未来の騎士王   作:アーっr

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抑えきれない直死の魔眼の暴走で苦しんでいるけど、魔眼殺しの性能が悪いだけ。
『虹』の魔眼すら抑えられる魔眼殺しはあるよね。


魔眼殺し

 

 

 道を歩く。

 

 相変わらず気分が悪い。眼鏡を掛けているというのに、赤い『線』が見えている。

 

 ───不意に躓く。脚に力が入らず、そのまま地面に顔面を強打するだろう。

 

 「おっと。大丈夫か、少年」

 

 しかし、誰かに抱き止められた。

 おかげで怪我も無い。

 

 「あ───」

 

 体が傾き、眼鏡が外れてしまった。

 

 視界が赤に染まる。ある程度抑えられていた体質が暴走し、眼が熱を持つ。

 

 「その眼………大変なんだな」

 

 美しい碧い眼の、自分を抱き止めた彼を見た。

 

 きっと彼も、この脆く赤い世界に呑まれて───

 

 「ほら、眼鏡落としたぞ

 

 「───え? あ、ありがとうございます」

 

 彼には『線』が無かった。世界から独立しているように感じた。

 

 ………とても、美しく感じた。

 

 違和感のある(・・・・・・)眼鏡を受け取って立ち去る。そうしなければならない、と本能が言った。

 

 「ありがとうございます。ちょっと目眩がしちゃって………」

 

 離れろ。近付いてはならない。

 その先では人として存在出来ない。

 

 「病院に行った方がいい。連れて行こうか?」

 

 “コレ”は、己がよく見る『赤』と同じ───

 

 「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「………ここまで来て、ムーンセルそのものに阻まれるか」

 

 彼はとある聖杯戦争の勝者だ。

 万能の願望機たる月の聖杯(ムーンセル)の力を用いて戦争を起こし、それによって人類に進化を齎そうとした。

 

 しかし彼はムーンセルにとって“不正なデータ”に過ぎず、触れようとすれば解体される。

 

 「NPCでしかない貴方では、無理でしょうね」

 

 残酷な事実を告げる者が一人、男の側に居た。

 

 男が召喚した英霊(サーヴァント)であり、ムーンセルが予期しなかった特例(バグ)

 マスターがそうであるように、或いはそれ以上にその英霊は異常だった。

 

 そもそも、英霊の座から来ていない。

 聖杯に喚ばれた英霊ではない。聖杯戦争の規格に収まっていない。

 

 男以上に、その英霊はムーンセルに拒絶されるべき存在だ。決して居てはならない異物だ。

 

 

 それでも男はマスターとして、英霊はその旅路に助力して、勝ち抜いたのだ。

 

 カタチは歪なれど世界を救わんとするその思いは、そしてこれまでの努力は、無に帰して納得できるものではない。

 

 その程度では終われない───!

 

 「やり方を変える。私が到達出来ないのであれば、代理を立てる他あるまい」

 「君ならば、七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)そのものを掌握出来るだろう」

 

 お前が願いを叶えろ、と言外に言う。

 

 確かに可能だ。

 “月を我が物にした”逸話を持ち、月の聖杯を作った文明を超越したこの英雄ならば成し得る。

 

 「しかし、貴方の願いは叶えない(・・・・・・・・・・)

 「この身はあくまで影。今を生きる者こそが、世界をより良くすべきです」

 

 誤算。可能性として考えもしなかったルート。

 この状況で、この英霊が、裏切った。

 

 「私の思想に反対すると?ここまでの助力は、私の願いに賛同した故だと思っていたが」

 

 「思想に関して私は何も口を挟みません。それに、これは裏切りでは無いのです」

 「私は“今を生きる者”と言いました。つまり、貴方が生きてさえいればいい」

 

 マスターである男は死人。かつて生きていた男の写し身である。

 つまり、肉体を失ったにも関わらず存在し続ける亡霊に近しい。

 

 「………可能か(・・・)?」

 

 「当然でしょう。私は貴方のサーヴァントです」

 

 ムーンセルは亡霊を認めない。

 だが、この英霊はある宝具(・・・・)を持っている───!

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠っている男の側に女が侍る。

 

 「───、───」

 

 男の左胸、心臓の部位に手を添える。

 神域の天才である女は神造兵装を魔術で再現し、男の肉体に刻む。

 

 これなるは最果ての槍。星の織物(テクスチャ)を固定する機構の一つ。

 星と同等の霊器を安定させるための補助装置。

 

 「接合面に問題無し。予後良好だ。それにしても

………宙の(いれもの)、即ち循環!」

 「死徒(ワタシ)は星の最終解答の一つだが、なるほどこれは宙への解答!」

 「規模(スケール)の矮小さは問題視していなかったが、これを見るとその考えも訂正せねばならないなぁ!」

 

 女と同じ姿の、しかし同一の存在ではない女が居る。

 無限転生者は男の肉体から離れ、女が用意した

スペアボディに入ったのだ。

 

 女は魔術の腕こそ超常的であるものの、死徒の原理については素人である。

 男の“左腕”を診る事が出来る人材など、人類史を見てもそう居ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アーサー。わたしのアーサー」

 「わたし、おかしいの」

 

 少女のような幼さで、女が縋る。

 

 「アーサーのことが嫌いで、助けてあげたくて、休んでほしいの」

 「頭の中がぐるぐるしてて、ぐちゃぐちゃになってて、違うわたしがいるの」

 

 異なる精神、割れた心の悪影響。

 自身の在り方すら歪める複数の“自分”に、女は苦しめられている。

 

 「わたし、どうしよう」

 「ずっと声が聞こえるの。あれをやれ、これをやれって言ってるの」

 

 それでも、女は知っている。他ならぬ、魔女たる女が体験している。

 

 この英雄は救うために設計された王。あらゆる

外敵を打ち滅ぼす最強の騎士。

 

 「ねえ、アーサー。強いひと。わたしの弟」

 「わたしを、助けて」

 

 

 「───任せろ」

 

 




眼鏡の彼
 激ヤバな眼を持った危ないヤツ。

 暴走しかけていたが、どっかの碧い眼の男が眼鏡に細工をしたので大丈夫。ヨシ!


違和感のある眼鏡
 最高の魔眼殺し。『虹』の魔眼すら抑えられる。

 伝承に曰く、バロールは何層もある目蓋(・・)が周囲を魔眼から守っているらしい。
 つまり、『虹』の魔眼を持つ者の目蓋は最高の魔眼殺しなのである。

 丁度ここに───


月の亡霊
 世界を救いたい男。勝って勝って詰んだ。

 詰みをどうにかするために、再び戦いを始める。


ロア
 スペックの話をするとおそらく人類でも最高峰。
 普通の魔術師より凄い遠坂より凄いシエルの肉体に転生した際ですら『初代に近い』程度で収まっていた。

 現在は神代の魔術師、それも最高峰の魔女の肉体を使用しているので超優秀。
 しかも医者特権で“左腕”に接続出来る。

 無限転生者の知識と魔術。それを十全に使うことのできる初代ぶりの肉体。
 目の前には興味を惹かれる『未知』の塊。

 めちゃめちゃ良い空気吸ってる。


“左腕”
 時々お散歩してる。その度に大気のエーテルや龍脈を掻き回している。

 元々が大気循環に縁のある竜なので、飛び回ることで神秘が活性化している。
 やり過ぎると神代回帰する。


モルガン/ヴィヴィアン
 魔女として、アーサーを殺したい。
 妖精として、アーサーを助けたい。
 姉として、傷付いて欲しく無い。

 自らの知る妹と違うことは分かっている。姿も在り方も異なると知っている。
 それでも、幸せになってほしいと思っている。

 三重人格であり、それぞれの人格で意見が異なる。普通には生きられない。
 傷付いて欲しく無いが、藁にも縋る思いでアーサーに助けを求めた。

 その縋った藁は宇宙エレベーターのケーブル並みに頑丈である。


アーサー
 妻に会った時点で幸福。『右は“あいつ”のものだから』という理由で竜を左腕に置換した。

 霊墓自体は残っているが、竜を蘇生時霊墓に残っていた細胞などを使った。
 魔術協会からすれば、不法侵入した犯罪者に神秘を強盗された形である。

 しかも何人かは魔術刻印と回路を奪われている。

 『四肢』の原理を持ち出したのも大問題。許可なく兵器を持ち出して使ったのだから当然。

 こういうことをするから目をつけられているが、功罪多すぎて皆対処に困っている。
 やっぱり秩序・悪。
 

 病弱な学生が魔眼で苦しんでいたので、『虹』の魔眼すら抑えられる魔眼殺しを与えた。
 秒で再生するので気にしていない。


 自分の幸せを願う女が、助けを求めた。
 ならば安心を与えよう。

 貴女の弟は、凄い男なのだ。
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