DMC Birth of Rebellion   作:chi-3

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昔日の思い出 後編

「おぉ!貴様、なんと!驚いた!」

 

実験室からヨロヨロと出てきた少女を見てマモンは驚きを隠せなかった。

 

「だ…だれ?」

 

少女はマモンに問いかける。

 

「ほぉ!喋れるか!ワシの言葉はわかるかっ!?」

 

嬉々として少女に問い詰めると、少女は出てきた部屋の扉に姿を隠す。

 

「あうっ!」

 

マモンは腕をニュルりと伸ばし少女の頭を鷲掴みにしてまじまじとその姿を観察した。

 

「ほぅ、ほぉ!どうやら野良のレイスが核となっているようじゃのう!面白い!」

 

ドサッ!

 

「あっ!」

 

少女の姿の内に複数のレイスの魂を確認した後、マモンは興味が失せたように少女を放り投げた。

 

「コレは次の実験に移れるかもしれんな。ギルデンスタンの奴めに目にものを見せてやるぞ~。クククッ、楽しみじゃ、楽しみじゃぁ!」

 

今までの様子を観ていたネヴァンが割って入って来た。

 

「ねぇ!実験、成功してたんじゃないの!さっさと報酬全部よこしなさいよ!」

 

「いや。まだ、完全ではないようじゃ。おい、ネヴァン。報酬を倍に増やしてやるから、コヤツの飯の面倒をみてやれ。」

 

「はぁ?この子に魂を食わせろって?私だってペコペコよ。ふざけないで。」

 

「ならば丁度良いではないか。ほれ、街に戻って魂をあさってこい。貴様の影から生まれたコヤツは貴様の妹も同然ぞ。」

 

「うっさいわ。アタシに妹なんていないよっ!」

 

「助けて、お姉ちゃん…。」

 

産まれたばかりの悪魔の少女は縋るような声で呟いた。

 

「…〜っ!しょうがないわね。1回だけよ!?本当に報酬は倍だからね!?」

 

ネヴァンは少女の首根っこを掴み自分の影に放り込み自身も影に溶け込むと影は複数の蝙蝠となりバサバサと部屋の窓から外へと飛び去って行った。

 

 

バサバサ!蝙蝠の影は一つに集約すると二つの姿を現す。

…到着した場所、そこは寂れた農村であった。

 

「ここは…どこ?」

 

「ふん。アンタを見つけた場所だよ。バイキングに襲われたばかりで死体がコロコロと転がって悪魔たちの良い餌場なのさ。」

 

当時、まだ若く妖力が弱かった蝙蝠悪魔のネヴァンは弱い人間の魂をかき集めながら生活をしていた。

 

「面倒だから人間に見つからないでよね。特に聖職者にはね。」

 

「どうして?」

 

「雑魚人間なら誘惑してなんとかなるけど、聖職者には弱い悪魔なら簡単に祓われちゃうからよ!って…げっ!やば。私は隠れるからアンタ、自分で何とかしな。」

 

ネヴァンは慌ててその場から消えた。

 

しばらくして瓦礫の向こうから黒いボロのローブを着た修道女の様な老女が向かって来る。

 

「そこにいるのはノア?ノアなのかい!?それに、ヴィンセント!ミーア!クロウもいるのね!?」

 

老女は目が見えていないらしく杖をコンコンと叩きながらゆっくりとコチラに向かってくる。

 

「あなたたち!バイキングに攫われて…。戻って来れたのね!?」

 

目が見えないはずの彼女は真っ直ぐに少女の前までゆっくりと近づいていった。

 

「…あなたは誰?」

 

「あぁ、ノア!生きていたのね!でも、どういうこと?そこにヴィンセントとミーアとクロウも居るんでしょう!?どこなの?」

 

老女は目は見えないがその盲目の目には複数の魂が揺らめいていることを認知しているようだった。

 

「ノア…。わからない。僕は…誰なの?」

 

少女は頭を抱えてその場にうずくまる。

 

「おいっ!見つけたぞ!ここに居るじゃあねぇか!あのガキ!」

 

農村を襲ったバイキングの残党が探し物を見つけるため再び戻って来たようだ。

 

「あのガキ!急に消えやがって。どうやってこの村に戻ったんだ!?」

 

「!?あのバイキングども、また戻って来たの!?ノア!逃げなさい!三人の弟達もいるんでしょう?あの子達を守ってあげてね!さぁ、早くっ!!」

 

老女は少女の頬をギュッとしたあと促すようにその小さな背をぐっと押した。

 

「おい!ガキをコッチに寄越せ!ババァ!盲目だからアンタは見逃してやったんだ。邪魔するならブッ殺すぞ。」

 

老女はバイキングの前に立ち塞がった。

 

「アンタたち孤児たちを攫って人の心は無いのかい!?」

 

「あぁ!?弱者は黙って強者の言うことを聞くもんだぜ!ババァ!」

 

ズバッ!

 

「あぁあっ!!」

 

バイキングは太刀を振り下ろし老女を左肩からバッサリと斬り伏せた。

 

その場に倒れた老女はうずくまる少女に手を伸ばす。

 

「はや…く。逃げ…て。」

 

その姿を見た少女は突然の頭痛に頭を抱えた。

 

「うっ、…シスター…。ノア姉ちゃん。ミーア、クロウ…!僕は…。どうして…。」

 

「はぁ、手間取らせやがって。こっちに来い。クソガキ。オメェは容姿がいいから高く売れるぞ。お前の弟どもは手に負えない野郎どもだったから始末したからな。お前もそうなりたくなかったら黙ってついてこい!」

 

バイキングは少女の腕をグッと掴み持ち上げようとした。

 

「うっ!?なんだぁ!?重っ!」

 

軽そうな見た目の少女はその場からびくとも動く事は無かった。

 

「ブッ殺す。お前ら。全員。」

 

少女の身体に強い冷気が纏い始め、バイキングに掴まれた手をみるみるうちに凍らせ、ソレをもぎ取った。

 

「ぎゃあぁ!なっなんだコレは!?」

 

浮遊した少女はもぎ取った腕を放り投げると、両の手に黒く光る玉を出現させ、それに闇を纏わせると、それぞれ黒豹と烏に姿を変えた。

 

「ミーア、クロウ。アイツらに報いを…。」

 

ここから先は一方的な殺戮であった。黒い刃と棘、紫紺の雷。その場に居た暴漢どもを次々と薙ぎ払っていった。

 

「ぎゃぁ!」「なんなんだよこれはぁ!」「たったすけてくれぇ!」

 

厳つい男どもがいとも簡単に骸となっていく。そして、喧騒がだんだんと静けさを取り戻して行く。

 

激しい攻撃によって更にボロボロとなった農村の成れの果てにポツンと佇む少女はシスターの亡き骸に寄り添った。

 

「…シスター。ノア姉ちゃん。僕。誰も護れなかった。姉ちゃんや皆を護りたかっただけなのに。のうのうと生きて居る、人間ども…悔しい。憎い。許せない。」

 

ノアの身体とナイトメア・コアを依代とした三体のレイス。ヴィンセント、ミーア、クロウ。未熟な彼らの魂は健やかに生きる人間に強い妬みをもって悪魔となった。

 

彼らは後に嫉妬の悪魔として世界に君臨することとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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