今回は3200文字で、転生ゲド視点の話になりました
ダンジョン内では危なくて使えない俺の魔法【エクスプロージョン】で倒した海竜が残したドロップアイテムは、巨大な海竜に比べれば僅かなものだったが、それでも並みのモンスターのドロップアイテムよりかは大きい。
以前ジーンが倒した巨大な獣と同じく、そう簡単には加工できそうもない海竜の蒼牙と黒い骨。
巨獣のドロップアイテムを加工した時と同じように、スキル【竜息吹】で俺が出せる高温の竜のブレスを用いて熱していった海竜の蒼牙。
それを鍛冶師であるジーンがアダマンタイトを加工して作成した不壊属性を宿した鎚で打ち、かなり強度の高い牙を剣へと加工していく。
口以外からも出せる竜のブレスを、ジーンが頼む度に手から放射していき、海竜の牙を高温の火炎ブレスで熱し続けていた俺。
力強く鎚で打たれる度に形が変化していき、牙が徐々に姿を変えていくと、少しずつ剣に見えるようになってきた。
凄まじく根気がいる長い鍛冶作業を手伝いながら、剣の完成がするまで何度も用いた竜の息吹。
ひたすら手伝った甲斐があって完成した立派な剣は「覇海の剣」と名付けられ、俺の新たな剣となる。
ジーンの「覇爪」と同じく完全不壊属性を宿しながら、第1等級武装以上の斬れ味を持つ素晴らしい剣である「覇海の剣」は、かなりの名剣だ。
寝ずに続けていた長い鍛冶作業が終わると流石に眠くなったのか、鍛冶に使った道具を片付けると「オレは先に寝とくぜ。ゲドも早めに寝ろよ」と言いながらテントに戻っていったジーン。
「覇海の剣」を眺めていた俺は、海竜の蒼牙が剣と化す一部始終を全て見ていた興奮が冷めず、この蒼い剣を使ってみたいと思うようになっていた。
ちょっとだけならいいかな、と思いながら魔法【ムードメーカー】を用いた俺は、空間操作の空間転移でダンジョンの50階層に行き、直ぐ上の階層である49階層へと向かうと、現れたフォモール相手に蒼剣を振るう。
眠気覚ましにエナジーポーションを飲み、疲れと眠気を吹き飛ばして振るった剣。
すんなりと怪物を斬り裂く蒼い刃は、凄まじい斬れ味を持っている。
鍛冶師としての腕が更に上がっていた今のジーンなら、ジーンの祖父であるラインさんよりも凄い鍛冶師になれている筈だ。
本当にいい鍛冶師になったなジーンは、と思ったりもした俺は剣を振るい、蒼い刃でフォモールの群れ全てを斬り伏せた。
ちょっともの足りないが今回の試し斬りは、これで終わりかと考えていると48階層から降りてきた1体の怪物。
それはまるで黒い鎧を身に付けた騎士のような姿をしていて、手には黒い剣を持っていた。
鎧のように見えるのは黒い甲殻であり、2足歩行をしてはいるが額に紅い石を持つ黒い怪物は、どうやら亜種の竜女、ヴィーヴルであるようだ。
見るからに強そうな相手が現れたことに喜んだ俺は、直ぐに空間転移を行うことはなく、49階層に留まって黒騎士のような竜女と戦うことを決める。
片手持ちだった剣を両手持ちにした黒騎士が間合いを詰めて斬りかかってきたが、スキル【亜種龍手】を用いて身体能力を倍加した状態で、蒼剣を用いて受け止めた黒い剣は重い。
並みのモンスターよりも凄まじい力を持つ相手の腕力は、カドモスの倍以上に強かった。
しばらく続いた剣撃の応酬で、互いに剣を打ち合わせることになり、斬り裂かれていった互いの身体。
こうして剣を合わせてみると、黒騎士が力任せなモンスターとは違って、剣を操る技量を持つ相手であることも理解できる。
武器を操る知能や技量がある相手が厄介ではあることに気付いてはいたが、並みの階層主よりも強い相手と出会えたことは、俺にとっては幸運だ。
Lv7になったジーンに追い付く為には、停滞している暇はない。
もっともっと強くなりたい
、そう思う気持ちは、更に強くなっていく。
打ち合わせた互いの剣が弾かれて、間合いが離れた瞬間、紫色の光を全身に纏った黒騎士が消えたかと思えば、気付いた瞬間には斬られていた俺の身体。
身体に刻まれた裂傷は、間違いなく剣で深々と斬られた傷だろう。
致命傷ではないが浅くはない傷をスキル【秘伝治癒】で癒し、傷から流れる血をなんとか止めた俺は、剣を握る手の力を緩めない。
繰り返すように再び剣を打ち合わせていった最中、再度紫色の光を纏う黒騎士。
その瞬間スキル【戦場支配者】を発動し、反応速度を上昇させた俺の目には、魔力を放出して身体の動きを加速させていた黒騎士の姿が映る。
加速速度はかなりのもので、反応速度を上昇させた今でも霞んで見える程に速い。
だが僅かでも動きの軌跡を感じ取れたならば、高速の斬撃を防ぐことは不可能ではなく、黒い剣撃を蒼い剣で受けて防いだ俺は返す刃で、黒騎士の鎧のような甲殻を深々と斬り裂いた。
魔石までは到達してはいないが浅くはない傷を負った黒騎士は、剣を放り捨てると自らの額の紅石すらも外し、半人半蛇の姿へと変貌。
通常のヴィーヴルと似た姿へと変わった黒い騎士は、上半身だけは鎧のような甲殻を纏ったまま背から竜翼を生やし、下半身だけが大蛇のような蛇の姿となり、剣を握っていた指からは鋭利な爪を伸ばす。
ヴィーヴルとしての姿を現しても魔力放出の能力は失われていなかったようで、連続の魔力放出による強烈な体当たりを連続で喰らわせられた俺は何度も撥ね飛ばされることになった。
完全には塞がっていない深々と斬られた裂傷と、連続突進で撥ね飛ばされたことで痛む身体を動かして、蒼牙を鍛えて作られた剣を構えた俺は、上段に剣を構えた状態で待ち構える。
タイミングを間違えれば再び撥ね飛ばされるのは間違いない。
極限まで高めていく集中力、上段で構えたまま動くことなく、ただ相手の攻撃の瞬間を待つ。
紫色に光る黒いヴィーヴルの身体、ジェット噴射のように魔力が放出されて、高速に加速する黒い竜女。
迫り来る黒い竜女の身体へと、振り下ろした蒼剣。
閃いた「覇海の剣」が、黒い竜女の身体を袈裟斬りに両断する。
竜女が黒騎士であった頃に1度深く斬り裂いていた弱所を寸分違わず斬り進んだ剣は、すんなりと竜女を斬り裂いた。
魔石を破壊された黒い竜女の身体は灰と化していき、残ったものは地に突き刺さった黒剣だけだ。
痛む身体にハイポーションをかけた後に、もう1本ハイポーションを飲んでおき、唱えた魔法【ムードメーカー】の空間操作の空間転移で戻ってきた野営場所。
試し斬りにしてはちょっと頑張り過ぎたかもな、と思いながらテントに入った俺は疲れた身体で横になり、眠る。
翌日、背の恩恵を女神ヘスティアに確認してもらったが、どうやらランクアップが可能になっていたみたいだ。
黒い騎士のような竜女を倒したのが、偉業だと判断されたんだろう。
基本アビリティは全てSSSまで到達していたので、背の恩恵を昇華させてもらうことに決めて、選ぶことになる発展アビリティの数々。
閃斬、堅守、魔導、と3つも選べるものがあったが、選んだのは閃斬。
ゲド・ライッシュ
Lv7
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
幸運:A
耐異常:B
剣帝:E
神秘:F
精癒:G
閃斬:I
《魔法》
【リトルフィート】
【ムードメーカー】
【エクスプロージョン】
《スキル》
【幸運冒険者】
【創薬師】
【特殊火遁術】
【渦槍水流撃】
【竜鱗鎧化】
【不死王手】
【盗賊窃盗】
【亜種龍手】
【寒氷陣】
【健全化】
【秘伝治癒】
【竜撃会心】
【竜息吹】
【千里狙撃】
【戦場支配者】
【竜翼飛行】
・魔力で形成した竜翼を背から生やし、空を飛行することが可能となる
・竜翼は自在に消すことも可能
・飛行速度は敏捷と魔力の数値により上昇
新たに増えていたスキル【竜翼飛行】は、身体を変化させて竜の翼を生やした竜女を倒したことで発現したスキルかもしれない。
空を飛べるようなスキルを得られたことは嬉しいことだ。
これでモビタの【シネマティッククリエイト】の魔法でタケコプターを出してもらわなくても、空を飛ぶことが出来る。
自在に空を飛べるようになるのは、結構楽しそうだ。
まあ、モンスターと間違えられないように気を付けながら空を飛んでみるとしよう。
黒い騎士のような竜女こと、亜種のヴィーヴルは、Lv6の転生ゲドでも簡単には勝てない強敵でした
Lv7になった転生ゲドが発現した新たなスキル【竜翼飛行】は、転生したらスライムだった件のガビルが蜥蜴人から龍人に変化した時に、背に翼が生えたことを元にしたスキルになりますね