今回は3200文字くらいになりました
安全階層の18階層で野営をすることにも慣れて、泊まりがけでダンジョン探索を行うことも多くなってきたヘスティア・ファミリアの私達。
全ステイタスがSに到達した私とジーンはSが限界のようだが、ゲドだけはSSやSSSにまで到達していたステイタス。
やはりゲドには何かしらの成長促進系のスキルが発現しているのかもしれない。
そんなことを考えながら今日もダンジョンに潜り、18階層で野営を行っているとダンジョンが揺れ、迷宮壁が崩れて18階層の出入口が塞がれた。
しばらく続いていた揺れが止まったかと思えば、18階層を照らす天井の巨大な水晶の内部に、黒い何かが蠢いている。
これは明らかな異常事態だが、出入口を塞がれた状態では直ぐに逃げることは不可能だ。
水晶の破片を撒き散らしながら天井から生まれたそれは、剣を持つ巨大な黒い骸骨の怪物。
ダンジョンから上半身のみを生やす巨大な黒い骸骨といった姿をしたウダイオスという階層主に似ているが、しっかりと下半身も存在している巨大な黒い骸骨は、もしかしたらウダイオスの亜種なのかもしれない。
私とゲドでは相手になりそうにない怪物を見たジーンが「アレはオレがどうにかする」と言い出したので「ではあの骸骨はジーンに任せます。私とゲドは17階層に繋がる出入口が開通できないか試してみますね」と伝え、ジーンとは別行動することにした私とゲド。
活発に動き、冒険者達を襲い始めたモンスター達を倒して進み、18階層に居た冒険者達をリヴィラの街に避難させた私とゲドは瓦礫に埋まった出入口に到着。
18階層から17階層に移動する為の通路とも言える場所は瓦礫により埋まっていたが、ゲドの魔法【リトルフィート】を用いて瓦礫を小さくしていき、協力して少しずつ瓦礫を片付けていくと、出入口の開通が近付いていった。
あと半分程度で出入口が開通するところで、近場の壁面がひび割れていき、怪物を産み出す母胎であるダンジョンは新たな怪物を出現させる。
壁面をぶち破るように現れたのは漆黒のグリーンドラゴンであったが、18階層で産まれる筈のない亜種のグリーンドラゴンが現れたことも明らかな異常事態で間違いない。
通常のグリーンドラゴンでもLv4並みの潜在能力を持ち、Lv2の私とゲドよりも格上な相手だが、色違いの亜種となれば更に強力な存在の筈だ。
亜種のウダイオスと戦いを繰り広げているジーンは、傷だらけになりながらも階層主という巨大な怪物が此方に来ないように食い止めてくれている。
そんなジーンにこれ以上負担をかけるようなことはしたくない。
黒いグリーンドラゴンは私とゲドの2人だけで倒すとしよう。
「コイツは私とゲドで倒しますよ」
「そうしようか、ジーンは忙しそうだから」
右手に剣、左手に槍を装備したゲドは1剣1槍となり、私は鞘から引き抜いた剣を構えた。
漆黒のグリーンドラゴンが息を吸い込んでいる姿を目撃した私は、火炎を吐き出す前兆だと判断し「ドラゴンの正面から退避!」と指示を出す。
私とゲドは素早く左右に分かれるように跳び、私が左にゲドが右に移動することになったが、そんな私達の間を黒いグリーンドラゴンから放射された火炎が走り、一時的に左右に分断されることになった私とゲド。
地を焼きながら燃え続ける火炎により分断された私とゲドは左右から黒い木竜へと近付くが、その身を凄まじい速度で横に1回転させた黒い木竜の尾による攻撃で私とゲドは纏めて吹き飛ばされた。
爪や牙による攻撃ではなかった為、裂傷などは身体に刻まれていないが、格上の怪物の一撃は、全身に響くような衝撃と痛みを私に与えていく。
吹き飛ばされて地を転がりながらも、私とゲドは得物を手放すことはない。
立ち上がり槍を構えたゲドの槍へと、大気中の水分が渦となり集束し、解き放たれる時を待つ。
「【渦槍水流撃】!」
ゴライアスすらも倒すスキルを用いたゲドの一撃が黒いグリーンドラゴンへと直撃したが、暴威の大渦が直撃してダメージを受けても漆黒の木竜は身体を再生させてしまう。
再生能力を持つ黒い木竜を倒すには弱点である魔石を破壊する必要がありそうだ。
黒い鱗に覆われた竜の身体を斬り裂く白銀の刃を振り抜き、白い穂先で黒い竜を穿つ槍を操るゲドと共に戦いを続ける。
軽い傷なら即座に再生してしまう黒い木竜を相手に攻撃を続け、反撃を受けようが戦いを止めることはない。
ゲドと共に黒いグリーンドラゴンと戦う最中、幾度も傷を負いながら、何度でも立ち上がり戦い続けた私達。
絶え間無く攻防を続けていると、黒い木竜の鋭利な爪により斬り裂かれてしまったゲドの身体から血が溢れ出す。
浅くはない傷を負ったゲドの前に立った私が、大切な友人を護る為に戦うと決めた時【金色縁】の効果の1つが発動。
スキル発現者にとって大切なものを護る時、全ステイタスに超高補正がかかる効果によって凄まじく強化された私は、再び横に回転を始めた黒い木竜の尾が此方に振るわれた際、動きに合わせて振り下ろした剣で尾を斬り落として攻撃を防いだ。
万全ではない身体で限界を超えた力を発揮した為、軋む身体が悲鳴を上げていたが、それでも私はゲドを護り続けた。
白銀の剣を振るい、斬り裂き、断ち斬る、黒い木竜の身体。
痛み軋む身体を動かして戦いを続け、護るべき大切な友人を護り続けた私へと「これ飲んどくといいよ」と声をかけながらハイポーションを投げ渡してきたゲド。
負傷をハイポーションで癒して戦線に復帰したゲドの剣が黒い木竜に噛み砕かれ、武器が槍だけとなったゲドは再び大気中の水分を渦として槍へと集束させていく。
「【渦槍水流撃】!」
ゲドは大渦を纏わせたままで槍を投擲し、火炎を放射しようとしていた黒い木竜の顔面へと槍が直撃した瞬間に大渦の暴威を解き放った。
至近距離で放たれた【渦槍水流撃】により頭部が弾け飛んだ黒木竜の動きが鈍ったところで、地を蹴り駆けた私は黒い木竜の胸部へと剣を突き刺す。
より深く剣を突き入れようと力を込める私を手伝うように、私に追い付いたゲドの手も私が持つ剣の柄を握り、2人分の力によって突き進んだ白銀の剣の切っ先は、黒いグリーンドラゴンの魔石へと到達。
「「貫けぇっ!」」
その言葉と共に魔石を貫き、破壊した剣によって倒された黒いグリーンドラゴンは灰と化し、残ったものはドロップアイテムだけとなる。
とりあえず脅威となる怪物であった黒い木竜はなんとか倒したので、出入口を開通させる為の作業を続けることにした私とゲドは、出入口を塞いでいた瓦礫を運んだ。
出入口が開通したところでジーンの様子を見てみたが、扇状に衝撃波を放つ剣を振るう亜種のウダイオスへと真正面から突撃していくジーンの姿が見えた。
振り下ろされた巨大な剣を白刃取りで受け止めたジーンは、力付くで受け止めた剣を宙に弾き飛ばす。
拳を握り、亜種のウダイオスの両足へと連打を叩き込んで粉々に砕いてから、地を蹴り跳躍すると、体勢が崩れた亜種のウダイオスの胸部へと、構えた拳を振り抜いてジーンが放つ拳打。
その一撃は、頑丈で強度が高い胸部の骨を粉砕するだけではなく、亜種のウダイオスの胸部に存在する魔石すらも完全に砕いていた。
灰と化した亜種のウダイオスの身体を見た後、無事に勝利したジーンと合流してみたが、亜種のウダイオスが持っていた剣がドロップアイテムとして残っていたようだ。
ドロップアイテムの剣はそのままだと、持って帰るのが大変な大きさをしていたので、ゲドの【リトルフィート】で小さくして持って帰り、ジーンの工房へと運んでおく。
ついでに黒いグリーンドラゴンのドロップアイテムもジーンの工房に置いておき、私を含めたヘスティア・ファミリアの面々のステイタスをヘスティア様に確認してもらったが、ランクアップが可能になっていたらしい。
ジーンが倒した亜種のウダイオスと、私とゲドが倒した黒いグリーンドラゴンとの戦いは偉業だったということなのだろう。
両足まである亜種のウダイオスはLv6の最上位で限り無くLv7に近い存在で、黒いグリーンドラゴンはLv5中位くらいの怪物になります