未来の騎士王   作:アーっr

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       パーティーのお誘い
死徒二十七祖の皆様へ
 今度フランスで面白い儀式をします。現地民は食べ放題で、鬱陶しい聖堂教会も居ません。
 みんな、是非来てね♡
        ミハイル・ロア・バルダムヨォン


神のつくりかた

 

 

 城壁は崩れた。

 薔薇のように美しい女は、目を抉られ殺された。

 

 蜘蛛は踏み潰され、金は意味を成さず、そこにいた全ては死んでいた。

 

 これで二十七祖の大半が滅びた。補充され、継承されるはずの祖はいない。

 最早、二十七祖という枠組みすら揺らいでいる。

 

 

 

 

 

 

 魔王によって狭まり閉ざされたこの宇宙にも、

また新たな未来が生まれる。

 その為に、宇宙を安定させる機構が必要だった。

 

 

 『前回』の宇宙には空間的な無駄が多かった。

そして、資源(リソース)が有限だった。

 有限の資源を無限に広がる宇宙で分け合っていたのだ。熱的死も訪れるというものである。

 

 “物理的に宇宙を狭める”という力技でその未来は避けられたが、このままではまた繰り返す。

 

 適度に修正する存在が必要だ。

 資源の問題は高次元の全能者から引っ張ってくれば良いが、やはり管理者が必要なのだ。

 

 

 俺はやりたく無い。つまらないし、公平性を維持できるとは思えない。

 そこら辺の微生物に肩入れして宇宙のバランスを崩してはならないのだ。

 

 妻も、そして既に旅立った者たちも駄目だ。

 より機械的に、システムとして機能する存在こそ、宇宙の検閲官に相応しい。

 

 “───。──────?“

 

 覚えのある感覚。なるほど、確かに相応しい。

 

 既にマーリンには不要となったが、お前は元々その為の(・・・・)存在だったからな。

 

 ではそうしよう。

 宇宙法則の疑神化、宇宙の頭脳体として、お前にこの宇宙を任せる。

 

 ああ………剣を貸そう。創世の光が無くとも、

この剣ならば切り拓いて行ける。

 

 多少重いが、お前なら振れるさ。

 

 今再び人を導け、◾️◾️◾️◾️。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「神とは、何か」

 「結論から言おう。それは『宇宙』だ」

 

 古びた教会の中に女がいる。

 

 銀髪の女は、厳格な神学者のように語り出した。

 

 「元は星より生まれ出た精霊。それがいつの間にやら、全能の神と呼ばれるようになった」

 

 側には何人もの神父達───聖堂教会の異端狩り達───が転がっている。

 

 死んではいない。新たに『親』となった吸血鬼

もどきは、過度な反撃を禁止した。

 

 「神代の法則と宇宙の法則は乖離していた。地域によって法則が異なっていた」

 「それらを一纏めにし、“正しい法則にする”ことが聖堂教会の役割の一つだった」

 

 異端。神に合わない存在。

 異教のそれらは、悪魔として貶められ、幾つかは存在すら消された。

 

 テクスチャを無理やり一つにした影響で、唯一の神以外の全ては認められない。

 捉え方を一致させるのだ。

 

 「聖書は、人間にとって都合の良い『世界の解釈の仕方』の結晶だ」

 「昔ワインを作る時、一部が蒸発したことで樽の中にあったワインが減っていたことを『天使の取り分』とした」

 

 現在の物理法則とは全く違う、明らかに“神秘”の影響を受けた解釈方法。

 

 現在から考えれば間違っている。

 しかし現在の科学的な解釈が無かった頃、それこそが“正しい”法則だった。

 

 「“理解できない事”を“神の御業”と片付け、実際の宇宙法則を歪める」

 「宇宙そのものに人格を与え、人間に都合の良いように運用するのが、聖堂教会の最終目標だ」

 

 それは気に入らない、と女は吐き捨てる。

 

 『すべて』を知りたいと願い、そのために人外に成り果てても求め続ける転生者からすれば、それは物事を陳腐化させる唾棄すべき悪なのだ。

 

 「なぜ偶像崇拝を禁止したか?それは、信仰が

ブレる(・・・)からだ」

 「カタチは既に決まっていたのだ。宇宙という外側を、信仰によって作ろうとしたのだ」

 

 『中身を作ろうとするのは、この宇宙の悪い癖だ』

 

 外側があれば中身がある。外側を作れば、中身のない内側には──虚空(・・)には神が在る。

 

 「そもそも、天使と悪魔の例を見れば『神』がどちら寄り(・・・・・)なのかが分かるだろう」

 

 ギイ、と古びた扉を開けて、外の騒ぎを片付けた男が入ってくる。

 

 「天使は力の塊、破壊する存在。対して悪魔は創造する存在だ」

 「もっとも、新しいものを作る悪魔の特性は、言い換えれば今の世界を侵食しているわけだが」

 

 真性悪魔が持つとされる固有結界。今ある世界を、自分の世界で塗り替える大魔術。

 

 「『世界を作る』という神の御業は、まさに悪魔の所業というわけだ」

 

 「………胡散臭い宗教勧誘みたいな独り言だな、ミハイル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風を斬る。

 翼を広げ、音の壁を越えて飛ぶ。

 

 嗚呼、いつぶりだろうか。

 地に埋もれ二度と飛び立つ事を許されなかった

この身は、今自由に空を泳いでいる。

 

 

 ───一気に高度を上げる。

 

 成層圏。星と宙の境界線。

 私は、この場所が好きだった。

 

 度々降る石。手を伸ばそうとする地の者達。

 それぞれが交差するこの境界で、私はどちらでもないただ一つ(・・)の生命で───

 

 「───綺麗だな」

 

 ───ああ、そうだった。

 

 自分の前を走る(・・)その生物を見る。

 

 私より小さいその生物は、しかし私より強大で

強固かつ俊敏だった。

 

 ───今は、二つか。

 

 加速する。いつまでも背中を向けるこの生物を、追い越したい欲望が生まれた。

 

 ───楽しい。

 

 初めての競争相手。己と比べ合う存在がいるとは想像もしなかった。

 

 どうかこのまま、生が尽きるまで───

 

 

 

 

 

 

 

 走る、奔る、疾る、馳しる。

 被害を出さないために。無辜の民を守るために。

 

 ───水晶の蜘蛛は空間ごと削り侵食する。

 

 出力の下がったこの霊基では、星喰いの大蜘蛛を斬り捨てることはできない。

 それでも、やりようはある。未だ勝ち筋は存在している。

 

 ───炎が。一兆度を超える熱線が放たれようとしている。

 

 持ってくればいい。自分ができないのならば、やって貰えば良い。

 それが出来る存在を、俺は知っている。

 

 ───跳ぶ。飛ぶ。翔ぶ。

 星の境界を超え、宇宙に出る。懐かしい、故郷のような場所に出る。

 

 不意に、太陽(アカ)を見た。暗く黎い宇宙に浮かぶ、

思色のその星を。

 嗚呼、やっぱり変わらない。

 

 「星(オマエ)は、綺麗だ─────」

 

 

 




宇宙
 今まで散々『時間がない』だの『資源が足りない』だの言われていたが、熱的死寸前だった。

 簡単に言うと、すべての物質とエネルギーが均一に分布し、何も変化が起こらない、冷たく暗い静寂の世界になるところだった。

 どこぞの魔王が物理的に宇宙を縮めたことにより一時的に回避されたが、このままでは繰り返す。
 ちょうど良い神がそこにいたので全部任せた。


死徒二十七祖
 生存している方が少ない。宝石爺とかは(立場的にも性格的にも)敵対すらしないので全滅はしない。

 なお、宝石爺が死徒から人間に戻る可能性は考慮しないものとする。


ミハイル・ロア・バルダムヨォン
 どいつもこいつも騙されてて草。


聖書
 人類発展教本。都合のいいルール。

 ソロモンに魔術を教えてそれまで神の領域だった魔術を人類に扱えるものにしたり、ソロモンの死後神代が終わり人の世が始まったり、かなり人間に寄っている。

 どこぞの吸血鬼の研究結果では『神の愛』は
宇宙のモデルケースであり、なぜかはわからないが、全くもって偶然に人の形をとった。
 偶然のはずがない。今まで信じていた神の正体は信心深いその吸血鬼は考えることをやめた。


考察:型月における聖四文字とは
 聖人など、一部の英霊はスキルとして『信仰の加護』を持っている。
 これはあくまで『信仰心の具現』であり、実際に超常的存在に与えられたものではない。

 型月………偉大なる創造神(きのこ)の考えの土台には人間讃歌や超人思想的なものがあると思われる。

 「人間っていうのはすごいものなんだ」「命っていうのは価値のあるものなんだ」ということを、各作品で必ずと言っていいほど強調している。


 信仰とは、ある程度の倫理を身に付けさせるのに適した『道具(ツール)』である。
 神という絶対存在の元に人間は善性を持つ。神が正しいと言った事を行なっている。

 露悪的な言い方をすれば、『神とかいう居るか怪しいやつに祈らなきゃ自分が善だと確信できない』のである。

 あの菌糸類だったら『確かにそういう面もあるけど、神の実在程度で揺らぐほど人間っていうのは軟弱じゃないでちゅ』とか言いそう。
 そのような考えが『信仰の加護』というスキル
………神の実在に関係なく信仰心ゆえに得た境地なのではないだろうか?

 というわけで、神は居ないけど人間は頑張って生きていこう!
 でも宇宙人とかは居るんだよなぁ。

 じゃあ俺、『おれがかんがえたさいこーのかみさま』を作って好き勝手するから………


境界を超える竜
 お散歩たのしい!

宇宙人
 遥か未来からの攻撃により無事死亡。

男
 初恋告白剣の使い手。黒と赤を見たら初恋の女を思い出す。
 実は妻が傍に居なくて寂しがってる。飼い主に会えなくて凹んでる犬。

 今の自分じゃ勝てないので時間軸を斬って貼って未来から攻撃を召喚した。

 基本的に『破壊する者』ではあるが、その後に必ず『再建』『復活』がある。
 もったいないおばけ(スクラップ&ビルド)の権化。

 元が終末装置なので破壊は大得意。創造/復活は好きな女のために出来るようにした。

 好きな子に『筋肉ある男の人が好きなんだよね』とか言われたら筋トレめっちゃ頑張るタイプ。

 これも一種の信仰なのかもしれない。
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