今回は、5500文字になりました
この話で連載版のダンまちトリオの本編は完結となりますね
感想、評価、お気に入り登録、ここ好き投票をしてくださって、ありがとうございました
40話まで続くとは思ってもいませんでしたが、これまで読んでくださった方々のおかげで完結まで辿り着けたことにも感謝します
あとはちょっと番外編を書いたら完全に完結となりますのでよろしくお願いします
竜巻と竜達が消え去った竜の谷は、まだ残っていた汚染瘴気によって穢れていたが、ジーンの穢れを浄化する聖炎と私の発展アビリティ聖火によって聖なる火を出せるようになった火の魔剣により、焼き尽くされて一掃された汚染瘴気。
広く膨大な土地がある竜の谷だった場所に、拠点を作ろうと考えた私達は、早速作業に取り組んだ。
様々なひみつ道具や、私達それぞれのスキルに、ジーンが作製してくれたものを用いて、作り出していった拠点。
総オリハルコン製の外壁に様々な建造物が並んだ拠点には、鍛冶工房と薬品の調合室に、食堂や畑なども作成されていて、生活するには困らない場所となっていた。
畑には私の【農林大臣】のスキルで生成された種が埋まっていて、様々な料理を内部に宿したダイコンが育っている。
1年中、好きな料理が食べられるようになった広大な畑。
食料も飲料も生産することで、問題なく用意できるようになり、他の場所で補給する必要もなくなった食料品。
拠点にある鍛冶工房ではジーンが鍛冶をする音が鳴り響き、薬品の調合室ではゲドが様々な薬品を作成して、私は畑の様子を確認していた。
そんなある日、私達の拠点にまで訪れたレオンさん。
どうやら学区は竜の谷を監視していたようで、異変が起きた竜の谷へとレオンさんが先行して急行してきたみたいだった。
「竜の谷の竜達と黒竜は、きみ達が倒したのか?」
そう問いかけてきたレオンさんに「そうですね、ヘスティア・ファミリアの3人で協力して倒しましたよ」と答えておくと「黒き終末を討ったきみ達は、まさしく英雄だ」と言っていたな。
それから黒竜を倒した証拠であるドロップアイテムをレオンさんに見せたり、食堂に案内して食事を提供したりもしていると「この丸い根菜の中に、何故料理が?」と困惑していたりもしたが、ダイコンの中に入っていたビーフシチューの味は、とても美味しかったらしい。
おかわりが食べたそうな顔をしていたレオンさんに、追加のビーフシチューを食べてもらっていると、食堂にやって来たアルテミス・ファミリアの面々。
美味しそうにビーフシチューを食べていたレオンさんを見ていたアルテミス・ファミリアも、ビーフシチューを選んで食べていたりもした食堂。
腹一杯食事をしてから水を飲んで一息ついていたレオンさんは「改めて、頼ませてもらうが黒竜討伐の報告の為にも学区に来てくれないだろうか」と頼んでくる。
流石に今回は同行した方が良さそうだと判断し、拠点をアルテミス・ファミリアに任せて、ヘスティア・ファミリアは学区へと向かうことを決めた。
案内の為に先頭で移動するレオンさんに着いていくヘスティア・ファミリアの面々。
バージョンアップしたパワードスーツを着用しているヘスティア様も、レオンさんに余裕で着いていけており、性能がかなり向上していたパワードスーツ。
到着した小型船に乗り込んで移動していき、到着した学区。
この世界で最も巨大な船である学区は、本来部外者絶対禁制で、立ち入りを厳しく取り締まっているそうだが「全責任はおれが持つ」というレオンさんの言葉には、かなりの力があったようで、特に手続きもなく通された学区の内部。
巨大な3段重ねのパンケーキに似た円形の学区という巨大船を移動し、到着した中央の塔。
塔を上がり到着した最上階のトネリコ製の扉を開いた先に居た男神様に「バルドル様、竜の谷の竜殲滅と黒竜討伐を成した英雄達をお連れしました」と話しかけたレオンさん。
法衣を身に纏った長髪の男神であるバルドル様は「貴方達がそうですか」と此方に顔を向けて言うと「竜の谷の異変は、貴方達が解決してくれたのですね」と頷いていた。
「ゼウスとヘラのファミリアですら成し遂げられなかった黒竜討伐を果たした貴方達は、これから何を行うのでしょうか?」
そんな問いかけをしてきたバルドル様に、嘘偽りのない言葉を口にする私達。
「これからもオレは鍛冶師として鍛冶をするだけだな」
鍛冶師であることをやめるつもりはないジーン。
「新薬の開発はしたいけど、魔道具とかも作ってみたいかな」
薬師としてだけではなく、興味がある分野にも挑んでみたい様子を見せるゲド。
「そうですね、まだモンスターによる被害があるみたいですから、それに対処しようかと考えています」
竜の谷の竜が消えても、世界中からモンスターが消えた訳ではないので、それに対処したいと考えていることを語った私。
「なるほど、それぞれ考えていることは違うようですね。貴方達全員の望みを手助けする手段が学区にはありますが、どうされますか?」
そんなことを言い出してきたバルドル様は、学区に私達を勧誘しているらしい。
レオンさんから学区については聞いていたがオラリオのギルドよりかは、まともな場所ではある学区という学舎。
竜の谷の竜を殲滅して黒竜を討伐し、訪竜問題を解決した私達は、世界中から求められるような戦力である筈だが、それでも強引な勧誘はせずに私達の判断に任せてくれたバルドル様。
遊ぶ為だけに下界に降りてきた神々と比べると、随分とまともな神様であるバルドル様は、信頼できる神様だろう。
主神であるヘスティア様は「きみ達の意思を尊重するよ」と言ってくれた。
その日から、学区に所属する唯一のファミリアとなったヘスティア・ファミリアだが、それはオラリオに伝わることはない。
臨時講師として鍛冶学科の生徒達に鍛冶を教えたりもし始めたジーンは、鍛冶学科の生徒達から毎回「ジーン師匠」と呼ばれるようになっており「先生じゃねぇのかよ」というツッコミを毎回律儀に入れていたジーン。
調合学科の生徒達は、臨時講師であるゲドが教える様々な薬品を毎回調合していき、完成した薬品の出来を鑑定まで用いられて細かくチェックされて、ダメだったところを詳細に指摘されたりもしていた調合学科の生徒達は「ゲド先生並みの調合は無理です」と落ち込んだりもしているそうだ。
私は私で学区の戦闘要員として、学区で戦闘を得意とする生徒達と一緒に派遣されて、地上のモンスター被害に対処する日々を過ごし、現場への移動と帰宅は、私の【何処扉】のスキルであっという間に終わる為「反則だろモビタさん」と言われることも多い。
そうやって学区での生活に馴染みながらも、時折元竜の谷の拠点に行き、アルテミス・ファミリアと交流していた私達。
情報交換をしたり、アルテミス・ファミリアのパワードスーツをバージョンアップしたりもしながら、拠点から学区へと戻った私達は、学区の一員として日々を過ごす。
時は過ぎ去っていき、幾つもの月日を学区で過ごしていった私達ヘスティア・ファミリアの面々。
そんなある日、メレンの港町へと学区が寄港する日が来て、オラリオのダンジョンで実習をすることになっていた学生達は、それぞれが定められた条件を達成することに成功。
それだけなら特に問題は無かったんだろうが、学区のオリハルコンを徴収すると言い出したギルドに猛反発した学区の学生達。
「ギルドの横暴を許すなああああ!」
オラリオのギルドへ向けられた学区の学生達の怒りは激しく、オラリオとの断交すらも考えていた学区。
それに困っていたのはオラリオのファミリアとギルドで、特にここまで学区から反発があるとは思ってもいなかったギルドの動揺は激しい。
そんな最中に神々がオラリオと学区で戦えばいいと考えたのか、神々からの提案で、オラリオVS学区の代表試合、都市競技祭典が始まる。
ロキ・ファミリアが遠征で不在だとしても、都市最強のフレイヤ・ファミリアと、Lv9に到達した猛者が存在するオラリオが勝つと考えたギルドは、勝利を確信して勝負を受けることを決めたそうだ。
学区に私達ヘスティア・ファミリアが所属していることは、まだギルドには知られていない。
当然今回の都市競技祭典には、私達ヘスティア・ファミリアも学区側で参加する。
ついでに学区所属ということで、学区の全教員用のパワードスーツの作成は既に完了していて、全員がパワードスーツを着用済みだ。
オラリオの都市東、第2区画にある円形闘技場で行われる第1回戦、フレイヤ・ファミリアLv6のヘディンとの魔導士対決に勝利したのは、学区のLv5、バルドル・クラスのマリク先生。
魔法戦を補助するパワードスーツによって強化されていたマリク先生が、Lv差を覆して勝利したことに驚愕していたギルド。
2日後に行われた第2回戦は、大集団戦となり、フレイヤ・ファミリアの幹部以外が駆り出された戦いは、オラリオの勝利で終わる。
流石に学区の生徒達だけではフレイヤ・ファミリアに勝てなかったようだ。
更に2日が経過し、学区の競技場で行われた第3回戦のタッグ戦で、早めに登場したレオンさんに驚いていたオラリオの面々。
当然の如く勝利した学区に、焦りを隠せていなかったギルドの長。
都市競技祭典第4回戦スリーマンセルの水上戦は、オラリオの勝利で終わった。
最終戦は真正面から3対3で戦う真剣勝負となる正面戦闘。
オラリオからはLv9のオッタル、Lv6のアレン、Lv6のヘグニが出場すると決まっている。
学区から出場するのは、勿論私達ヘスティア・ファミリアの3人。
学区側に、黒竜を倒した私達3人が居たことに驚くオラリオの人々。
全力で戦っても問題ない場所へと移動し、始まる戦い。
ジーンとゲドにより、瞬く間に斬り伏せられたアレンとヘグニは、追撃として顔面を踏まれて意識を飛ばされたので、しばらく起き上がることはないだろう。
獣化を発動し、黒塊のような剣を両手で振るうオッタルの一撃を、片手に持つ雷霆の剣で容易く受け止めた私は、もう片方の手に持つ「夢幻」を閃かせた。
白銀の斬閃が黒塊のような大剣ごとオッタルを斬り裂き、追撃の雷霆の剣が纏う雷電が、猛者の全身を痺れさせて動けなくする。
無傷で立っているヘスティア・ファミリアとは違い、フレイヤ・ファミリアの面々は、傷付いて倒れたまま起き上がらない。
勝者と敗者が明確に決まり、学区の勝利で終わった都市競技祭典。
学区側からは大歓声、オラリオ側からは悲観の声と、一部の神々の「学区のメタルヒーローについて詳しく!」という声が上がったりもした。
「わたしのオラリオがあああ!?」
そんな叫び声を上げていたロイマンが倒れて、ディアンケヒト・ファミリアの治療院送りになったりもしたが、ロイマンを哀れに思う存在はオラリオには居なかったらしい。
徴収されたオリハルコンを取り戻した学区は、オラリオよりも上位の組織となり、ギルドの人員にも口出し出来るようになった結果、治療院送りになったままギルド長をクビとなったロイマン。
学区から派遣された人員が新たなギルドの長となり、改革が始まったギルド。
忙しく動いていたオラリオは、これからどうなるかはわからない。
オラリオとの断交とまではいかなかったが、学区がオラリオの上位となったことで変わるものはあるだろう。
既にオラリオとは関係ない私達は、学区の一員として動いていくだけだ。
そう決めてオラリオの街中をヘスティア様と歩いていると「デートしようぜモビタくん」と言ってきたヘスティア様は、久しぶりのオラリオに浮かれている。
そんなヘスティア様を隠れて見ていたのか「寝取られは悪い文明やあああ!」と言いながらヘスティア様にフライングクロスチョップをかましたロキ様。
「ぐああああ!」
悲鳴を上げながら倒れたヘスティア様は、ロキ様の攻撃を避けれなかったみたいだ。
とりあえず悪意があって攻撃した訳ではないロキ様に事情を聞くと、ヘスティア様に私を寝取られたように感じて思わず攻撃してしまったらしい。
「ヘスティア様と私は、そういう関係ではないですよ」
そう伝えていた私の隣で「でも発展アビリティで聖火を発現してるよねモビタくん」と呟くヘスティア様。
「発現したんやな!?うち以外の女神の発展アビリティを!?」
ショックを受けたような顔をしていたロキ様にドヤ顔を見せつけていたヘスティア様は、自慢気だ。
何してるんですかヘスティア様と言いたくなることをしていたヘスティア様は、ロキ様には意外と対抗心を剥き出しにしている。
悲しそうな顔をしていたロキ様を見ていると、何故だか私も悲しくなるので、ロキ様の頬に触れながら「何故かは解りませんが、貴女には笑っていてほしいと私は思いますよロキ様」と言った私に感極まった様子を見せたロキ様。
「モビタ!」
私の名前を呼びながら私に抱きつこうとしたロキ様に「させるか!」と言ってラリアットを叩き込んだヘスティア様は容赦がない。
「ぐああああ!」
先程のヘスティア様のような声を上げながら倒れたロキ様は悶えていた。
そんなロキ様を助け起こした私に「モビタは、やっぱりうちのや!」と言い出すロキ様に対し、ヘスティア様は「モビタくんはボクの家族だ!」と言い返す。
互いが互いを威嚇しているロキ様とヘスティア様を見ながら、この状況はどうすればいいんだろうか、と私は考えていると「はい、ちょっと失礼するよ」と現れたゲドがヘスティア様を素早く抱えて去っていった。
「何するんだいゲドくん!」
「いいからいいから、テリーを信じて」
「テリーって誰なんだいゲドくん!」
等と言い合いながら去っていくゲドとヘスティア様。
その場に残された私とロキ様は顔を見合わせていたが、先に私が口を開く。
「久しぶりにオラリオを見て回りたいんですが、ちょっとデートでもしませんかロキ様」
そう言って、差し出した私の手を握ったロキ様は「ええよ」と笑ってくれた。
私と手を繋いでオラリオを歩いている時は、とても嬉しそうだったロキ様。
そんなロキ様の笑顔が見れると、私も嬉しい気持ちになれる。
この世界のロキ様と私が、どんな関係になるかは解らない。
それでもこの笑顔は大切にしていきたいと、私は思った。
ちなみにジーンは女神ヘスティア関連のスキルを発現したことを女神イシュタルに知られて「スキルを発現したのか、わたし以外の女神の」とか言われてますね