連載版 ダンまちトリオ   作:色々残念

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久しぶりに思い付いたので更新します
今回は4900文字になりました


第3の偉業

オラリオには豊穣の女主人という酒場があり、その店で働く面々は女性だけだが、実力者が多い。

 

そんな実力者である酒場の店員なアーニャさんが「ミャーの財布は何処ニャー!」と言いながら半泣きになって財布を探している場面に、散歩中の私は遭遇してしまった。

 

どうやらアーニャさんは財布を落としてしまったみたいで、落としたかもしれない場所を必死になって探しているところだったようだ。

 

見なかったことにして立ち去るのは酷いかもしれないと思った私はアーニャさんの財布探しを手伝ってみたが、しばらく一緒に探しているとそれらしき財布を私が発見。

 

「これですか?」

 

「そうニャそれニャ!ミャーの財布見付かったニャー!」

 

発見した財布をアーニャさんに見せると、安心したような顔で喜んでいたアーニャさん。

 

ちゃんと財布が見付かったなら、もう大丈夫だと思った私が立ち去ろうとすると「待つニャ、おミャーへのお礼が済んでないニャ。これから豊穣の女主人に来るニャ!酒でも奢るのニャ!」と言ってきたアーニャさんは私にお礼がしたいみたいだった。

 

それから豊穣の女主人に向かい、用意された席に座っていると酒と料理を持ってきたアーニャさんは「ミャーの奢りニャー」とテーブルに酒と料理を置いて、私の対面に座る。

 

「ミア母ちゃんから許可も取ったから、一緒にミャーも飲むニャー」

 

そう言って酒を木製ジョッキに注いで飲み始めたアーニャさんは、私よりも飲むペースが早かったせいか酔うのも早い。

 

「大丈夫ですかアーニャさん。飲み過ぎのような気がしますよ」

 

「大丈夫ニャ。モビタ、おミャーはいいやつニャ。今日からおミャーはミャーの心の友ニャ!」

 

酒に酔って気分が良くなっているのか、そんなことまで言い出したアーニャさん。

 

「モビタにはミャーの歌を聴かせてやるニャ!」

 

アーニャさんがその言葉を発した瞬間、豊穣の女主人の店員達が一斉に耳を手で塞いだ。

 

それで何が起こるかは予想できたが逃げるには、もう遅いだろう。

 

「ニャアアアアアアアアアア!」

 

それはまるで災害のような音痴、破壊音波とも言うべきそれを間近で聴いた私は、ジャイアンリサイタルに参加したのび太くん達の気持ちが理解できたような気がした。

 

破壊音波を発し続けていたアーニャさんの頭部にミアさんの拳が「営業妨害は止めな!」という言葉と共に振り下ろされて、完全に気絶したアーニャさん。

 

「間近でアレ聴いてたアンタの代金はタダにしとくよ」

 

ミアさんにそんな配慮までしてもらった私は、とりあえず残っていた料理と酒を平らげてから、豊穣の女主人を出た。

 

なんてことがあった日の翌日、ヘスティア様にステイタスを更新してもらうと、私に新たなスキルが増えていたらしい。

 

モビタ・モビ

Lv3

 力:S999

耐久:S999

器用:S999

敏捷:S999

魔力:S999

 

 射撃:F

耐異常:G

 

《魔法》

 

【ガンスミス】

 

《スキル》

 

【銀矢投擲】

 

【牧場物語】

 

【金色縁】

 

【夢幻三剣士】

 

【樹木友人】

 

【心友音波】

・心の友は音響兵器のような音波を放つ

・武器などに破壊音波を纏わせて、放つことが可能となる

・様々な音への耐性

・友と共に戦う時、発展アビリティ剛力、勇猛、の一時発現

 

【心友音波】と書いて「ジャイアンリサイタル」と読む新たなスキルは、間違いなくアーニャさんのアレで発現したスキルだろうな。

 

アーニャさんから心の友に認定されて、まるでジャイアンリサイタルのような災害音痴を間近で聴いたことが原因で発現したスキルは、かなり有用なスキルなのは間違いない。

 

アーニャさんのアレをまた聴きたいとは思わないが、新たなスキルが増えたことには感謝しておくとしよう。

 

ジーンもステイタスが全てSとなって極まり、ゲドも全てのステイタスがSSとなっていたので、偉業を達成すればランクアップ出来るのは確実だ。

 

強制任務の遠征は以前終わらせたので到達階層の更新を急ぐ必要はないが、下層で手に入れることが可能な採取物やモンスターのドロップアイテム目当てに、ダンジョンの下層へと向かう私達。

 

順調に下層までの道程を進んでいた私達3人だったが、下層に到達した際に異常を感じ取り、退避を選ぼうとした私達を止めたのは2体のモンスターと1人の冒険者。

 

間違いなく強化種である2体のモンスターは、ダンジョンであるなら遭遇して戦うことになってもおかしくはないが、1人の冒険者は間違いなく私達を狙っていた。

 

最悪なことに、その冒険者はオラリオ最強とも言われる猛者オッタルで、Lv7と真正面から戦えるほど、今の私とゲドは強くはない。

 

私達の中でオッタルに対抗出来るのはジーンだけであり、必然的にオッタルの相手はジーンに任せることになる。

 

残る2体のモンスターは、それぞれ私とゲドが1体ずつ相手をすることになって、1対1で3人が別れたヘスティア・ファミリアの団員達。

 

ジーンはオッタル、ゲドは強化種のブルードラゴン、私の相手は強化種のモス・ヒュージとなった。

 

右手に白銀の剣を持ち、左手には【ガンスミス】で形成した魔法銃のリボルバーを持った私は、油断なく眼前のモンスターを見据えて、構えを崩すことはない。

 

逆立つ苔の一片一片が竜の鱗のように尖り、全身を覆う樹の骨格が末端にまで伸びていたモス・ヒュージは、口と目尻が大きく裂けていて、赤く濁りきった双眼を持つ。

 

明らかに通常種とは違う外見をしたモス・ヒュージは、恐らく大量の魔石を喰らったことで肉体が変化している筈だ。

 

通常種にはない攻撃手段を得ていても、不思議ではない相手であるモス・ヒュージの強化種。

 

相手に何ができるのかを知る為に、強化種であるモス・ヒュージの動きを待っていた私に痺れを切らしたのが、動き出す苔の怪物。

 

地を蹴り、此方へと接近してきた強化種のモス・ヒュージは、苔と樹の骨格に覆われた腕を振り下ろしてくる。

 

まともに当たれば叩き潰されてもおかしくはない威力がある、モス・ヒュージの一撃を避けた私は白銀の剣を振るい、苔と樹の骨格で覆われている怪物の腕へと斬撃を繰り出した。

 

直撃した白銀の剣の刃は、強度が高い樹の骨格に阻まれて、苔の怪物の腕を切断するには至らない。

 

剣を叩き込んだ感触からして、かなりの強度としなやかさを持つ樹の骨格を断ち斬るには、片手だけで持った剣では力が足りないようだ。

 

リボルバーの魔法銃を消し去り、両手持ちに切り替えた白銀の剣を構え、苔の怪物が振るう豪腕を回避しながら、叩き込む斬撃。

 

踏み込みが足りず浅く斬り裂いた苔の怪物の身体から溢れた苔が分身となり、苔の怪物が2体に増え、連携して攻撃してくる怪物達。

 

通常種のモス・ヒュージと同じく、斬られると分身体を生み出す能力を持っていたモス・ヒュージの強化種。

 

此方の魔石狙いの攻撃を、斬られている最中に身体を大きく動かし、魔石への直撃を防ぐことで凌ぐという高い知能を見せた苔の怪物は厄介な相手だ。

 

斬撃を叩き込む度に増えていった分身体は、11体にも及び、本体を含めた全員が流れるように連携して攻撃を行ってくる。

 

何度か攻撃を避けられず、苔の怪物の分身体からの打撃を受けたことで痛み、軋む身体を動かし、斬っても分身することがない分身体の数を着実に減らしていった。

 

ようやく1対1に戻ったと思ったところで、近くの水場から大量に現れた下層のモンスター達。

 

やはりダンジョンは冒険者に優しい場所ではないらしい。

 

強化種のモス・ヒュージと戦いながら、下層のモンスターとも戦っていると、苔の怪物の表面から小さな隆起が、幾つも発生していた。

 

それが何かを撃ち出す前兆のように見えた私は、鋼の殻を持つブルークラブの足を斬り、動けないようにしたブルークラブの影に素早く隠れておく。

 

それから瞬く程の間もなく、身体を震わせた強化種の巨体の全身から放たれたのは、何十発にも及ぶ種子の弾丸。

 

かなり威力が高い種子の弾丸の斉射により、穴だらけにされた下層のモンスター達は絶命し全滅。

 

私が盾にしていたブルークラブも鋼殻を穿たれており、蜂の巣のような状態で死んでいた。

 

強度の高いブルークラブの鋼殻という装甲すらも穿つ種子の弾丸は、まるで徹甲弾だ。

 

しかも種子の弾丸の効果はそれだけではなく、撃ち込まれた場所から寄生するように根を生やしはじめる種子。

 

モンスターの死体から養分を吸い、根を伸ばした蔓に覆われた死体の数々。

 

まともに当たれば身体を貫かれて死んでいたかもしれないし、相手に寄生までする厄介な種子の弾丸は、ブルークラブを盾にして防げたが、私がモス・ヒュージを倒す為には、あの弾丸を放てる相手に接近しなければいけない。

 

種子の弾丸を撃たせることなく倒す為には、私に出せる最速で、最短の道程を使い接近し、最強の一撃を叩き込むしかないだろう。

 

スキル【心友音波】を用いて、白銀の剣に纏わせる破壊音波の威力を極限まで高めていくと、消費されていく精神力。

 

極大の破壊音波を宿した剣を握る私の手からも、破壊音波の影響で血が滲んでいたが、剣を握る手の力を緩めることはない。

 

苔の怪物へと続く道を駆けていく最中、此方に向けられた怪物の腕から放たれた種子の弾丸の数々。

 

機関銃のようなそれらの弾丸を避けて跳躍し、着壁。

 

壁を力強く蹴り、弾丸の如く直線に跳び、真っ直ぐに突き進んだ私は両手に握る白銀の剣を振り下ろす。

 

極大の破壊音波を纏う白銀の剣の斬撃は、強化種のモス・ヒュージの身体を破壊し、魔石すらも完全に砕いたようだ。

 

苔の怪物モス・ヒュージとの戦いに勝利した私は、消費した大量の精神力でふらつく身体を動かして、ゲドとジーンがどうなったかの確認に向かう。

 

極光竜とも言われることがあるブルードラゴンは、カーバンクルと並ぶ稀少種のレアモンスターだが、ドラゴンという竜種であるだけあって弱いモンスターではない。

 

状態異常の魔力のブレスを吐き、獲物を腐らせ崩壊させる光蝕を攻撃手段として持つブルードラゴンの強化種。

 

それを相手に戦っていたゲドは、身体に【竜鱗鎧化】で装甲を纏った状態で、ブルードラゴンの強化種から放たれた極光を突き進み、黒い長剣の斬撃でブルードラゴンの頭部を両断して倒していた。

 

【竜鱗鎧化】の装甲を解いたゲドの身体は傷だらけで、ブルードラゴンの強化種とゲドがかなりの激闘を繰り広げていたのは間違いない。

 

互いにボロボロだった私とゲドは、塗るハイポーションを手早く外傷に塗り、精神力を回復させるマジックポーションを飲んでおく。

 

なんとかふらつくことなく動けるようになったところで、ジーンの様子を見に行ったが、身体に大小の斬り傷があるジーンと殴り合っているオッタルの姿が見えた。

 

獣化まで使っているオッタルを相手に1歩も退かずに拳を叩き込んでいたジーン。

 

凄まじい殴り合いは、オッタルの顔面に渾身の拳を打ち込んで吹っ飛ばし、都市最強の冒険者を倒したジーンの勝利で終わったようだ。

 

流石に疲れていた様子のジーンがふらついたところで、私とゲドがジーンを支えた。

 

「悪いな2人とも、この猪の相手だけでオレは手一杯だった」

 

「こうして3人全員生きてるんで、気にしなくていいですよジーン」

 

「そうそう、ジーンが悪い訳じゃないよ」

 

3人でそんな会話をしていた私達は、全員が生き延びたことを喜んでいたが、ジーンの一撃で気絶したオッタルをどうするかという話になる。

 

「敵対している訳でもないのに、特に理由もなく、いきなり問答無用で襲ってきた他派閥の冒険者とか、優しくしてやる必要ねぇよな」

 

「確かにそうですね、それではこの場に放置していきましょうか」

 

「ヘスティア・ファミリア団長の決定に異義無し」

 

「オレも異義はねぇな」

 

気絶したオッタルは満場一致でこの場に放置が決まったが、いきなり襲ってきたオッタルが悪いと全員が思っていたので、気絶したオッタルが下層のモンスターに美味しく頂かれてしまっても私達は気にしない。

 

という訳で、オッタルを放置した状態で下層から地上まで帰っていった私達は、 ヘスティア・ファミリアのホームにまで戻っておく。

 

ヘスティア様に恩恵を確認してもらった私達は、全員がランクアップ可能になっていたみたいだ。

 

確かに今回の下層でのそれぞれの戦いは、偉業だと言えるものだったのかもしれない。




オッタルはLv7で、強化種のモス・ヒュージとブルードラゴンはLv5下位の強さがありました
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