「ラヴズオンリーユー様。トレーナー様がお探しでございます。ラヴズオンリーユー様」
「これで紹介は最後かな? みんな見てくれてありがとう!
ラヴミー、ラヴユー。ラヴズオンリーユーでした」
「こちらにおいででしたか」
「あっ、ゲデヒトニスさん。なにか用事ですか?」
「動画の撮影中、失礼いたします。
トレーナー様からの伝言でございまして、予定していたトレーニング器具が故障したため、本日のトレーニングはプールに変更とのことでございます」
「わざわざ探してくれたの?
ありがとう」
「もったいない御言葉でございます。
予定の時間も30分ほど遅くなるとのことでしたので、慌てずにプールへ来て大丈夫、ともおっしゃっておりました」
「そうなの。じゃあ走らなくても良さそうね。
ところでゲデヒトニスさん、この後お暇?」
「今から1時間ほどは、特筆すべき予定は入っておりません」
「じゃあ、少し歩きながらお話ししてもいいかしら。
私、ゲデヒトニスさんとあまり話したことがないから」
「私でよければ、喜んでお相手いたします」
「ありがとう。
そういえば、ゲデヒトニスさんはお嬢様に仕えているのよね?」
「はい。フリューゲル家当主、ドロッセルお嬢様にお仕えしております」
「かわいらしい名前ね。
貴族のお嬢様って、どんな遊びをするものなの?」
「様々なご趣味をお持ちでございます。格闘技やスポーツといった体を動かすことや、ゲームのような頭脳を動かす娯楽に興じることもありました。
稀にではありますが、可愛らしいお遊びを考案されることもございました」
「私たちとあまり変わらないのね。
遊びって、どんなものを考えていたの?」
「さまざまなものがございますが、ごっこ遊びが印象に残っております。
お嬢様の暮らしがお芝居という設定で、それを演じた役者へのインタビューという形をとっておりました」
「独特な発想ね。
私とお嬢様でアイデアを出し合えば、面白い配信ができるかもしれないわ」
「ありがとうございます」
「そういえば、お嬢様の家名って教えてもらえる?
少し気になっただけだから、無理にとは言わないけど」
「ご安心ください。お嬢様のお名前は、機密事項には含まれておりませんので」
「そうなの?
じゃあせっかくだから、フルネームを教えてもらえる?」
「はい。
ドロッセル・ジュノー・フィアツェーンテス・ハイツレギスタ・フュルスティン・フォン・フリューゲル様でございます」
「……貴族は名前が長いって聞いたことがあるけど、本当に長いのね」
「さようでございます」