DMC Birth of Rebellion 作:chi-3
某年ロンドンの薄暗い地下のバーで黒いシルクハットを被った高貴な姿をした紳士がワイングラスを傾けながらしみじみと呟いた。
「人間どもが作るワインという飲み物。コレは本当に素晴らしいな。」
当時、魔帝ムンドゥスの配下であり、悪魔騎士団第一隊の隊長を務めていたスパーダは悪魔としては一風変わった趣味を持っていた。
それは、人間の姿に化けて人間の文化に触れるという事。
悪魔が人間に化ける理由は、その悪魔の能力が低く、人を騙し陥れる事でしかその魂を奪うことができないからだ。そのため、最上級悪魔であるスパーダが人に化けるという事はあり得ない事なのである。
悪魔は人間の魂を集める事で力を強める。そして、魔帝ムンドゥスの目的は地獄と人間界の統合。即ち、全ての人間を支配し、家畜化する事。それ故、悪魔が人間と交流を持つ事は本来許されざる行為なのだ。
しかし、そんな中、スパーダはお忍びで人間に化けながら人間の文化を楽しんでいた。
彼は悪魔でありながら、人の文化や人の創造物に対して深くリスペクトの心を持っていた。
「このピザと言う食べ物も大変素晴らしい!」
スパーダはピザを口いっぱいに頬張り、到底紳士とは思えない食べ方で周囲の客の目を引いていた。
「旦那、いい食べっぷりだねぇ。」
その姿を見ていた客の一人の男が突然スパーダの肩に手を回し馴れ馴れしく話しかけてきた。
「アンタ、身なりからすると、相当上級市民みてぇだなあ?さっきからアンタの身体から香ばしい上質な魂の香りがプンプンするんだよなぁ。」
男は舌なめずりしながらスパーダの首元にナイフを押し当てた。
「お、お客さん!酔っぱらい過ぎですよ!?こんな所でお辞め下さい!」
他の客がざわめきだし、店主がその男を諫めようとした瞬間。
「こんないい匂い!ガマン出来ねぇよなぁ!?お前等!」
男がそう叫ぶと客に紛れた数人が立ち上がり男と共に悪魔のその本性を現した。
「ひ、ひぃい!あ、悪魔ぁ!!」
悪魔の姿を見た店主と客は腰を抜かしてその場であたふたしていた。
「やれやれ、我が宵の楽しみを邪魔しないでくれないか?」
ズドン、ズドン!
スパーダに襲いかかろうとした悪魔に変身した男は突然の銃声と共にその額に大きな風穴を設ける事になった。
「なっ…、そんな馬鹿な」
「ふむ、この前拵えたこの拳銃もなかなか素晴らしい!」
スパーダは煙をユラユラと銃身から燻らせる二丁の大きな拳銃を愛おしそうに眺めた。
「さて、邪魔者は全員消さねばな。」
スパーダはニヤリと微笑むと悪魔を次々と拳銃で葬った。
「お、おまえ!人間じゃあ無いな!?何者だ!」
最後の悪魔がスパーダに問いかける。
「それを言ったら秘密じゃなくなるだろうが」
スパーダはそう言うと足踏みにした最後の悪魔の眉間にズドンと風穴を開けた。
「あ、あんた。ありがとう!助かったよ!本当にありがとう。所であんた、あんな悪魔をやっつけるなんて一体何者なんだ?」
カウンターの影からゆっくりと姿を現した店主がスパーダに問いかけると、スパーダは少し考えるように顎を撫でて店主に答えた。
「私の名はダンテ。しがないデビルハンターさ。」