生徒に、家族を。   作:木林8852

21 / 38

こんばんは、木林8852でございます。

なんか、、ジメジメしてきたな、、
なんだろうな、、



お気に入りをしてくれた方が31名、感想が2件ととても嬉しいです。これからもゲール君をよろしくお願いします。





21話 妖怪現る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「、、ゲールさん、なにをなさったのです?」

氷室セナは湿布を貼りながら聞いた。

 

「、、、いや、何も、、」

ゲールは目を逸らす。

 

「昨日から家に帰っていないみたいですね。」

 

「、、、」

 

「こちらとしては怪我の原因を知らなければいけないのですが。」

 

「ちょっとチンピラに絡まれましてね。」

 

「、、、、まぁ、言いたくないなら構いません。これからは気をつけてくださいね。」

 

 

「、、分かりました。」

そういうとゲールはコートを羽織りながら出て行った。

 

 

〜 〜 〜

 

あれから一日経った。アビドス高等学校付近で大規模な戦闘があっていた事は此方の耳に届いている。

 

予想通りだ。小鳥遊さんが除籍され、アレは高校とは言えなくなったのだろう。

 

、、、ただ指を咥えるだけとは、、

 

立場もある、弱みもある、それに、、

 

あの男、、黒服。底が見えん。

 

 

「、、ふう。」

私は脇腹をさすった。あの戦闘の残滓だ。この程度で済んでよかった。

 

「ゲール、痛いの?」

横を歩いていたヒナ様が心配そうに聞いてきた。

 

「、、大丈夫ですよ。」

ゲールは微笑んだ。

 

 

 

(、、ゲールは昨日の事は話してくれない。)

 

(話したく無い事なら、、)

 

(、、私が支えないと。)

 

 

そうして本部廊下を歩いていると、、

建物前から焦った様な声が聞こえてきた。

 

 

 

「ちょっ!?何やってるんだ、、ひゃんっ!?」

これは、銀鏡さんだな?

 

 

「、、イオリ?何をしているのかしら?」

ヒナ様と私は首を傾げる。

 

 

「なにか、、楽しそうですかね?」

時々大きな声が聞こえてくる。

 

 

「、、プライドとか、、、大人のくせに、、」

イオリさんは何をしているのだろうか?

 

 

ガチャ

 

 

「フォ願い!フフキ委員ヒョーに会わヘてくれ!」

 

「わあぁ!?やめろ気持ち悪い!」

 

 

「、、イオリ?なんだか楽しそうね?」

 

 

玄関前を見ると、銀鏡さんに膝を付いて何かを話している先生がいた。緊急事態にて此方を頼る気なのか?

 

、、素晴らしい土下座だ。一種の信念をも感じる。

 

生徒の為ならどんな事をもやってのける。この男なら信用できるな。

 

因みにあの後小鳥遊さんの盾と銃はアビドス高等学校前に置いておいた。恐らく回収された事だろう。

 

そういえば銀鏡さんの靴が脱げている。何故?

 

 

「先生、顔を上げてちょうだい。」

 

「誰かの為に膝を付く人を見たのは初めて。言ってみて。私に何をして欲しい?」

 

 

ちょっと待てよ、私達の角度的にあまり先生の顔は見えないが、、

 

なんか様子がおかしく無いか?

あれ本当に膝を付いてるのか?

 

さっき聞いた「ひゃんっ!?」って何だ?

頭を下げてそんな声を出すか?

 

 

「あの、委員長、ゲールさん、その、先生は跪いてるんじゃなくて、あ、足を、舐めて、、」

 

「、、ヒニャ!」

そこには足を舐めて、、というか咥えている妖怪の姿が!

 

「、、、、!!!!???」

 

「??????????????」

 

コイツほんとに信用できるのか?

 

 

 

 

 

〜 〜 〜

 

「、、そう、カイザーグループがね、、」

 

「うーーん、、」

 

 

応接室に通された先生は真剣な眼差しで此方を見つめてくる。誠意の証という事なのだろうか?

 

先生からの要請は現在アビドス高等学校がカイザーグループにより壊滅しかけており、救援に来て欲しいとの事だった。

 

他学園に要請する程とは、カイザーも本気ということか。

それに、、

 

 

「小鳥遊ホシノが失踪したって、、本当?」

 

「、、あぁ、実はそうなんだ。」

ユウ先生は俯き、唇を噛み締めてから言った。

 

 

、、、小鳥遊ホシノが、失踪した。

それは私にとってかなりの衝撃を受けるものだった。

 

話によれば今日の朝には退学届と共に消えていたらしい。

 

 

「ヒナは、、ホシノの事を知ってるの?」

先生はおずおずと聞いてきた

 

「、、こっちが一方的に知っているだけよ。」

 

 

 

「それより、、うん、わかったわ。」

 

「カイザー撃退作戦、風紀委員会も手を貸すわ。」

 

 

「、、!本当に!ありがとう!ヒナ〜。」

先生は私の手を掴み、ぶんぶんと振ってきた。

 

この人は、、底抜けにお人好しで、他人に真に優しい人なのね。

 

、、、

 

「、、ユウ先生、こっちも一つ、いいかしら?」

 

「うん、何でも頼って。」

先生は屈託のない笑みを浮かべた。まるで子犬みたい。

 

 

 

「ありがとう、、それは、ゲールの事。」

 

「ゲール君?」

 

「うん、実は、、」

 

 

そこから私は先生に悩みを打ち明けた。

 

今日の朝からゲールの様子がおかしい事。

昨日ゲールは家に帰らず、何かの作業をしていた事。

 

帰ってきたゲールは脇腹を怪我していた事。

時々ゲールがとても悲しそうな顔をする事。

 

そして、その原因を誰にも話してくれない事。

同じ大人である先生なら、何かわかるのではないか。

 

そう思い、話した。

 

 

「、、そう。」

先生は顎に手を当てて、それから話を続けた。

 

「わかった、彼が自分から話してくれるのが一番だけど、、時間が出来たらそれとなく探ってみるよ。」

 

「でも、、」

先生は宙を待っていた目を此方に合わせてきた。

 

「ゲール君を一番わかってるのは、ヒナでしょ?」

 

「だったら、ヒナがしたい様にしてみたら?」

 

 

 

 

 

 

 

少しだけ、静寂がうるさかった。

 

 

 

 

 

 

 

「、、そうね。そうする。」

 

「ありがとう、先生。」

 

 

「どういたしまして。」

 

 

 

 

 

 

 

〜 〜 〜

 

「お帰りなさい、委員長。どうでしたか?」

 

 

「先生からの要望はアビドスに現れたカイザーグループ撃退の手助け。風紀委員会の一部で手を貸すことにした。」

 

 

「そうですか、、はぁ、、分かりました。此方でスケジュール調整をしておきます。」アコは少しだけめんどくさそうだ。

 

「うん、お願い。」

 

 

 

「それで、、ゲールは?」

 

「あぁ、ゲールさんは、、」

 

 

 

「少し疲れていたんでしょう。デスクで眠っています。」

アコは唇に指を当てて話した。

 

 

「、、わかった、仮眠室に運んでおこう。」

そういうとヒナはキビキビと歩きだした。

 

 

 

 

 

「、、スー、、スー、、」

ゲールは机に突っ伏して寝ていた。珍しい。

 

 

(、、何か、疲れる事があったのね。)

 

(私がしたい様に、か、、)

 

 

(取り敢えず運ぼう。)

ヒナは慎重にゲールをお姫様抱っこした。

 

 

〜 〜 〜

 

(んしょ、、)

ゲールをベットに下ろした。まだ寝ている。

 

 

(一体、何があったのかな、、)

 

(そういえば、私はゲールについて何も知らない。)

 

(前は傭兵をしてたけど、なんであの身体で戦いの職業に付いていたのか、何故あれほどまで強いのか。)

 

(どこで生まれて、どんな環境で育ったのか、)

 

(一つも話してくれない。)

 

(たぶん、言いたくない過去があるのは、何となくわかる。)

 

(ゲールは、、そんな雰囲気がある。)

 

 

(ゲールは言いたくないなら、私も無理に知りたいとは思わない。)

 

(でも、それでゲールが苦しむのは辛い。)

 

 

「、、う、ううん、、はぁ、、はぁ、、」

ゲールが少し呻いた。

 

顔をしかめ、息を荒げ、冷や汗をかいている。

 

 

 

(、、きっとゲールは、今も苦しんでる。)

 

 

ガチャ、、、

 

「委員長、スケジュール調整が終わりました。先生の作戦時間からして、後少しで出発です。」コソコソ

 

「わかった。」コソコソ

 

 

パタン、、、

 

 

「じゃあゲール、行ってくるからね。」

 

「今はゆっくり休んで。」

 

 

スタ、、スタ、、、

 

 

(ヒナのしたい様にしてみたら?)

先生の言葉がフラッシュバックした。

 

「、、、」

 

 

(そうか、、前私が苦しんでいた時、ゲールはこうしてくれた。)

 

(私も、そうすればいいんだ。)

 

 

「ゲール、、」

 

ゲールの寝ているベットに横になる。

 

「、、、」

 

 

ぎゅっ、、

 

 

ゲールを腕で包み、優しく抱擁した。

そのまま一回、、二回、、頭を撫でた。

 

 

 

 

ゲールの体温と、、心拍を感じる。

、、、震えも。

 

 

 

 

(、、もう行かなきゃ)

 

(これで、、良かったのね。)

そしてヒナは、静かに仮眠室のドアを閉め、"使用中"の看板を下げた。

 

 

 

〜 〜 〜

 

 

私は、とても疲れていた。

小鳥遊さんとの戦闘もそうだ。

 

久しぶりにあれほどの強者と戦った。

パワー、スピード、技術、全てが最高峰。

 

しかし精神のコンディションが良くない。

あれでもかなり弱かった方なのだろう。

 

 

それよりも、だ。

 

 

大人に搾取される子供。

その姿をまじまじと見せつけられた。

 

どうしようもないという、絶望感。

大人の際限なき悪意。

 

昔の事と、重なった。

 

上が決めただけで、一部の子供はとある施設に送られた。スラム街の悪ガキ、身寄りのない子供、そして、、

 

 

親に売られた哀れな子。

 

 

私達は人間の様な扱いは受けなかった。

ひたすら己の牙を磨く日々。

 

お前達は、駒なのだと。

その為に、生まれてきたのだと。

 

 

 

暗闇を歩いていた。

闇は明るく、自分の姿だけを写した。

 

血だらけの己が姿を。

 

背負った業、か。

あの男も言っていた。

 

 

けれど、、

突然、前に光が現れた。

 

光は暗く、私の身体と溶け合った。

 

 

、、温かい。

 

 

そのぬくもりに、安心に、私は身体を預けた。

 

 

 

、、、、、

 

 

 

〜 〜 〜

 

 

「理事!北方に少数の兵力を確認!」

 

「、、なんだ?」イライラ

 

「数は3名、あれは、、」

 

 

 

「カイザーPMCの増援を確認。一個大隊の規模です、委員長。」

 

「、、準備を。」

 

「どうして私もここにいるんだ、、?」

 

「(イオリはともかく何故私まで、、)」

 

 

「仕事も残ってるし、さっさと片付けるよ。」

 

 

「、、先生達には、近づけさせない。」

 

 

 

「排除、開始。」

 

 

〜 〜 〜

 

 

「シロコ先輩!9時方向です!」

 

「ん、わかった。ドローン起動。」

 

 

「ノノミ!そっちの兵に掃射!」

 

「セリカは狙撃兵の対処を!」

 

 

「わかりました〜お仕置きですよ〜!」

 

「アンタ達、、そこを退きなさい!」

 

 

〜 〜 〜

 

「み、皆さん!では榴弾の準備をお願いします!」

 

「了解です!総員、配置につけ!」

 

「「了解!」」

 

「(皆さん、、頑張ってください!)」

 

〜 〜 〜

 

「社長、、ほんとに行くの?」

 

「当たり前よ!あのラーメンを守る為にもね!」

 

「アルちゃん、、あの店自分で壊したでしょ?」

 

「う、うるさいわね、それとこれとは話が別よ!」

 

「うぅ、私のせいですよね、すみません、死んできます、、」

 

「ハルカももう気にしないで、良い手は見つけたから。」

 

〜 〜 〜

 

 

バコォォォン

 

遠くで爆発音が聞こえた気がする。

たぶん幻聴だ。

 

 

「みんな、、ごめん、ごめん、、わたしのせいで、、」

 

 

ー  ー  ー

 

カイザーPMC攻略戦

 

手のひらから多くのものが零れ落ちた。

大切な物を、自ら捨てた者もいた。

 

零れたのなら拾い直せばいいだけだ。

 

ー  ー  ー

 

 

 






ゲール君は人並みな悲しい過去があります。

さぁ、、次回、ゲール君抜きで!アビドス編、終わります。




偶に書いたのを見返してはなんか小っ恥ずかしくなるを繰り返す生活を送っております。

物書きなら自分の作品に自信を持つべきなのでしょうね。

これからも精進します。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。