未来の騎士王   作:アーっr

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人を救うのはヒトの役目だ。神仏では無い。


Fate/Zero
救世主


 

 

 「みったせー、みったせー。みた……何回言うんだっけ? 四度? 五度? えーと、満たされるトキを破却する……だよなぁ?」

 

 血。魂の通貨。

 血で作られた魔法陣を眺めながら、爽やかな好青年のように見える彼は歌うように詠唱した。

 

 彼はシリアルキラー、雨生龍之介。

 人の「死」の意味を知る為に、30人以上の犠牲者を場当たり的に生み出した。

 

 しかし殺人のモチベーションが下がり、次は『悪魔』という非人間的存在との交流を求めた。

 人殺しを存在理由とするような『人殺しの先輩』に会ってみたいと。そのような好奇心だった。

 

 「その為に君たち(・・・)を用意したんだよ。モノホンの悪魔さんが来た時にお土産ナシじゃ悪いからね」

 

 「────ひっ」

 「や、やめて…………」

 

 数人の子供達が、無垢な殺人鬼にとって捕えられていた。もしも悪魔が現れたら、生贄にする為に。

 

 それぞれの家族が、彼らを探しているだろう。それは父かもしれないし、母かもしれない。

 兄か、姉か。あるいは友人、それらに頼られた警察などもだろうか。

 

 いずれにしろ、子供達を助けようとする者はいる。帰りを願う者はいる。

 

 彼らは、愛されている。

 

 「────」

 

 魂の通貨()で描かれた陣が魔力を帯びる。

 人類史に刻まれた英雄が、現れようとしている。

 

 

 検索開始。

 依代一件該当。

 

 体格適合。霊格適合。人格適合。魔力適合。

 血統不適合。類感魔術の応用により問題なし。

 

 元人格の同意獲得。人理汚染因子を除去。

 神核挿入完了。体格と霊格の適合作業開始。

 

 クラス別能力付与開始。

 スキル『聖人』……カリスマを1ランクアップ。

 

 適合作業終了。全工程完了。

 

 

 「────は」

 

 殺人鬼が歌ったのは正確な詠唱では無い。

 しかし、十分だった。

 

 何故ならこの場には『愛』があり、『助け』を求める者がいる。

 ならば、彼はやって来る。

 

 本来の在り方とは違えども、彼がする事に変わりはない。

 

 「────サーヴァント、救世主(セイヴァー)

 「真名◾️◾️◾️◾️」

 

 世界を創造した者。

 全知であり、輝き()を伝え、全てを救う存在。

 

 蘇った人(・・・・)

 

 「私は問わない。私は全てを知る」

 「恐れてはならない、おののいてはならない」

 「(わたし)は、輝き()である」

 

 其れは聖杯の由来そのもの。

 聖杯戦争の根幹を揺るがす反則(チート)

 

 「恐れるな、私があなたを助ける」

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。

 

 「ひ───やだ、やだっ。姉さん、お父様!」

 

 間桐の家には蟲が集まる蔵がある。

 そこには、野望の為に『調整』される一人の幼い少女がいた。

 

 遠坂/間桐桜。御三家遠坂の出であり、間桐に渡された不運な少女。

 彼女はこれから人体改造を施され、人としての尊厳を侵され、その人生は大きく歪むだろう。

 

 しかし。このような地獄にも、糸は垂らされる。

 

 「誰か、助けて(・・・)───!」

 

 召喚陣も無く、詠唱も無く、触媒も無い。

 故に、これは慈悲である。

 

 ───坐禅を組む男が現れた。

 

 彼の背後から車のハイビームのような眩しい光が差した。彼の背後で光が輪を描いたように見えた。

 

 「────サーヴァント、救世主(セイヴァー)

 「真名◾️◾️◾️◾️」

 

 地獄に仏。『慈しみ』を語源とする者。

 その到来は“遥かな未来”であり、彼がシッダールタの後継者となり全ての者を救うとされている。

 

 それはゾロアスター教においては中級神ヤザタの一柱とされ、英雄神、太陽神とされた。

 

 生の苦しみより解脱した解答者。

 生命の真意に辿り着いたもの。

 

 「衆生(あなた)済度(すくう)ために、ここに居る」

 

 

 

 

 

 

 

 一人の男が、詠唱をしている。

 

 「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」

 

 表面上何も問題はないが、もし彼を魔術的に見ることが出来るならその異形に驚くだろう。

 

 「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 

 継ぎ接ぎの霊基(なかみ)は今にも溢れ出てしまう。

 魚に鳥の羽を移植するような、そんな無理なことをした結果が彼だ。

 

 「閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 

 神霊としてその身を貸し、しかし相容れぬ天敵の登場で戦闘となった。

 別側面とは言え自分殺しをすることになるとは、彼は思っていなかった。

 

 「繰り返すつどに五度」

 「ただ、満たされる刻を破却する」

 

 このままでは彼は消える。せっかくの現代、もっと楽しみたい。

 それに、現代に不安を残すわけにはいかない。

 

 「────告げる」

 

 故に、適切な処理をする。

 

 「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」

 

 たった一つだけ、この継ぎ接ぎの体を安定させる方法がある。

 

 「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

 応えるはずだ。

 呼ぶのは、彼に最も縁のある存在なのだから。

 

 「誓いを此処に」

 

 誓いを立てる。

 ヒトとして生き、人を救おう。

 

 「我は常世総ての善と成る者」

 「我は常世総ての悪を敷く者」

 

 王ならざるヒトとして。

 この世界を、少しだけ善いものに。

 

 「汝三大の言霊を纏う七天」

 「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!」

 

 

 

 

 

 ウェイバー・ベルベットは魔術師だ。

 己こそ時計塔史上最高の天才であり、それを認めない存在は自分を僻んでいると思っている。

 

 「おい!昼に出歩くなって言っただろ!」

 

 「これから征服するところを実際に見んでどうする!征服とは正面から呑み込むものなのだ!」

 

 師の触媒を盗み、聖杯戦争に参加したはいいが、肝心のサーヴァントは命令を聞かない。

 サーヴァントとはいえ使い魔だと言うのに、召喚主の命令をここまで聞かないのは誤算だった。

 

 「にいちゃん!それどうやってんの!?」

 「次はこれ!これやってよ!」

 

 「おう?何やら騒がしいな。祭りか?」

 

 昼間の街中、確かこの先には公園がある。

 子供達が騒いでいるのに誘われて、ウェイバーのサーヴァントは行ってしまった。

 

 「おい!まてって!」

 

 

 

 

 

 

 

 「すっげー!なんで光ってんのにいちゃん!」

 

 「偉大な大人は光るんです。良いことをすればみんなこうなれますよ」

 

 美しい男がいる。

 ただそこに居るだけで目が離せない。

 

 明らかにサーヴァントだ。サーヴァントが、街中の公園で、地元の子どもの前で光っている。

 

 「さっきのやつやってよ!鳩が集まるやつ!」

 

 「はーっ!せい!」

 

 子供達の要望通り、男の頭や肩に鳩が止まった。

 明らかに神秘の秘匿を無視している。

 

 「おお………!見ろ坊主、相当高位の僧だぞ!」

 

 「だからなんだって言うんだ!神秘の秘匿を完全に無視してるだろ!」

 

 「そんなことをいちいち気にするな。それより、奴を勧誘するぞ!」

 

 「な………何を言ってやがりますかこのバカはーー!」

 

 神秘の秘匿は、聖杯戦争どころか魔術世界そのものの大原則であり、これに違反する者は消される。

 

 もしあの男を勧誘し、成功したとして。

 監督役が抹殺を命令したら、各陣営から袋叩きに合うだろう。

 

 そうなれば聖杯戦争に敗北。最悪ウェイバーも殺されるだろう。

 

 「おいライダー、聞いてるのか───」

 

 「そこの僧。かなり修練を積んだようだが、どうだ?我が覇道を共に征くつもりはないか?」

 

 「おい!やめろってライダー!」

 

 そもそも、近づかなければこちらがサーヴァントとマスターだと気付かなかったかもしれない。

 情報戦で優位を取れたかもしれないというのに、ライダーはそれを無視して話しかけた。

 

 「ごめんなさい。私は、戦う気がないんです」

 

 「はあ!?」

 

 聖杯を求めて現れたサーヴァントが、戦う気がない。ということは、聖杯を求めないということ。

 

 そもそも、サーヴァントがいるということは呼んだマスターがいるはずだ。

 サーヴァントが求めなくても、マスターが求めているのではないのか───?

 

 「私にはマスターが居ません(・・・・・・・・・・・・)。今の目的は観光ですね」

 

 「聖杯は要らんのか?」

 

 「要りません。叶えたい願いも、同じように」

 

 異常だ。優秀とは言えないが、それでも魔術師であるウェイバーにはこの異常がわかる。

 

 「マスターが居ないだって?あり得ない!」

 「サーヴァントは魔力供給がなきゃ現界できないし、マスターという要石がなきゃ存在できない!」

 

 不可能なはずだ。ルール上、サーヴァントが一人歩きするなど。単独行動ですら、負荷を軽減するだけなのだ。

 

 一体どうやって、不可能を可能にしたのか。

 

 「そこは、まぁ───」

 

 男が空を見上げる。

 

 「人の信仰心(あい)、ですかね?」

 

 

 




冬木の聖杯戦争
 七騎のサーヴァントを召喚し、戦わせ、その魂を燃料に願いを叶える儀式。

 八騎のサーヴァントが存在していた(・・・・)
 どっかの救世主()は勝手に来たため、聖杯戦争の仕組みで召喚されたのは七騎。

 現在存在するサーヴァントは六騎。


ウェイバー・ベルベット
 自分のことを天才だと思ってる少年。思春期特有の根拠のない自尊心に突き動かされている。

 召喚した英霊が全く言うことを聞かないので苦労している。その苦難は、彼を成長させるだろう。



六騎目のサーヴァント ◾️◾️◾️◾️
 殺人鬼雨生龍之介に呼ばれたサーヴァント。
 ガチガチの神霊。なので依代を用意。

 ちょうど良いのが遥か未来(鋼の大地)にいたので身体を借りた。本人承認済み。
 聖杯戦争の意味を無くすレベルのチート。

 あの後、殺人鬼は自首。子供達は無事に愛する者のところへ帰った。
 人類を救う計画があったが、別の救世主(天敵)に遭遇。戦闘し相打ちに。

 既に存在しないサーヴァントである。



七騎目のサーヴァント ◾️◾️◾️◾️
 呼ばれてないけど勝手に来た。慈悲。
 コイツも神霊なので、ちょうど良いやつの皮を被る形で現界した。
 聖杯戦争が成り立たなくなるくらいのバグ。

 蟲蔵どころか間桐家自体を浄化。邪な存在では通れない最高の護り(対粛清防御)を展開した。

 もう片方の救世主の依代に引っ張られた連鎖召喚の形で現界したので、精神が依代寄り。
 本来一々救うわけでは無いが、精神が依代に引っ張られて桜を助けた。

 この聖杯戦争のサーヴァント数が狂った原因。
 人類を救おうとしていたが、別の救世主(天敵)に遭遇。戦闘し相打ちに。

 既に存在しないサーヴァントである。


八騎目のサーヴァント ◾️◾️◾️◾️
 宗教習合の極み。依代が同じだったばっかりに、唯一神の計画も未来仏の行動も全部呑まれた。
 神の魂。仏の心。人の体。

 六騎目と七騎目の霊基を融合した後の存在に『救った者』を降霊させた。

 戦う気なし。聖杯戦争のせいで現地人に被害が出るのを食い止めることにしている。
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