今回は3800文字になりました
ギルドの換金場所で難癖をつけて、より多くのヴァリスを手に入れようとする者が多いソーマ・ファミリアの団員達。
そこまでしてヴァリスを集めようとしている理由があるのだろうが「金がないとアレが飲めない」などと言っているソーマ・ファミリアの団員達は、明らかに正気ではなかった。
ヴァリスを手に入れる為なら犯罪だろうが容易く行いそうな危うさがあるソーマ・ファミリアの面々が、稼いでいる駆け出し冒険者の私達に向ける目には悪意がある。
ダンジョン内か、ダンジョン外かは解らないが、何かしら此方に手を出してきそうなソーマ・ファミリアの団員達には注意しておかなければいけない。
念の為、ソーマ・ファミリアに関する情報は集めておいた方が良さそうだと判断。
ギルドの担当職員であるエイナさんが知っているソーマ・ファミリアについての情報を教えてもらったり、独自で調査を行ってみた。
ソーマ・ファミリアの行動範囲も把握したりして調べていると、オラリオで老夫婦が経営している花屋の近辺で、ソーマ・ファミリアの団員達が目撃されることが多かったようだが、とりあえず花屋の老夫婦にソーマ・ファミリアと何かしらの関わりがないか聞いてみたが何も知らない様子の老夫婦。
しかし花屋の店員らしき小人族の少女はソーマ・ファミリアと関わりがあったみたいで、リリルカという名の少女はソーマ・ファミリアの団員だったが、ソーマ・ファミリアとして活動することが嫌になって花屋で働いていたようである。
リリルカさんからソーマ・ファミリアの詳しい内情を聞いてみたが、どうやらソーマ・ファミリアは主神と同じ名を冠するソーマという神酒を飲む為に、ヴァリスを稼いでいる集団の集まりであるそうだ。
抵抗力がない者が飲めば抗うことができず、神酒を飲む為だけに行動するようになってしまうというとんでもない酒であるソーマ。
ソーマ・ファミリア団長であるザニスとやらがソーマ・ファミリアを仕切っており、ザニスにより多くのヴァリスを支払った者だけが神酒を飲むことができるらしく、神酒を飲みたい団員達が必死になってヴァリスを稼いでいるのが、ソーマ・ファミリアの現状ということになるのだろう。
そんなヴァリスと神酒にしか興味がないようなソーマ・ファミリアの団員達が、リリルカさんが働いている花屋の近辺で目撃されるようになったのは、確実に偶然ではない。
嫌な予感しかしないのでゲドとジーンにも協力を頼み、全員で花屋を守る為に行動することにした私達は隠れて花屋を見守っていたが、現れたソーマ・ファミリアの団員達。
ソーマ・ファミリアの団員達が花屋を破壊しようとしたところで飛び出して、明らかに犯罪を行おうとしたソーマ・ファミリアの団員達を倒した私達は、ガネーシャ・ファミリアを呼んで、ソーマ・ファミリアの団員達を引き渡す。
ガネーシャ様に嘘偽りなくソーマ・ファミリアの団員達が花屋を破壊しようとしていたことを伝えておき、此方の証言が正しいと認めてくれたガネーシャ様の指示で牢屋に入れられることになったソーマ・ファミリアの団員達。
そんなことがあった日から数日後、ソーマ・ファミリア団長のザニスが「ソーマ・ファミリアの団員達を傷付けたヘスティア・ファミリアには戦争遊戯を申し込む」と言い出した。
「此方が勝利したならヘスティア・ファミリアの全財産をソーマ・ファミリアに渡してもらう」とまで言ってきたザニスは、稼いでいるヘスティア・ファミリアに目を付けていたのかもしれない。
今回の戦争遊戯を断ればソーマ・ファミリアの団員達がチマチマと嫌がらせをしてきそうな気配があったので、全員で話し合った結果、戦争遊戯を受けることにしたヘスティア・ファミリア。
「此方が勝った場合はソーマ・ファミリアを好きにさせてもらいますよ」と言う私に「ああ、構わない。勝利出来るものならな」と言ったザニスは此方を嘲笑うような顔を見せた。
ザニスはLv1しか居ないヘスティア・ファミリアには負ける筈がないと思っているようだ。
どうやらザニスはヘスティア・ファミリアが稼いでいることは知っていても、此方の団員の戦闘能力については詳しくないらしい。
Lv1でも間違いなく規格外なジーンについて知らないザニスは情報収集を怠っているが、態々ザニスに教えてやる必要もないな。
面白がった神々によって攻城戦と決まったソーマ・ファミリアとヘスティア・ファミリアの戦争遊戯。
人数が多いソーマ・ファミリアが城を使い、たった3人のヘスティア・ファミリアが城を攻めることになったが、私達はソーマ・ファミリアに容赦をするつもりはなかった。
「城扉の破壊はジーンに任せますよ」
「ああ、任せとけ」
「城の内部に入ってからはどうする?」
「個別ではなく連携して、固まって進みましょう」
会話しながら攻城戦が行われる古城の近くの場所まで馬車で移動していたヘスティア・ファミリアの私達。
戦争遊戯の舞台となるのはシュリーム古城跡地。
森も丘も存在しない平原の真ん中に建つこの城砦は、古代に築き上げられた防衛拠点の1つ。
ダンジョンの大穴がバベルで塞がれていなかった頃、モンスターの進撃を食い止める為に数多く作られていた砦。
今では殆どの砦が廃墟化しているが、シュリーム古城跡地はラキア王国が要衝として長く使用していたこともあり、城壁を始めとした機能が生きている。
戦争遊戯の形式が攻城戦であることから、交戦期間は3日と定められており、敵大将であるザニスを期間内に仕留めれば、ヘスティア・ファミリアの勝利が決まるが、私達は3日も時間を使うつもりはない。
開始を告げる銅鑼の音が遠方の丘より鳴り響き、始まる攻城戦。
真正面から堂々と古城へと近付き、弓を構えたソーマ・ファミリアの団員達を手早く私が魔法銃で気絶させ、それからジーンを先頭に、真ん中が私で、後ろにゲドという並びで移動。
先頭のジーンが拳で容易く破壊した城扉を越えて先へと進み、大暴れするジーンの背中を私とゲドで守りながら城を進んだ。
ジーンの豪快な拳による一撃で、呆気なく吹き飛んでいくソーマ・ファミリアの団員達。
遠距離で魔法の詠唱を行う相手は、私の無詠唱魔法【ガンスミス】で作った魔法銃で倒していき、後方から近づいてきた相手はゲドの剣により斬り倒される。
Lv1だとしても全ステイタスがSまで極まっている私達に勝てる者はソーマ・ファミリアには居ない。
数が多かろうが雑兵の集まりでしかないソーマ・ファミリアに私達が苦戦することはなく、倒れていくのはソーマ・ファミリアだけであった。
玉座の間に居たザニスは「役立たず共め!」と吐き捨てるように言いながら、取り出した魔剣を振るおうとしたが、私が放った魔法銃の拳銃の弾丸により砕かれて破壊された魔剣。
そういえば同恩恵の相手なら私の魔法銃が使えた筈だな、と思った私は、作り出した魔法銃の拳銃をゲドとジーンに渡してみる。
全員で構えた銃をザニスに向けて引き金を弾く瞬間。
「「「JACKPOT!!」」」
示し合わせたかのように、悪魔を狩ることを仕事にしている何処かの悪魔狩人の決め台詞を言った全員。
放たれた3発の弾丸が命中したザニスは倒れて気絶して動かなくなり、ヘスティア・ファミリアの勝利で終わった戦争遊戯。
戦争遊戯を始める前の言葉通りにソーマ・ファミリアを好きにする権利を得た私は、ソーマ・ファミリアを好きにすることに決めた。
まずは後ろ暗いことを沢山やっていそうなザニスにゲド特製の自白剤を飲ませて、ザニスと共犯者である団員達の犯罪を明るみに出させたが、闇派閥とやらと関わりがあったザニスと一部の団員達。
明らかにアウトなザニスと一部の団員以外にも、犯罪を行っていたソーマ・ファミリアの団員達は多く、多数が犯罪者としてガネーシャ・ファミリアに捕まったようだ。
それから犯罪者ではない団員達の中から、ソーマ・ファミリアを脱退したいと考えている団員達は無条件で脱退させておき、改宗が可能な状態にさせてソーマ・ファミリアというファミリア自体を消滅させる。
ソーマ・ファミリアの眷族達に興味を抱いていない神ソーマは、酒作りが出来なくなったことだけがショックなようであり、眷族であった者達の今後などは考えてもいないみたいだ。
神酒作りの禁止を言い渡しに行った時、何故か私達に神酒が入った杯を差し出して「飲んでみろ」と言い出した神ソーマ。
迷わず杯を受け取って神酒を飲み干したジーンは「どんなに美味い酒でも、苦しんでる奴等を見ながら飲んだら台無しだ。あんたの酒はもう要らねぇよ」と言い放った。
神酒を飲んでも揺らぐことがないジーンの言葉は神ソーマに届いたようで、何かを考えているようだった神ソーマは「そうか」とだけ言うと神酒作りの禁止を受け入れる。
神ソーマが作る神酒による犠牲者がこれ以上増えることが無くなり、ソーマ・ファミリアを完全に脱退することができたリリルカさんは、老夫婦の花屋でこれからも働いていくつもりらしい。
定期的に見回りも兼ねて花屋に花を買いに行ってみたが、花屋の看板娘として笑顔で働いていたリリルカさん。
まあ、老夫婦の花屋とリリルカさんのあの笑顔を守れたなら、良かったと言えるだろう。
リリルカさんオススメの花を買い、ヘスティア・ファミリアのホームの花瓶に飾ってみたが「綺麗だね」と喜んでいたヘスティア様。
「ヘスティア様が気に入ったなら、また買ってきますよ」
とても綺麗な花に喜ぶヘスティア様に、そう言って私は笑った。
今回戦争遊戯に使われたシュリーム古城跡地は、ダンまち原作だとヘスティア・ファミリアとアポロン・ファミリアの戦争遊戯で使われた場所になりますね