連載版 ダンまちトリオ   作:色々残念

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思い付いたので更新します
今回は2200文字で短めで、穢れた精霊視点の話になりました


穢れた精霊

穢れた精霊が風の大精霊アリアを求めていたのは、その力を手に入れれば、空を見れると考えていたからだった。

 

ならば風の大精霊アリアよりも、空を見ることよりも優先するような存在と穢れた精霊が、出会ってしまった場合は、どうなるかということだ。

 

風の大精霊アリアの風をダンジョン内で感知した穢れた精霊が動き出してから、しばらくして、アリア以外の精霊の力を感じた穢れた精霊。

 

視界を共有した怪人を動かして、精霊の力を宿す存在を探っていた穢れた精霊が見付けたのは、数多の精霊の加護を授かっていた精霊に愛された存在。

 

そんなモビタに対して、穢れた精霊が強い興味を示したのは当然のことだったのかもしれない。

 

視界を共有した怪人や怪物を通して見たモビタを見ている度に、モビタを欲する気持ちが強くなっていた穢れた精霊。

 

欲しいと思っていた風の大精霊アリアよりも、モビタのことが欲しくてたまらなくなった穢れた精霊は、そんなモビタの隣に立っていた2人の強さを侮ることはなく、寧ろモビタを手に入れる為の障害となると警戒していたようだ。

 

現在の自分の戦力だけでは、モビタを奪えないと考えた穢れた精霊は、欲しくてたまらないものを手に入れる為に、何でもすると決めている。

 

戦力が足りていないなら補充すればいいと思った穢れた精霊は、手の届かない場所に居るアリアを取り込むことは一旦諦めて、手の届く範囲に居る力ある存在を取り込むことに決めた。

 

つまりは、協力者であったエニュオを名乗る神を狙うことにした穢れた精霊。

 

ダンジョンの60階層こそが現在の穢れた精霊の根城。

 

穢れた精霊によって魔界と化している場所へと強引に連れて来られた1柱の神。

 

神の力が効かない漆黒のモンスターを、埋め込んだ精霊の分身により操り、下界で神が使える僅かな能力である神威すらも無効化して、神を60階層にまで連れて来た穢れた精霊。

 

エニュオを名乗る神は人工迷宮クノッソス内で、オラリオを破壊する為に悪辣なことを考えていたが、そんなエニュオの計画など、今の穢れた精霊には何も関係がない。

 

都市の破壊者、エニュオを名乗る神ディオニュソスは、穢れた精霊の協力者ではあったが、今の穢れた精霊にとっては、自らの力を高める餌にしか過ぎなかった。

 

穢れた精霊に対して文句を言おうとした神ディオニュソスの顔が青ざめる。

 

自身の末路を悟り、取り出した短剣で自害を行おうとした神ディオニュソスだったが、穢れた精霊の動きの方が速い。

 

自害をする隙も悲鳴を上げる間も無く、魔界からせり出した蒼肉に包み込まれた神ディオニュソスは、天界に送還されることなく、その身に宿る神の力を少しずつ奪われる。

 

完全には取り込めていないが、それでも神に近い存在である精霊にとって、少量であるなら神の力の制御は不可能なことではなく、膨大な神の力をほんの僅かに奪い、自らの力を高めることに成功した穢れた精霊。

 

一気に大量にではなく、神の力を少しずつ、蛇口から少量の水を出すように、ほんの僅かな神の力だけを奪い、身体に馴染ませて強化していく精霊の力。

 

神の持つ力を精霊の力へと変換していき、穢れた精霊は、より強力な存在へと姿を変えていく。

 

膨大な神の力を、少量だけ奪い、自身の力へと変えた穢れた精霊は、戦力の補充を行い始めた。

 

より強力な存在となった穢れた精霊にしか産み出せない存在。

 

溢れ出す程に高まった穢れた精霊の力は、精霊の分身よりも強力な存在を産み出すことを可能にしていた。

 

都市を滅ぼす竜をイメージしていたディオニュソスの考えを読み取った穢れた精霊が産み出す黒き精霊竜ニーズホッグ。

 

取り込んできた数多の精霊を形とした異形、精霊の残骸の集団。

 

ディオニュソスが知る大精霊、その写し身2体。

 

そして、都市を滅ぼそうと考えていたディオニュソスを複製し、それを元に作成された殺戮精帝は神ディオニュソスの写し身だ。

 

神ディオニュソスと同じく都市を破壊し、下界すらも滅ぼすことを目的とした殺戮精帝の外見は、純白の肌に銀髪で山羊に似た角を頭部から生やしたディオニュソスといった姿をしていた。

 

神ディオニュソスを取り込んでいくことで、穢れた精霊が手に入れた強大な力。

 

それらによって産み出されていく強力な軍勢。

 

魔界を埋め尽くす程の精霊の残骸を率いるのは、大精霊の写し身2体。

 

神ディオニュソスの記憶から再現された黒き雷精霊ジュピターと火精霊ウルス。

 

黒竜を模したような姿形をした精霊竜ニーズホッグは、精霊の魔法まで用いてくる怪物。

 

そして邪悪な神ディオニュソスの写し身と言える存在である殺戮精帝。

 

これで充分な戦力が整ったと感じた穢れた精霊は、恋に焦がれる乙女のように、魔界へとモビタが訪れることを待つ。

 

神を取り込んだことに抗議をするように、時折ダンジョンから産み出される漆黒の怪物へと、軍勢を差し向けて叩き潰しながら、穢れた精霊は待っていた。

 

そして穢れた精霊が待ち望んでいた相手が魔界へと訪れる時が来る。

 

「アハッアハハハハ」

 

思わず笑い声が漏れた穢れた精霊。

 

「モビタァ」

 

歓喜に身体を震わせ、待ち望んでいた相手の名を呼ぶ。

 

穢れた精霊は、欲しくてたまらない相手を手に入れる為だけに、用意した軍勢を差し向けた。

 

全ては精霊の愛し子を、自分だけのものにする為、それだけの為に動いた穢れた精霊。

 

それはまさに邪悪な怪物と言われるものだろう。

 

かつて英雄と共に戦った精霊だった存在が、今では怪物と化していた。




アンタレスではなく穢れた精霊が神を取り込みました
ちなみにこの殺戮精帝は、素のディオニュソスみたいな性格をしています
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