基本的に、セイバー視点で進みます。
セイバーが後れを取らず、物語が変わった部分しか投稿しません。
変更箇所以外の文章は基本的にそのままですが、読みやすさと利用規約のため、文章を削っています。
「その清澄な闘気・・・・セイバーとお見受けしたが、如何に?」
「その通り。そういうお前はランサーに相違ないな?」
「いかにも。―フン、これより死合おうという相手と、尋常に名乗りを交わすこともままならないとは。興の乗らぬしばりもあったものだ」
セイバーも同感らしく、固く引き締めていた表情をわずかに緩める。
「もとより我ら自身の栄誉を競う戦いではない。お前とて、この時代の主のためにその槍をささげたのであろう?」
「フッ、違いない」
今から命の遣り取りに臨もうとしているものとは思えない、妙に涼しい表情でランサーは苦笑した。改めてみると、ひときわ以上に目目麗しい男である。
~略~
右目の下には涙粒のような黒子が一つ。それが印象的な目元により一層の艶を添えている。
実に、視線ひとつで女心をとろかしてしましそうな美丈夫だった。―否、はたしてその婉然たる風情は、容貌だけによるものか?
セイバーの後ろに控えていたアイリスフィールが、わずかに息を詰まらせながら眉根を寄せる。
「・・・魅了の魔術?初対面の女に向かって、ずいぶんな非礼ね、槍兵」
ランサーは明らかに、女を惑わす魔力を放出していた。ホムンクルスとして魔術の使用に特化した、アイリスフィールの肉体だからこそ、人一倍の抗魔力によって抵抗できたが、並の女性ならただの一目でこの男の虜になっていただろう。
だがアイリスフィールの抗議に、ランサーは苦笑して肩を竦める。
「悪いが持って生まれた呪いのようなものでな。俺の出生か、女にうまれた自分を恨んでくれ」
魅惑の呪いの代表格といえば『魔眼』だが、さっきまでランサーが直視していたのは前に立つセイバーだけで、その後ろのアイリスフィールには視線を向けていなかった。おそらく魅了が発動したのは、アイリスフィールがランサーの顔を見た折であろう。魔眼ならぬ『魔貌』といったところか。
長槍と短槍を持ち、右目の泣き黒子の『魔貌』―最高峰の直感スキルは、すでにセイバーの脳裏に目の前のランサーの真名を浮かばせていた。
しかし、それをおくびにも出さず、ランサーを眇め見る。
「その結構な面構えで、よもや私の剣が鈍るものと期待して入るまいな?」
「成る程、セイバーのクラスの抗魔力は伊達ではないか。・・・結構。最初の一人が骨のある奴で嬉しいぞ」
「ほう、尋常な勝負を所望であったか」
嘯いて、セイバーも静かな微笑を返した。限りなく透明で凄烈な、生命の遣り取りに臨む者同士だけが浮かべ得る笑みだった。
「それでは―いざ」
原作との変更点
1.直感が仕事をしたため、早々にランサーの真名にあたりをつける。
2.テンポ重視のため、地文とセリフを短めに。