今回は5000文字と、いつもより長めになりました
旅先で立ち寄ったオリンピアという場所で何故か異様に歓迎されることになったヘスティア・ファミリア。
アルテミス・ファミリアや精霊達は、別の場所に案内されて、ヘスティア・ファミリアだけがやたらと歓待された。
何故かヘスティア様のことをウェスタ様と呼ぶ、オリンピアの一部の面々。
どうやら聖なる火を司るヘスティア様には、ウェスタという別名があるらしい。
オリンピアの神儀長であるエトンと名乗った男性は、表面的には神を敬うような姿を見せていたが、内側に悪意を秘めているように感じた。
そんな私の直観を信じてくれたゲドとジーンにヘスティア様。
主神であるヘスティア様の安全を考えて、ヘスティア様の近くに必ずヘスティア・ファミリアの誰かが居るようにしておくと、神プロメテウスの神命を名乗り、強引にヘスティア様を連れていこうとしたオリンピアの兵達。
オリンピアに君臨する神プロメテウスの命令だとしても、私達ヘスティア・ファミリアがそれに従う必要はない。
オリンピアに存在する天の炎という力の恩恵を授かっていた兵達は、神の恩恵を授かっていなくとも常人よりも強く、炎を操る力も持っていた。
それでもLv8である私達に敵うような強さまでは持っていなかったオリンピアの兵達を倒したヘスティア・ファミリア。
強引な手を使ってくるような相手が居る場所からは、さっさと立ち去っておこうと考えて、オリンピアを出ようとしていた私達を止めたのはヘスティア様だった。
どうやら長い時を経て天の炎が穢れるという事態が発生していたらしく、聖火を司る神のヘスティア様でなければ浄化できないとオリンピアの一部の面々は考えており、天の炎の浄化をヘスティア様は行おうと思っているようだ。
「聖火を司るボクでも、そう簡単には穢れを浄化できないかもしれないね。だけどこれはボクがやらなくちゃいけないことなんだ。モビタくん達の改宗は可能にしておくから、後はアルテミスの眷族になってもらおうかと思うんだけど」
死期を悟り身辺整理をする人のように、自分が居なくなることを前提としたことを言い始めたヘスティア様。
自身が犠牲になったとしても天の炎の穢れを浄化してみせようと考えていたヘスティア様の頭部に、私が代表として物凄く手加減したチョップを入れておき、痛みに悶えるヘスティア様に私達は言う。
「ヘスティア様、貴女が犠牲になる必要はないでしょう」
「女神ヘスティアはさ、何で俺達に手伝いを頼まないの?」
「浄化できんのはあんただけじゃねぇだろ、オレだって手伝えるぜ」
「天の炎の穢れは危険なんだよ!きみ達が焼かれて死んでしまったら悲しいじゃないか!」
「心配してくださるのは大変ありがたいのですが、私達は貴女だけが犠牲になることを許容できませんよヘスティア様」
「モビタくん」
「モビタの言う通りだね。女神ヘスティアだけ犠牲にして、これからも楽しくは生きられないよ」
「ゲドくん」
「そういうこった。諦めな女神ヘスティア。オレ達はあんたを手伝うことを止めねぇよ」
「ジーンくん」
「ファミリアというものが家族であるなら、私達ヘスティア・ファミリアはヘスティア様と一緒に居ます。だからどうか、私達に貴女を助けさせてください」
私達の言葉が届いたのか、ヘスティア様は私達が穢れた天の炎の浄化を手伝うことを許してくれた。
それから私は魔法【シネマティッククリエイト】を用いて、ひみつ道具のテキオー灯を創造。
ヘスティア・ファミリアだけではなく合流したアルテミス・ファミリアや精霊達にも環境に適応することが可能となるテキオー灯の光線を浴びせておく。
ついでに私の背の恩恵もヘスティア様に確認してもらったが、最後の魔法と、新たなスキルが発現していたみたいだ。
モビタ・モビ
Lv8
力:S999
耐久:S999
器用:S999
敏捷:S999
魔力:S999
射撃:S
耐異常:S
連射:B
疾走:C
魔弾:D
蓄力:F
加護:H
《魔法》
【ガンスミス】
【シネマティッククリエイト】
【フィリア・テレカ】
・友情奇跡魔法
・詠唱式【繋いだ絆が力となる】【結びし縁が輝きを放つ】【我が友よ、力を貸してくれ】【今此処に親しき友の力を束ねる】【我等の友情は不滅】【世界を越えて】【時を越えて】【出会った我等は友であり続ける】【真の友よ】【親しき友よ】【我等の友情を此処に形と成す】
《スキル》
【銀矢投擲】
【牧場物語】
【金色縁】
【夢幻三剣士】
【樹木友人】
【心友音波】
【寄生浄化】
【封印剣】
【南極大冒険】
【何処扉】
【精霊腕輪】
【反射外套】
【時風呂敷】
【名医鞄】
【黄金甲虫】
【豪華怪盗】
【小雷雲】
【北風食卓】
【携帯食料】
【飲料変化】
【魔界大冒険】
【異能貸出】
【空気砲】
【超手袋】
【増殖鏡】
【適応灯】
・当たると様々な環境に適応することができるようになる光線を放つことが可能となる
・適応を可能とする光線の効果は24時間続く
そんな3つめの魔法とテキオー灯と似たようなスキルが私には発現していた。
友情奇跡魔法【フィリア・テレカ】というものが、どんなものなのかは使ってみないと解らないだろう。
それはそれとしてとりあえず穢れた天の炎が存在する場所へと向かおうとした私達。
そんな私達の前に立ち塞がったのは、剣を持ったエトンであった。
ヘスティア・ファミリアのLv8が3人居ても、余裕を崩していないエトンは、よほど自分の実力に自身があるようだ。
そして始まる戦い。
天の炎とより深く繋がっているエトンの正体は、3000年前の大英雄エピメテウス本人。
天の炎は神の力に近い力であった為か、ベヒーモスやリヴァイアサンなどの黒い怪物には効かなかったようで、相性的な問題でエピメテウスでは黒い怪物には勝てなかったが、天の炎とより深く結びついたエピメテウスの実力はLv8すらも上回っていることは確かだ。
此方だけが傷付いたままで、エピメテウスの身体は天の炎によって癒されていく。
3対1でも余裕を持って此方の相手をしていたエピメテウスは、私達が天の炎を用いても焼けにくいことにだけは驚いていた。
テキオー灯によって様々な環境に適応した私達の身体は、天の炎が相手でも焼けにくい身体になっているらしい。
穢れた天の炎を用いて黒竜を討つと決めているエピメテウスは、私達を殺した後はヘスティア様を使って穢れた天の炎を完全に掌握すると語る。
私達の主神を、大切な家族を、道具として使うつもりであるエピメテウスに対し、最初にジーンがブチギレた。
「ふざけたこと言いやがったなてめぇ!」
怒りのまま真正面から突撃したジーンへと剣を振るうエピメテウスの斬撃。
袈裟斬りに身体を斬り裂く軌道であるエピメテウスのその剣をジーンは避けることはない。
寧ろ斬られながらも踏み込んで近付き、エピメテウスの顔面に力強い拳を叩き込んだジーン。
たたらを踏むエピメテウスへと追撃の蹴りを打ち込もうとしたジーンへと、エピメテウスが更に剣を振るおうとした時、間に割り込んだ私とゲドが2本の剣を用いてエピメテウスの刃を受け止めた。
エピメテウスの言葉に本気で怒っているのはジーンだけではない。
無論、私とゲドもこれ以上ない程に怒っている。
スキル【金色縁】の効果の1つで、大切なものを守る時、超高補正がかかる私は、限界以上の力を出すことが可能だった。
スキル【亜種龍手】で身体能力を倍加したゲドと共に、力を込めた2本の剣で弾き返したエピメテウスの剣。
反す刃でエピメテウスの胸部に刻みつけた斜め十字の傷。
それすらも癒していく天の炎の力により、エピメテウスに傷は残らない。
「無駄だ、天の炎を持たぬお前達に、このオリンピアに居るおれは倒せん」
そう言い放つエピメテウスを相手に、片手に握る大剣の切っ先を向けたジーンが言う。
「天の炎なんざ要らねぇよ。オレには頼れる仲間が居るんでな」
そんなジーンに同意するように頷いていたゲドも口を開いた。
「1人だと、できることには限界があるけど、仲間が居るなら限界だって越えられる」
力強く言い切ったゲドは、蒼い剣を構え直す。
「私達は1人ではありません。天の炎など無くても、貴方を倒してみせますよ」
3000年前から生きている大英雄に対し、そう宣言した私は白銀の剣を握る手を緩めることはない。
「吠えたな小僧共!」
より苛烈になるエピメテウスの攻撃。
それら全てを私達3人で受け止め、防ぎ、抗っていく。
奇跡でも無ければ勝てない戦力差、大英雄という高い壁を相手に戦っていった私達。
奇跡という言葉で、自らの最後の魔法に友情奇跡魔法と名付けられていたことを思い出した私は、魔法の詠唱を始める。
「【繋いだ絆が力となる】【結びし縁が輝きを放つ】【我が友よ、力を貸してくれ】」
詠唱を開始した私に対して、危険を察知したのか、私のことを集中して狙い始めたエピメテウスの攻撃を、その身を盾に防いでくれたゲドとジーン。
「【今此処に親しき友の力を束ねる】【我等の友情は不滅】【世界を越えて】【時を越えて】【出会った我等は友であり続ける】」
続く詠唱、高まる魔力に危機感を抱いた様子のエピメテウスも唱え始めた。
「【ここに願い奉る、そして、どうか赦し給え】!」
それは魔法の詠唱ではなく、エピメテウスが持つ神創武器を最大解放する為の祝詞。
「【真の友よ】【親しき友よ】【我等の友情を此処に形と成す】」
だがエピメテウスの祝詞が終わるよりも早く、此方の詠唱が完了する。
「【我は神言に背く者、この手は災禍を開く罰】!」
だとしてもエピメテウスは祝詞を唱えることを止めない。
「【フィリア・テレカ】!」
友情奇跡魔法の魔法名を唱えた瞬間、私とゲドとジーンの手に収まっていた光輝くカード。
それはまるで友情テレカのようで、眩い輝きを放っていた。
私が持つカードにゲドとジーンのカードから放たれた力強い光が飛び込んできたかと思えば、光輝く私のカードは清浄な光を放つ大太刀へと姿を変えていく。
「【目覚めよ、花嫁、呪われし泥の巫女】!」
祝詞を終わらせたエピメテウスの炎剣が、その力を解放される時を待っていた。
私は、ただ静かに清浄な光を放つ大太刀を構えて前に出る。
「【エルグス・パンドラ】!」
放たれた大英雄の極炎を纏う炎剣の一撃。
「今、全てを、この刃で断つ!秘剣!大電光丸!」
それら全てを断ち斬る大太刀の斬撃により、破壊された極炎の一撃と神創武器。
そして破壊されたのはエピメテウスの武器だけではなく、エピメテウスと繋がっていた穢れた天の炎さえも、清浄な大太刀の刃により破壊されていたようだ。
まさしく奇跡を起こす魔法であった【フィリア・テレカ】により、エピメテウスという大英雄に勝利した私達。
穢れた天の炎も消滅したので、これでヘスティア様が犠牲になることもない。
その後、私達に敗北して天の炎すらも消え去ったことで、エピメテウスの計画は失敗に終わり、死を選ぼうとしていたエピメテウスを容赦なくボコボコにしていたジーン。
「てめぇが死んだら!てめぇの為に死んでいった連中の墓は誰が作るんだボケが!」
そう言いながら怒っていたジーンは、エピメテウスという大英雄と共に戦った存在が居たことを知っていたようだ。
ジーンのその言葉を聞いて考え直したエピメテウスは、仲間達の墓を守る墓守りとして残りの一生を過ごすつもりらしい。
一応私のスキル【時風呂敷】で3000年はエピメテウスを巻き戻しておいたので、天の炎が無くても、直ぐにエピメテウスが死ぬことはないだろう。
そんなことがあったオリンピアを立ち去った私達は、再び旅を続けることにした。
ちなみにヘスティア・ファミリアは全員背の恩恵を確認してもらったが、私だけランクアップができるようになっていたみたいだ。
モビタ・モビ
Lv9
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
射撃:S
耐異常:S
連射:B
疾走:C
魔弾:D
蓄力:F
加護:H
聖火:I
《魔法》
【ガンスミス】
【シネマティッククリエイト】
【フィリア・テレカ】
《スキル》
【銀矢投擲】
【牧場物語】
【金色縁】
【夢幻三剣士】
【樹木友人】
【心友音波】
【寄生浄化】
【封印剣】
【南極大冒険】
【何処扉】
【精霊腕輪】
【反射外套】
【時風呂敷】
【名医鞄】
【黄金甲虫】
【豪華怪盗】
【小雷雲】
【北風食卓】
【携帯食料】
【飲料変化】
【魔界大冒険】
【異能貸出】
【空気砲】
【超手袋】
【増殖鏡】
【適応灯】
特に新たなスキルが増えていたりはしなかったが、新たな発展アビリティが聖火であったことに、ヘスティア様は喜んでいた。
まあ、ヘスティア様が喜んでくれていたなら、それはいいことだろう。
モビタ達に敗北したエピメテウスは、仲間達の墓を自分で用意して、そこの墓守りとなりました