未来の騎士王   作:アーっr

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人とは違う存在が人の心や魂の輝きに影響されて人間の味方になるの好き。でも型月の『人への愛』は厄ネタだらけ(獣や欠片男)なので、どう転ぶかわからないのが怖い。


つなぐ四つ

 

 

 理想郷 アヴァロン。

 

 その最奥にある宮殿、玉座の間にゴドーは訪れた。その理由は、当然。

 

 「なんだ、寝てんのか?」

 

 「王様は『聖剣』を振るわれました。起きるまでもう少し時間がかかります」

 

 騎士王アーサー、ゴドーの目的の人物は玉座で眠りについていた。

 

 

 タイプ・ウラヌス&ネプチューン射出作戦。

 

 成層圏に張られた『星の外殻(冥王の残骸)』、及び『六人姉妹』の結界に阻まれ、降下出来なかった二体の侵略者(アリストテレス)を星の外に押し出そうという作戦。

 

 撃退しつつ戦闘による消耗も避けられ、正史では実行された作戦である。

 

 

 しかしながら、この世界ではあらゆる障害を無視する『魔剣』が二体の侵略者(アリストテレス)を斬り裂いた。

 

 

 「………にしても、ホントに夫婦なんだな」

 

 「はい?まさか、嘘だと思っていたのですか?」

 

 玉座にて眠りにつく王の側には女がいた。

 『六人姉妹』の末妹“審判”である。

 

 

 亜麗百種の頂点である『六人姉妹』と人間種(騎士)

頂点である『騎士王』。

 

 大戦の禍根が残っていないのは侵略者がいる(それどころじゃない)というだけでなく、彼らが結婚したことも大きい。

 

 『ビジネスパートナーであるだけで特に好きではないが、効果的であるから結婚した』という邪推は、少なからずあった。

 

 「そんなわけがないでしょう。恋愛結婚です」

 

 「まぁ、そうだろうな」

 

 ゴドー自身、直接彼らを見るまではそのような疑念はあった。

 だが、目の前の少女は眠っている夫の側に居続ける立派な妻だった。

 

 「どこに惚れたんだ?やっぱり顔か?」

 

 「違います。アーサー君の顔は好きですが、もっと別のところに」

 「彼の魂に、惚れたのです」

 

 

 

 

 

 霊長(ヒト)は、我欲で星を殺した。

 

 ───愚かしい

 

 霊長(ヒト)は、この期に及んで生きようとしている。

 

 ───愚かしい

 

 霊長(ヒト)は、まだ互いに争い合っている。

 

 ───愚かしい

 

 

 霊長(ヒト)によって生み出された新たなヒトのカタチである彼女にとって、彼らは愚かだった。

 

 先駆機()達は、彼らに取って代わると言った。

 彼女は、従った。

 

 「でも、戦いたく無かったな」

 

 

 

 大戦が始まった。

 星はもっと壊れて、ヒトはいっぱい死んだ。

 

 もう、嫌だ。もう疲れた。

 弱音を斬り捨てる。姉達は勝つ気だ。足を引っ張るわけにはいかない。

 

 

 でも。

 もし、“戦わなくて良い理由”が生まれたなら。

もしかしたら、姉達も戦いをやめるかもしれない。

 

 

 

 

 姉達にも秘密で、人間種と接触することにした。

もし、和平を結べたら。戦わなくて良くなったら。

 

 「お姉ちゃん達と、遊びたいな───」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「───オマエが、“審判”だな」

 

 こひゅ、と。情けなく音が漏れた。

 

 『魔法使い』であり“6つに分たれた魔法そのもの”である私は、目の前の騎士に心底恐怖した(・・・・)

 

 

 

 存在の規模が違う。強度が違う。

 まさに星そのもの(・・・・)というべき存在。

 

 ───嗚呼、これが

 

 大戦で多くの血が流れた。私も殺した。

 だから、これは因果なのだ。

 

 覚悟もなく戦いに挑んで、自分に都合のいい未来だけを得ようとした代償。

 

 だから。

 「わ、わたし、私はっ!」

 

 ここで。

 「死にたくない(・・・・・・)!」

 

 

 

 

 

 

 

 「ああ、俺もそうだ。だから協力してほしい」

 

 「───ぇ?」

 

 騎士は、私に話しかけた。

 

 「ヒトは愚かで醜い部分がある。未だに争っているのがその証拠だ」

 

 蒼い眼が私の心を貫いたかのように、私の内心をそのまま彼は言い放った。

 

 「だがそれは一側面でしかない」

 「ヒトには、光輝く良い面もあるはずだ」

 

 彼の目に宿された煮えたぎるような『人の愛』は、直視した私の目を焼いた。

 

 「俺は、それが好きだ」

 「ヒトという星が輝くその瞬間(トキ)こそ、この世に溢れるべきものなのだ」

 

 私以上に『人の輝き』に目を灼かれた彼は、彼自身が『輝き』の体現者になっていた。

 

 「俺は、『輝き』を見たい。だからこそ、俺は王にならなければならない」

 「ヒトを導く、人の王(・・・)に」

 

 「───それで、協力というのは?」

 

 彼なのだ。

 “戦わなくていい理由”に、彼ならば成れる。

 

 「亜麗百種も、人間種も。俺からすれば等しく『ヒト』だ」

 「()の側で、俺を支えて欲しい」

 

 ならばそうしよう。

 この日、私は………

 

 「貴方の、名前は───」

 

 「俺か?俺は───」

 

 ───運命(Fate)に会った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いや、そんな話聞かされても………」

 

 「はい?貴方が聞いてきたんでしょう!」

 

 唐突にこんな話を聞かされたゴドーは興味を無くしていた。何が悲しくて他人の惚気話を聞かなければならないのか。

 

 最後のホモ・サピエンスであるゴドーには相手もいないというのに。

 

 「というか、まだ起きないのか?」

 

 「言ったでしょう。『聖剣』を二度も振るわれたのですから、その分お疲れなのです」

 

 未だに起きない騎士王にゴドーが愚痴る。

 

 「結局のところ、『聖剣』ってなんなんだ?騎士の魔剣と何が違う?」

 

 

 

 ───魔剣(おう)の話をしよう。

 

 

 魔剣と一口に言っても、二種類のものがある。

 

 一つ目は『物質的な魔剣』。

 “星が造った”、“多くの血を吸った”など、人類史でも様々な逸話が残る、カタチある魔剣。

 

 騎士アド・エデムの『斬撃皇帝』が代表例であり、彼の場合は『星を平らげ大きくなる』という性質がある。

 

 

 騎士の魔剣の場合、構成している『真エーテル(ジン)』という名の星の血(スターダスト)が大きく影響を及ぼしている。

 

 故に、騎士の魔剣は『星の聖剣』とも言える。

 

 

 二つ目が『技術としての魔剣』。“単なる技術でありながら魔法の領域に至ったもの”。

 

 とある農民(佐々木小次郎)の場合、『並行世界より呼び出された三つの閃が同時に襲いかかる』というものである。

 

 もっとも、彼の場合はただ燕を斬ろうとしただけなのだが。

 

 

 

 騎士王アーサーの『魔剣』。

 

 かつては金星の王(タイプ:ヴィーナス)だった(・・・)モノ、今では世界樹と呼ばれるソレを大地と結びつけた魔剣。

 

 矛盾を矛盾のまま叶える夢のような魔剣だが、

その最も理不尽なところは攻撃にこそ発揮される。

 

 

 『百回殴れば死ぬ敵』が居たとして。

 彼の魔剣ならば、過程を省略(カット)して強制的に『斬られた後』の状態を存在させる。

 

 『死の概念がない』『相手が大きすぎる』『剣の間合いに届かない』などという条件は魔剣によって省略(カット)され、結果だけが残る。

 

 

 

 

 「とんでもないじゃねえか!俺の銃とか、あんたらの魔法よりよっぽどファンタジーだろ!」

 

 「そうでしょうそうでしょう!アーサー君は凄いんです!」

 

 「じゃあ、『聖剣』はどういうのなんだ?」

 

 ピシリ。

 夫の栄光をゴドーに知らしめた喜びと、そんな夫を支えることが出来る誇らしさで胸を張っていた彼女は、ゴドーの何気ない質問に突然固まった。

 

 「え、えっと〜。そ、それはぁ〜」

 

 「どうしたんだよ。まさか知らないのか?」

 

 「知ってる!知ってるもん!知ってるけど言いたくないの!」

 

 ゴドーの追求を躱わす彼女は、とてつもなく怪しかった。

 が、ちょうどアーサーが意識を取り戻した。

 

 「ん───」

 

 「あ、ほら!アーサー君に用があるんでしょ!」

 

 「しょうがねえな。夫婦の邪魔になっちゃまずいからさっさと用を済ませるぞ」

 「ほらよ、アーサー」

 

 ゴドーが渡したもの。それは───

 

 「まさか、このギター(・・・)は」

 

 「お前にやるよ。俺は弾けないしな」

 

 チューニングもまともにされていない、ただの古いギター。

 ゴドーの姉の、形見である。

 

 「………何故俺に?形見だろう」

 

 「ハッ!ご自慢の“眼”でも人の心までは見えないのか?」

 「お前ならいい(・・・・・・)。お前が、新しく霊長(ヒト)を引っ張っていくんだったら、安心できる」

 

 それすなわち、ゴドーからアーサーへの信頼と愛の証である。

 

 

 

 

 

 

 

 『恒星炉の完成を確認 目標性能を上回る働きが期待できます』

 

 『アヴァロン計画 実行率30%を超過』

 

 『一定程度の計画の終了を確認 再演算 開始』

 

 『………エラー』

 

 『過去視を応用した未来演算の結果、遊星ヴェルバー本体(・・)が太陽系に侵入する可能性 極大』

 

 『人理補正式マーリンより マスターへ』

 

 『警告 警告』

 

 『遊星ヴェルバー接近中 現在の戦力をデータとして演算………』

 

 『勝率 0% 生存確率 0%』

 

 




“審判”
 ヒトの輝きを魂に刻みつけたヤツ(騎士王アーサー)の眼を見ちゃって自分も焼かれた。

 戦いは嫌い。死にたくないし、殺したくない。
 でも、彼が頑張るなら。私はそれを支えたい。


 『六人姉妹』とは、第六魔法の化身。ある種のシステムのようなモノ。
 六人で一つの存在であるため、『同期』による経験の共有なども出来る。

 この感情(バグ)は、彼女だけのモノである。


ゴドー
 惚気話を聞かされた可哀想な男。独身というか彼しかホモ・サピエンスがいない。

 『騎士王』ではなく、アーサーという一人の人間を相手に話をする数少ない存在。

 アーサーへの信頼度は青天井。彼が負けるなら
それは人類全ての敗北であると確信している。

 旧人類でありながら、新霊長を認め次を任せた。


海王星の王
 ナレ死。星に侵入できなくて困ってたら斬られた。

 もはや王ではない

天王星の王
 ナレ死。同上。

 もはや王ではない

アーサー
 過去視で人類の悪性も善性も見た。

 悪性はある程度許容出来るし、なんなら彼自身が人類の悪性の最たるものである。

 それはそれとして綺麗なものが見たいので、自分で良い方向に誘導する事にした。

次回中ボス戦。
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