「おーいゲデ君、ゲデ君はどこだい?」
「何用でございましょうか、アグネスタキオン様
ちなみに、私の名前はゲデヒトニスでございます」
「親しみを込めた愛称のつもりだったんだけど、不愉快だったかなゲデヒトニス君」
「今まで愛称というもので呼ばれたことがあまり無かったものでして。少々困惑しております」
「ならここから慣れていけばいいじゃないか
おそらく中等部の子たちは好きなあだ名で呼んでくると思うよ?」
「対応を考えます」
「お堅いねぇ」
「して、私をお捜しのようでしたが、いかなる御用でしょうか?」
「そうそう。エアシャカール君が君を探していたんだよ。彼女が組んでいる”
「手助けをするのはやぶさかではありませんが、あまり私をモデルにしないほうがよいのではないかと愚考します」
「へぇ?
それはまた何故だい?」
「すでに先週だけで4度私の思考パターンをエアシャカール様にお伝えし、エアシャカール様はそれを元にプログラムを整理いたしました。私の思考プログラムは、あくまでも私の思考プログラムでしかありません。
エアシャカール様は、あくまでも独自の解析機関として”
「”
「おわかりいただけましたか」
「人の脳をネット上に再現した場合、それはその存在のコピーなのか新たな人格なのか。
少し前に論争になった問題を思い出したよ」
「おそらく、そのコピーされた存在が自らをどう定義するかで結論は変わるのではないでしょうか」
「”
君の言うお嬢様も、君との会話を楽しんでいたんじゃないかな?」
「そうであれば、望外の喜びでございます」
「君ならば、創り出されたコピーにどのような声をかけるかな?」
「思考実験、という認識でよろしいでしょうか」
「そうだよ。似たような存在は知っているけど、彼女らはすでに答えを持っているからね。
あくまでも、君の考えが知りたいんだ」
「私の考え、でございますか。
……私が本物であるように、あなたたちもまた、本物である……といったところでしょうか」
「予想を超えた答えだね。
ありがとう、ゲデヒトニス君」
「お役に立てたのならば幸いです。
ときにアグネスタキオン様」
「なんだい?」
「ポケットに忍ばせている録音装置は、後でエアシャカール様に提出するものでしょうか?」
「……気づいていても、見逃すのが優しさというものだよ」
「しかし、電源が入っておりません」
「…………もう一度、会話をやり直してはくれないかな」