ハヨザース、木林です。
偶には朝投稿!
着々と書き溜めが消えていっております。区切りのいい所まで描けたからってサボっちゃいけませんね。
ゲール、お前は何がしたかったんだい?
「ふふ、ふふふ、、!!!」
ステンドグラスが辺りを照らす荘厳な聖堂。その中心で狂気の笑いがこだまする。
磔にされた秤アツコに聖人のような神聖はなく、なにか悍ましさが一層増していくようだ。
「ゲール、、この出会いは正に吉兆、、」
「外から、、いや、"どこか"から来た彼がここまで足を運べば、、」
「"色彩"が通る道が、より一層盤石な物になる!!」
「別世界という同一!それがこの歪んだ世界に、一筋の傷を付ける!!」
「邪魔な蝿が一人共にいますが、、あれもスクワッドと同じ。計画に何の齟齬も生じない。」
「寧ろ、、あれも色彩か、私に取り込めさせれば、、」
「彼には何の因果があるのでしょう、、!」
〜 〜 〜
「げほっ、げほっ、、埃っぽいな、、」
「ミサキ、大丈夫?」
「ここは旧校舎だからな、、随分長く使われていなかった筈だ。埃もかなりなものだろう。」
「皆さん!ここに階段がありますぅ!!」
「ヒヨリが見つけたみたいだ。行くぞ。」
、、、ここに来るまで、いろんな事があった。
サオリの、ミサキの、ヒヨリの、覚悟。
復讐に囚われてしまったミカ、、
、、アリウス生徒を制圧した際、不思議な事を言っていた。
「くそ、、何回も、、もう疲れた、、」
何回も、という事は複数回戦闘をしたのだろうか。先にミカがいるなら戦闘となってもおかしくないが、それでは「何回も」にはならないのではないか。
地下回廊に足を踏み入れた。この先にアツコがいる筈。回廊は背筋が凍るくらい冷んやりとしていた。
そこに、ぼんやりと人影が映った。
黒いフードを被った二人組。
一人にはヘイローがある。だが、あの形は、、
それは、全く想定していない人物だった。
「ゲール、、、」
「っ、アズサ、、!?」
「何で、ここに、、!?」
「、、アリウススクワッド。」
「決着を付けに来た。」
二人はフードを脱ぎ、顔を見せる。静かな回廊で寒さとは別の冷や汗が、背筋を伝った。
「錠前サオリ、、お前に聞きたい事がある。」
「待ってくれゲール!今は時間がないんだ。このままだとアツコが、死んでしまう、、」
「いいんだ先生。これは私がしてしまった事。」
「いつ報いがきても、受け入れるべきなんだ。」
「すまないゲールさん。質問を聞こう。」
サオリは一度帽子を被り直し、その真っ直ぐな目はゲールを捉えた。ゲールは逆に視線を下に落とす。
「家族は、、大事か?」
「、、勿論。何に変えても守って見せる。」
「そうか、、」
「サオリ。お前の思う家族はなんだ?」
「私の、思う、、?」
「家族とは、どういうモノだ?」
「、、よかったら教えてくれ。」
「、、、、」
「それは、、難しいな。」
「、、、」
「何故私達は家族になったのか、と問われると、、」
「そもそも、私がミサキや、ヒヨリや、、アツコにしてやれた事は、正しかったのだろうか?」
「アズサ。お前にも、、聞きたい。」
「ミサキは、、どう思う?」
「えぇ、私に振るの、、?」
ミサキは呆れたような、戸惑ったような表情を浮かべ、少し目を閉じた後にこう続けた。
「、、えっと、そうだな、、」
「自分以上に、自分を大事にしてくれる人?」
「私は何度かサオリ姉さんに自傷を止められたけど、、」
「私自身は、その時は間違ってるなんて、思ってなかった。」
「だけど、、サオリ姉さんは、いつも私達の事を考えてくれた。」
「だから、、かな?」
「、、ミサキ。」
「うぅ、何で私が、、ヒヨリは?」
「え!?私ですかぁ!?」
「うーん、えっと、そうですねぇ、、」
「一緒に居たいと思える事、、ですかね?」
ヒヨリは両手の人差し指を合わせ、にへらと笑ってからサオリやミサキを見た。
「私は、そのぉ、皆さんと一緒に居たい、、ですよ?」
「あんまり楽しい事が多かったとは言えない生活でしたが、、」
「偶にサオリ姉さんが雑誌を取ってきてくれたり、、小さい頃、ボロ切れみたいなシーツを被って、みんなと寝たのを覚えてます。」
「それは、、他の人達と比べたら、ずっと貧しくて、ひもじい記憶かもしれません。」
「ですが、私はそれが大切だったんです。」
「、、結構恥ずかしい事言ってませんか?私?」
「ふっ、、あぁ。こんな時でも無ければ、恥ずかしくて言えてそうにないな、、本当に。」
「アズサ。お前は私の事が嫌いだろう?それは当たり前で、当然の事だ。なら、お前が大切に思うあの子達を、お前はどうして大切だと思ったんだ?」
「、、サオリ。確かにサオリは、許されない事をした。」
「でも、私は最初からお前が嫌いだった訳ではないし、あの環境でお前がとった行動が、間違っている、ともいえなくなった。」
「キサラソ、、ゲールさんを殺す為に立てられた計画。」
「それは結果的に最悪の結末を辿った。」
アズサは膝を折って座り込み、頭を下げて話し始めた。あの時のサオリと同じように。
「ゲールさんはゲヘナで試験をした後に居なくなってて、、教室はバラバラに荒らされてた。」
「その時、あなた達が何をしたかも、わかった。」
「いや、、そうじゃない。」
「何となくわかってたんだ。近いうちにゲールさんが襲撃される事は。でも私は、、」
「ヒフミ達と一緒に居たいと、思ってしまった。」
「あの時は選択する時間が全くなく、ゲヘナに向かった。というのは詭弁で、言い訳にすぎない。」
「私はゲールさんとヒフミ達を、、天秤に取ったんだ。そして、、ヒフミ達を選んでしまった、、」
「何で気が付かなかったんだろう。ゲールさんにも、また会いたい仲間が、、家族が、居たのに、、」
アズサは涙を流す。啜り泣きがほんの僅かに聞こえ、そしてアズサはまた立ち上がった。
「だから、、サオリのしていた事も、わかった。」
「サオリは、ただ自分の家族を、、守りたい人を、守っていただけなんだ。その為に他を犠牲にしていた。」
「私は、、諦めなければ、進み続ければ、いつかは何もかも丸く収まる、、」
「そんなハッピーエンドが、私はあると信じていた。」
「今も、それは変わらない。ただ、、」
「理想に縋るのも、ダメなんだ。」
「どうしても諦めなくてはならない事もある。本当に大切な物を守る為には、捨て去ってしまう物がある。」
「最善を尽くしても、どうにもならない時もある。」
「サオリは、ずっと前からそれがわかってたんだな。」
「、、アズサ。」
「確かに私達はそりが合わないけど、根っこは同じだったんだ。」
「サオリ。すまなかった。」
「私がトリニティ潜入のスパイとして選ばれたのは、サオリが私の事を考えてくれていたからだろう?」
「私は、そんなサオリの思いを気づかなかった。」
「今大切な仲間ができたのも、、サオリのお陰だったんだ。」
「そして、、ゲールさん。」
「ゲールさんにも、言わなければならない。すまなかった。何をしても、許される事ではないかもしれないが、、」
「空崎ヒナと、、話し合ってくれ。どうか、また楽しい思い出を作って、、」
「大切な存在を、作ってくれ。」
「家族とは、仲間とは、、」
「大切なものを、ずっと共有できる人だと思うから。」
アズサはヒフミから貰った「スカルマン」のぬいぐるみを取り出し、大事そうに抱えた。
「、、、」
「、、、さて。」
「錠前サオリ。お前は、、どう答える?」
「、、、」
「お前は、自分がした事だけが間違っていた、と思っていた、、違うか?」
「実際は、お前が他者を想っていたように、他者も、お前の事を想ってくれていたようだな。」
「、、さぁ、答えろ。」
「お前にとって、家族とは何だ?」
「私にとって、家族というのは、、」
「ずっと一緒に居たい人だ、、!」
「何があっても守りたい人だ!」
「愛されても、恨まれても、怒られても、嫌われても、、」
「それを受け止めて、尚大切な人だ!!」
「、、、そうか。」
サオリの答えを真っ直ぐに受け止め、ゲールはサオリと目を合わせた。そしてミサキに、ヒヨリに、アズサに、私に、順々に視線を合わせた。
「俺は、、いや、私は、、」
「お前達が、ずっと羨ましかった。」
「戦火の中で生き、なにか大きな物の手となり足となり、自分の人生を犠牲にしてきた、お前達が。」
「家族を知っている。大切なものを知っている。」
「私は、、以前、知り得なかったのに。」
「どんなに苦しくても、生きたいと思える。守りたいものがあるから。」
「心の奥で信じあう事ができる。良い所も悪い所も、知っていて愛しているのだから。」
「私は、、そんな事も知らなかった。」
「本当の事を隠して、家族なんて言えなかった。」
「きっと、、ヒナさんも、何か隠している事ぐらい、ずっと昔から知っていただろうに。」
「、、、ありがとう。アリウススクワッド。」
「私は、、少し、疲れた。」
「アズサ。先生と、、皆と共に行け。」
「助けてこい。大切な家族を。」
ゲールは一息つくと、ごそごそと懐を探った。
「持って行け。少ししかないが、、多少マシになるだろう。」
ゲールが渡してくれた弾薬と包帯で装備を整えた。
「ゲール、、」
「何だ先生?先程まで何も喋っていなかったが、、」
「、、喋るのも野暮ってもんでしょ。」
「、、ああ、そうだ。」
「先生、、聖園ミカを、救ってやれよ。」
「、、!!」
「この先に、、聖園ミカがいる。」
「私達を通り過ぎていったんだ。きっと、待っている。」
アズサが話した内容に、皆が頷いた。
「わかった。、、じゃあね。」
ゲールは手をひらひら振ると、くたびれたようにその場に座り込んだ。私達は、アズサを加えて回廊を進み出した。
〜 〜 〜
先生達が前に進んで、、少し。
私はまだ立ち上がれずにいた。
これから、、どうしようか。
実際にはしたい事はわかっている。
あの病室に戻りたい。もしそこに、空崎ヒナがいたのなら、、
だが、あんな事を言った手前、帰ってもいいのだろうか?
私はがアリウススクワッドに抱いていた感情は、羨望だった。それは恨みよりもなお執着するものだ。
やっと、その事に気づけた。いや、向き合えた。
ヒナさんが言っていたこと、、「自分と向き合え」というのは、やっぱり正しかったのだ。
ずっと自分を偽り、向き合っていなかった。
そうやって考えを巡らせていた刹那、身体全体をいいようのない「恐怖」が包んだ。
全身が警鐘を鳴らしている。なんだ、、?
遂に恐怖が全身を巡り、思わず目を閉じた。
目を閉じた暗闇に、或いは虚空に。そのナニカが現れた。円環?漆黒の中なのに、、
「色彩」
何故か、その言葉が浮かんだ。
そして目を開けた瞬間に、気づいた。
ヘイローが、いや光輪が、無くなっている。
だが、そんな事は重要ではない。
「何故、、何故、今?」
「ヒナ様、、貴女を、、」
「何故、思い出したのでしょう?」
〜 〜 〜
「ああ!ああ!遂に、ついにツイニ遂に!!」
「感じたぞ!来るッ!!」
「予定よりかなり速いが、、問題ない!」
「かの呪いすら取り込んだ色彩が、、私に!!」
「、、ククク、そうだ、折角なら、、」
「バルバラ、貴女は回廊からこちらに来なさい。」
「ありきたりですが、挟み撃ちと行きましょう。」
「どうせ残るのは抜け殻と何もできぬ魔女。そいつらを殺し、、背後より、サオリを始末しなさい。」
「先生、、彼は、どんな顔で見るのでしょう?どんな顔で名を叫ぶのでしょう、、?」
「あぁ、愉快です、楽しみです、、」
ベアトリーチェの顔が歪み、幾多にも別れて、花開かんとしていた。
そろそろ最終編の構想考えないと。
その前にちまちま描いてる短編消化しないと、、
第二番のゲヘナ編をちらっと考えて若干気分が下がりました。どう考えても鬱展開ッ、、!
やっぱ気分で描いてるから特に文章力が上達したりはしませんなぁ。でも見てくれる人がいるのは嬉しいっすね。
あー、あと設定の解説を。
ゲール君から神秘にも似た呪いは無くなりました。一体なんで何でしょうなぁ。
どちらかと言うと「奪われた」のかもしれません。
故にテクスチャーは剥がれ、彼は「空崎ゲール」に戻り、、?変わり、、?ました。
決して知り得ず、交わらず、思い出すことも無かった彼女達の事も思い出してしまいました。
それが良い事かは、きっと彼らが決めるでしょう。