世界のどこか。アヴァロンと命名された都市に、王とその側近は居た。
「王様、アリストテレスが西の大陸に出現しました。このままでは地表全てが燃やされます」
若い、旧人類のような少女は玉座に座る王に傅きながらそう言った。
彼女こそ『六人姉妹』の末妹“審判”である。
本来なら彼女は大戦末期にて騎士に殺され、その断末魔は
しかし、騎士王の手を取り共に霊長のために戦うと決めたこの世界では、彼女は王の妻として今もなお生きている。
「俺が行く。アドを二撃目として準備させろ」
“審判”の報告に応えたのもまた年若い男。
大人と子供の中間、青年と呼ぶべき年齢である。
だが、年齢など些細なことにすぎない。彼を目の前に、そのような些事は思考に入らない。
───美しい。
空気抵抗などを極限まで減らす新幹線や飛行機、ロケットなどの、装飾のない機能美。
鋼の大地最高の性能を誇る肉体と人類史上最巧の技が合わさり、完成された精神が収まった。
心技体において比類なき騎士王は、必ずや勝利を齎すだろう。
全長数十キロメートルの黒い巨人が西の大陸を制覇した。そこにいた
もちろん、西の大陸に住んでいた総戦力が巨人に挑んだ。だというのに、巨人は全くの無傷で存在し続けている。
その正体は
中心核に擬似太陽を持つ光子ガス生命体であり、無限大に大きくなる反則級の存在。
攻撃は不定形なガスを散らせる程度であり、心臓である擬似太陽には届かない。
たとえ届いたとしても、倒すには擬似とはいえ
太陽を破壊するほどの威力を求められる。
規模が違う。性質が違う。
地球上でかつて存在していたあらゆる生命体とも異なる在り方。
太陽系最大のガス惑星である木星だからこそ、このような存在が生まれたのだろう。
───シュー。ボン。
巨人は
西の大陸を制覇した以上、東に進むだろう。
そして、更により多くの人類を殺すのだ。
かつて大西洋と呼ばれたその大海はとうの昔に干からびている。いや、大西洋だけではない。
この鋼の大地にはもはや、海は存在しない。
もしも海があれば、もしかすれば多少はガスが水に溶け、弱体化を図れたかもしれない。
だが、そんな“もしも”は存在しない。
巨人が動く様はユーラシア大陸と呼ばれた場所からも見えた。それほどまでに巨人は大きく、人はちっぽけだった。
近づいて、くるのだろう。
黒いモヤの塊の中に、燦然と輝く
地平線から見えるそれはまるで夜明けのように眩しく、しかしどうしようもない絶望感を見る者に抱かせた。
『王』が斬殺した侵略者の血液や『六人姉妹』達の張った結界によって、空はいつも暗い赤の色をしていた。
そんな血のように赤く黒い空が、
まさに終末。
黄昏はいずれ世界を包み、焼き尽くすだろう。そこにいる、いたはずの生命も一緒に。
───不意に、黄昏が
黄昏を齎していた
「おお…………!」
突然の出来事だが、これで終わりではなかった。
これぞ騎士『アド・エデム』の魔剣・斬撃皇帝。
燃やされた西の大陸そのものを平らげ成長した
その魔剣は、下手人である巨人を両断した。
鋼の大地には命が芽吹かない。それが常識であり、これを為したのはヒトの業である。
星の命を浪費し、あまつさえその後の死骸すら利用し尽くすヒトの獣性は、他天体にまで及んだ。
そこから取り出されたエネルギーを使い、死した地球を
これこそがアヴァロン計画。
自らの手で殺しておきながら再生を願うヒトの傲慢さの象徴であり、新たに罪を重ね続ける、新たな犠牲を求める悍ましい計画。
無論、
擬似太陽に耐えうる金属が足りない。扱うだけの技術が足りない。
たとえ恒星炉が稼働したとしても、地球そのものを蘇生させるエネルギーは生み出せないだろう。
だが、
外法も外法、人道など考えずに可能性を追い求めれば、実現可能なのだ。
ならやろう。
そうしなければどうせ滅ぶのだから、できることはできる限りやろう。
更なる犠牲を出してでも。
千里眼というものがある。
魔術的な分類では魔眼や超能力の部類とされ、
最高ランクのものならば遠距離だけでなく異なる時間・世界すら見ることができる。
さて、騎士王アーサーは生まれつき“過去を見る”目を持っていた。
彼の目は、あらゆる世界を。あらゆる過去を。星の外にすらその目は届いた。
そして、彼は
魔術的な言葉では『根源』と呼ばれるモノを、彼は直視し、理解した。
本来根源に手を伸ばせば抑止力が働くはずだが、既に滅びた鋼の大地で抑止力は機能しない。
故に、問題は
一万年以上にも及ぶ人類史の閲覧。
そして、
ヒトの在り方と
先駆者は苦行の末、様々な障害を乗り越え、あらゆる煩悩を捨てた先で
生命の解答。人の不完全性を超越した成功例。
本来ならば十信、十住、十行、十回向、十地、等覚を超えるべきところを、彼は一気に飛び越した。
途中式を用いずに結果を知った。そして、その結果を理解した。
千里眼という外法によるものとはいえ、到達は到達。彼は辿り着いたのだ。
───その域に達した存在にとって、全ての事象は瑣末なことであり、人の滅亡さえうねりの一つとして関与しない。
だが、彼は………アーサーという
彼は、人を救いたかった。
故に、彼は
到達したはずの域に背を向けて、歩き出した。
一度は捨てた煩悩を拾い、彼はまた歩み始めた。
………蓮の花の上にいる者はその選択を受け入れ優しく微笑んでいた。
解は得たり。ならば、突き進むのみ。
どこまでも強欲で貪欲な精神こそ、ヒトが成長してきた所以なのだから。
“審判”
騎士王に救われた魔女。王妃。
単独で亜麗百種を凌駕する能力を持ちながら騎士に殺された存在。
これは勝手な想像だが、騙し討ちのような形になったのではないだろうか。
六人姉妹の仲について語られている描写は見つけられなかったが、多分仲がいいと思われる。そうだったらいいな(願望)
もしかしたら、末妹は単独で大戦の和平を結ぼうとしたのではないだろうか。
断末魔を上げたのは、人間に裏切られたからではないだろうか。
そんな形で、本作で“審判”はそのような立ち位置になった。そうあれかし。
争いは好きではないが、戦わなければならないならやる。
末妹だから姉に甘やかされてるけどしっかり者。
描写がないせいで口調は本作完全オリジナル。
仕事中は『王様』だけどプライベートだと『アーサー君』になる。なってほしい(願望)
冥王星の王
騎士王にぶった斬られた挙句、死体を星の肉壁にされている。そのせいで他のアルテミット・ワンが攻めづらい。
もはや王ではない。
木星の王
騎士王に
H✖️Hのキルアをイメージ。親父なら〜のヤツ。
道具として使い潰されること確定。
もはや王ではない。
騎士王
根源到達と解脱を同時に行なった存在。これくらいやらないとエイリアン達に勝てねぇ!
人類史に存在する技は全て彼の手中にある。
『死の付与』すら技術の範囲内なので、当然彼も出来る。
前回の『魔剣』と『聖剣』の話だが、『魔剣』は技術で『聖剣』は物質。
同時に振ると悍ましい結果を生み出す。