今回は4200文字になりました
ゲドの空間転移や、私のスキル【何処扉】を用いて下層にまで出向き、モンスターのドロップアイテムを集めては日帰りで帰ることを繰り返していた私達。
大量に集まった恐竜型モンスターのドロップアイテムは、納品に必要になりそうなものだけを避けておき、それ以外は全部ジーンの工房に運んである。
ヘスティア・ファミリアのホームである教会内部にある椅子に座り、ヘスティア・ファミリアの幹部会を開始した私とゲドにジーンの3人。
それぞれが話しておきたいことを話すだけではあるが、幼い子どもだった頃からの付き合いの友人な私達は、ヘスティア・ファミリアに所属しても友人であることに変わりはない為、気軽に愚痴混じりなことを話したりもする。
「沢山手に入ったブラッドサウルスの牙を使えば、いい魔剣が作れそうだぞ」
まずは手に入れた大量のブラッドサウルスの牙の使用用途について、鍛冶師としての意見を言うジーン。
「それはいいね。此方はポーションの材料になる薬草とかが足りないかな。中層に採取に行かないとポーションが用意できなくなりそうだね」
薬師でもあるゲドは、ポーションの材料が足りなくなっていることを報告してきた。
「ブラッドサウルスの牙は、遠征の成果ということにして納品することになりそうな個数だけ分けてありますから、それ以外の牙は全て魔剣にして構いませんよジーン。ポーションが無くなるのは非常に困ります。私も一緒に行きますから早めに中層に材料の採取に向かいましょうかゲド」
ファミリアの仲間である2人からの意見や報告を聞き、ヘスティア・ファミリアの団長な私が最終的な決定を下す。
「了解だモビタ」
「じゃあ、幹部会終わったら一緒に採取だねモビタ」
ジーンはブラッドサウルスの牙を使った魔剣の製作を決め、ゲドと私はポーションの材料となる薬草の採取に向かうことが決まったが、まだ話すことがある幹部会。
次の話題として上がるのは、定期的にジーンに襲撃を仕掛けてくるフレイヤ・ファミリアについてだ。
「定期的にオレに襲撃しかけてきやがるフレイヤ・ファミリアの連中が流石にうざってぇな」
「オッタルを倒してオラリオ最強の称号を手に入れてるジーンだけが狙いみたいだから俺とモビタは、あんまり狙われないけど」
「無視していい問題ではないですね。ダンジョン内にまで追ってくることまでは、まだありませんが」
「欲しくて手に入れた称号じゃねぇんだよな。オラリオ最強の称号ってのは、呪いの装備か何かかよって思うぜ」
「ダンジョン内でジーンに喧嘩売ってきたのはオッタルが先だからね」
「それでジーンに負けて、オラリオ最強の称号を取り戻す為に、またジーンに勝負を挑んできたオッタルは、まだ戦う場所を選ぶ理性はあるんですよね。他のフレイヤ・ファミリアの連中は普通に街中でジーンに襲いかかってますから、オラリオの街中が破壊されていたりもします」
ジーンがフレイヤ・ファミリアに襲撃されていることも問題ではあるが、その襲撃で破壊されている街中の修繕費もタダではない。
流石に修繕費まではヘスティア・ファミリアに請求されたりはしていないが、破壊された街中について、ジーンに文句を言ってくるギルドの職員も居るようだ。
「街中破壊してんのはフレイヤ・ファミリアの連中なのに、何故かヘスティア・ファミリアに文句を言ってくるギルドの職員まで居やがるのが腹立つぜ。壊させないように対処しろじゃねぇんだよ。そもそも襲撃をやめさせろや」
フレイヤ・ファミリアへのギルドの対応や、ヘスティア・ファミリアへのギルドからの文句に苛立っているジーン。
「フレイヤ・ファミリアの連中には恐くて言えないから、ヘスティア・ファミリアに言ってきてんのかね。それはまあ、普通にムカつくな」
フレイヤ・ファミリアには何も言わないくせに、ヘスティア・ファミリアには文句を言うギルドへと、ムカついていたゲド。
「ヘスティア様は善神で親しみのある優しい女神様ですが、別にヘスティア・ファミリアの団員まで優しい訳ではないんですけどね。フレイヤ・ファミリアやギルドに甘く見られているということはあるのかもしれません。それならヘスティア・ファミリアが甘くはないということを理解してもらいましょうか」
このままフレイヤ・ファミリアにいつまでも好き勝手されるのは面倒なので、対処することに決めた私は、まずは準備することから始めることにした。
ジーンには作れるだけの魔剣を数多く製作してもらい、私はゲドと一緒にポーションの材料をダンジョンで沢山採取し、かなり大量のポーションをゲドに作成してもらう。
用意してもらった魔剣全てに、ジーンの魔剣強化魔法を使用してもらったが、足りない精神力はゲドのスキル【不死王手】こと「ドレインタッチ」で私とゲドの精神力をジーンに受け渡したり、何回も飲んでもらったマジックポーション。
そうして幾度も数多の魔剣に魔剣強化魔法を使ってもらい、強化された魔剣200本。
大量に精神力を消費した全員が、その日は身体をしっかり休めることにして、早めに就寝。
翌日、爽快な目覚めで起きた私達は、全員が魔剣を装備した状態で大量のポーションをバッグパックに入れて、フレイヤ・ファミリアのホームへと向かうことにした。
戦の野と呼ばれ、日夜フレイヤ・ファミリアの眷族達が殺し合う場所へと押し入った私達ヘスティア・ファミリアに対し、殺気立つフレイヤ・ファミリアの面々。
「雁首揃えて、何の用だてめぇら」
槍を構えた状態で現れた猫人は、フレイヤ・ファミリア副団長で間違いない。
いつもジーンにズタボロにされている割には元気だが、フレイヤ・ファミリアにも腕がいい治療師が居るのだろう。
「戦いを挑みに来ました。まさかたった3人しか居ないファミリアに戦いを挑まれて逃げる腰抜けは、フレイヤ・ファミリアには居ませんよね」
「失せろ、そこまで暇じゃねぇ」
私の言葉にイラついてはいるようだが、いきなり襲いかかっては来ない程度には冷静な女神の戦車。
「定期的にジーンへ襲撃を仕掛けてズタボロに負けている人の言葉とは思えませんね。もしかしてですが、たった3人のヘスティア・ファミリア相手に、ビビってるんですかぁ?」
思いきり煽るような言葉を言い放った私に、完全にブチ切れた様子の女神の戦車は「今此処でブチ殺す!」と言いながら私に槍突を放ってきた。
引き抜いた剣で槍の穂先を斬り落とした私は、返す刃で女神の戦車の腹部を貫く。
「では、開戦ということでよろしいですね」
刺し貫いた腹部から引き抜いた剣を軽く振るって血を落とし、腹部から血を流す眼前の猫人の傷口に捩じ込むような蹴りを叩き込んでから、掴んだ頭部を勢いよく地面に叩き付けて気絶させた猫人。
それからフレイヤ・ファミリアとヘスティア・ファミリアの戦いが始まった。
周囲から迫り来るフレイヤ・ファミリアへと、振るう魔剣。
魔剣強化魔法が施された魔剣は、通常の魔法以上の威力を発揮し、フレイヤ・ファミリアの面々を火炎で燃やし、氷柱で貫き、雷撃で痺れさせ、風の刃で斬り裂いていく。
倒れていったフレイヤ・ファミリアの面々が治療魔法で癒されて立ち上がってきたが、治療師である女性相手に魔法【ガンスミス】の弾丸を早撃ちで撃ち込んで気絶させた私は、立ち上がったフレイヤ・ファミリアへと容赦なく魔剣による攻撃を叩き込んだ。
大多数のフレイヤ・ファミリアが魔剣により立ち上がれなくなった頃、現れたフレイヤ・ファミリアの幹部達。
まさかヘスティア・ファミリアがジーンを襲撃された報復として、堂々とホームに攻め込んでくるとは思ってもいなかったようで、予想外といった顔をしていたフレイヤ・ファミリアの幹部数名。
フレイヤ・ファミリアで1番強いオッタルの姿はなく、私とゲドにジーンの3人に勝てる相手は居なかったフレイヤ・ファミリアの団員達は、オッタルを除いた全員が戦闘不能となる。
殺してまではいないが、オッタル以外の全員が地に伏せたフレイヤ・ファミリアは、治療師が起きるまでは誰も戦えない。
フレイヤ・ファミリアをほぼ壊滅状態にさせた私達は、女神フレイヤとその護衛であるオッタルに会いに行き、フレイヤ・ファミリアのホームの現状を伝えておく。
オッタル以外が戦闘不能状態になったフレイヤ・ファミリアが、今回こうなったのは定期的にジーンに襲撃を仕掛けてきていたフレイヤ・ファミリアの面々が原因であることも伝えた私達。
これからもジーンを襲撃させるつもりなら、女神フレイヤに天界に戻ってもらおうと考えていることも伝えると「ひれ伏しなさい」と言ってきた女神フレイヤ。
「やなこった」
力強く言い切るジーン。
「お断りだな」
迷いなく断るゲド。
「貴女にひれ伏す必要はありません」
必要のないことをするつもりはない私。
恐らくは美の女神として魅了でも使ったのだろうが、女神フレイヤの魅了は、私達には通用しない。
魅了が効かないことに戸惑う女神フレイヤの為に動こうとしたオッタルを、力付くで取り抑えたジーン。
「魅了が効かない相手に美の女神ができることは何もありません。天界に帰るか、フレイヤ・ファミリアの眷族達にこれからヘスティア・ファミリアに手を出させないように命じるか、どちらか選んでくださいね」
「どうして貴方達は、手に入らないの?」
少女のように泣きそうな顔で、そんなことを女神フレイヤは聞いてきた。
「私は好きになった相手がタイプですが、貴女のことは好きになれそうもないので、元々縁がなかったのでしょう」
「オレは露出が激しい相手は好みじゃねぇな。ちゃんとした服を着ている相手が最低条件だ。まあ、好きになれないあんたの場合は普通の服を着てても無理だが」
「俺は美の女神よりも普通の女性が好きだな。女神は恋愛対象じゃないよ」
私達全員が女神フレイヤをお断りする理由を嘘偽りなくそれぞれ伝えると、完全に泣き出す美の女神。
とりあえず女神フレイヤが泣き止むまで待ってから、天界に帰るか、フレイヤ・ファミリアにヘスティア・ファミリアに手を出さないように命じるか選んでもらう。
まだ天界には帰りたくはない様子の女神フレイヤは、フレイヤ・ファミリアの面々にヘスティア・ファミリアへの手出しを禁じる命令を出すと決めたようだ。
なんてことがあった日の翌日から、フレイヤ・ファミリアが行うジーンへの襲撃は完全に無くなり、ヘスティア・ファミリアと関わろうとするフレイヤ・ファミリアは居なくなった。
魅了が効かない相手3人全員にフラれた女神フレイヤは、ヘスティア・ファミリアへの手出しを禁じる命令をフレイヤ・ファミリアに出してから、ショックで寝込んだりしたようです