ちょっと腹違いで種違いなだけで、俺達は姉弟だ。
「………。ねえ、アーサー」
「お、これは珍しい。
神聖さを纏う女、精霊ヴィヴィアン。
人の心を見抜く眼を持っているが、『魔女』と異なり人の世で生きなかった。
そんな彼女だからこそ、その男の本性、原初の衝動を認識出来た。
「貴方、もしかして─────」
私の父、◾️ーサーはまさに人の究極のような王だった。
側に控える魔術師マーリンは父を支え、より強大にしていた。
ピクト人を始めとした様々な敵を相手にして、
それでも◾️ーサーは国を守り続けた。
それは、その事は私からしても偉大な事だった。父は優秀な王だった。
それでも、父では卑王には勝てない。
人では無理だ。
古き女神の系譜であり、ブリテン島の化身である私は。
私ならば出来る。その為に父は私を作ったはずで、その為に母を娶ったはずだ。
その、はずだったのに。
父◾️ーサーが玉座に座っている。
最早全盛期は過ぎ、老人に差し掛かろうという年齢である。
そんなある日、私は呼ばれた。
もしかしたら王位に関する話かもしれない。
遂に、私が父の後を継ぐ時が───
「───◾️◾️◾️◾️。お前はオークニーのロットと婚姻せよ」
「───は?」
思考が停止した。
婚姻?王位の継承をせず?
「二度言わせるな。疾く支度せよ」
そんなはずがない。
だってそれは、私が継がないということと同義だ。あり得ない。
「い、いえ───お父様、この国の王は誰が継ぐというのです!?」
「私が外に嫁ぐとなれば、後継が───」
私が、私こそがこのブリテンの───
「お前が気にすることでは無い」
「そ、んな………私を、後継にするのでは無いのですか!?」
「私はブリテンを支配する資格を持っています!このブリテン島は私のものです!」
「………◾️◾️◾️◾️。お前には、
「お前では、無理だ」
長い間、耐え凌いだ。
オークニーへ嫁いだ私は帰れない。
手を出して策を弄しても、宮廷魔術師マーリンの仕業で全て無に帰す。
愚かしいにも程がある。
私を選ばずして、どのようにこの島を救うというのか。
「聞いたか? 選定の剣を抜いたヤツが現れたってよ」
突如、そのような噂を聴いた。
「本当か?どんなやつなんだ?」
「名前は◾️ーサー・ペンドラゴン。どうやら、
先王◾️ーサーの息子を名乗っているらしい」
………。◾️ーサー。
私を選ばなかった◾️ーサー。
私から王の座を奪った◾️ーサー。
───許せない。
怒り、嫉妬、悲しみ、憎しみ。
心が渦巻き、◾️ーサーを破滅させるための策を頭の中で組み立てる。
殺そう。
そうして、正当な王として君臨しよう。
目を覚ます。
◾️ーサーが視界に入る。
「あ」「あ、あああ」
「あああああああああ!」
「◾️ーサー!」
神に比肩するほどの魔術を、たった一人の男に対してぶつける。
「………ん」
◾️ーサーは左手を軽く振り、その悉くを消し去った。
「よくも………よくも!」
いくら呪詛を放っても効果はない。
近付き、掴みかかる。
「どうして、私を………認めなかった!」
引っ掻く。絞める。
◾️ーサーの屈強な肉体には何も影響がない。
「どうして私から奪った!」
それでもやめない。恨みは消えない。
私は、許せない。
「なぜっ! 答えろ!」
理不尽なまでに、私の思い通りにならなかった
◾️ーサーを、許せない。
「………お前には、王の才が無いからだ」
「っ! お前………お前も、そう言うのか………!」
「何が足りない! 何が間違っている!」
不足など無い。不覚など無い。
魔術の才は神の域。心を見抜く眼は人心を容易く掌握させた。
「私は、ブリテンの女王だ!」
「そう成れた、筈なのに………」
「いや、無理だ」
◾️ーサーを睨む。
「なんだと………?」
「俺はお前の妹に会ったことがある。その時に、気付いた」
「お前には………お前
「───は?」
「もっと言えば、お前の父ウーサーも王として不足している。あれも弱者だ」
「な、にを───」
「お前の家系全員、弱く、愚かで、民に恵まれなかった。王として不足がある」
「─────」
男は断言した。
その言葉には自信があった。絶対的な確信を得た者の声だった。
「お前の父ウーサーは弱かった。
「お前の妹アルトリアは半端だった。圧倒的な強さを持たない癖に、民を理解しなかった」
「そして、失敗した」
………確かにそうだ。
ウーサーが託したアルトリアは、結局国を守れず死んだ。
内外に敵は居た。それでも、もっと強ければ。もっと仲間がいれば、あの子も………
「
「俺は最強だ。侵略者の悉くを滅ぼし、その死骸を利用して、民を救った」
「俺には良き友が居た。民が、そして妻が居た」
「貴女の弟は、凄い男なのだ」
私は王に、あるいは父ウーサーに対して、憧れのようなものがあった。
それは尊敬に近いものでもあったし、それが王位への執着に繋がっている一因でもある。
「知ってる。今の話で少しは考え直してくれるといいんだけど」
だが、それだけでは無い。
ブリテン島の化身という
「随分と生きづらい本能だな」
嗚呼、本当に難儀な生き方だ。
こんなふうに生まれたせいで、私の人生は苦難と虚しさに塗れていた。
そういうふうにしか生きていけなかった。
抑えられないのだ。
普通の人間が食べて寝るように、当然の欲求として私の中に組み込まれているのだから。
「だが、ある程度は変えられる。生きている以上、何かのきっかけで全ては変わり得る」
………どうだろう。
私のこの飢えが、渇きが、満たされることもなく消えていくとは思えない。
必ず私を責め立て、動かし、支配者という位置を求めるだろう。
満たされない限り、私は求めるのだ。
「じゃあ、ちょっと試してみる?」
………?
「あー………、これ持って」
何をする気だ?
「アコレード。王座を求めているのなら、当然儀礼もするんだろう?」
「ごっこ遊びみたいなものだけど、これでちょっとは満たされるかもしれない」
揶揄っているのか?
ガーデニング用のフォークを剣の代わりにするなど、子供の遊びではないか。
「やらないの?」
………やる。
アコレード。騎士叙任式。
「汝───」
緊張と少しの興奮が綯い交ぜになり、言葉が途切れる。
「汝騎士として、真理を守るべし。騎士の道に背かず、守護者となるように」
昔、密かに思い描いていた夢。
驚くべきことに、頭の中にしか無かったあの妄想は今でもはっきりと思い出せる。
「揺るがぬ忠誠を捧げ、勇ましさを忘れず、名誉を何より重んじなさい」
懐かしい。
女王として即位した後の自分を考えた時、やはりこの儀礼は私の中で定番だった。
あの時覚えた、この王としての仕事は。生前ついぞ使う事がなかったが──
「私──ウーサーの娘、モルガン・ル・フェが。我が弟──アーサーに、
ガーデニング用のフォークで肩を叩く。
最も重要な場面だというのに、使っている物がこれでは締まらない。
せめてナイフ、最悪包丁でも良いから、もっと別の物を用意すべきだった。
「───私、アーサーは。あらゆる敵を討ち滅ぼし、如何なる障害をも踏破し、人々に救いを齎すことを、騎士の名において誓います!」
────。
今回は、まあ、仕方ない。
「………
魔女
怒りの源泉は『王座への執着』
1. 自分を選ばなかった父ウーサーへの怒り
2. 自分を差し置いて王となった妹アルトリアへの怒り
簡単に言うと『父親が買ってきたプリンを自分のものと勘違いしていたら妹のものだった』
怒りを無くすために、執着を捨てさせればいい。
執着の根本は父への憧れと尊敬、ブリテン島の化身としての本能。
父への憧れと尊敬は
あとは本能を満たしてやれば工事完了。
モルガン
一番ヤバかった魔女が懐柔され、ほぼ解決。
しかし、精霊が何かに気付いたようで………?
アーサー
精神的爆弾処理班。メンタリストでセラピスト。
姉が苦しむ原因は方向性の違いだった。
精神をグラフで例えると、アーサーの場合は真逆すぎて垂直に交わっていたが、モルガンの場合は逆向きの平行。
その平行線を傾け同じ方向に向かうようにする、というのが治療法。
一番異常値だった魔女を傾け、無事成功。治療は完了したと言える。
王という存在に対して期待が重い。というより、評価基準が自分なせいで狂ってる。
俺は最強で友も妻もいるリア充だがお前は??
特に説明は無いが相手の心が読める。なんならテレパシーとかも。
嫌いなものは敗北と失う事。そして心音。
どうやら、生理的に受け付けないらしい。