりを迎え、◾️も精霊もそのままの姿では居られなくなった。

 故に、信仰(いのり)利用した(・・・・)

 

 かつて『人の統制/繁栄』を願われた山の精霊は、

霊長の無意識(人の祈り)そのものとなったのだ。

 

 名を失うことになったが、人がいる限り精霊は◾️に近づき続ける。

 いつかは、『完成』するだろう。

 

 

 

 精霊が『完成』を目指す間に数千年が経ち、人の科学は大きく発展を遂げ、星は死に絶えた(・・・・・・・)

 

 元は山の精霊だったソレは、しかし星が滅んでも存在出来ていた。

 祈る者がいる限り、精霊は消えない。

 

 

 

 そして、それ(・・)は起こった。

 

 『───』

 

 大戦によるホモ・サピエンスの激減(・・・・・・・・・・・)

 

 祈る者が減るということは、『完成』までの時間が更にかかるということ。

 存在の基盤を祈りに頼る精霊にとっては、己の消滅すら有りうる大事件だった。

 

 本来なら既に◾️として降臨していた精霊の計画は、人によって狂うこととなった。

 

 

 

 

 

 

 『最後の審判』。終末において、◾️が全てを裁くという後付け(・・・・・・)

 その後付けは、終わりを迎えたこの世界との相性が良かった。

 

 未だ生き残ると言っても、人は既に滅びる寸前。ここで◾️が救えば、永遠の王国が誕生する。

 計画とはズレたが、ここで巻き返せば良い。

 

 

 ───だが、『完成』する直前に。

 

 祈る者(ホモ・サピエンス)希望する人(ホモ・スペランス)に生まれ変わり。

 精霊は◾️になるための祈り(エネルギー)を失い。

 祈りを存在基盤としていた精霊は消滅し。

 

 ◾️が存在しないまま、ヒトは終末を乗り越えた(・・・・・)

 

 

 もはや、ヒトは祈らない。

 

 

 

 

 

 ───。

 

 ───まだだ。

 

 

 確かに、精霊は◾️になれなかった。

 

 鋼の大地において◾️はその概念すら喪失し、もし『完成』したとしても名もなき◾️は顕現できない。

 

 この大地では(・・・・・・)

 

 

 鋼の大地において◾️になる寸前だった精霊ならば、時間遡行程度当然出来る。

 

 漫画などの創作物でよくあるように、時代が進むごとに規模は大きくなって(インフレして)いく。

 其れは、神話も例外ではない。

 

 

 時が過ぎ、ヒトが発展していくにつれて『世界』が広がっていったように。

 人が思う(いのる)◾️の力は、時代を経て強く大きくなる。

 

 つまり。

 遥かな未来(インフレ後)において『完成』しなかった精霊は、数千年前(インフレ前)ならば◾️に成れるのではないのか?

 

 

 ───すなわち、神話の再現(やりなおし)である。

 

 

 

 

 

 

 『人理補正式マーリンより マスターへ』

 『宙域探査内に 人工物発見』

 

 宙の開拓を進める新人類。

 その最中に、とある物を見つけた。

 

 「人工物?人類のものか?」

 

 『1970年代の技術と一致しています』

 

 『距離と速度から推定』

 『ボイジャー1、2号だと思われます』

 

 「───ああ、そうか」

 

 ふう、と男は息を吐く。

 感慨深い。かつて人が宙に送り出した探査機。

 

 ボイジャーは、宙を征くこの宇宙船地球号の先輩とも言える先駆者なのである。

 かつての人に、今のヒトは追いついた。

 

 「『外』の状況を確認しつつ、舟を出して回収しろ。護衛艦として『キャメロット』も使っていい」

 

 『了解 エンジン点火』

 『超光速宇宙戦艦キャメロット 発進』

 

 

 

 

 

 

 

 「本当に良いのかい、綺礼」

 

 赤い服を着た、貴族のような高貴さを滲ませる男が神父に問いかける。

 

 「はい、師よ。私はようやく『道』を見つけました。もはや、聖杯戦争を続けようとは思いません」

 

 自分の人生の『答え』そのものは未だ見つからず、しかしそこに至る『道』を、彼は見つけた。

 

 己に従うということは、自分で選択する事。

 

 「では、アサシンは予定通り?」

 

 「令呪と共に貴方に。無事を祈ります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 衛宮切嗣は正義の味方を志した魔術使いである。

 

 多くの戦場を見た。それを通して、戦場には綺麗ごとなど一切存在しない事を知った。

 正義も大義も関係なく、あの場所(戦場)は地獄なのだ。

 

 あのような地獄を求める者を、人々を戦場に駆り立てる英雄(あくま)を彼は嫌う。

 それは、彼女を召喚してより強くなった。

 

 

 セイバー。アーサー王。

 男として語られた騎士王は、女だった。

 

 「───」

 

 その時の感情を、どう表せば良いか。

 

 憎むべき悪(えいゆう)は、『王であれ』と望まれただけの、ただの少女(いけにえ)だった。

 

 

 英雄になってしまった少女を嫌って。少女を英雄にした周囲を憎んで。

 そんな者(英雄)に憧れていた自分を嫌悪した。

 

 「………」

 

 全てを救う英雄。理屈も、理由も、意味も必要なく。ただ全てを救ってみせる絶対的存在。

 

 衛宮切嗣は、そういうモノに成りたかった。

 

 犠牲を出さず、平和は維持され。

 人々の幸福と世界の平和が実現出来るような、そんなモノに成りたかった。

 

 「───!」

 

 隠れ家に自分以外の足音。部下ではない。

 

 聖杯戦争に参加した魔術師だとして。

 アーチャーのマスターである遠坂か、あるいは敗退したライダーのマスター、ウェイバーか。

 

 それとも、未だ姿を表さない間桐か。

 

 「やあ」

 

 「───なっ!」

 

 突然背後に現れたその男は。

 

 「悪いけど、必要なんだ。貰うよ(・・・)

 

 蟲を払うように、衛宮切嗣という男を斬った。

 

 

 

 

 

 

 

 言峰綺礼が遠坂時臣に移譲したアサシンは、セイバーの手札を見るために使い潰され。

 ランサーはそのマスターに自害を命じられ。

 アーチャーに挑んだライダーは、やはり届かず消え去り。

 

 「剣を持て鋼の王。これ以上待たせるな」

 

 赤い眼が、俺を貫く。

 

 「……もう、ですか?まだセイバーがいますよ」

 

 「あの程度の雑種、(オレ)やお前にとって塵に同じだ。捨て置け」

 

 古代の王は、未来の王との戦いを望む。

 

 誇りか、怒りか、気まぐれか。

 どれも今の彼が戦う理由ではない。

 

 「裁定を下す。精々足掻け、雑種(・・)

 

 この戦いは、人類の裁定者()故に。

 

 「……勝ったら、サインください」

 

 

 

 

 

 

───まず、世界が黄金に包まれた。

 

 「貴様()の掌の上か」

 

 「ここなら心置きなく戦えるでしょう?」

 

 『この世は全て仏の掌の上』という仏教の思想から、救世主は現世と戦場を隔離した。

 更に『神の国(天国)』という概念を利用し、この黄金の世界を次元ごと押し上げた。

 

 「心置きなく(・・・・・)、か。この(オレ)を前にそのようなものを気にする余裕があるとはな」

 

 王は気に入らない。

 

 この男は間違いなく強者だ。その戦い方は、他の有象無象に悪影響を出さないものだ。

 翻って、古代の王は。

 

 宝具の連射による圧倒。出来ないわけではないが、周囲に甚大な被害が出るのは避けられない。

 

 心置きなく全力で(・・・)戦う為に場所を用意するというのは、つまり。

 

 「これで言い訳は出来なくなったぞ?」

 

 「そんなこと考える必要ありません」

 「()が勝つぞ、英雄王」

 

 

 

 

 

 

 

 夜の帳が下ろされた。

 

 英雄王の蔵の中にある宝具、その一つ。

 効果は───

 

 「………見えない(・・・・)

 

 『夜』という不可視の世界の顕現。

 肉眼だけではなく、魔術的・科学的な『観測』を不能にする隠蔽・秘匿宝具。

 

 英雄王自身もこの帳の中に入っているが『暗視』の宝具を展開し無効化している。

 

 

───夜天に星が輝く。

 そう錯覚してしまうほどに、その『門』の数は多かった。

 

 

 英雄王ギルガメッシュの宝具『王の財宝(ゲートオブバビロン)』。

 

 後の世に生まれるであろう様々な宝の原典。人間の知恵、人間の叡智が確かである証左。

 

 

 その財が、一人に向けて放たれる───!

 

 

 

 

 宝物庫の中にある複数の炉心を点火。宝石類を利用して魔杖を発動。

 悉くが無効化。

 

 宝具を射出。抵抗。一部破壊される。

 『宝具を回収する宝具』によって射出した宝具を回収。『宝具を直す宝具』を同時使用。

 

 「───フン」

 

 ここまでが一瞬。

 

 夜の帷の中で知覚できる範囲は限られているというのに、騎士王は攻撃の全てに対応した。

 

 超常的な勘の良さ。宇宙空間という光のない中での戦いを経験した事からの慣れ。

 

 過去を見ることは出来ないが、そんなものは不要だ。今示すべきは『未来』。

 新たなる霊長(ヒト)として、世界を拓いた王に示さなければならないのだ。

 




精霊/◾️
 山出身。YAMA育ちというかYAMA生まれ。
 『唯一絶対であれ』と望まれただけの精霊だったモノ。

 『そうあれ』と祈られ、後付けでその通りの存在になり始めた。
 神秘の喪失により現世に関与出来なくなる前に、人の祈りに依存する形で存在していた。

 人の祈りに依存しているが故に、人の数などに存在を左右される。
 祈る者が居なくなったことで存在消滅。

 『宣言』の時に存在しなかったので霊長判定されていない。



 最後の力を振り絞って数千年前に戻り、神話の再現をすることで◾️に成ろうとした。
 これが◾️の救済計画。


言峰綺礼
 自分で考え、自分で決める。

 神を捨てたわけではない。

衛宮切嗣
 英雄に憧れ、英雄を嫌悪し、全てを救う正義の味方を目指した。
 だが、彼は少数の犠牲を払わなければ平和を実現できなかった。

 現実的に不可能だと理解していた彼は、『全ての願いが叶う』という聖杯を求めた。
 恒久的な世界平和を求めて。


 死んでいない。だが『何か』を奪われた。



英雄王ギルガメッシュ
 人類の裁定者として新霊長を裁く。

 聖杯戦争としての戦いは興味なし。聖剣使いの小娘程度気にするまでもない。

 新霊長の裁定はやる気満々。
 それもこれもアーサー君のせい。

 アーサー君にとって不要な場を整える→ギルガメッシュが気にせず戦えるようにするということ。

 『配慮』されたギルガメッシュは惜しみなく財を使い、全知なるや全能の星(シャ・ナクパ・イルム)すら稼働して全力を出してくる。

 負けても泣くなよ、悪童(クソガキ)

騎士王アーサー
 ようやく騎士王として戦い始めた。

 精霊には精霊の計画があったように、彼には彼の計画がある。衛宮切嗣から奪ったのもその一つ。
 全ては、ヒトのために。

 
 本人は『俺が最強なのは当然では?』みたいな事を平気で言う。
 これは『王』としての自負であり、他者を貶めるという意図はない。


 勝ったらサインを貰う、ということは。
 殺す気はない、ということで。



 途中だけどここまで。次で終わるはず。
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