未来の騎士王   作:アーっr

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鋼の大地って言われたらこうだと思うじゃん?


Program No.6

 

 

 始めに、眼を与えられた。

 

 ───殺せ。絶滅させろ。

 (ワタシ)を殺した挙句、死体の上に未だ居座るこの生命種を、殺すのだ。

 

 『声』は殺せ、殺せの一点張り。

 

 

 ………ヒトを見た。

 

 資源、動植物、それまでの環境。

 ヒトによって失われたさまざまなものがあった。

 

 奴らは奪った。奴らは浪費した。

 ───故に、殺せ。絶滅させろ。

 

 確かに、それはヒトの悪性である。

 だが、ヒトだけ(・・)の問題なのだろうか。

 

 ヒトだけが、悍ましいのだろうか。

 

 

 ………星を見た。

 ヒト以前の、神の全盛期を。生命を許さぬ地獄を。そして、星の誕生すら見た。

 

 奴らが星の在り方を歪めた。奴らが星を滅ぼした。

 ───故に、殺せ。絶滅させろ。

 

 星の在り方を見た。ヒトが出現する前の、原初のカタチを知った。

 

 ───全く違う(・・・・)

 今の、生命が芽吹かぬ鋼の大地ではなく。多種多様な生命が、自由に存在していた。

 

 奴らは星の外に出る。星の外から更に奪う。

 ───故に、殺せ。絶滅させろ。

 

 奴らが、星の外に出る前に。

 

 

 ………ヒトは奪う。浪費し、殺し、滅ぼす。それは変えようのない事実だ。

 だが、ヒトの在り方はそれだけなのか?

 

 悪辣で許し難いその歴史の中に、それでも光り輝くあの精神(ココロ)は、無視して良いのだろうか?

 

 

 ………宇宙(ソラ)を見た。

 

 迷った旅人が天を仰ぐように。果てしないソラに、理由(わけ)もなく答えを求めて。

 

 蓮の花が、俺を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 『アヴァロン計画 実行率90%を超過』

 

 「遊星の技術はどうなっている?」

 

 『遊星本体の部品(パーツ)は遊星の自爆、及び両断によって回収不能でしたが、技術そのものは千里眼を利用して学習(ラーニング)中です』

 

 「よし………まずは地球の蘇生を優先する。その後、更なる惑星改造(テラフォーミング)を行う」

 

 『どのように致しますか?』

 

 「以前話したように」

 「ヒトがより長く、より確かに繁栄するために、生き返った地球を鋼の大地にする(・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 今までで最も強力な敵を討伐した王は、鋼の大地に生きる全てに対して演説をした。

 

 「聞こえるか。俺は、アーサー」

 「騎士王アーサーだ」

 

 星々を殺し、星系を超え、銀河すら上回る偉大な王の一言一言に大地に生きる全てが傾聴した。

 

 「もはや、我らに敵はない」

 「どのような侵略者が来ようとも、我らが滅びることはないだろう」

 

 当然だ。王は最強なのだから。

 最強の王を、さらに支える者たちすらいるのだ。

 

 何が相手であっても、勝ってみせるだろう。

 

 「故に、我らが次に考えるべきは我ら自身だ」

 「己の隣にいる者に対して、どのように接するべきなのか」

 

 皆が顔を見合わせる。

 ………違うところだらけだ。

 

 翼がある/ない。

 剣がある/ない。

 身体が、考え方が、在り方が違う。

 

 「それは、言語を解さぬ敵か?」

 「それは、己を蝕む敵か?」

 「それは、相容れぬ敵か?」

 

 否。それは違う。

 

 激しき侵略者たち(アリストテレス)の猛攻、あるいは銀河そのもの(遊星)からの攻撃。

 

 身体が、考えが、在り方が違っても、我らは生き残るために協力し合った。

 我らは、仲間だ。

 

 「分かるだろう。この大地に生きる全ての存在が、皆等しく仲間だ」

 「故に、俺はここに宣言する!」

 

 「この大地に生きる全ての者が、霊長(ヒト)である!」「亜麗百種や人間種、旧人類もAIも、侵略者だった者すら、皆等しく霊長(ヒト)である!」

 

 「今ここに、新たなる霊長(・・・・・・)

 希望する人(ホモ・スペランス)の誕生を宣言する!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………それで、何か用があるのか?」

 

 風が吹いている。穏やかな風だ。

 死した大地は甦り、命は芽吹き始めた。

 

 いつかあった春のような、優しい風が吹いた。

 

 「あるとも。我が目的は正真正銘の侵略(・・)

 「この星を、我が物に」

 

 遊星との戦闘の余波すら耐えた、この星の衛星(つき)の明かりが二人を照らす。

 

 その明かりは、(アカ)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 「───エクスカリバー」

 

 銀河すら両断した王の剣が、金髪赤眼の貴人(タイプ:ムーン)の首目掛けて放たれる。

 

 存在の規模で朱い月は王に負けている。

 つまり、魔剣の斬れ味は落ちない。

 

 「───うわ」

 

 「危ないな。会話を楽しみたまえ、我が弟」

 

 ギャイン、と。ふざけた音と共に、王の剣は吸血鬼の剣に弾かれた(・・・・)

 

 「真世界(リアル・オブ・ザ・ワールド)。君が背負う人類史の技術は私に通じない」

 

 

 むかしむかし。月には文明があった。

 しかし、星の外より飛来した遊星の尖兵により

“何もなくなって”しまった。

 

 

 無くなった月の国の代わりに、地球を自らの領地として掌握する。

 真なる意味での侵略。それこそが、朱い月の思惑だった。

 

 だが、それを許す地球ではない。そこに生きるヒトも侵略を許さない。

 故に本来、排除対象である朱い月は地球で強権を振るえないのだが───

 

 「………蘇らせたのは失敗だったかな」

 

 「今回は地球直々に“ヒトを排除しろ”との要請を受けた。流石にやり過ぎたな」

 

 現在、地球は生き返った。

 元々断末魔でヒトの排除を願ったのだ。ならば、生き返った地球がヒトの絶滅を望んでいるのは当然だろう。

 

 理由は、それだけではない。

 

 「まさか、蘇らせた母星を機械化する(・・・・・)とは。悍ましいにも程があるぞ」

 

 ヒトが殺した大地を、ヒトが殺した天体の王で蘇らせた後に、ヒトの都合に合うように改造する。

 

 地球(ほし)は、再び悲鳴を上げた。

 

 「仕方がないだろう。肉体からの解放(第三魔法)が実現しなかった以上、星そのもので航海するしかない」

 

 星のサイボーグ化。いっそ清々しいまでに一貫した惑星の私物化。倫理の蹂躙。

 その全てを、王は肯定する。

 

 

 

 

 

 

 

 魔法。

 人類が攻略しなければならない6つの課題。

 期限までに果たせなければゲームオーバー(over count 1999)が訪れ、ヒトは終わる。

 

……はじめの一つは全てを変えた。

 無の否定。

 

……つぎの二つは多くを認めた。

 並行世界の運営。

 

……受けて三つは未来を示した。

 魂の物質化。

 

……繋ぐ四つは姿を隠した。

 定義不明。

 

そして終わりの五つ目は、とっくに意義を失っていた。

 魔法・青。

 

 第六魔法/第六法(Program No.6)

 “みんなを幸せにする”もの。

 

 

 この鋼の大地ではその全てが未だ魔法のまま(・・・・・)であり、一部の存在しか扱うことが出来ていない。

 

 本来なら詰み。もはやどうにも出来ず、滅びるしかないはずだった。

 

 「君が全てを変えた。君が全てを狂わせた。君の手によって、ヒトはまだ生きている」

 「敬意を。君は偉大な王だ」

 

 「なら今すぐ月に帰るんだな。お前のせいで星の機械化が解けてきたぞ」

 

 人類史の否定。人理汚染因子。

 死徒の祖である朱い月は、存在するだけでヒトの歩みを排除し無かったことにする。

 

 彼の前では、ヒトの世に存在したあらゆる技術は朱く塗り潰される。

 それは、星の機械化さえも例外ではない。

 

 「おお、これが魔剣か?人間らしい雑さだな」

 

 ヒトの歩みを塗り潰すという朱い月の在り方も魔剣は両断する。

 シミの付いた布を斬り刻み無かったことにするかのような横暴。

 

 「お前自身には干渉出来ないが、お前から漏れ出たものは斬れる。千日手だな」

 

 「ほう、私が君を殺せないとでも?」

 

 月の王が魔剣真世界(リアル・オブ・ザ・ワールド)を振る。

 騎士王が魔剣エクスカリバーを振る。

 

 ガキン、と相殺が起きる。

 

 「ふむ………その魔剣、数回では塗り潰しきれないか。まさに人類の研鑽よな」

 

 「当たり前だ。俺はヒトの王。人類史一万年が

この剣に乗っているんだぞ」

 

 人類史を否定するといえども、限度はある。騎士王は人類史一万年の結晶。

 たった数度剣を合わせただけで、その魔剣を否定することは出来ない。

 

 だが、限りはある。

 

 「一度では塗り潰せなんども、十や百、千も振れば話は別だろう?」

 

 数十回、数百回、数千回。振れば振るだけ、塗り潰されるだろう。

 時間は、彼の敵である。

 

 「………あまり、やりたくないんだが」

 

 騎士王が、剣を収める。

 

 「お────?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ガッ───『留まれ!』」

 

 「喧しい」

 

 人外の膂力。月の王の証である『虹の魔眼』。

 そして、魔剣真世界(リアル・オブ・ザ・ワールド)

 

 その全てを用いても、目の前の獣は止まらない。

 

 「徒手空拳で、私に、挑むなど───!」

 

 「剣に悪影響が出るのなら、素手で戦えばいい。当たり前のことだろう?」

 

 騎士王アーサー。人類史一万年を背負う彼の技は、剣だけに留まらない。

 

 空手、合気道、暗殺拳、パンクラチオン、カラリパヤット。その他、個人が開発した武術の数々。

 これらの集合が流派:エクスカリバー。

 

 

 もっとも信頼できるのが剣というだけであり、アーサーはあらゆる武を修めている。

 

 「だとしても!それがヒトの歩みならばッ」

 

 「無駄だ。今の技を塗り潰しても先の技は更なる発展を遂げている」

 「時間は、俺の味方だ」

 

 あまりにも膨大な時間、人による研鑽。

 その技の一部を塗り潰したとしても、アーサーは数秒で新たな技を開発、体系化する。

 

 

 騎士王アーサーは過去の猿真似ごときで留まらない。今より明日。明日より明後日。

 止まらぬ歩みこそ、ヒトの証である。

 

 「ゴフ───ッ!流石だ弟よ!」

 「これが最後だ、受け取れ!」

 

 戦いの、その一瞬。

 天に坐す朱色の月落ちてきた(・・・・・)

 

 「いらん!そんなの持ってくるな!」

 

 「は、そう言うな。返品は不可だぞ」

 

 「最悪の押し売りだぞ、兄貴!」

 

 

 

 

 

 

 月そのものが落ちている。

 天に坐す朱色の月は、それ自体が人類史を否定する因子の塊である。

 

 もしこれが地球に落ちればヒトの文明は飲み込まれ、星の機械化どころかヒトの存続が怪しい。

 

 「………ふむ」

 

 「どうした弟よ。諦めたか?」

 

 銀河すら断ち切る技も、ヒトを否定する朱色の月の前では無力だ。

 

 「いいや、諦めるなんてことはしない。だが、

一つ言いたいことがあってな」

 

 「ほう。言ってみよ」

 

 ヒトを滅ぼす凶星が落ちて来ようとしているのに、騎士王は全く動じない。

 

 「『宣言』を聞いていただろう?俺の声は星の外にまで届いたはずだ」

 

 「希望する人(ホモ・スペランス)か?多様な存在を霊長と認めるとは、節操のないものだ」

 

 星の揺籠(アヴァロン)を破り、凶星が堕ちる。

 二人はまだ会話を続ける。

 

 「そう、節操がないんだよ。この星に存在するすべてが、俺からすればヒトだ」

 「俺にとっては、兄貴も仲間(ヒト)だよ」

 

 「………ハハハッ!強欲だな、我が弟よ」

 

 月が、落ちて。

 

 「エクス、カリバー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「アーサー君、人理汚染因子はもう地上にないよ。全部君が背負っちゃったから」

 

 魔女が、呆れた顔で王を見る。

 呆れた顔で、それでも誇らしそうに。嬉しそうに。王の活躍を楽しんでいる。

 

 『人理補正式マーリンよりマスターへ』

 『汚染除去により稼働の再開をお知らせします』

 

 月からの汚染を防ぐため稼働を停止していた人理補正式も、また動き出した。

 

 「落ちてきた月をそのまま地球の核にするとか、相変わらずぶっ飛んだことしてるよな」

 

 最後のホモ・サピエンスであり、様々な外敵を撃ち落とした銃神はまだ生きている。

 

 「………壮観だな」

 

 王は、見る。

 宇宙(ソラ)の彼方。今まで月が防波堤となり防がれてきた外宇宙からの干渉。

 星の海の航海には、まだまだ危険がある。

 

 それでも。

 

 「お前たちがいたおかげで、俺は立ち上がることが出来た。お前たちの輝きが、俺をヒトにした」

 

 この輝きがある限り、ヒトは止まらないだろう。

 他者から奪い、失わせ、ただ浪費する。

 

 それはいつか、宇宙すら消費するかもしれない。

 

 「それは知らん。その内なんとかすれば良い」

 

 「愚かだな。ヒトらしい醜さだぞ、我が弟」

 

 ヒトを否定する者すら受け入れる節操のなさは、(ソラ)の外から来た因子を取り込み続けるだろう。

 

 「良いだろう?所詮人間なんて獣なんだ。悍ましい獣らしく、醜く生きていこうじゃないか」

 

 『人理補正式マーリンよりマスターへ』

 『メインエンジン 点火』

 『想定通りの出力 確認』

 

 『鋼の大地 出発準備完了』

 

 「ここから(・・・・)だ。ここから、また新しいヒトの物語が始まる」

 

 其れは星海を征く舟。

 新たな物語の舞台。

 

 「名付けるなら、宇宙船地球号かな?」

 




朱い月
 月の王。吸血鬼。
 無くなった自分の国の代わりに地球をゲットしようとしたが、地球にも人にも嫌われた。

 仕方がないので『真祖』という自分の後継を地球に作らせた。

 最初のSOSに応じなかったのは、漁夫の利を狙っていた。人が居なくなれば地球は我が物に!

 アーサーのことを弟と呼んだのは、『地球に人殺しを頼まれた』『星の王』『地球に嫌われている』などの共通点があったから。

 未だ月の王である。なお、現在月は存在しない。


地球
 アカン死ぬ!ええけど人の始末せなあかん!
 使い(真祖)は作れない………あ、いいのがいるじゃん!

 なんやコイツ全然言うこと聞かへんやん!
 へるぷみー!(他天体にSOS)

 なんか知らんけど復活した!けど今度はサイボーグにされる!今こそ人を絶滅させるぞ!
 やってください(月に頼む)

 領土?ええよ!一度は失った命やし。
 負けとるやん!(全ギレ)


アーサー
 生まれはヒト。地球最後の端末(真祖)のはずが、既に死した地球では真祖を生み出すことは出来なかった。

 しかし、『騎士』という“星の血肉(ジン)を取り込む”
生態の生物がいた。
 星は断末魔を聴かせた。最後の端末に、後処理(人殺し)をさせるために。

 いやぁ………言うほど悪いか?(人類史を学ぶ)
 悪いわ。
 いやでもなぁ。輝いてるしなぁ。(蓮の花を見る)
 何もしないくらいだったら人を助ける!

 地球はキレた。(他天体にSOS)
 うるせーボケ!(侵略者全殺し)

 なんやかんやで地球を蘇生させた。サイボーグにしてやる………!
 地球自体が新たな端末(真祖)を作り出すことは防いだ。月にSOSが届いたけど。

 おまんも人!(人理汚染因子を霊長判定)
 霊長では霊長王であるアーサーに勝てない!完!


宇宙船地球号
 鋼の大地って、こういうことでしょ?
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