「メジロマックイーン様、トレーナー様がお探しでございます。メジロマックイーン様」
「……」
「こちらにおいででしたか」
「あら、ゲデヒトニスさん。なにか私に御用ですの?」
「はい。マクトレ様から頼まれまして、学園内を捜索しておりました。
トレーニングの時間にマックイーン様が顔を見せないと、かなり心配しておられましたので」
「ええっ、もうこんな時間ですの!?
ありがとうございます、ゲデヒトニスさん。急いでトレーニング場へ向かわなくては!」
「それでは、私にお乗りください。安全かつ快適に、トレーニング場までお運びいたします」
「いえ、そこまでされては悪いですわ」
「お気になさらず。
焦ったまま走られては、なにか予想もつかない失敗につながりかねませんので」
「で、では……お言葉に甘えますわ」
「よくお掴まりください。
それでは、出発いたします」
「あら、なかなかお早いですわね。私が流して走る速度と、あまり変わりませんわ。
それに、ほとんど揺れを感じません」
「ありがとうございます。
私ゲデヒトニス、お仕えするドロッセルお嬢様の元へ迅速に向かうこともまた、使命としておりますので。
無用な揺れはエネルギーのロスとなるばかりか、騒音の元にもなりかねません故、できる限り押さえるよう意識しております」
「そういえば、仕えているお嬢様のために別の世界を旅していらっしゃるのでしたわね。
少し貴女のご主人が羨ましいですわ。貴方のような立派な執事に敬愛されているなんて」
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
「あなたさえよろしければですが、学園に滞在する間メジロ家に仕えるつもりはありませんこと?
優秀な執事を遊ばせているのは、ある種の損失だと思いますの」
「ありがたいお話ですが、今はトレセン学園にお世話になっている身ですので、お断りさせていただきます。
世界が違うとはいえ、お嬢様以外にお仕えするわけにもまいりませんので」
「残念ですわ。
無理強いはできませんが、気が変わったらいつでもおっしゃってくださいね?」
「重ね重ね、ありがとうございます」
「件の無くされたという道具ですが、見つけられそうですか?」
「皆目、情報が集まりません。予想よりも長く、この学園に滞在することになりそうです」
「なにか思い出したことがあれば、遠慮無く伝えてくださいね。
お世話になっている相手に報いないとあれば、メジロ家の名折れですもの」
「ありがとうございます。そのときが来ましたら、お言葉に甘えさせていただきます。
ときにメジロマックイーン様、トレーニング場に到着いたしました。マクトレ様もこちらに気づいたご様子です」
「話に夢中になって気づきませんでした。
ありがとうございます、ゲデヒトニスさん」
「お礼を言われるようなことはしておりません」
「私の気分の問題ですわ」
「では、どういたしましてとお返ししましょう。
ときにメジロマックイーン様」
「なんでしょう?」
「眺めていたスイーツを摂取した場合、普段のトレーニングに7割増しの強度を追加すれば、1週間ほどで摂取熱量と消費熱量とが釣り合う計算となります」
「……あなたはデリカシーを学ぶべきだと思いますわ」
「さようでございますか」