あの葦毛ウマ娘を見よ
「おーいオッペケペー! オッペケペーやーい!」
「はい。何用でございましょうか、ゴールドシップ様。
ちなみに、私の名前はゲデヒトニスでございます」
「小さいことに気にすんなよでんでらりゅうば。禿げるぞ?」
「申し訳ございません」
「おまえが使えてるお嬢様を見てみたいんだけど、写真とか持ってないの?」
「生憎、この学園に迷い込んだ際着の身着のままだったものでして。
移動用のオモシロニクスすらも紛失する始末」
「そのオモシロニクスってのも気になるんだけどよ、どんなブツなんだ?」
「言葉で言い表すのは非常に難しいものがあります。
あえて言うのならば、そう……白い球状のテーブル」
「……皆目見当がつかねー表現だな」
「申し訳ございません。どうやら、言語対応が未だ上手くいっていないようでございまして。
私の記憶媒体には鮮明に記録されているのですが、この世界の機器とは規格がいささか異なります」
「ならしゃーないか。残念だけどな」
「申し訳ございません。
無理に接続をしようものならば、私の機密保持機能により、出力デバイスは崩壊いたします故」
「諦めるしかないってわけか。
とでも言うと思ったかトンヤレ節! お絵描きで物理的に出力すりゃ済む話じゃねーか。おまえの手は何のためについてるんだよ!」
「基本的な物質干渉機能を備えております。主に、品物をお嬢様へお運びするための機構となっております」
「ユーモラスさの欠片もない返答だな。ちっとはユーモラスを覚えたほうがいいんじゃねーの?」
「亡き旦那様からも、同じご指摘を多々受けました。よもや同じご指摘を、別世界の存在から受けることになろうとは」
「ゴルシちゃんと同じ感想を抱くとは、なかなか見どころのある旦那様じゃねーの。
ちょっと興味が出てきたし、一度会ってみたかったぜ」
「すでにお亡くなりになっている旦那様と交信する手段はありませんが、私の記録媒体にはつい昨日の出来事のようにお姿が記録されてあります。
であれば、あのご勇姿をお見せするためにわたくしの絵心を発揮いたしますのも、やぶさかではございません」
「おっ、けっこうお絵描きには自信ありげちゃんなのかよ。
じゃあ紙と鉛筆を用意するから、チャチャっと描いてみな」
「かしこまりました」
-30分後-
「できあがりました、ゴールドシップ様。
自分で言うのもなんですが、会心の出来となっております」
「見せてみな。
……お前、絵心にはユーモラスたっぷりだな」
「さようでございますか」